危険運転致死傷罪に当てはまるケースと逮捕された後の流れ

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2017.8.1

危険運転致死傷罪に当てはまるケースと逮捕された後の流れ

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危険運転致死傷罪(きけんうんてんちししょうざい)とは、飲酒・無免許運転などの危険な運転により相手を死傷させた場合に適用される罪です。法定刑は【被害者が負傷:15年以下の懲役】【被害者が死亡:1年以上の有期懲役】と非常に重い罰則が設けられています。

 

平成27年版 犯罪白書」によると、自動車運転過失致死傷等での検挙人数は56万6,976人に対し、危険運転致死傷罪での検挙人数はわずか463人です。確かに検挙人数は少ないかもしれませんが、重大な犯罪であることには変わりありません。

 

今回はどのようなケースで危険運転致死傷罪に問われるのか?もしも危険運転致死傷罪で逮捕された場合どのようになるのか?といったことについて解説していきます。

 

 

 【目次】
危険運転致死傷罪とは|罰則の重さと罪の要件
危険運転致死傷罪の罰則
危険運転致死傷罪に該当する6つのケース
①アルコールや薬物の影響で正常な運転ができない場合
旧規定では5つの罪があった
危険運転致死傷罪以外の交通事故に関する罪にと罰則
過失運転致死傷罪
負傷者の救護と危険防止処置違反
事故報告の義務違反
酒酔い運転・酒気帯び運転
無免許運転
速度超過
殺人罪や殺人未遂罪に問われることもある
危険運転致傷罪で逮捕されたニュース
6人負傷の事故|危険運転致傷罪は無罪
大阪・御堂筋の暴走事件|過失運転致傷罪で有罪
危険運転致死傷罪で逮捕された後の流れと傾向
危険運転致死傷罪で逮捕された後の流れ
危険運転致死傷罪は起訴率が非常に高い
危険運転致死傷罪で逮捕された後の対処法
逮捕されてしまったのであれば弁護人に頼ること
危険運転致死傷罪に該当しないことを主張
被害者側との示談
まとめ

 

危険運転致死傷罪とは|罰則の重さと罪の要件

それでは早速、危険運転致死傷罪がどのような罪なのかを解説していきます。

 

危険運転致死傷罪の罰則

次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

冒頭でもお伝えしましたが、危険運転致死傷罪の罰則は被害者の状態によって罰則が変わります。

 

  • 負傷:15年以下の懲役
  • 死亡:1年以上の有期懲役

 

被害者が死亡しなくても15年以下の懲役刑と罰則に懲役刑しか用意されていないため、かなり重い罰則が設けられていると言えます。ちなみに、有期懲役とは最大20年の懲役のことです。

 

危険運転致死傷罪に該当する6つのケース

「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」には、危険運転致死傷罪に該当するケースとして6つのものが挙げられています。

 

①アルコールや薬物の影響で正常な運転ができない場合

 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 


参考:「平成27年版 犯罪白書

 

冒頭でもお伝えしましたが、平成26年の危険運転致死傷罪での検挙者数は463人でした。その中の約26%である121人が飲酒等の影響による危険運転致死傷罪での検挙となっています。

 

また、飲酒運転に対する罰則は例え、事故を起こして被害者が死傷しなかったとしても重い罰則が設けられていますし、逮捕されることもあり得ます。「ちょっとくらい…」は通用しませんので、『飲んだら乗るな』を徹底してください。

 

【関連記事】
飲酒運転で逮捕されるケース

 

②運転の制御が困難なほどの速度超過

 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

運転の制御ができなくなるほどの速度超過(いわゆるスピード違反)も危険運転致死傷罪に該当してきます。

 

参考:「速度違反の取り締まり―警察庁

 

また、スピード違反は死亡事故を起こす可能性も極めて高いため、周りの人だけでなく自分や同乗者の命の危険にまで晒されてしまいます。そして、事故を起こさなくてもスピード違反単独で逮捕されることもあります。

 

【関連記事】
スピード違反でも逮捕される

 

③運転の制御できる技能を持たないままの運転

 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

進行を制御できる技能を有しない。要するに無免許運転などのことですが、こちらも危険運転致死傷罪に該当するケースがあります。無免許とは、免許証を持っていない状態(免許不携帯)のことではなく、免許取り消しや停止も含む自動車運転の免許の資格が無い状態のことです。

 

【関連記事】
無免許運転で逮捕されるケース

 

④人・車の通行を妨害する目的の運転

 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

例えば、カーチェイス映画のように隣車線の車に急接近したり、歩行者が通行中の歩道に侵入する行為も危険運転致死傷罪に該当します。

 

⑤信号無視など

 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

信号無視も危険運転致死傷罪に該当します。

 

⑥通行禁止道路の走行

 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

引用:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

通行禁止道路を危険な速度で走行した場合、危険運転致死傷罪に該当してきます。こちらも歩行者専用道路などが通行禁止道路としてあげられます。

参考:「通行禁止道路」について|法務省

 

旧規定では5つの罪があった

危険運転致死傷罪をはじめとする自動車運転に関する法律は、年々改正に改正が重ねられ、厳罰化されていっている背景があります。旧規定では危険運転致死傷罪が5つに細分されていました。

 

  • 酩酊運転致死傷罪:上記の①に該当
  • 制御困難運転致死傷罪:上記の②に該当
  • 未熟運転致死傷罪:上記の③に該当
  • 妨害運転致死傷罪:上記の④に該当
  • 信号無視運転致死傷罪:上記の⑤に該当

 

危険運転致死傷罪以外の交通事故に関する罪にと罰則

危険運転致死傷罪以外にも自動車運転に関する犯罪は多くあります。冒頭でもお伝えしましたが、自動車運転過失致死傷等での検挙人数は56万6,976人に対し、危険運転致死傷罪での検挙人数はわずか463人です。

 

裏を返せば、危険運転致死傷罪で刑事手続きを受けていても、「「○○罪」の方が適しているのではないか」というような主張もすることができるのです。

 

【関連記事】
交通事故でも逮捕されることがあるケース

 

過失運転致死傷罪

交通事故により被害者を死傷させた場合、まず過失運転致死傷罪に問われることが多いです。法定刑は【7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金】となっています。

 

危険運転致死傷罪の罰則よりも軽くなりますね。また、懲役刑以外にも罰金刑が含まれることにもなります。繰り返しますが、危険運転致死傷罪で逮捕されてしまった場合は、「○○の理由で過失運転致死傷罪の方が適切ではないか」というような主張をすることもできるのです。

 

負傷者の救護と危険防止処置違反

こちらは、事故後に現場にとどまらずにひき逃げをした場合の罰則です。法定刑は【10年以下の懲役及び100万円以下の罰金】です。ひき逃げは非常に悪質な行為で、このように逃げるという行為そのものに罰則が設けられています。

 

事故報告の義務違反

同じく、交通事故を起こして警察に報告しなかった場合も違反による罰則があります。法定刑は【3か月以下の懲役及び5万円以下の罰金】です。

 

酒酔い運転・酒気帯び運転

上記でもお伝えしましたが、仮に死傷者を出さなかったとしても飲酒運転そのものが犯罪行為です。罰則は飲酒の程度によります。

 

  • 酒酔い運転:【5年以下の懲役または100万円以下の罰金】
  • 酒気帯び運転:【3年以下の懲役または50万円以下の罰金】

 

飲酒運転について詳しくは以下のコラムもご覧ください。

 

【関連記事】
飲酒運転で逮捕されるケース

 

無免許運転

無免許運転そのものも罰則の対象です。法定刑は【3年以下の懲役または50万円以下の罰金】です。ちなみに、免許を携帯していなかった場合の免許証不携帯の罰則は3,000円の罰金です。

 

【関連記事】
無免許運転で逮捕されるケース

 

速度超過

法定速度を1km/hでもオーバーしたら、速度超過として罰則の対象になります。繰り返しますが、1km/hでもオーバーしたらです(検挙されるかどうかは別として)。

 

速度超過に対する罰則は【6か月以下の懲役または10万円以下の罰金】です。また、上記のグラフで紹介しましたが、速度超過によって死亡事故を起こしてしまうリスクが上がります。犯罪云々ではなく、人の命にかかわることですから決められたルールはきちんと守るべきです。

 

【関連記事】
スピード違反でも逮捕される

 

殺人罪や殺人未遂罪に問われることもある

危険な運転が殺人罪や殺人未遂罪に問われるケースもあります。通行禁止道路を危険な速度で走行する行為は危険運転致死傷罪に該当する行為ですが、例えば、歩道を通行中の歩行者を殺害しようと歩道に突っ込んだ場合、殺人(殺人未遂)罪が問われる可能性が高いでしょう。

 

殺人罪の法定刑は【死刑又は無期もしくは5年以上の懲役刑】です。殺人未遂罪も同様です。

 

 

危険運転致傷罪で逮捕されたニュース

それでは、実際に危険運転致傷罪で逮捕されたニュースをいくつか実例として挙げていきます。

 

6人負傷の事故|危険運転致傷罪は無罪

2015年に登校中の小学生の列に乗用車が突っ込み、児童6人が重軽傷を負った事件です。危険運転致傷罪で捜査が進められていましたが、危険運転致傷罪は無罪になり、別件で罪に問われていた傷害罪が成立し、30万円の罰金となりました。

 

検察は睡眠導入剤の検査反応が出たことが事故原因だと主張していましたが、「睡眠導入剤が原因とするには、合理的な疑いが排除できない」という判断が裁判長によってされました。

 

参考:「危険運転致傷は無罪|毎日新聞

 

大阪・御堂筋の暴走事件|過失運転致傷罪で有罪

2014年に大阪・ミナミの御堂筋で低血糖症の意識障害の危険性を知りながら自動車を運転し暴走、3人に重軽傷を負わせた事件です。こちらも危険運転致傷罪が問われていましたが、判決は過失運転致傷罪による禁錮1年6か月、執行猶予3年というものでした。

 

危険運転致傷罪にならなかった理由としては、具体的な認識があったとは言えなかったからです。検察側は、事故直前に血糖値を上げる効果があるどら焼きやジュースを口にしていたので「認識があった」と主張していましたが、認められず過失運転致傷罪となりました。

 

このように、危険運転致死傷罪は裁判でも認められにくい傾向にあります。検察側は被告人の危険性の認識やアルコール・薬物などによる影響が大きいというような主張をして、弁護側と反論になることが多くあります。その結果裁判もたびたび控訴審、上告審と長引くこともあります。

 

参考:「過失運転致傷罪で有罪判決|毎日新聞

 

危険運転致死傷罪で逮捕された後の流れと傾向

こちらでは、危険運転致死傷罪で逮捕された後の刑事事件の流れと傾向について解説していきます。

 

危険運転致死傷罪で逮捕された後の流れ

危険運転致死傷罪で逮捕された後の刑事事件の流れは、他の犯罪で逮捕された場合と変わりません。基本的に

 

  1. 逮捕
  2. 勾留
  3. 起訴・不起訴
  4. 起訴後勾留
  5. 刑事裁判

 

と進められていきます。また、危険運転致死傷罪は重い罪であるため、身柄拘束がされ続けることが予想されます。

 

【関連記事】
刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応

 

危険運転致死傷罪は起訴率が非常に高い

引用:「平成27年版 犯罪白書

 

上の図をご覧ください。犯罪白書によって報告された交通事故に関する事件の検察での処分内容の比率です。見ても分かるように危険運転致死傷罪で公判請求(起訴)の割合が83.3%と非常に高いです。

 

一方で、不起訴率は6.5%。これは一般事件での不起訴率47.6%と比べてみても非常に低いことがわかります。危険運転致死傷罪は、非常に重い罪であるため、刑事手続きが進められると起訴される可能性は非常に高いです。

 

起訴・不起訴については以下のコラムをご覧ください。

【関連記事】
起訴と不起訴の違いと不起訴処分を獲得するためにできること

 

 

危険運転致死傷罪で逮捕された後の対処法

それでは、もしも危険運転致死傷罪で逮捕されてしまった場合、どのような対処法が取れるのでしょうか。

 

逮捕されてしまったのであれば弁護人に頼ること

まず、率直に申し上げておきますが、危険運転致死傷罪は非常に重い罪であるため、弁護士の力なくして早期解決(釈放)や刑の軽減などを望むことは難しいといえるでしょう。危険運転致死傷罪は、必要的弁護事件であるため、公判請求されてしまったら国選弁護人が選任されますが、早い段階から弁護人をつけることもできます。

 

弁護士の種類

特徴

私選弁護人

依頼者が費用を払って選任。契約にもよるが事件解決まで責任をもって注力してくれる。逮捕前でも依頼可能。

当番弁護士

逮捕後すぐに呼ぶことが可能。初回の接見(面会)は無料。その後私選弁護人として依頼するとなれば費用を払うことになる。

国選弁護人

原則、起訴後の選任。刑事事件において弁護士費用が払えない人に対する制度。弁護士の活動は私選弁護人と同じ。

 

上の表は、刑事事件で呼ぶことができる弁護人の種類です。私選弁護人は依頼者が自分で弁護士を探して費用を払って依頼します。逮捕されていない状態でも依頼することができます。当サイトのようなポータルサイトなどで弁護士を探してみましょう。

 

逮捕後は『当番弁護士』や『国選弁護人』などの無料で弁護人を呼んだり依頼することができる制度があります。繰り返しますが、危険運転致死傷罪は非常に重い罪で起訴率も高いので、弁護人からアドバイスをもらうようにしましょう。

 

【関連記事】
逮捕後に呼べる弁護士の種類と選ぶにあたってのポイント

 

危険運転致死傷罪に該当しないことを主張

「危険運転致死傷罪で逮捕されたニュース」でも触れましたが、危険運転致死傷罪は他の罪として起訴や判決を受けることも少なくありません。「○○だから、危険運転致死傷罪に該当しない」という主張をすることで結果的に刑の軽減などになることもあります。

 

しかし、当然ながら拘束された身では証拠をそろえることもできませんし、一般の方が検察や裁判官に対して的確な主張をすることは難しいでしょう。この場合も弁護士の力が必要になります。

 

被害者側との示談

危険運転致死傷罪は被害者がいる事件ですから、被害者側と示談交渉によって和解などをすることも効果的です。しかし、危険な運転により怪我を負わされたり親しい人を死亡させられた立場の方々との交渉になります。交渉が難航することは十分に考えられるでしょう。

 

そもそも、捜査機関から被害者との接触が禁止されたり、面識がなければ連絡先を加害者側に教えてくれることはありません。よって、刑事事件での示談交渉は必ずといっていいほど弁護士に間に入ってもらいます。

 

【関連記事】
刑事事件加害者の示談

 

 

まとめ

いかがでしょうか。危険運転致死傷罪は検挙件数も少ない犯罪ではありますが、かなり重い罪となっています。飲酒運転や速度超過などの故意に危険な運転して事故を起こすケースもありますが、てんかんなどの発作などで事故を起こして危険運転致死傷罪として逮捕されることもあります。

 

繰り返しますが、危険運転致死傷罪で逮捕されてしまったら、どのような形でもいいので、なるべく早い段階から弁護士に依頼するようにしましょう。

弁護士への相談で刑事事件の早期解決が望めます


刑事事件に関する専門知識もつ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・罪に問われた身内を助けたい
・窃盗罪や傷害罪で捕まってしまった
・痴漢冤罪などの冤罪から逃れたい

など、刑事事件でお困りの事を、【刑事事件を得意とする弁護士】に相談することで、刑事事件の早期解決となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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