危険運転致死傷罪とは?成立要件や罰則、過失運転致死傷罪との違いを解説
危険運転致死傷罪は、飲酒運転や著しい速度超過など悪質な運転により人を死傷させた場合に成立します。初犯であっても実刑判決がでる可能性が高い犯罪です。
自分や家族が事故を起こし、危険運転致死傷罪に問われるかもしれないと考えると、今後の生活への不安は大きいでしょう。被害者や家族にとっても、量刑の見通しや示談の進め方は気になるところです。
当記事では、危険運転致死傷罪の成立要件や罰則、令和8年の法改正の内容、過失運転致死傷罪との違いを詳しく解説。実際の判例や逮捕後の流れも説明します。
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危険運転致死傷罪とは?制度の概要
危険運転致死傷罪とは、悪質・重大な自動車事故の発生を防ぐために制定された、極めて刑罰の重い犯罪です。アルコールや薬物の影響による危険な運転、進行を制御することが困難な高速度での運転、運転技能を欠いた状態での運転など、法律に定められた危険な運転行為によって人を死傷させた場合に成立します。
危険運転致死傷罪は、危険性の高い運転行為であると認識しながらあえておこない、結果として人を死傷させる結果的加重犯です。事故自体をわざと起こす殺人罪とは異なり、危険な運転行為そのものへの故意があったかどうかが問われます。
不注意による事故である過失運転致死傷罪とは、成立の前提となる考え方が根本的に異なるので注意してください。
危険運転致死傷罪の罰則・法定刑
危険運転致死傷罪の法定刑は、事故の結果が傷害か死亡かによって区分されており、いずれも重い拘禁刑が定められています。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期拘禁刑に処する。
| 結果 | 法定刑 |
| 傷害 | 15年以下の拘禁刑 |
| 死亡 | 1年以上20年以下の拘禁刑(併合罪で最長30年) |
人を負傷させた場合は、15年以下の拘禁刑が科されます。人を死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑となり、上限は原則20年です。ほかの罪と併合されると、刑法14条2項の規定により最長30年まで引き上げられます。
なお令和7年6月1日の刑法改正により、従来の懲役・禁錮は拘禁刑に一本化されています。
令和8年の法改正で危険運転致死傷罪はどう変わったか
危険運転致死傷罪は、令和8年6月25日の法改正により、同年7月21日から内容が変わりました。飲酒類型と高速度類型に数値基準が新設されたほか、新たな運転類型も追加されています。
| 項目 | 改正前 | 改正後(令和8年7月21日〜) |
| 飲酒類型 | 数値基準なし。正常な運転が困難な状態かを個別判断 | 呼気1L中0.5mg以上、または血液1mL中1.0mg以上で一律に対象 |
| 高速度類型 | 道路状況との関係で相対的に判断する基準のみ | 最高速度+50km/h超・+60km/h超の一律の数値基準を新設 |
| 殊更滑走等類型 | 直接処罰する規定なし | ドリフト走行・ウィリー走行等を新設 |
改正の背景には、正常な運転が困難な状態の認定にばらつきが生じていた事情や、進路を逸脱していない高速度運転で処罰が否定される事案があった事情があります。
危険運転致死傷罪に該当する行為8つ

自動車運転死傷処罰法2条には、危険運転致死傷罪に該当する行為が複数の号で規定されています。それぞれの類型にある裁判上厳格な構成要件を満たすかどうかが立証の焦点です。このうち関連する号をまとめ、8つの類型として紹介します。
1.アルコールの影響による危険運転
アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死傷させるのは、危険運転致死傷罪の代表的な行為です。
都道府県警察の発表によると、危険運転致死傷罪に適用された事故原因の約4割がアルコールの影響となっています(※)。
一 アルコール影響正常運転困難状態(身体に血液一ミリリットルにつき一・〇ミリグラム以上又は呼気一リットルにつき〇・五ミリグラム以上のアルコールを保有する状態その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態をいう。次条第一項において同じ。)で自動車を走行させる行為
令和8年7月21日施行の改正により、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上、または血液1ミリリットルにつき1.0ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態での走行は、一律に本罪の対象となりました。
数値基準に満たない場合でも、事故の態様や飲酒量、事故後の言動などから個別の事情に照らして正常な運転が困難な状態であったと認められれば、引き続き本罪が成立し得ます。
数値基準に満たず本罪が成立しない場合でも、過失運転致死傷罪や、道路交通法上の酒気帯び運転・酒酔い運転の罪に問われる可能性があるので油断はできません。
2.薬物の影響による危険運転
麻薬や覚醒剤などの薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、人を死傷させる行為も危険運転致死傷罪に該当します。
二 薬物影響正常運転困難状態(薬物の影響により正常な運転が困難な状態をいう。次条第一項において同じ。)で自動車を走行させる行為
令和8年7月21日施行の改正により、従来アルコールと同一の号で規定されていた薬物影響型が、独立した号として明文化されました。
医師の処方薬であっても、運転を控える注意書きのある薬物を服用し、正常な運転ができない状態で事故を起こせば適用対象になり得ます。
薬物の影響は個人差が大きく、アルコールのような数値基準は設けられていません。事故時の様子や薬物検査の結果などから総合的に判断されます。
3.制御困難な高速度での運転
自動車の進行を制御することが困難なほどの高速度で走行し、人を死傷させる運転も危険運転致死傷罪に問われる典型例です。
三 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
四 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ当該イ又はロに定める速度以上の高速度その他道路及び交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度(次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ当該イ又はロに定める速度に準ずるものに限る。)で自動車を運転する行為
イ 最高速度(道路交通法第二十二条第一項の規定によりこれを超える速度で進行してはならないこととされている最高速度(原動機付自転車を運転する場合にあっては、同法第三条に規定する普通自動二輪車の最高速度)をいう。以下この号において同じ。)が六十キロメートル毎時以下である場合 最高速度を五十キロメートル毎時超える速度
ロ 最高速度が六十キロメートル毎時を超える場合 最高速度を六十キロメートル毎時超える速度
道路の形状、路面状況、車両の性能などを踏まえ、当該速度が進行を制御することが困難な高速度であったかが判断されます。また、道路の最高速度に応じて定められた数値基準に達する場合や、これに準ずる著しく危険な高速度運転も対象となります。
4.運転技能を有しない状態での運転
運転技能を有しない状態での運転で人を死傷させる行為も、危険運転致死傷罪に該当します。自動車の進行を制御する技能、すなわち基本的な運転操作の技術をもたずに走行させる行為です。
五 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
単に無免許である、免許不携帯や有効期限切れなどの形式的な事実だけでは足りません。実質的にハンドルやペダル、シフト操作を正しくおこなう能力が欠如している状態を指します。
例えば、運転の訓練を一度も受けていない人が、暴走させる危険性を知りながら自動車を動かして事故を起こしたような極端なケースが該当します。無免許かつ運転経験の有無、過去の運転履歴、事故当時の運転操作の状況が総合的に判断される点も押さえておきましょう。
5.タイヤを滑らせる・浮かせる運転
やむを得ない事情がないのに、故意にタイヤを滑らせる、または浮かせることで、自動車の進行制御が困難な状態にさせて走行するのも危険運転にあたります。
六 殊更にタイヤを滑らせ又は浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて、自動車を走行させる行為
令和8年7月21日施行の改正で新設された類型で、車体を横滑りさせながらカーブを曲がる、二輪車の前輪を浮かせて後輪だけで走行するなどの行為です。
改正前は、こうしたドリフト走行やウィリー走行を直接処罰する規定がありませんでした。危険性が高い運転であっても、危険運転致死傷罪に問えない場合があったのが改正前の課題です。
事故当時の目撃情報やドライブレコーダー映像、タイヤの摩擦痕から、意図的な運転であった事実が立証されます。
6.妨害行為による危険運転(あおり運転)
人や他車の通行を妨害する目的で、著しく接近する、前方に停止するなどして他車を危険にさらす運転も該当する行為です。自動車運転死傷処罰法2条では、対象となる道路や行為の態様によって3つの号に分かれています。
- 7号:一般道での直前進入や著しい接近
- 8号:走行中の車の前方への停止
- 9号:高速道路・自動車専用道路での妨害停止
七 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
九 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
いずれの行為も、妨害する故意が存在したかどうかが判断のポイントです。前方で急ブレーキを踏む、執拗にパッシングを繰り返して車線を塞ぐなどの行為が該当し得ます。
近年はドライブレコーダーの映像が重要な証拠となり、客観的に妨害の意図と危険性が立証されやすくなっています。
7.赤信号を故意に無視する運転
赤色信号であると認識していながらあえて無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で交差点に進入すると危険運転致死傷罪に該当します。
十 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
うっかり見落としたという過失ではなく、赤信号であるとわかっていて強行突破したという意図的な無視である事実が必要です。交差する側の交通が青信号であり、他車や歩行者が進入してくる可能性が高いと知りながら、衝突を顧みず走行した場合に適用されます。
周辺の防犯カメラ、ドライブレコーダー、本人の供述などから、赤信号の認識という故意が立証される仕組みです。
8.通行禁止道路での高速走行
歩行者専用道路などの通行禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行する行為も該当します。
十一 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
標識を見落として誤進入したケースではなく、通行禁止であると知りながらあえて進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行した場合です。
通行禁止道路には、車両通行止めの道路のほか、一方通行の逆走や高速道路の逆走も含まれるので注意しましょう。進入時の速度や走行した距離、時間帯、歩行者の混雑状況などから、重大な交通の危険の有無が評価されます。
危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の違い3つ
危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪は、どちらも人を死傷させた自動車事故ですが、性質や法的評価、受ける不利益は大きく3点で異なります。
最大の相違点は、事故を引き起こす原因となった危険行為をあえておこなったか、それとも不注意によるものかという点です。適用される法定刑の重さにも大きな差があり、被告人の刑事処分を大きく左右します。
| 項目 | 危険運転致死傷罪 | 過失運転致死傷罪 |
| 前提 | 危険な運転行為への故意 | 不注意(過失) |
| 法定刑 | 致死:1年以上20年以下の拘禁刑 致傷:15年以下の拘禁刑 | 7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 実刑の可能性 | 極めて高い | 執行猶予の余地がある |
3つの違いを詳しく解説します。
運転行為に対する「故意」の有無
| 危険運転致死傷罪 | 危険な運転行為への故意 |
| 過失運転致死傷罪 | 不注意(過失) |
過失運転致死傷罪は不注意による事故ですが、危険運転致死傷罪は危険な走行行為をあえておこなった場合に成立します。
過失運転の場合、前方不注意やブレーキを踏むのが遅れたといった注意義務違反、いわゆるうっかりミスが処罰の対象です。一方で危険運転の場合、飲酒して運転すること、あおり運転をすることという前提行為を認識して意図的におこなった事実が必要です。
危険運転行為への認識、すなわち故意を客観的証拠から検察官が証明できるかどうかが、裁判における最大の争点となります。
適用される法定刑の重さ
| 危険運転致死傷罪 | 致死:1年以上20年以下の拘禁刑 致傷:15年以下の拘禁刑 |
| 過失運転致死傷罪 | 7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
危険運転致死傷罪の法定刑は、過失運転致死傷罪と比べて著しく重く設定されています。
過失運転致死傷罪の法定刑は7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金であり、罰金刑による早期解決や執行猶予の獲得が十分に可能です。
一方で危険運転致死罪は1年以上の有期拘禁刑となり、罰金刑がないため、起訴されれば必ず正式な刑事裁判が開かれます。危険運転致傷でも15年以下の拘禁刑となり、過失運転の上限である7年の2倍以上の重い上限が定められている点も見逃せません。
実刑判決が下される割合
| 危険運転致死傷罪 | 極めて高い |
| 過失運転致死傷罪 | 執行猶予の余地がある |
過失運転致死傷罪では初犯であれば執行猶予がつくケースが多いのに対し、危険運転致死傷罪は実刑判決となる割合が高いのが特徴です。
過失運転致死傷罪の場合、相手が死亡した事故であっても、真摯に謝罪し任意保険などによる示談が成立していれば執行猶予が得られる可能性が高くなります。
対して危険運転致死傷罪では、示談が成立していても裁判員裁判において厳しい社会的非難を浴び、実刑判決となるケースがほとんどです。致傷であっても、けがが重大で悪質な態様であれば実刑となる可能性が高く、執行猶予のハードルは高いといえます。
実際の量刑はどれくらい?危険運転致死傷罪の判例・事例
実際の裁判で危険運転致死傷罪が適用された場合、犯行の悪質性や生じた結果の重大さに応じて、非常に厳しい長期の刑期が言い渡されています。
司法がどのような基準で危険運転と認定し、どれほどの判決を下しているのかを具体例から確認しましょう。裁判で危険運転致死傷罪が争われる際、速度やアルコールの度合い、走行の態様などがどのように判断されたかを示す代表的な事例を紹介します。
いずれの判例も被告人側は過失運転を主張しましたが、退けられて危険運転としての処罰が下されています。
時速200キロメートル超の高速度運転で懲役12年
横浜地方裁判所は令和8年1月30日、時速約200キロメートルを超える高速度走行による事故について、被告人に懲役12年の判決を言い渡しました。
被告人は最高速度が時速80キロメートルと規制された高速道路の第3車両通行帯を、時速約268キロメートルという超高速度で走行していました。前方の車線変更に対応しようとした際に自車を横滑りさせ、時速約200キロメートルで前方車両に衝突させています。
事故により運転手と同乗者の2名が死亡しました。裁判所は、自車を横滑りさせるに至った速度自体が、進行制御が困難な高速度に当たると判断しています。
危険運転致死罪の求刑は懲役15年でしたが、任意保険による賠償や交通前科がない事情などを踏まえ、懲役12年の判決となりました。
後退走行での時速70キロメートル超走行で懲役12年
熊本地方裁判所は令和7年5月27日、飲酒後に追突事故を起こし、事故の発覚を免れようと車両を後退走行させて歩行者2名を死傷させた事案について、被告人に懲役12年の判決を言い渡しました。
被告人は酒気を帯びた状態で運転し、先行車両に追突する事故を起こしたあと、事故の発覚を免れようとアクセルを踏み込み、自車線上を時速約70〜74キロメートルで約242メートルにわたり後退走行を続行。
車両は歩道に乗り上げて変圧器に衝突したうえ、歩行者2名に衝突し、1名に加療約2週間を要する傷害を、もう1名に脳挫傷等の傷害を負わせて死亡させています。
裁判所は、後退進行であっても速度が速すぎて道路の状況に応じて進行させることが困難であれば「進行を制御することが困難な高速度」に該当すると判断し、危険運転致死傷罪の成立を認めました。求刑どおり懲役12年が言い渡されています。
時速45キロメートルのカーブ走行で懲役3年6月
福岡地方裁判所は令和7年9月22日、山道のヘアピンカーブを時速約45キロメートルで走行して横転事故を起こした事案について、被告人に懲役3年6月の判決を言い渡しました。
被告人は限界旋回速度が時速36から38キロメートル程度とされる急カーブに時速約45キロメートルで進入し、車両を横転させています。同乗者のうち1名が死亡し、1名が負傷しました。
裁判所は、速度超過に起因する急な運転操作が横転を招いたと認め、進行を制御することが困難な高速度での走行であったと判断しています。
求刑は懲役6年でしたが、被害者自身が箱乗りをしていた事情などが酌まれ、懲役3年6月の判決となりました。時速45キロメートルという比較的低い速度でも、道路状況次第で本罪が成立する事例です。
危険運転致死傷罪で逮捕された場合の流れ

危険運転致死傷罪で逮捕された場合、身柄を拘束されたまま刑事訴訟法に基づき厳しい時間制限のなかで取調べと捜査が進められます。
危険運転致死傷罪で逮捕された場合、勾留が請求・認められ、起訴まで身体拘束が続くことも珍しくありません。もっとも、逮捕後に釈放される場合や、勾留請求が認められない場合もあります。
1.警察による取調べ|最大48時間
逮捕直後から警察による捜査と取調べがおこなわれ、48時間以内に身柄を検察官に引き渡す送検手続がとられます。
弁護士以外との面会、いわゆる接見は原則として困難であり、家族であっても本人と会うことはできません。
逮捕直後の供述はのちの裁判で重要な証拠となるため、不利な自白による供述調書の作成を避けるためにも、黙秘権の行使や適切な受け答えが必要です。
警察は逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断し、速やかに送検手続を完了させます。
2.検察への送検・勾留請求|24時間以内
警察から身柄を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を釈放するか、引き続き身柄を拘束する勾留を裁判所に請求するかを決定します。
検察官は被疑者を取り調べ、さらに詳細な捜査や証拠隠滅の防止が必要であると判断すれば、裁判所に対して勾留請求をおこないます。
この段階で刑事事件に強い弁護士が介入していれば、裁判所に対して勾留の必要性がない旨を意見書などでの働きかけが可能です。
検察官による判断と請求は、逮捕から通算して72時間という極めて短い制限時間のなかでおこなわれます。
3.勾留|原則10日間・最大20日間
裁判所が検察官の請求を認めると、原則として10日間、捜査上の必要があると判断されればさらに最大10日間、合計20日間身柄が拘束されます。
勾留期間中、被疑者は警察署に留置され、連日のように本格的な実況見分や取調べを受けることになります。
危険運転致死傷罪では、飲酒状況や衝突時の詳細、目撃証言との照合など多岐にわたる捜査がおこなわれるため、勾留が満期の20日間まで延長される可能性が高いのが実情です。
弁護士は、不当な勾留に対して準抗告という不服申立てをおこない、早期釈放を求める活動を続けます。
4.起訴・不起訴の決定|逮捕後23日以内
勾留期限が満了するまでに、検察官は収集した証拠と取調べ結果をもとに、被疑者を刑事裁判にかける起訴か、釈放する不起訴かを決定します。
起訴された場合、被疑者の身分は被告人へと変わり、さらに身柄拘束(被告人勾留)が継続することになります。
危険運転致死傷罪では、証拠が明白であればほぼ起訴(公判請求)されて裁判へ進む流れです。略式起訴という罰金のみで済む手続きの選択肢はありません。
弁護側は、起訴を避ける、あるいは危険運転ではなく過失運転として起訴させるための働きかけを検察官におこないます。
5.刑事裁判|起訴後およそ1ヵ月半
起訴が決まると、それから約1ヵ月半後に第一審の刑事裁判が開始され、有罪・無罪や適切な量刑の審理がおこなわれます。
危険運転致死の場合は裁判員裁判となり、一般市民から選ばれた裁判員が裁判官とともに審理をおこなうため、連日開廷される集中審理です。
刑事裁判において、検察側は危険運転の悪質性を主張して実刑を求め、弁護側は無罪や情状酌量による執行猶予・減刑を主張します。
判決が言い渡され、不服がなければ確定し、実刑であれば刑務所に収監される流れです。
危険運転致死傷罪に問われたら弁護士に依頼するメリット3つ
危険運転致死傷罪の容疑をかけられた場合、弁護士に依頼すると、最悪の結果である長期の実刑を避けるための多くのメリットが得られます。
法律の専門家である弁護士でなければ、捜査機関が主張する危険運転の構成要件に対抗するのは極めて困難です。弁護士は単なる法的手続の代理人にとどまらず、孤立無援となった本人の精神的な支えとしても機能するでしょう。
過失運転致死傷罪への変更を主張できる
弁護士は客観的な事故データや証拠を綿密に分析し、捜査機関に対して危険運転致死傷罪ではなく過失運転致死傷罪を適用すべきと法的に主張できます。
危険運転の構成要件である正常な運転が困難な状態や制御困難な速度などの基準は、証拠次第で過失運転に押し戻せる余地があります。
弁護士は、当時のスピードメーターの記録、現場の道路環境、飲酒後の経過時間などを精査し、過失運転にとどまる旨の弁護意見書を検察や裁判所に提出します。
罪名が過失運転に変更されれば、科される法定刑が大幅に軽くなり、執行猶予を獲得できる確率が高まるでしょう。
被害者との示談交渉を任せられる
逮捕・勾留されている本人の代わりに、弁護士が被害者や遺族の窓口となり、誠意ある示談交渉を進められます。
重傷事故や死亡事故の場合、被害者側の処罰感情は強く、加害者本人やその家族が直接示談を申し入れても対話を拒絶されることがほとんどです。
第三者であり法律家である弁護士が介入すると、被害者側の心情に配慮しつつ、任意保険の適用手続や別途の解決金の提示など、冷静な交渉が可能です。
示談が成立、あるいは被害者から厳しい処罰を求めない意思、いわゆる宥恕が得られれば、検察の処分や裁判での量刑が軽くなります。
身柄拘束からの早期解放を目指せる
不要な身柄拘束を避けるための各種手続き、勾留の不服申立てや保釈請求を迅速におこない、早期の社会復帰や家族との面会を目指せる点もメリットです。
逮捕後すぐに勾留の必要性がない旨を記載した意見書を裁判所に提出し、勾留請求を却下するよう求める活動をおこないます。
もし起訴された場合でも、速やかに保証金を納めて身柄を一時的に解放してもらう保釈を請求し、自宅で裁判の準備ができるようにします。身柄が解放されれば、仕事を失うリスクを軽減し、精神的に落ち着いた状態で裁判に臨めるでしょう。
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危険運転致死傷罪のような、高度な法的判断とスピーディーな初期対応が求められる事件では、ベンナビ刑事事件を活用して専門性の高い弁護士を探すのが有効です。
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危険運転致死傷罪は交通事故のなかでも特に専門的な知識が必要なため、単なる事故対応ではなく、刑事弁護に特化した強みをもつ弁護士を選ぶことが重要になります。
ベンナビ刑事事件を利用すれば、初回無料相談や土日祝日の対応、迅速な接見をおこなってくれる法律事務所をすぐに見つけられ、早期のアクションにつなげられます。
危険運転致死傷罪に関するよくある質問
危険運転致死傷罪に直面した方やそのご家族からよく寄せられる、実務や判決に関する質問に回答します。事故の具体的状況によって判断が大きく変わるため、疑問を感じた場合は早めに専門家へ個別相談してください。
あおり運転で死傷者が出なくても危険運転致死傷罪になりますか?
いいえ、危険運転致死傷罪は人を死傷させたことが成立要件となっているため、死傷者が発生しなければ本罪は適用されません。
ただし死傷者が出なかった場合でも、道路交通法違反の妨害運転罪が適用され、最大5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
相手を威嚇して衝突させそうになった行為自体が、刑法の暴行罪に問われることもあるため、無罪放免になるわけではありません。死傷者が出なかったからといって決して軽視できず、重い刑事処分が下される可能性がある点は覚えておきましょう。
危険運転致死傷罪は初犯でも実刑になりますか?
危険運転により死亡事故に至った場合、前科のない初犯であっても原則として実刑となる可能性が高いです。
危険運転致死罪の法定刑は1年以上の有期拘禁刑であり、悪質な運転によって人命を奪った事実に対する社会的な非難が強いため、執行猶予がつく余地はほとんどありません。
初犯であることや反省の態度は、刑期を短くする要素にはなり得ますが、実刑そのものを回避する決定打にはなりにくいのが実情です。
負傷事故であっても、後遺障害が残るなど重大な被害が発生している場合は、初犯でも実刑判決となるケースが多いので注意してください。
危険運転致死傷罪で執行猶予はつきますか?
法律上、執行猶予を付けることは可能ですが、危険運転致死傷罪、特に死亡事件における執行猶予の獲得は難易度が高いのが実状です。
刑法上、執行猶予がつけられるのは3年以下の拘禁刑の判決が下される場合に限られるため、法定刑が重い本罪では高いハードルとなります。
執行猶予を獲得できる可能性があるのは、けがが軽微な致傷事件であり、かつ被害者との示談が成立し、相手方が処罰を望まない意思を示している場合などに限られます。
死亡事件で執行猶予がつくことは実務上まれであり、徹底した弁護活動と誠意ある補償が必要になるでしょう。
危険運転致死傷罪が適用されないケースとは?
危険運転致死傷罪が適用されずに過失運転致死傷罪にとどまるのは、事故原因が法律の規定する危険運転の故意や要件を満たしていないと客観的に判断されるケースです。
- 飲酒運転であっても正常な運転ができないほどのアルコールの影響までは認められない
- 制限速度を超えていても、カーブを曲がりきれる限界速度の範囲内である
- タイヤを滑らせた危険運転の事実を証明できない など
また、単なるわき見運転や居眠り運転など危険運転の類型に直接該当しない不注意による事故である場合も、過失運転にとどまります。
まとめ|逮捕されたら早期の弁護士相談が最重要
危険運転致死傷罪は、故意に危険な運転をおこない人を死傷させた場合に成立する犯罪です。
令和8年7月21日施行の法改正により、自動車運転死傷処罰法2条は11の号で構成されるようになりました。飲酒や薬物の影響、制御困難な高速度に加え、殊更にタイヤを滑らせる運転なども対象に含まれます。
過失運転致死傷罪との境界線は極めてデリケートで、捜査機関に対抗して適切な罪名適用を主張するためには、専門知識をもつ弁護士の介入が不可欠です。
逮捕直後の72時間は今後の身柄解放や取調べの行方を左右するため、家族や本人はただちに接見を弁護士に依頼しましょう。ベンナビ刑事事件などを活用して交通事故・刑事事件に精通した弁護士を早めに見つけ、今後の生活を守るための一歩を踏み出してください。
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危険運転致死傷罪とは、飲酒・無免許運転などの危険な運転により相手を死傷させた場合に適用される罪です。当記事では、危険運転致死傷罪の成立要件や罰則、令...
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