過失運転致死傷罪とは|罰則と危険運転により刑が加重される場合

~いざという時の備えに~刑事事件コラム

 > 
 > 
 > 
過失運転致死傷罪とは|罰則と危険運転により刑が加重される場合
キーワードからコラムを探す
Sidebar_writer_recruit
Sidebar_line
刑事事件コラム
2018.5.31
傷害罪 殺人罪 弁護士監修記事

過失運転致死傷罪とは|罰則と危険運転により刑が加重される場合

New_frestocks-201612250029

過失運転致死傷罪(かしつうんてんちししょうざい)とは、自動車の危険運転で人にケガをさせるまたは死亡させたときに問われる罪です。罰則は7年以下の懲役・禁固又は100万円以下の罰金刑が科せられます。

 

重い罰則があるにもかかわらず、危険運転による事故は一定数起き続けているのが現状です。

 

(引用元:交通事故事件捜査|警察庁

 

なお、危険運転をしたときに飲酒・薬物使用の状態だと罪が加重されることも少なくありません。この記事では、自動車の危険運転による過失運転致死傷罪や、加重される罪についてお伝えしていきます。

 

 

過失運転致死傷罪の刑罰

自動車を運転する上で必要な注意を怠って、人にケガをさせたり、死亡させたりした場合には、7年以下の懲役・禁固、または100万円以下の罰金を支払う必要があります。

 

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

(引用元:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律|電子政府の総合窓口

 

 

過失運転致死傷罪で刑が加重される場合

飲酒などの過失運転をしたときは刑が重くなります。また、一定の場合はより重い危険運転致死罪が適用される場合もあります。どのような場合に犯罪・刑が重くなるのかを見ていきましょう。

 

正常な運転に支障がある状態で危険な運転で人を負傷・死亡させた場合

以下に当てはまる危険な運転で、人を負傷または死亡させた場合には危険運転致死傷の罪に問われ罪が重くなります。

 

  • アルコールや薬物の影響を受けて正常な運転が困難な状況での走行
  • 進行を制御することが困難なほどの速度での走行
  • 進行を制御する技量がない上での走行
  • 人や自動車などの通行を妨害する目的で、それらに著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  • 赤信号を無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  • 通行禁止道路を走行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 

(危険運転致死傷)

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

引用元:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 第2条

 

刑罰

  • 人を負傷させた場合:15年以下の懲役
  • 人を死亡させた場合:1年以上の有期懲役

 

次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

引用元:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

正常な運転に支障がある恐れがある上で、危険運転で人負傷・死亡させた場合

アルコールや薬物の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で自動車を運転して人を負傷、または死亡させた人は罪に問われます。

 

危険運転致死傷に記載されている”正常な運転が困難な状態の判断”がつきにくいことを考慮してできた法律です。

 

刑罰

  • 人を負傷させた場合:12年以下の懲役
  • 人を死亡させた場合:15年以下の懲役

 

アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。

2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

引用元:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律|電子政府の総合窓口

 

飲酒運転や薬物使用の発覚を恐れて逃亡した場合

飲酒運転や薬物使用の発覚を恐れて逃亡し、身体のアルコールや薬物の濃度を下げることによりそれらの罪を免れようとした場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱の罪に問われます。

 

刑罰

  • 12年以下の懲役

 

アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。

引用元:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

無免許の場合(第6条)

第2条~第5条の罪を犯した人が、その事故を起こした時に無免許運転だった場合には、刑が加重されます。(無免許運転による加重

 

刑罰

  • 第2条:6か月以上の有期懲役
  • 第3条:負傷させた場合には15年以下の懲役、死亡させた場合には6か月以上の有期懲役
  • 第4条:5年以下の懲役
  • 第5条:10年以下の懲役

 

第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期懲役に処する。

2 第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期懲役に処する。

3 第四条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十五年以下の懲役に処する。

4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

引用元:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

 

 

過失運転致死傷罪での判例

過失運転致死傷罪において、過去には以下の判決が下されています。

 

大阪・御堂筋暴走

「運転時に危険性の認識なかった」と危険運転致傷罪否定

 大阪・ミナミの御堂筋で2014年6月、低血糖症による意識障害の危険性を自覚しながらワゴン車を運転して3人に重軽傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪に問われた男の判決公判が24日、大阪地裁であった。村越一浩裁判長は運転時に危険性への認識はなかったと判断し、予備的に問われた同法の過失運転致傷罪で禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑・禁錮1年6月)を言い渡した。

引用元:大阪・御堂筋暴走:過失運転致傷罪で有罪判決 - 毎日新聞

 

過失運転致死傷罪で逮捕された後の流れ

過失運転致死傷罪も他の刑事事件の流れと同じく、起訴・不起訴を決める期間が逮捕からの23日間刑事裁判までの期間が逮捕からの約2か月です。

 

時系列に沿って逮捕後の流れを見ていきましょう。

 

 

①逮捕から送検まで|逮捕後48時間以内

逮捕されたら警察から取り調べを受けることになります。警察は逮捕後48時間以内に事件を検察庁に送致する必要があります。その間は弁護士しか接見することを許されていません。

 

『どのように取り調べに対して受け答えをしたらよいのか』『この後自分はどうなるのか』などを聞くこともでき、家族や職場などとのパイプ役にもなってくれます。

 

とはいえ、弁護士は依頼料金が高額なため依頼できない人も多いと思います。そうした時に知っておくべき知識は当番弁護士制度でしょう。

 

当番弁護士は逮捕直後一度だけ面会(無料)をしてくれますので、誰でも呼ぶことができます。

 

当番弁護士を呼ぶメリットやデメリット、呼べる条件などをまとめた記事がありますのでご覧ください。

 

【関連記事】無料で簡単に呼べる当番弁護士は逮捕で困った被疑者の味方

 

②送検から勾留請求まで|送検後24時間

事件送致を受けた検察は24時間以内に被疑者の身柄を拘束すべきか否かを判断します。拘束が必要と判断される場合、検察官は裁判所に被疑者の勾留を請求します。

 

(※)勾留とは

勾留とは、検察が被疑者に対して起訴・不起訴判断を下すまでの期間において、被疑者の身柄を拘束しておくことをいいます。

 

勾留請求がされない場合又は裁判所が勾留を認めない場合は被疑者は直ちに釈放され、身柄拘束を受けないまま刑事手続を受けることになります(在宅事件といいます。)。

 

③勾留期間|10日間~20日間

勾留期間は当初は10日間で、延長されると最大20日間継続されます。

 

④起訴・不起訴決定|逮捕後23日以内

検察官は勾留期間満期までに起訴するか不起訴にするかを決めます。被疑者は不起訴になった場合にはすぐに釈放されますが、起訴になった場合被疑者は被告人として刑事裁判を受けることになりますが日本の刑事裁判は統計上99.9%有罪となると言われています。

 

刑事裁判の様子については刑事裁判の全て|知っておくべき基礎知識にてお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

 

 

過失運転致死傷罪の容疑がある場合は弁護士に相談を

過失運転致死傷は決して軽い罪ではありませんので、弁護士の力を借りた解決を目指す方が適切です。

 

一般的な弁護士費用相場は60万円~100万円といわれていますが、逮捕されてしまったときに弁護士のサポートを受けて、ご自身の反省を被害者や検察官、裁判官に伝わるように行動することが推奨されます。

 

【内部記事:刑事弁護】にて、弁護士から受けられるサポートをお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

【関連記事】刑事事件の弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法

 

 

まとめ

気を抜いて運転したり、アルコールを帯びて運転したりすると取り返しのつかないことになる可能性が高いです。もし、あなたの周りで過失運転致死傷罪によって逮捕されてしまうことになった人がいる場合は、弁護士に相談してみてください。

 

この記事を監修した法律事務所

Thum_umezawa
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

弁護士への相談で刑事事件の早期解決が望めます


刑事事件に関する専門知識もつ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・罪に問われた身内を助けたい
・窃盗罪や傷害罪で捕まってしまった
・痴漢冤罪などの冤罪から逃れたい

など、刑事事件でお困りの事を、【刑事事件を得意とする弁護士】に相談することで、刑事事件の早期解決となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

Prevent_banner
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

傷害罪に関する新着コラム

傷害罪に関する人気のコラム


傷害罪コラム一覧へ戻る