危険ドラッグで逮捕された場合の流れや定義・罰則について解説

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危険ドラッグで逮捕された場合の流れや定義・罰則について解説
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2018.6.30
薬物犯罪 弁護士監修記事

危険ドラッグで逮捕された場合の流れや定義・罰則について解説

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危険ドラッグ(きけんどらっぐ)とは、体内に摂取することで幻覚・興奮作用を及ぼす薬物を指します。

 

合法ドラッグ脱法ドラッグなどという名称で、あたかも人体に無害かのような形で販売されることもありますが、使用すると身体がけいれんしたり幻覚が見えたり、最悪のケースでは死に至ることもあります。

 

この記事では、危険ドラッグで逮捕された場合の流れや、定義・罰則などについて解説します。

 

危険ドラッグの基本概要

まずは、危険ドラッグとは何かについて解説します。

 

危険ドラッグの定義

危険ドラッグとは、麻薬や覚せい剤などのように精神に影響を与える作用をもつ薬物で、かつては脱法ドラッグと呼ばれていました。(より正確に危険性の高さを認識させるため、2014年に危険ドラッグへ名称を変更)

 

危険ドラッグを法的に定義するものはありませんが、警視庁や東京都福祉保健局などでは、次のように解説されています。

 

麻薬や覚醒剤等と同様の成分が含まれており、人体にとって大変有害です。これを使用すると、意識障害、おう吐、痙攣、呼吸困難等の症状を引き起こし、最悪死に至るケースもあります。

引用元:危険ドラッグとは|警視庁

 

「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと称して販売されるため、あたかも身体影響がなく、安全であるかのように誤解されていますが、大麻や麻薬、覚醒剤などと同じ成分が含まれており、大変危険で違法なドラッグです。

引用元:危険ドラッグってなに?|東京都福祉保健局

 

危険ドラッグによる症状

危険ドラッグを使用すると、次のような症状が生じるとされています。

 

  • 実際には存在しないものが見える(聞こえる)
  • 集中力や判断力が低下する
  • 激しい倦怠感に襲われる
  • 極度に興奮する
  • 身体がけいれんする など

参考元:使ったらどうなるの?|東京都福祉保健局

 

一度使用するだけで強い禁断症状に襲われたり、中には命を落としたりすることもあります。安易な気持ちで手を出すと、一生が台無しになってしまう可能性もあります。

 

他の犯罪を誘発する危険性もある

危険ドラッグを使用することによって、以下の事件のような、さらなる犯罪が発生するケースもあります。

 

<判例>

2014年6月に東京都にて、男性が危険ドラッグを使用したのち車を運転し、7名をはねて死傷させた事件です。裁判所は「極めて危険かつ悪質」として、被告人に対して懲役8年との判決を下しました。

参考元:池袋危険ドラッグ死傷事故|毎日新聞

 

2014年には、危険ドラッグ使用者による交通事故が多く発生していることを受け、警視庁が『たとえ事故を起こしていない場合でも、危険ドラッグの使用が疑われる場合は現行犯で逮捕可能』へと、道路交通法に関する方針を変更しました。

参考元:危険ドラッグ、事故前でも道交法違反で逮捕 警視庁|日本経済新聞2014/8/5

 

なお、もし違反した場合は、道路交通法第66条過労運転等の禁止にあたり、次のような罰則が科せられます。

 

(過労運転等の禁止)

第六十六条 何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。

引用元:道路交通法第66条

 

第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

七 第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者(前条第三号の規定に該当する者を除く。)

引用元:道路交通法第117条の2の2

 

危険ドラッグの罰則

法律で規制されている指定薬物(※)を含む危険ドラッグについては、覚せい剤や大麻などと同様に罰則の対象となります。

 

※指定薬物

人間の神経系に働きかけて興奮作用や幻覚作用などを及ぼす薬物のうち、『人体に悪影響を与える危険性がある』と厚生労働省が判断・指定している薬物のこと。

参考元:医薬品医療機器法第2条第15項

 

覚せい剤の所持・使用

覚せい剤は、輸出入・製造・使用・所持・譲渡・譲受などが禁止されており、違反した場合は次のような罰則が科せられます。

 

(刑罰)

第四十一条 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する

引用元:覚せい剤取締法第41条

 

第四十一条の二 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。

引用元:覚せい剤取締法第41条の2

 

第四十一条の三 次の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。

一 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者

引用元:覚せい剤取締法第41条の3

 

大麻の所持など

大麻は、輸出入・栽培・所持・譲渡・譲受などが禁止されており、違反した場合は次のような罰則が科せられます。

 

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。

引用元:大麻取締法第24条

 

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

引用元:大麻取締法第24条の2

 

医薬品医療機器等法

危険ドラッグは、輸入・製造・所持・販売・授与・譲受・購入などが禁止されており、特に営利目的での販売については厳しい罰則が科せられます。

 

(製造等の禁止)

第七十六条の四 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第76条の4

 

第八十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

二十六 第七十六条の四の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第84条

 

第八十三条の九 第七十六条の四の規定に違反して、業として、指定薬物を製造し、輸入し、販売し、若しくは授与した者又は指定薬物を所持した者(販売又は授与の目的で貯蔵し、又は陳列した者に限る。)は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第83条の9

 

関税法

危険ドラッグの輸入については、関税法でも禁止されています。もし違反した場合は、次のような罰則が科せられます。

 

(輸入してはならない貨物)

第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。

一の二 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項(定義)に規定する指定薬物(同法第七十六条の四(製造等の禁止)に規定する医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)

引用元:関税法第69条の11

 

第百九条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:関税法第109条

 

薬物乱用防止に関する東京都の条例

指定薬物に該当しないものでも、東京都で『知事指定薬物(健康に悪影響を及ぼす恐れがある)』と判断された場合は、罰則の対象となります。具体的には、製造・栽培・販売・授与・広告・購入・使用・所持などが禁止されています(東京都薬物の濫用防止に関する条例第14条1号~4号)。

 

製造・栽培・販売・授与などについては、『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』(東京都薬物の濫用防止に関する条例第22条)、広告・購入・使用・所持などについては、『6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金』が科せられます(東京都薬物の濫用防止に関する条例第14条1号~4号)。

 

 

危険ドラッグの事例

この項目では、危険ドラッグに関する事件発生状況や、事例などをご紹介します。

 

危険ドラッグに関する事件発生状況

引用元:危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員の推移|法務省

 

引用元:危険ドラッグ事犯の摘発|厚生労働省

2014(平成26)年以降は検挙人員が増加しているものの、危険ドラッグに関する事件の根絶はできていません。また、インターネットの普及によって、今後さらに輸入・販売などの手口が巧妙化することも考えられます。

 

そのため、薬物犯罪に関する1人ひとりの規範意識について、より高めていく必要があるといえるでしょう。

 

2017年12月金沢地裁の判決

2017年2月に、被告人が海外から指定薬物を含む危険ドラッグを密輸しようと企て、さらに石川県の自宅でも所持していたとして、医薬品医療機器等法違反、関税法違反などの容疑で逮捕された事件。裁判所は「身勝手な動機で、酌量の余地はない」として、被告人に対し、懲役2年6ヶ月と執行猶予4年との判決を下しました。

 

裁判年月日 平成29年12月21日

裁判所名 金沢地裁 裁判区分 判決

事件番号 平29(わ)177号 ・ 平29(わ)196号

事件名 医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律違反,麻薬及び向精神薬取締法

違反,関税法違反被告事件

参考元:文献番号 2017WLJPCA12216005

 

2017年12月千葉地裁の判決

2014年12月に長野県にて、被告人が指定薬物を含む危険ドラッグを所持し、さらに覚せい剤の原料の製造や密輸などを行ったとして、医薬品医療機器等法違反、関税法違反、覚せい剤取締法違反などの容疑で逮捕された事件。裁判所は「薬物犯罪への規範意識が鈍麻しており、組織的犯罪グループの一員として行われた悪質な犯行である」として、被告人に対し、懲役20年と罰金1,000万円との判決を下しました。

 

裁判年月日 平成29年12月11日

裁判所名 千葉地裁 裁判区分 判決

事件番号 平27(わ)2522号 ・ 平28(わ)468号

事件名 覚せい剤取締法違反、関税法違反、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反被告事件

参考元:文献番号 2017WLJPCA12116006

 

2015年11月横浜地裁の判決

2014年10月に神奈川県にて、被告人が危険ドラッグを使用したのちに、両親を殺害したとして、薬事法違反、殺人などの容疑で逮捕された事件。裁判所は、危険ドラッグによる判断能力の低下などを考慮しながらも、犯行後に証拠隠滅工作を行っていることなどを理由に、被告人に対し懲役28年との判決を下しました。

 

裁判年月日 平成27年11月16日

裁判所名 横浜地裁 裁判区分 判決

事件番号 平27(わ)281号

事件名 殺人、薬事法違反被告事件

裁判結果 有罪 上訴等 控訴

参考元:文献番号 2015WLJPCA11169001

 

危険ドラッグで逮捕された場合

最後に、危険ドラッグで逮捕された場合のその後の流れについて解説します。

 

参考として、以下の記事もご覧ください。

関連記事:薬物で逮捕された後の流れと対処法|薬物を断つ為にできる事

 

刑事事件として扱われる

刑事事件では、逮捕されたのち次のような流れを踏んで量刑が確定します。

量刑の重さは、犯行の規模や計画性、危険ドラッグの使用歴などから判断されます。

 

                  

危険ドラッグとは縁を切る

危険ドラッグに関する事件については、被告人が危険ドラッグと縁を切って更生できるかという点がポイントの1つといえるでしょう。

 

入手ルートを話したり、更生施設へ入所したり、反省文を作成したりするなどして、反省の念や更生の意思をしっかり示すことで早期釈放・減刑が見込めることもあります。

 

弁護士と相談する

本人や家族・知人だけで早期釈放・減刑を獲得することはなかなか難しいでしょう。経験のある弁護士に相談することで、『今後どう動けばよいか』適切なアドバイスをもらうことができます。

 

ひと口に弁護士といっても、選択できる時期や費用などは弁護士の種類によって異なるため、もし実際に弁護士を呼ぶ場合は、以下の表を参考にするとよいでしょう。

 

関連記事:刑事事件の無料相談ができる弁護士一覧と相談時のポイント

 

まとめ

危険ドラッグは依存性・危険性ともに高く、1度使用するだけで命を落とすこともあります。

 

もし、危険ドラッグに関する事件で逮捕された場合は、危険ドラッグとは縁を切って、反省の念や更生の意思をしっかりと示すことが大切です。その際は、弁護士に相談して適切なサポートを受けることをおすすめします。

 

参照元一覧

危険ドラッグとは|警視庁

危険ドラッグってなに?|東京都福祉保健局

池袋危険ドラッグ死傷事故|毎日新聞

危険ドラッグ、事故前でも道交法違反で逮捕 警視庁|日本経済新聞2014/8/5

道路交通法

医薬品医療機器法

覚せい剤取締法

大麻取締法

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

関税法

東京都薬物の濫用防止に関する条例

危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員の推移|法務省

危険ドラッグ事犯の摘発|厚生労働省

この記事を監修した法律事務所

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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所
上田孝明 弁護士 (東京弁護士会)
依頼者を第一に考え、適切な手続と結果にする為の刑事弁護に注力。厳しい立場に置かれているクライアントの力になり、不当な取り調べや失職などの不利益から守るために、逮捕前から裁判終了まで幅広く対応している。

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編集部

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