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大麻所持は現行犯以外で逮捕されるのか|現行犯逮捕と逮捕の違いとは

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大麻所持は現行犯以外で逮捕されるのか|現行犯逮捕と逮捕の違いとは

大麻の所持、栽培、譲渡・譲受、輸入・輸出大麻取締法に違反する犯罪行為です。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。

3 前二項の未遂罪は、罰する。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

3 前二項の未遂罪は、罰する。

【引用】大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)|e-GOV法令検索

大麻事件では、大麻の所持による現行犯で逮捕されるケースが一般的ですが現行犯逮捕された後に栽培や譲受などが発覚して後日再逮捕されることもあります。

以下は大麻所持で現行犯逮捕された後に大麻の栽培が発覚し、再逮捕された事例です。

岐阜県警多治見署などは7日、大麻取締法違反(営利目的栽培)の疑いで、恵那市明智町、無職の女(32)を再逮捕した。 再逮捕容疑は2月15日までの間に、営利目的で自宅のアパートで大麻草14本を栽培した疑い。 県警は、女の自宅から鉢植えの大麻草や育てるために使用した発光ダイオード(LED)ライト、温度計などを押収した。女の認否を明らかにしていない。

【引用】YouTube|岐阜新聞

また、大麻の使用であれば大麻取締法の規制対象外とされていますが、警察の捜査が入り、後日栽培や所持が判明して逮捕されるケースもあるでしょう。

大麻で逮捕されたら、その後の弁護活動を弁護士に依頼し、身柄解放を目指す流れが一般的です。

この記事では、大麻で逮捕された方や関係者へ向けて、大麻事件の刑罰や、現行犯以外で逮捕された事例などについてくわしく解説します。

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大麻事件の要件と刑罰

大麻の扱いについては、大麻取締法によって規制されています。

以下の行為は大麻取締法に違反する犯罪行為です

  1. 栽培と輸出・輸入
  2. 所持と譲渡・譲受

大麻取締法では、他にも犯罪行為が規定されていますが、一般的に問題となることが多いこれらの犯罪行為について解説します。

栽培と輸出入は7年以下の懲役

大麻の栽培と輸出・輸入を行った場合の刑罰は下記のように定められています。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。

3 前二項の未遂罪は、罰する。

【引用】大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)|e-GOV法令検索

営利目的の場合は懲役が10以下になり、300万円以下の罰金が併科される可能性があります。    

所持と譲渡・譲受は5年以下の懲役

大麻の所持譲受や譲渡を行った場合は大麻取締法24条の2に該当する可能性があります

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

3 前二項の未遂罪は、罰する。

【引用】大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)|e-GOV法令検索

こちらも大麻の栽培、輸出入と同じく営利目的の場合は懲役が5年以下から7年以下と重くなり、200万円以下の罰金が併科される可能性があります。

現行犯逮捕とは犯行を現認されて逮捕されること

現行犯逮捕とは、犯罪を行なっているところや犯罪を行なった直後を現認され、逮捕されることをいいます。

現行犯逮捕には以下の特徴があります。

  1. 一般私人でも逮捕可能
  2. 逮捕令状が不要

現行犯は今まさに目の前で犯行が行われている状態であるため、身柄を拘束する必要性が高い一方、誤認逮捕の可能性は低いといえます。そのため、令状なしの逮捕が認められており、一般人による私人逮捕も認められています。

大麻事件に関して言えば、大麻を手に持っている状態であれば大麻取締法が定める所持に違反するので、その場で現行犯逮捕される可能性が高いでしょう。

大麻事件で現行犯逮捕されるケース・後日逮捕されるケース

大麻事件で現行犯逮捕されるケースや、後日逮捕されるケースを紹介します。

大麻事件で現行犯逮捕されるケース

大麻事件で現行犯逮捕されるケースとして、やはりまずは大麻の所持が考えられるでしょう

大麻の所持は職務質問荷物検査で発覚するケースなどがあります。実際に以下の事件では職務質問から大麻所持の現行犯で逮捕されています。

兵庫県警神戸西署の若手女性警察官がこのほど、職務質問(職質)をした男の所持品から大麻を発見し、現行犯逮捕した。

【引用】若手女性巡査が“ソフト職質”で大麻発見 ベテラン指導で技磨く|神戸新聞NEXT

2019年の摘発内容別の大麻事件逮捕者では、全体の4210件の内、所持が3531件と全体の8割を占めることから、大麻の所持は摘発されやすいかもしれません。

大麻事件で後日通常逮捕されるケース

後日逮捕されるケースは栽培、輸出・輸入、譲渡・譲受などが考えられます。それぞれ一見しただけでは判断が難しいため、逮捕には証拠が必要になるでしょう。

状況によっては、大麻所持で逮捕された後に後日捜査が入った際に、栽培や譲受の容疑で再逮捕される可能性もあります

以下の事件は乾燥大麻を所持していたことで現行犯逮捕され、後日、大麻栽培容疑で再逮捕されています。

大麻を栽培・所持したとして、神奈川県警戸部署は16日、大麻取締法違反(栽培と所持)の疑いで、横浜市港南区上永谷の自称自営業、坂本圭祐被告(36)=別の同法違反(所持)の罪で起訴=を再逮捕した。

【引用】大麻栽培と所持の疑い 36歳男を再逮捕|産経新聞

現行犯以外で逮捕された大麻事件の事例

大麻を営利目的で所持して逮捕された事例

神奈川県警薬物銃器対策課と神奈川署などは10日、覚醒剤取締法違反や大麻取締法違反などの疑いで、神奈川県出身で住所不定、会社員の男(38)=覚醒剤取締法違反などの罪で起訴=を再逮捕した。男の逮捕は3回目。

再逮捕容疑は、昨年12月2日、横浜市中区長者町5丁目の駐車場で、覚醒剤約46グラム(末端価格294万円相当)や大麻約1・9キロ(同1140万円相当)、MDMA12錠(同4万円相当)を営利目的で所持した、としている。

【引用】覚醒剤や大麻、合成麻薬を営利目的で所持した疑い 3回目逮捕の男「弁護士と話す」|Yahoo!ニュース

この事件は、大麻のみならず、覚せい剤等の違法薬物も所持していたケースです。

営利目的もあり、かつ被疑事実が複数あるため、重い刑罰が課される可能性が高いでしょう。

大麻の密輸で逮捕された事例

大麻を加工した液体状の「大麻リキッド」を輸入したとして広島県警は8日、バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の広島ドラゴンフライズのジャマリ・トレイラー容疑者(28)を大麻取締法違反(輸入)の疑いで逮捕した。

【引用】【速報】バスケB1広島の選手を逮捕 大麻輸入疑い|Yahoo!ニュース

大麻の密輸は7年以下の懲役刑です。今回輸入された大麻リキッドとは大麻から抽出した毒性の高い大麻成分THC(※)を抽出したもので、液体を液体をカートリッジに注入し電子たばこのように吸えるという特長があります。

※THC(テトラヒドロカンナビノール)…大麻の成分の1つ。幻覚作用、知覚変化を引き起こす。マリファナの主成分でもある。

初犯でも逮捕される可能性がある

大麻事件は初犯でも逮捕される可能性は十分あります。

特に営利目的の場合は厳罰化する傾向にあるため不起訴や執行猶予を獲得するのは困難になるでしょう。

大麻の使用から所持が疑われる可能性がある

日本では、大麻の使用自体は規制されていないため、仮に尿検査で陽性反応が出ても現行犯逮捕はされないでしょう。しかし、大麻の所持が疑われ、後日家宅捜索などを受けて結果的に逮捕される可能性は十分あります。

大麻事件で逮捕された場合の流れ

大麻事件で逮捕されると下記の流れで捜査が進められ、最終的に刑事裁判で有罪か無罪が決定します。

ダイアグラム低い精度で自動的に生成された説明

前科を回避するには不起訴を獲得して、釈放されなければいけません。

無罪の場合も前科はつきませんが日本の刑事事件では起訴されると99.9%で有罪となるので、無罪を獲得するのは非常に困難です

そのため、まずは不起訴を目指す必要があります

逮捕直後

逮捕後勾留前は、家族でも本人と面会できません。その際に唯一面会できるのが弁護士です。

したがって、大麻事件で逮捕された直後の対応としては、当番弁護士制度を利用することを検討しましょう

当番弁護士制度とは、当番弁護士による接見を無料で行える制度で、今後の取調べに対する相談や助言を得られることが期待できます。また、当番弁護士に、引き続き弁護をしてもらうよう依頼も行えます。

事件送致

逮捕後に、事件及び被疑者の身柄を検察官に送ることを事件送致と言います。逮捕から48時間以内に行われます。

また、もう1つの可能性として微罪処分があります。微罪処分とは警察によって比較的軽い犯罪として判断され、釈放されることです。

微罪処分の明確な判断基準はない

微罪処分になるかどうか、明確な判断基準はなく、警察の裁量次第となります。しかし初犯であることや犯罪の悪質性が低いことなどがポイントになります。

とはいえ大麻事件自体が比較的重い犯罪と言えますから、微罪処分になる可能性は低いかもしれません

勾留

検察官が被疑者をさらに身柄拘束する必要性があると判断した場合に勾留請求を行い、最大で20日間勾留されます。もしも勾留に納得がいかない場合は、準抗告(※)を行って勾留決定の取り消しを求めることになります。

※準抗告…裁判官が決定した勾留を破棄するように求める手続き

起訴・不起訴

勾留後は、検察官により起訴か不起訴の判断が下されます。前科を回避するためにはここで不起訴を獲得する必要がありますが、それには弁護士の存在が必要不可欠です。

弁護士に依頼をすれば、被疑者に有利となる証拠を集めて不起訴を目指してくれるでしょう。

注意事項

いくら弁護士とはいえ1日2日で不起訴を獲得できわけではありません。事件の把握、証拠の収集など、不起訴を目指した活動には時間と労力を要します。

そのため本気で前科の回避を目指すなら逮捕されたその日に当番弁護士を呼び、そのまま弁護を依頼することを検討しましょう。早期から弁護士に依頼すれば、早い段階で釈放されるかもしれません。

とはいえ「弁護士を呼ぶのは初めてだから探し方がからない」という方もいるでしょう。刑事事件を依頼する際刑事事件に注力している弁護士に依頼するのが適切です。

理想としては薬物事件を取り扱った経験があると良いでしょう。当サイトでは刑事事件に注力している弁護士を紹介していますまだ弁護士に相談していない方は、早期の相談を検討してください。

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まとめ

大麻の栽培、所持、輸出・輸入、譲渡・譲受などは大麻取締法に違反する犯罪行為です。

大麻の所持では現行犯逮捕されることが多いですが、その他の犯罪では捜査を経て通常逮捕されることがあります。

また、大麻の所持で現行犯逮捕されると、栽培や譲受の疑いが生じ、結果として再逮捕されるケースもあります

大麻事件自体が比較的重い犯罪のため、初犯でも逮捕・勾留、起訴される可能性は十分あります。

 

大麻の使用自体は罪になりませんが、所持が疑われ、後日逮捕されるかもしれません。

逮捕された場合は直後に当番弁護士制度を利用するなどして、弁護士に早期に相談するのが適切です。不起訴処分を目指す場合は特に、早期に弁護士に依頼しましょう。

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この記事の監修者
当社在籍弁護士
弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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