【弁護士監修】覚せい剤取締法違反で逮捕された後の流れと対処法

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2017.9.12

【弁護士監修】覚せい剤取締法違反で逮捕された後の流れと対処法

Kakuseizai

1年間に何度も芸能人や著名人が覚せい剤の所持・使用などの疑いで逮捕されています。覚せい剤の魔の手は芸能人だけではなく、一般人の身の回りにも潜んでいます。

 

  • もしもあなたが覚せい剤取締法違反の疑いを持たれてしまったら?
  • もしもあなたのご家族が覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまったら?

 

今回は覚せい剤で逮捕されてしまった場合の刑事事件の流れや刑罰の重さ、逮捕されてしまった場合の対処法についてご説明していきます。

 

また、覚せい剤の使用者は薬物依存になってしまい、再び覚せい剤に手を出してしまう恐れもあります。早い段階から手を打って覚せい剤を断ち切るためのヒントも併せてご紹介していきたいと思います。

 

 【目次】
覚せい剤で逮捕された時の刑罰の重さ
覚せい剤取締法違反で逮捕された後の流れと傾向
覚せい剤で逮捕されたときの量刑の判断基準
覚せい剤で逮捕された後の対処法
覚せい剤とその他薬物事件の刑事罰の違い
覚せい剤をやめる・やめさせるヒント
まとめ

 

覚せい剤取締法違反が発覚して逮捕されるまでの経緯

「自分一人で覚せい剤を使っていれば見つからないだろう」

 

そう考えている方も多いかもしれません。しかし、覚せい剤の使用・所持による逮捕は以下のような経緯で発覚して逮捕されてしまいます。

 

【関連記事】
逮捕の種類と逮捕後の流れと問題点

 

職務質問で発覚する

1つは職務質問から発覚してしまうパターンです。街頭や検挙件数の多い地点(イベントなどの人の集まる場所)での警察の職務質問により、持ち物や挙動の怪しい人物が後日捜査を受け逮捕に至るケースです。もちろん、職務質問の際に、覚せい剤を所持していればそのまま逮捕されることもあります。

 

警察官も事件を未然に防ぐために怪しい人物を見つけ出すプロです。我々一般人には分かりませんが、怪しい人物の特徴を共有しているのかもしれません。警察の目を侮ってはいけません。

 

病院からの通報で発覚する

覚せい剤の使用者が何らかの症状で病院に行った際、医師に覚せい剤の使用を疑われ警察に通報されて逮捕に至るパターンです。過去には「医師としての守秘義務を守っていない」と争われたのちに、「薬物使用を疑い、尿検査を行って警察に渡した行為に違法性はない」という判例も出ています。

 

【決定要旨】

 医師が、治療の目的で救急患者の尿を採取して薬物検査をしたところ、覚せい剤反応があったため、その旨警察官に通報し、これを受けて警察官が上記尿を押収したなどの事実関係の下では(判文参照)、警察官が上記患者の尿を入手した過程に違法はない。

引用:「判例タイムズ1188号 251頁 最高裁 平成17年7月19日 平17(あ)202号」

 

芋づる式に発覚する

別の覚せい剤使用者が逮捕され、捜査のうえで売人やその売人と接点のあった人物に捜査が及び、芋づる式で発覚するパターンです。

 

匿名通報で発覚する

職場の人や家族などが、薬物使用者を不審に思い警察に通報がいき捜査・逮捕に至るケースです。滅多にはありませんが重度の禁断症状や依存症が出ている場合は、苦肉の策で家族などが警察に通報することもあります。

 

また、「元交際相手や元配偶者から覚せい剤の使用を告発された」というようなケースもあります。

 

他の犯罪からの発覚

重度の覚せい剤依存者や中毒者は禁断症状が原因で暴行事件を起こしてしまったり、覚せい剤の購入で生活資金が足りず、更には禁断症状で仕事に手がつかず無職になり、詐欺や窃盗などの他の犯罪にも手を染めてしまう危険性があります。

 

それらの犯罪で逮捕された際に、覚せい剤の使用・所持も発覚することがあります。

 

覚せい剤で逮捕された時の刑罰の重さ

覚せい剤の逮捕は覚せい剤取締法に違反することによって逮捕をされることになります。覚せい剤取締法の刑罰は7種類に分類されており、覚せい剤の使用状況、目的等で刑罰が変わってきます。

 

しかし、覚せい剤取締法違反は全てが懲役刑になり、簡単に言えば「逮捕されて有罪判決を受けてしまえば、刑務所に入れられてしまう(執行猶予が付かなければ)」重い刑罰です。

 

使用・所持・譲受け・譲渡し 

【10年以下の懲役】

覚せい剤を所持していても、使っていても懲役10年以下と同じ刑罰になります。もちろん持っていただけの人と、常用者とでは判決結果での懲役の長さも変わってくるでしょう。

 

そして、譲受け・譲渡しも逮捕の対象になります。ですので、興味本位で覚せい剤を受け取り、後に渡した人物が逮捕されることもあります。つまり、覚せい剤にはかかわらないことが一番です。

 

輸入・輸出・製造 

【1年以上の有期懲役】

個人の使用目的で、覚せい剤の輸入・輸出・製造で逮捕された場合は1年以上の有期懲役になります。有期懲役とは、最長20年までに期間が決められた懲役刑です。

 

営利目的での所持・譲受け・譲渡し

【1年以上の有期懲役】

営利目的(売買)で所持や受け渡しが発覚した場合も1年以上の有期懲役となります。いわゆる覚せい剤の売人です。

 

営利目的での輸入・輸出・製造 

【無期又は3年以上の懲役、情状によっては1000万円以下の罰金併科】

営利目的で輸入・輸出・製造を行っていたことが発覚すると、3年以上もしくは無期懲役、場合によっては罰金刑も付く非常に重い刑になります。商売目的で密輸したり、製造している人なのでそう滅多にあるものではありませんが、空港などで覚せい剤の密輸が発覚するなどのニュースが度々報道されています。

 

覚せい剤での初犯は執行猶予付きがほとんど

覚せい剤での逮捕の特徴は初犯の場合、執行猶予※付きの懲役刑になることがほとんどです。再犯でなかったり、営利目的でなかったり、依存度が強くないようであれば執行猶予の可能性は高いでしょう。

 

※執行猶予:決められた年の間犯罪を起こさなければ、刑自体がなかったことになる制度です。例えば「懲役2年、執行猶予5年」の場合、「5年間犯罪を起こさなければ、懲役2年は無くなる」ということです。

 

【関連記事】
執行猶予の仕組みを分かりやすく解説

 

覚せい剤取締法違反で逮捕された後の流れと傾向

薬物犯罪は他の一般的な犯罪と比べると、勾留される可能性が非常に高く、不起訴に向けた刑事弁護も難しいものになります。覚せい剤取締法違反の刑罰には懲役刑しか無く、初犯は執行猶予付き判決が多くなっています。

 

覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまった後の刑事事件の流れも他の犯罪と変わりませんが(流れについては「刑事事件の流れ」をご覧ください)、以下のような傾向にあるようです。

 

勾留されることがほとんど

覚せい剤で逮捕された場合は、逮捕後に引き続き勾留される(身柄を拘束される)場合がほとんどになります。なぜなら、逮捕してもすぐに身柄を釈放すると、覚せい剤つながりの仲間に「この前逮捕されたから逃げろ」と逃亡や証拠隠滅のおそれもあるからです。

 

捜査機関は勾留してしっかり捜査した上でないと身柄を釈放することはありません。

 

【関連記事】
勾留の要件と流れ

 

面会できないことがほとんど

こちらも似たような理由で逮捕後の面会は禁止されることが多くなっています。面会で証拠隠しの指示を出したり、留置所内で覚せい剤の受け渡し(現在の捜査機関の体制では不可能に近いですが)を防ぐためです。

 

【関連記事】
接見禁止の理由と、接見禁止でも面会をするための方法

 

不起訴になることは難しい

一般的な刑事事件は不起訴の獲得を求めて弁護活動を行いますが、覚せい剤での逮捕は不起訴処分をもらうことは難しくなっています。理由は

  • 直接的な被害者がいないので示談ができない
  • 物的証拠が出てきやすいので弁解することも難しい
  • そもそも刑罰が重い犯罪である

 

ということがあります。「とりあえず覚せい剤をもらったけど使ってない」といった事例でないと不起訴獲得は難しいようです。

 

【関連記事】
起訴と不起訴の違いと不起訴処分を獲得するためにできること

 

示談できない

刑事事件を起こした後の大きな対処法として、被害者との示談交渉があります。しかし、覚せい剤での事件は、被害者がいないため被害者に謝罪し和解をする示談交渉ができません。

 

【関連記事】
刑事事件加害者の示談

 

執行猶予が多い

刑罰は懲役刑しかない覚せい剤での逮捕ですが、実際は執行猶予付きの判決で最終的に身柄を釈放されることが多いようです。初犯であり、かつ,営利目的(売人)でない場合には、執行猶予判決となることが多いようです。

 

【関連記事】
執行猶予の仕組みを分かりやすく解説

 

再犯率が非常に高い

覚せい剤で逮捕される人に多い特徴として、再犯率が非常に高いことが挙げられます。犯罪白書によると覚せい剤取締法違反で検挙された人のうち約6割が以前に以前に同じ罪を犯したという結果も出ています。

 

今回の逮捕の一件を解決したとしても、大元の薬物依存を取り払わなくては再び薬物に手を染めてしまう人も多くいるのです。

 

引用:「平成28年版 犯罪白書

 

覚せい剤で逮捕されたときの量刑の判断基準

覚せい剤の具体的な量刑はどこを調べられて判断されるのでしょうか。※量刑:実際に裁判所で下される判決の種類や刑の程度

 

初犯かどうか

再犯率の高い薬物犯罪で、初犯かどうかというのは非常に大きな判断基準になります。初犯の場合、一度執行猶予付きの判決を受けることも多いです。

 

使用料・所持量・使用期間

覚せい剤をどれくらい持っていたのか、使用したのか、どれくらいの間使用したのかも判断基準になります。

 

薬物の依存度

体に影響している薬物の依存度も判断基準になります。

 

営利目的があったか

営利目的(売人)だった場合、例え本人が覚せい剤を使用していなくても初犯でも相場が懲役5~10年と非常に罪が重くなってきます。

 

再犯の可能性はあるか

再犯率の非常に高い覚せい剤での事件は、逮捕者に再犯の可能性が高いのかどうかも重要な判断基準になりなす。再犯のおそれがある人物は刑期が長くなり、長期間をかけて更生させる必要があると判断されるのです。

 

懲役刑には、犯罪を起こした人物を隔離し犯罪抑止をする以外に犯罪を起こしてしまった人を更生(矯正)させる目的もあります。

 

【関連記事】
懲役刑の3つの目的と役割

 

覚せい剤で逮捕された後の対処法

実際に覚せい剤を使用・所持したことにより逮捕された場合には、執行猶予付き判決を求めての対策をとっていくことが主になります。こちらの項目では、覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまった後にどのような対処法を取ることができるかをご紹介していきます。

 

本人がきちんと反省をする

覚せい剤での逮捕は他の事件と比べ早期での釈放は難しいものになります。逮捕をされると起訴されるまでに最大23日間身柄を拘束されます。その後、裁判まで約1~2ヶ月かかります。

 

その間も拘置所に入れられることが多いので、合計約2ヶ月間身柄を拘束されたままとなります。本人が今回の罪を反省していなければ、捜査機関も再び覚せい剤に手を出す危険性があるとして、簡単に身柄拘束はしてくれないでしょう。

 

薬物事件では基本的に拘束期間も長引きますが、少しでも早期に解決していくためにまずは、本人の深い反省が重要になります。

 

接見禁止解除への動きを取る

覚せい剤での逮捕は一般人(家族も含める)との面会を一切禁止する「接見禁止処分」を多く受けます。家族や会社の人と今後のことを話す機会すら奪われてしまうわけです。よって、家族や会社の方と今後のことを話し、再犯防止に向けての動きをすることも有効な方法と言えます。

 

そのためには接見禁止処分を解除してもらう動きをしなくてはなりません。それらの内容は「接見禁止の理由と、接見禁止でも面会をするための方法」に詳しく書いてありますので参考にしてみてください。

 

保釈請求を行う

起訴されてから判決がでるまでの約1ヶ月間の拘置所で過ごす期間も円滑な社会復帰のために支障となる期間です。覚せい剤の個人での使用や所持といった場合は、保釈請求が認められる可能性も十分にあります。

 

迅速に保釈請求に向けて動いてくれる弁護士に依頼しましょう。この1ヶ月が有るか無いかで今後の日常生活のあり方も変わってくるはずです。

 

再犯を防ぐ環境を整えること

薬物事件での逮捕では、再犯の可能性を下げていくための対策をとっていくことも重要になってきます。

 

例えば、覚せい剤での逮捕者は覚せい剤関連で知り合った交友関係を見直していく必要があります。社会人の場合、社会復帰後の仕事先との話し合いや確保、家族のサポートなど、更には、更生させるための更生カリキュラムや厚生施設などをしっかり準備します。

 

それらを裁判所でしっかり提示することで、執行猶予の可能性は上がってきます。薬物事件を担当したことの有る弁護士なら薬物事件の弁護活動の方法から、更生までのカリキュラムも熟知していますので刑事事件を得意とする弁護士に一度相談してみてください。

 

再犯者・売人は実刑を免れることは厳しい

残念ながら、再犯者・売人は刑も重く、実刑判決を免れることは難しいものとなります。再犯者では1年以上の懲役刑も十分にあり得ますし、売人になると5~10年の懲役が相場になります。それでも、懲役を短くするための弁護活動は可能です。諦めて何もしないより、少しでも弁護士に相談してみて下さい。

 

 

覚せい剤とその他薬物事件の刑事罰の違い

補足ですが、他の薬物犯罪の刑罰を簡単に記載します。

 

【関連記事】
薬物で逮捕された後の流れと対処法

 

大麻取締法 大麻

【所持:懲役5年以下 密輸:懲役7年以下】

大麻は若干刑が軽くなります。特徴としては、研究のために都道府県から免許をもらっている者は所持・栽培が許可されています。そして、「使用」自体は禁止されていません。これは、大麻に含まれるカンナビノイドという成分が元々人体にも存在しており、使用自体を禁止できないからです。

 

毒物及び劇物取締法 シンナー・トルエンなど

【摂取・吸引:懲役2年以下及び100万円以下の罰金、又は併科】

こちらは、医薬品・工業薬品として市販で販売もされているので、所持自体は禁止されていません。覚せい剤と比べると罰則も軽く入手も簡単なので、若者を中心に中毒者を出している現状です。

 

麻薬及び向精神薬取締法 麻薬指定の薬物・MDMA・コカイン・LSDなど

【所持等:懲役7年以下】

覚せい剤ほどの罪には問われませんが、非常な危険な薬物にあたることは変わりません。また、中国や東南アジアでは麻薬の密輸は死刑に値し、日本人でも海外で死刑判決を受けた人物もいます。安易な気持ちで麻薬と関わることは止めて下さい。

 

薬事法 脱法ドラッグ・脱法ハーブ

【所持・使用等:懲役3年以下及び300万円以下の罰金】

近年、若者の間で普及している脱法ドラッグや脱法ハーブ。「法には触れないから」とそそのかされても、それを取り締まる法律が存在します。そもそも方に触れないようであればそんなにコソコソ使用や販売がされないはずです。騙されないで下さい。

 

覚せい剤をやめる・やめさせるヒント

覚せい剤の使用防止は本人一人では難しいものがあります。少しでも覚せい剤を止めるためのヒントになればと思います。

 

家族や友人のサポート

家族や友人、もしくは職場の方が常に気にかけてあげて異変を早く察知してあげることが大切です。依存してしまうと一般の方が食い止めることも難しくなります。早めに気づくことが大事です。

 

運動や趣味など、気分の晴れることを一緒にすれば覚せい剤に依存する可能性も低くなってきます。

 

更生施設などのサポート

薬物からの更生を目的とした機関も多数あります。薬物依存から抜けだした方が周りにいれば励みにもあります。思い切って参加を検討してもいいかと思います。

 

それでもダメなら警察へ

しかし、それでも本当に仕事にも手が付かず本人も苦しそうで更生されないようでしたら、警察に通報し刑務期間で強制的に断ち切らせることも本人のためかもしれません。

 

まとめ

いかがでしょうか。覚せい剤で逮捕され刑罰を受けること自体は数ヶ月から数年単位で手続としては終了しますが、覚せい剤そのものを断ち切らないと、本人の人生そのものをダメにしてしまう恐れがあります。覚せい剤で逮捕されてしまったら、迅速な事件の解決とその後の再犯防止に向けての行動も取っていきましょう。

 

しかし、覚せい剤を使用している本人・親族だけで覚せい剤を断ち切る事は難しいと言えます。早期の解決や再販を防ぐためには専門家に頼ることも検討しましょう。当サイト「厳選 刑事事件弁護士ナビ」では、刑事事件の解決を得意とする弁護士のみを多く掲載しておりますので、解決方法の一つとして検討してください。

 

 

覚醒剤で逮捕された場合
刑事事件を得意とする弁護士に依頼することを強くおすすめします。


本記事で解説してきた通り、覚醒剤での逮捕は、初犯の場合、執行猶予付きの判決を受けることが多くなっています。

しかし、弁護方法を誤ることで、実刑判決を受ける可能性も高まりますし、一度釈放された後も再び覚醒剤に手を染めてしまう前例も多くあります。

刑事事件の弁護に精通しており、更にはその後の更生のアドバイスも行なってくれる、刑事事件を得意とする弁護士に相談して下さい。

編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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