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覚せい剤で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れとデータからみる傾向
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2018.11.14

覚せい剤で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れとデータからみる傾向

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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「ご家族が覚せい剤で逮捕されてしまった」とお悩みではありませんか。

 

覚せい剤で逮捕されてしまった場合、刑事手続きによる10~20日間の身柄拘束や、前科がつく可能性がある以外にも、大きな課題があります。

 

それは、今後どうやって薬物と手を切るか、再犯を行わないか、です。

 

2017年の犯罪白書では、2016年に覚せい剤で検挙されたなかで、以前も覚せい剤で検挙された同一罪名再犯者の割合は65.8%でした。いかに覚せい剤を絶つことが難しいのかを物語った数字です。

 

引用元:法務省|平成29年版 犯罪白書 覚せい剤取締法違反により検挙された同一罪名再犯者

 

この記事では、覚せい剤でご家族や身近な人が逮捕されてしまった方へ向けて、逮捕された場合にすべきことや、逮捕後の流れ、処分の傾向、裁判事例などを解説するとともに、気になる「逮捕されるかどうか?」の疑問にもお答えします。

覚醒剤で逮捕されたら、弁護士に相談しましょう

刑事事件全般の起訴率が33.4%であるのに対し、覚醒剤取締法違反の起訴率は79.9%と高い割合になっています。不起訴や執行猶予、減刑を目指すためには、早い段階から刑事弁護を受けることが重要といえるでしょう。

 

逮捕から起訴までは、最大でも23日しかありません。お住いの地域から薬物犯罪が得意な弁護士を検索し、刑事弁護を依頼しましょう。

 

覚せい剤で逮捕された場合にすべきこと

ここでは、あなたのご家族や大切な人が、覚せい剤で逮捕されてしまった場合にすべきことを解説します。

 

すぐに弁護士を呼ぶ

もし、覚せい剤で逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士を呼んでください。逮捕直後の接見(面会)は弁護士しか許されていません。

 

また、共犯者がいたり、組織犯罪が伺われたりする場合は接見禁止処分を受けることもあります。この場合、勾留されてからも弁護士以外とは接見できなくなってしまいます。

 

覚せい剤事犯の場合、よほど悪質なケースでなければ初犯から実刑となることは少ないですが、前科がある場合や執行猶予中である場合はほぼ確実に実刑判決となります。

 

いずれにしても、早い段階で弁護士に相談することで、以下のことを行ってくれます。

 

  • 逮捕されてしまった方との接見を行ってくれる
  • 状況の把握や、今後の見通しがわかり方針を決められる
  • 証拠収集に違法性があれば指摘してくれる
  • 情状酌量の主張をするなど減刑のための弁護活動をしてくれる

 

どんな弁護士に相談するべき?

覚せい剤で逮捕されてしまった場合は、私選弁護人に相談することも検討に値します。

 

刑事事件を担当できる弁護士には、私選弁護人・国選弁護人がいて、それぞれメリット・デメリットがあります。

 

国選弁護人は、国が費用を負担してくれますが、家族が直接選ぶことはできず、どんな弁護士が選ばれるかわかりません。

 

選任されるタイミングも勾留後(逮捕から72時間後)となるので、早期対応を望むのであれば私選弁護人のほうがよいでしょう。

 

ただ、私選弁護人は、費用の負担が必要ですし、覚せい剤事犯の場合に国選弁護人と私選弁護人で活動内容に大差はありません。

 

そのため、費用負担が厳しいのであれば、国選弁護人に任せるというのも方法の1つです。

 

私選弁護人は、当番弁護士や国選弁護人と違い、ご家族の方が『覚せい剤事件の解決実績がある』弁護士などを選んで依頼できます。

 

当サイトからでも、『薬物犯罪』に精通している私選弁護人を探すことができます。無料相談を受け付けている事務所もありますので、まずはご相談ください。

【関連記事】

逮捕後に呼べる弁護士の種類と選ぶにあたってのポイント

刑事事件の弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法

 

 

所持・使用してない場合は否認する

覚せい剤を所持・使用していないのであれば、やっていないと説明してください。

 

取り調べ時に作成される『供述調書』は、一度署名・押印すると裁判で重要な証拠となります。捜査官は捜査のプロであり、取調べにあたってある程度の見切り・見通しをつけています。

 

そのため、捜査官の誘導や圧力によって、事実と異なる内容や過剰な内容の供述調書が作成されてしまうという事例もあるようです。

 

一度このような供述調書が作成されてしまうと、これをなかったことにはできません。裁判で信用性や任意性を争うという方法もなくはないですが、これが否定されるのは極めてまれです。

 

したがって、やっていないこと、事実と異なることは絶対に認めてはいけませんし、曖昧な内容で供述調書を作成するのも避けるべきでしょう。

 

やっていないことはやっていないと何度も明確に説明する姿勢が大切です。

 

もし取調べにあたって不安があるようであれば、その場では黙秘したり署名・押印を拒否したりしつつ、対応について弁護人に相談して助言を受けてください。

 

いずれにしても、早い段階で弁護士に相談して、取調べについて適切な助言を受ける必要があります。

 

証拠収集の違法性を指摘する

刑事司法では、有罪立証のための証拠は適法かつ適正な手続きで入手されている必要があります。

 

そのため、もし覚せい剤の自己使用罪の立証のために陽性反応の尿検査結果が提出されていたとしても、その採尿手続きに重大な違法があれば、これを証拠として用いないよう主張することは可能です。

 

もし、当該主張が認められ、当該検査結果が重大な違法捜査によって入手されたものであるとの評価を受けた場合、この結果は有罪立証のための証拠から排除されます。

 

有力な証拠が違法収集証拠として排除された場合、証拠不十分で無罪となることもありますが、この判断は弁護士でないと難しいところです。

 

懸念することがある場合は、必ず弁護人に相談しましょう。

 

具体的な再犯防止策を提案する

今後どのように再犯防止を行い、家族が監督するのか、更生の環境が整っているのかどうかといった点も、裁判官の量刑判断に影響することがあります。

 

家族や友人がサポートする

家族や友人が監督することで、隠れて覚せい剤を使用することは難しくなるでしょう。

 

覚せい剤は依存性の強い薬物ですので、一度依存状態になってしまうと自分の力だけで衝動を抑えることが難しく、周りのサポートは不可欠です。

 

また、覚せい剤を使用してしまうのは、ストレスに弱い、挫折からの立ち直りが苦手などもあるでしょうから、どういった心構えで対処すべきか、学んでいく必要もあるかもしれません。

 

なかなかやめられないかもしれませんが、突き放したり、甘やかしたりし過ぎず、丁度よい距離感で、辛抱強くサポートをしてあげてください。

 

ご本人も周囲の応援に応えたいと思えるでしょうし、何よりの力となるでしょう。

 

薬物などに関わる人間関係を断つ

周囲のサポートだけではなく、覚せい剤を使用するような環境や、それに関わる仲間とのつながりを絶つことも重要です。

 

家族が交友関係を把握することはもちろん、携帯電話を解約するなどして、有害な関係や組織と関わりが持てないようにしましょう。

 

更生施設などを利用する

家族や周囲の人だけのサポートでは限界があると感じたら、専門の医療機関や施設に入所する、または自助グループへ参加するなど、第三者のサポートを受けられる環境に身を置くことを推奨します。

 

薬物からの更生を目的とした機関もあります。薬物依存から抜け出した方が周りにいれば励みにもなるでしょう。思い切って参加を検討してみてもいいかと思います。

 

覚せい剤で逮捕された後の流れ

覚せい剤で逮捕された後の流れは、下記の通りです。

 

覚せい剤にかかわらず、逮捕された場合は上記の流れで刑事手続きが進行します。

 

捜査段階で覚えておくべきポイントとしては、警察での取り調べと、検察による勾留判断、そして、検察官による起訴・不起訴の判断です。

 

刑事事件で逮捕された場合、警察は48時間以内に事件及び身柄を検察庁に送致することになります。

 

送致を受けた検察庁は、24時間以内に被疑者の勾留の要否を判断し、勾留が必要と判断した場合は裁判所に勾留を請求します。

 

裁判所が勾留を許可した場合、勾留期間は原則10日間であり、場合によっては更に最大10日間延長されることがあります。

 

つまり、逮捕された場合は、逮捕時点から数えて最長で23日間身柄を拘束される可能性があります。身柄事件ではこの勾留期間の満期までに起訴・不起訴が判断されます。

 

検察官が被疑者を起訴した場合、被疑者の身柄拘束は起訴後も続くことになります。

 

もし保釈されないまま身体拘束が続けば、判決が出るまで1~2ヶ月以上身体拘束されることになります。

 

なお、実刑判決となった場合は、一度も釈放されることなくそのまま刑務所に収監されます。

 

【関連記事】

刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応

勾留とは|勾留される要件と早期に身柄を釈放してもらうための対処法

 

覚せい剤で逮捕された場合に通常行われる刑事手続

ここでは、覚せい剤で逮捕された場合の刑事手続の傾向について解説します。

 

家宅捜索を受ける

覚せい剤を所持していた場合、自宅、オフィス、自家用車など覚せい剤が隠されている可能性のある場所について家宅捜索を受けることになります。

 

接見禁止になる可能性もある

勾留が決定するまでの逮捕から72時間以内は、弁護士しか接見ができません。

 

これはどんな犯罪でも同様の手続きですが、覚せい剤事犯で共犯者がいたり、組織犯罪であることが疑われたりする場合は、その後も弁護士しか接見できない接見禁止処分が下される可能性が高いです。

 

このような事案でなければ、接見禁止まで付される可能性は高くないと言えます。

 

【関連記事】

接見禁止の理由と、接見禁止でも面会をするための方法

 

勾留されることがほとんど

刑事事件では、逮捕と勾留はほぼセットであり、逮捕された被疑者が勾留されないというケースは稀です。

 

特に覚せい剤事犯で逮捕された場合、逮捕手続に明らかに問題があるなどの特別な場合でない限り、まず間違いなく勾留されると思われます。

 

そして、勾留された場合、勾留延長までされるケースがほとんどですので、相当長期の身柄拘束を覚悟する必要があります。

 

【関連記事】

勾留とは|勾留される要件と早期に身柄を釈放してもらうための対処法

 

示談できない

被害者のいる犯罪であれば、被害者との間で示談が成立することで起訴を回避したり、減刑を求めたりすることはあり得ます。

 

しかし、薬物犯罪の場合は被害者がいないため、示談をすることがそもそもできません。

 

不起訴になることは難しい

2017年の犯罪白書によると、2016年の覚せい剤取締法違反の起訴・起訴猶予率は次の通りです。

 

【参考】法務省|平成29年版 犯罪白書 第3節 被疑事件の処理 資料

 

不起訴処分では、そもそも起訴されないため有罪の判決を受けて前科がつくことはありません。

 

しかし、覚せい剤事犯は、以下のような理由から不起訴を求めるのはかなり難しいと言えます。

 

  • 被害者がいないので示談による起訴回避の手段がない
  • 社会的非難の強い犯罪であるためそもそも不起訴にする理由がない
  • 捜査機関は一般的に薬物犯罪に対して厳しい態度で臨んでいる

 

【関連記事】

起訴されると99.9%の確率で有罪|不起訴処分となる3つのポイント

 

執行猶予が多い

覚せい剤事犯には罰金刑はなく刑罰は全て懲役刑ですが、初犯であり前科がないような場合は、通常、執行猶予つきの判決となり刑務所に収監されずに釈放されることが多いようです。

 

しかし、前科がある場合や、前科がなくても営利目的であるなど犯情が重い場合は執行猶予つき判決が出ることはほとんどなく、初犯でも実刑となります。

 

また、覚せい剤の場合は、2016年6月から施行された、『刑の一部執行猶予』つき判決を受けるケースもあり得ます。

 

一部執行猶予とは?

一般的な執行猶予は、『全部執行猶予』と呼ばれ、言い渡された期間に再犯を起こさなければ、量刑すべてが執行されずに済むものです。

 

一方で、一部執行猶予とは、刑罰の一部のみ執行を猶予する判決であり、猶予を受けない部分については確定すれば直ちに刑が執行されます。

 

つまり、懲役刑の一部執行猶予判決が確定した場合、執行猶予の対象にならない実刑部分は直ちに執行され、刑務所に収監されることになります。

 

例えば、懲役3年、その刑の一部懲役6ヶ月を2年間猶予するとした場合、2年6ヶ月は服役する必要があります。

 

この服役を終えた時点で残りの刑罰は6ヶ月ですが、この時点で釈放し、出所後2年間の猶予期間について再犯なく過ごせばこの6ヶ月の部分は執行しないという処理になります。

 

一部執行猶予は、対象犯罪などの制限がありません。裁判官が必要だと判断すれば一部執行猶予つきとなります。

 

【関連記事】

執行猶予の仕組みを分かりやすく解説|執行猶予獲得する方法

 

覚せい剤で逮捕された場合の刑事罰と量刑基準

ここでは、覚せい剤で逮捕された場合の刑事罰と、量刑の判断基準について解説します。

 

覚せい剤取締法違反の刑事罰

覚せい剤取締法では次の行為を処罰対象としています。

 

行為

目的

罰則

所持・使用・譲渡・譲受

個人使用目的

10年以下の懲役

営利目的

1年以上20年以下の懲役、500万円以下の罰金の併科あり

個人使用目的の輸出入・製造

個人使用目的

1年以上20年以下の懲役

営利目的

無期、または3年以上20年以下の懲役、1,000万円以下の罰金の併科あり

 

もちろん、これら行為の態様によって犯情の軽重はありますが、それはあくまで量刑判断で考慮される問題であり、法定刑は一律で同じです。

 

覚せい剤の所持、譲渡し、譲受け、使用は、全て10年以下の懲役です。興味本位で覚せい剤を受け取り、所持していた人物が逮捕されることもあるということです。

 

また、覚せい剤を営利目的で輸入・輸出・製造を行っていたことが発覚すると、罪は非常に重いです。

 

商売目的で密輸、製造しているケースなので事案として多くはないと思われますが、空港などで覚せい剤の密輸が発覚するなどのニュースが度々報道されています。

 

覚せい剤の量刑が決まる判断基準

覚せい剤の量刑が決まる判断基準はこちらです。

 

  • 同種前科の有無、初犯かどうか
  • 所持量・使用量・使用期間
  • 薬物の依存度
  • 営利目的があったか
  • 再犯の可能性はあるか
  • 更正しやすい環境が整っているか
  • 家族がサポート・監督を行ってくれるか

 

再犯率の高い薬物犯罪で、同種前科の有無は重要な判断基準になります。上記の通り、初犯の場合は執行猶予つきの判決を受けることも多いですが、悪質な場合はそうとも限りません。

 

また、営利目的(売人)だった場合、例え本人が覚せい剤を使用していなくても、初犯であっても、一発実刑となることは十分あり得ます。

 

覚せい剤は、再犯率の高い犯罪です。長期間かけて更生させる必要がありますので、初めから絶対に手を出すべきではないのです。

 

【関連記事】

日本の懲役の実態|懲役刑が果たす3つの役割と問題点

 

覚せい剤の裁判事例

ここでは、覚せい剤の裁判事例をご紹介します。

 

覚せい剤の使用・初犯で執行猶予の事例

覚せい剤の結晶をタバコに混入させて喫煙し、使用した被告に、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年が言い渡されました。

 

被告は、2016年から疲れを取るために、インターネットを利用して、覚せい剤を購入。やめられずに本件犯行に及び、覚せい剤の依存性も認められ、動機に酌量すべき点もないとされました。

 

しかし、被告人は反省をしたうえで、覚せい剤を断つ旨を誓っており、更生に協力してくれる家族や知人もいること、また前科がない点も考慮して上記の判決となりました。

 

裁判年月日 平成29年 7月20日 裁判所名 前橋地裁 裁判区分 判決

事件番号 平29(わ)254号

事件名 覚せい剤取締法違反被告事件

参考:文献番号 2017WLJPCA07206006

 

覚せい剤営利目的所持で懲役4年・罰金50万円

覚せい剤を営利目的で所持していた被告に懲役4年と罰金50万円が言い渡されました。

 

被告人が所持していた覚せい剤は、この手の犯罪では相当多い範疇で、合計40グラムを超えており、自己使用も行っていました。

 

依存性も顕著で、同種前科もありましたが、営利目的所持に関する前科は古く、妻が出廷して今後監督していく意志を述べるなどの事情を考慮して、上記量刑となりました。

 

裁判年月日 平成29年 5月23日 裁判所名 佐賀地裁 裁判区分 判決

事件番号 平28(わ)266号 ・ 平28(わ)281号

事件名 覚せい剤取締法違反被告事件

参考:文献番号 2017WLJPCA05236001

 

覚せい剤に関するQ&A

ここでは、覚せい剤で逮捕されるケース、覚せい剤で逮捕される確率や覚せい剤に関する疑問にお答えします。

 

覚せい剤の所持・使用で逮捕されるケースは?

どんなことがきっかけで、覚せい剤の所持・使用で逮捕に至るのでしょうか。

所持・使用が発覚するケースとして挙げられるのはこちらです。

 

  • 職務質問で発覚する
  • 匿名通報で発覚する
  • 芋づる式に発覚する
  • 病院からの通報で発覚する
  • 他の犯罪が原因で発覚する 

細かく解説します。

 

職務質問で発覚する

街頭や検挙件数の多い地点(イベントなど人の集まる場所)での警察の職務質問により、挙動や持ち物の怪しい人物が捜査を受け逮捕に至るケース。

 

もちろん、職務質問の際に、覚せい剤を所持していればそのまま逮捕されることもあります。

 

警察官は怪しい人物を見つけ出すプロです。我々一般人には分かりませんが、怪しい人物の特徴を共有しているのでしょう。日本の警察は優秀です。

 

匿名通報で発覚する

職場の人や家族などが、薬物使用者を不審に思い警察に通報がいき捜査・逮捕に至るケースです。

 

重度の禁断症状や依存症が出ている場合は、苦肉の策で家族などが警察に通報することもあります。

 

また、『元交際相手や元配偶者から覚せい剤の使用を告発された』というようなケースもあります。

 

売人や仲間から芋づる式に発覚する

別の覚せい剤使用者が逮捕され、捜査のうえで売人やその売人と接点のあった人物に捜査が及び、芋づる式で発覚するケースです。

 

病院からの通報で発覚する

覚せい剤の使用者が何らかの症状で病院に行った際、医師に覚せい剤の使用を疑われ警察に通報されて逮捕に至るケースです。

 

過去には『医師としての守秘義務を守っていない』と争われたのちに、『薬物使用を疑い、尿検査を行って警察に渡した行為に違法性はない』という判例も出ています。

 

他の犯罪が原因で発覚する

重度の覚せい剤依存者や中毒者は、禁断症状が原因で暴行事件を起こすことがあります。

 

また、覚せい剤の購入で生活資金が足りず、更には禁断症状で仕事に手がつかず無職になり、詐欺や窃盗などの他の犯罪にも手を染めてしまう危険性もあるでしょう。

 

それらの犯罪で逮捕された際に、覚せい剤の使用・所持も発覚することがあります。

 

覚せい剤で逮捕される確率は?

犯罪白書によると、2016年に覚せい剤取締法違反で身柄拘束を受けた身柄率は、72.2%でした。

 

これは、過失運転致死傷や道交法を除いた犯罪総数の身柄率が36.2%と考えると相当高い数字であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

引用元:法務省|平成29年版 犯罪白書 被疑者の逮捕と勾留

 

覚せい剤の鑑定結果が出る期間は?

場合によりますが、覚せい剤かどうかの簡易鑑定はその場ですぐ分かります。また、自己使用については採尿後に鑑定を行いますが、通常1週間以内には結果が出ます。

 

覚せい剤陽性反応、すぐにその場で逮捕される?

覚せい剤の所持や使用については、被疑者の同意の下でその場で簡易鑑定を行う場合がほとんどです。この簡易鑑定で覚せい剤反応が出れば、ほぼ確実にその場で逮捕されるでしょう。

 

また、逮捕に伴い、その場で身体や所持品について捜索が実施されますし、その後、令状を取得して関係する場所を捜索されます。

 

違法な尿の採取、尿鑑定の効果はなくせる?

上記の通り、尿を採取する際の手続きに重大な違法があった場合、その後の刑事裁判でその尿検査結果の証拠能力が否定される可能性があります。

 

したがって、採尿手続や鑑定手続に違法な処理があれば、それを主張して証拠排除を求めるという弁護活動は十分あり得ます。

 

ただ、実務的には捜査機関は細心の注意を払って採尿手続きを実施していますので、違法収集証拠として争うことができるケースは極めてまれと言えるでしょう。

 

違法収集証拠となり得るケースとしては以下のような場合が考えられます。

 

  • 暴行・脅迫されて採尿をした場合
  • 長時間拘束され、我慢できずに出してしまった尿を採られた場合
  • 令状なく無理やり連行されて採尿された場合

 

家宅捜索で覚せい剤が発見されたら?

警察によってその場で覚せい剤の簡易検査が行われます。その際に陽性反応が検出となれば、所持の疑いで現行犯逮捕されます。

 

もし尿の提出を拒否したら?

拒否すると、令状取得後に医師がカテーテルを用いて強制的に採尿する場合があります。このような強制採尿も、裁判所から発布される『強制採尿令状』に基づくものであれば適法です。

 

覚せい剤と認識せず所持していたら?

認識をまったく持っていない場合、覚せい剤所持罪は成立しません。しかし、「覚せい剤」という確たる認識がなくても、身体に有害な違法の薬物と認識している場合は、所持罪は成立します。

 

誰かに知らない間に荷物に入れられていたという場合はともかく、そうでない場合は「覚せい剤とは知らなかった」という弁解が通るケースは極めてまれですし、何かしらの禁制品であるという認識があることがほとんどでしょう。

 

覚せい剤で逮捕された場合は前科?

逮捕されるだけでは前科はつきません。起訴されて刑事裁判で有罪判決を受けたときに初めて前科がつきます。

 

しかし、覚せい剤の所持や使用で逮捕されると、高い確率で起訴され、有罪となりますので、最終的には前科がつくことになるケースがほとんどでしょう。

 

覚せい剤で逮捕、いつ釈放?

覚せい剤で逮捕された人が釈放されるタイミングは以下の3つのケースです。

 

不起訴

勾留満期までに検察が起訴・不起訴を判断するとき

保釈の許可

起訴後も勾留されているとき、保釈申請を認められた場合

執行猶予

刑事裁判で執行猶予つきの判決になった場合

 

保釈金にはどれくらい必要なのか?

一般的に保釈金は150万円~200万円が多いようです。しかし、密売組織との関係が疑われている場合などは金額に関係なく、保釈が許可されないケースも考えられます。

 

【関連記事】

保釈金に関する2つの誤解と保釈されるまでの手順

 

まとめ

冒頭でお伝えした通り、覚せい剤での逮捕はもちろん、その後覚せい剤を断つことも非常に大変です。

 

また、覚せい剤の所持・使用は非常に重い罪となっていますので、まずは無料相談などを活用して、弁護士の必要性も含め、弁護士に相談してください。

 

早い段階で事件を解決して、覚せい剤と関わりのない日常に戻りましょう。

 

【関連記事】

逮捕後に呼べる弁護士の種類と選ぶにあたってのポイント

刑事事件の弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法

 

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

覚醒剤で逮捕された場合
刑事事件を得意とする弁護士に依頼することを強くおすすめします。


本記事で解説してきた通り、覚醒剤での逮捕は、初犯の場合、執行猶予付きの判決を受けることが多くなっています。

しかし、弁護方法を誤ることで、実刑判決を受ける可能性も高まりますし、一度釈放された後も再び覚醒剤に手を染めてしまう前例も多くあります。

刑事事件の弁護に精通しており、更にはその後の更生のアドバイスも行なってくれる、刑事事件を得意とする弁護士に相談して下さい。

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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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