家族の早期解放を望んでいる方へ
勾留は起訴前でも最大20日間、起訴後は原則2か月間、身柄が拘束されることになります。
何週間も社会から隔離されてしまうと、今後の生活に悪影響を与えることでしょう。
ご家族の早期釈放を望んでいる方は、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士に依頼すれば、下記のようなメリットがあります。
- 取り調べのアドバイスをうけ不利な供述調書の作成を防げる
- 逃亡や証拠隠滅をする可能性がないことを資料の提出とともに主張し、勾留を防ぐ
- 弁護活動によって不起訴・執行猶予付き判決を目指す など
逮捕後72時間以内に、勾留をするかの判断をくだします。
その間に本人と接見・面会できるのは、弁護士だけです。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。
勾留されると長期間拘束されるので、生活に影響がでてきます。
- 勾留を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?
- 勾留されてしまったらどうすればいいのでしょうか?
本記事では、勾留の概要から勾留の流れ、期間、免れるための方法を解説します。
勾留(こうりゅう)とは?勾留される要件とされない場合
勾留とは、刑事事件において被疑者もしくは被告人を刑事施設に留置して拘束しておく処分です。
身柄を拘束する理由は、証拠隠滅や逃走を防ぐためです。
逮捕されればそのまま勾留されるようなイメージもありますが、勾留にはいくつか条件があります。
勾留は必ずされるものではない
刑事事件に携わらない一般の方々は「逮捕されるとそのまま牢屋に入れられて、裁判を待つ……」というようなイメージがをもつ人も少なくないでしょう。
しかし、全ての事件で勾留されるわけではありません。
犯罪といっても人を殺してしまうような殺人事件から、ちょっと口論になり相手を殴ってしまうような暴行事件までさまざまあります。
被疑者の特徴も「住所も分からない人」「いかにも不審な人」「普段は真面目で家庭も仕事もある人」などさまざまです。
そのため、「この被疑者は勾留しないと捜査や裁判に支障が出る」と判断された場合に勾留がおこなわれるのです。
勾留される要件
被疑者・被告人を勾留するには、勾留をするための要件を満たしている必要があります。
捜査機関は被疑者の逮捕後、捜査を進めていきますが、その捜査に支障が出るようであれば、被疑者を勾留して身柄を拘束します。
- 住居が定まっていない
- 証拠隠滅のおそれがある
- 逃亡のおそれがある
住居が定まっていない
ニュースなどでたまに「住所不定・無職」の逮捕者をみますが、住所不定の被疑者の身柄を解放するとどこにいかれるか分かりませんし、召喚をしようとしてもその旨を伝える郵便も送れません。
住所が定まっていない被疑者は原則的に勾留されます。
証拠隠滅のおそれがある
住所は定まっていても、証拠隠滅のおそれがある人物も勾留されます。
これはある程度犯した罪の大きさと比例しており、罪が重ければ勾留の可能性も高まります。
被疑者は重い刑から逃れるために証拠隠滅するおそれがあるからです。
また、共犯者のいる事件や詐欺などの組織犯罪は、仲間と口裏合わせをしたり、逃亡の指示をしたりすることも考えられるので、勾留される可能性が高いです。
逃亡のおそれがある
逃亡のおそれがあれば勾留されることになります。
こちらも罪の重さに比例していますが、家族がいたり定職に就いていたりすれば逃亡のリスクも下がるので、罪によっては勾留されない可能性もあります。
勾留を受けない場合
このように逮捕されたからといって、必ずしも勾留されるわけではありません。
しかし、勾留されなかったからといって、そのまま刑事手続きが終了するわけではありません。
勾留されなかった場合、どのようにして刑事手続きは進められていくのか説明します。
微罪処分
逮捕されたとしても、犯罪が軽微であれば数日中に身柄解放される微罪処分というものがあります。
上記の要件を満たしていないことに加え、身元引受人に警察署まで迎えに来てもらう必要があります。
身柄解放のあとは、それまでどおりの生活を送れますが、事件に進展があったときなどは再び警察に呼び出されることもあります。
微罪処分では前歴が付き、再び罪を起こしてしまうと、初犯としては扱われなくなります。
在宅事件
身柄を拘束されなくても、刑事事件として捜査がされることが在宅事件です。
家宅捜索をされる場合があり、原則として書類送検され、犯罪が立証されれば、起訴され刑罰を受けることもあります。
勾留と拘留の違い
勾留に似た言葉に「拘留」という言葉があります。
刑事事件の専門用語で読み方も同じため、よく混同されがちですが全くの別ものになります。
「勾留」は判決がくだる前の被疑者・被告人の身柄を拘束することで、「拘留」は判決がくだったあとに1日以上30日未満刑事施設に拘束しておく刑罰のひとつです。
「拘留」は懲役刑や禁固刑などの軽いものです。
勾留までの手続きと流れ|勾留時の拘束期間
実際に勾留されると、どのような流れや手続きが進められていくのでしょうか。
こちらでは勾留までの手続きと流れ、勾留期間の長さについて解説いたします。
- 検察官が勾留請求をおこなう
- 裁判官が勾留を決定
- 被疑者の陳述
検察官が勾留請求をおこなう
逮捕後に警察からの取り調べが済むと、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄は検察へと移されます。
検察も同じく取り調べをおこないますが、身柄拘束期間は24時間以内と決められています。
被疑者をそのまま釈放すると逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合、検察官が被疑者を勾留するように裁判官に請求します。
このことを勾留請求といいます。
裁判官が勾留を決定
勾留請求を受けた裁判官は、検察が提出した資料を検討し、要件を満たしているか判断します。
その結果、被疑者の勾留決定・勾留請求却下決定の判断がくだされます。
被疑者の陳述
勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に対して、被疑事実(起こしたと疑われている犯罪に該当する事実)の要旨を告げて、これについての被疑者の陳述を聴きます。
このことを勾留質問といいますが、内容としては「あなたはこのような罪で勾留請求を受けていますが、その事実に間違いはありますか?」といったものです。
ここでどのような対応を取ろうとも勾留されることがほとんどですが、身に覚えのない罪で拘束されていたり、勾留の要件に当てはまらない不当な勾留がされるようであれば、きちんと主張しましょう。
勾留期間中の生活
勾留されると拘置所や留置所といった施設に収監され、そのなかで取り調べを受けながら生活をします。
起訴前の勾留期間は原則として10日間(最大20日間)
勾留されたといっても、まだ判決を受ける前の被疑者をいつまでも勾留しておくことは推定無罪(何人も有罪と宣告されるまでは無罪)に反することになりますので、被疑者が不利益を被る勾留には期間が設けられています。
起訴前の勾留期間は原則として10日間という決まりがあります。
10日経ったのであれば、検察官が起訴か不起訴か決めなくてはなりません。
しかし、例外的に勾留延長があり更に最大10日間勾留期間を延長することもできます。
すなわち、起訴前の勾留期間は最長で20日となります。
勾留延長になりやすいケース
勾留延長は捜査状況にもよりますので一概にはいえませんが、以下の場合、捜査も慎重になり長引く可能性が高いので勾留延長される可能性が高くなります。
最大勾留期間を過ぎてしまった場合
それでも捜査が終了しなければ、「処分保留」で釈放されることがほとんどですが、重罪や複雑な犯罪は別の罪名での「再逮捕」という方法で再び警察から捜査が進められていくこともあります。
たとえば、始めは死体遺棄の容疑で逮捕し、勾留期間が過ぎたら殺人の容疑で逮捕するような形です。
起訴後の勾留期間は原則として2か月間
被疑者が勾留中に起訴されたのであれば、被疑者は被告人と呼び名が変わり、そのまま勾留され続けます。
起訴されなければ、不起訴になりそのまま釈放されます。
この起訴後の勾留期間は原則として2か月間です。
その後1か月毎に更新され、判決がくだるまで続きます。
勾留を免れるための2つの方法
逮捕されても、取り調べ後すぐに家に帰してもらえるようであれば、誰もがそれを望むでしょう。
もちろん、殺人や強盗などの重大事件や詐欺などの組織犯罪の場合は、勾留を免れることは難しいです。
しかし、勾留するかどうかが微妙な犯罪の場合は、こちらの出方次第で勾留を免れることも可能です。
当番弁護士に一度相談する
そこで、「勾留をされたくない」と思われているのであれば、必ず一度は弁護士の相談を受けるようにしてください。
「弁護士なんて敷居が高い」と思われている方も多いかもしれませんが、逮捕後、一度なら無料で接見(面会)してくれる当番弁護士制度というものがあります。
勾留を免れたり、これからの状況を説明したり、早い段階から出来る有効なアドバイスを貰うことが出来ます。
きちんと反省を示す
逮捕された被疑者が早期釈放されるためには、本人がしっかりと反省することが最も大切です。
罪を認めなかったり、反省をしていないようでしたら、勾留の要件の「証拠隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」によって勾留請求されやすくなります。
一方で、本当に身に覚えがない「冤罪」のような場合は、そのことを捜査機関に対してしっかり主張していきます。
しかし、被疑者一人で経験豊富な捜査機関を相手にしても、上手くまるめ込まれて勾留期間が長引くことも考えられるので、冤罪のような場合は弁護士に相談し、刑事弁護を依頼することも検討してください。
勾留後、早く釈放される方法
勾留を免れるために手を打っても勾留されることはありますし、もう既に勾留されている方もいるでしょう。
ここでは、勾留されても早く釈放される方法を説明します。
- 私選弁護士・国選弁護士に依頼をする
- 準抗告・抗告を申し立てる
- 勾留取り消しを申し立てる
- 不起訴をもらう
- 保釈される
私選弁護士・国選弁護士に依頼をする
まず「本当に早く釈放されたい」と考えているのであれば、弁護士に依頼するようにしてください。
法律に詳しくない人が、どう弁解しても刑事事件の流れを覆すことは至難の業でしょう。
依頼できる弁護士の種類は「私選弁護人」「国選弁護人」の2種類です。
私選弁護人は、自分の選んだ弁護士に自身でお金を払って依頼をすることです。
一方、「弁護士に依頼するような貯蓄がない」といった方には、一定の条件を満たすと国選弁護人に依頼することが出来ます。
弁護士費用を国が立て替えてくれるというメリットがある一方で、自身で弁護士を選べないというデメリットもあります。
準抗告・抗告を申し立てる
抗告とは、裁判官が出した結果に不服を申し立てることです。
「容疑者の状況は◯◯で、勾留する程ではない」と裁判官に申し立てることができます。
法律の知識がないと徒労に終わるだけですので、弁護士に依頼のうえ、申し立てるようにしてください。
勾留取り消しを申し立てる
勾留が決定したときとは状況が変わってくることもあります。
たとえば、示談交渉が済んだり、証拠が出尽くしたりした場合です。
この場合も「状況は◯◯になり、これ以上勾留する必要はない」と勾留取り消しを申し立てることができます。
不起訴をもらう
勾留には起訴前の勾留と起訴後の勾留がありますが、起訴前の勾留は最大でも20日間です。
しかし、起訴されてそのあとも勾留され続けると、判決がくだるまで社会に戻ることが出来ません。
場合によっては、1年近く勾留されることもあります。
勾留を長引かせるかそうでないかは、起訴・不起訴で大きく分かれてくるでしょう。
そのため、不起訴を獲得するかどうかが勾留期間を短くするために重要な場合もあります。
保釈される
保釈とは、起訴後に保釈金を支払って第1審の判決が言い渡されるまでの間、身柄を開放されることです。
保釈金の相場は、被告人の収入・社会的地位などに比例して上がりますが、裁判終了後に手元に戻ってくる、担保のようなものです。
保釈をされれば、起訴されてから判決の言い渡しまでの期間に社会に戻ることが出来ます。
さいごに
勾留に関して理解していただけたでしょうか。
勾留は刑罰ではありませんが、何週間も社会から隔離されてしまうと、自身の仕事・家庭・経済などに大きな影響を及ぼしてしまいます。
そのような事態を防ぐために刑事弁護があり、弁護士がいます。
少しでも状況を良くするためにも困っているのであれば、弁護士に依頼しましょう。