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公開日:2019.5.9  更新日:2023.9.8

盗撮で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れと刑罰、後日逮捕される可能性を解説

齋藤健博 弁護士
監修記事

カメラ機能がついたスマートフォン・携帯電話が普及したことによって急激に増えたといえる犯罪が『盗撮』です。盗撮は、容易に行うことができる犯罪ではありますが、実際に撮影された内容によっては、重く処理されることも多い犯罪であることが指摘できます。

国民の80%以上が何らかのモバイル端末を保有しており、その92.8%がスマートフォンを保有している現代において、盗撮は「誰でも犯罪者になりうる身近な犯罪」だといえます。

【参考記事】総務省|令和2年版 情報通信白書

軽はずみな行動によって逮捕されたり、容疑をかけられて警察の呼び出しを受けたりといった事態も十分に予想されます。

この記事では、盗撮で逮捕されたらどうなるのか、刑罰や逮捕後の流れ、逮捕された場合の具体的な対処法などを解説いたします。

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目次

どこからが盗撮?犯罪になる盗撮行為とは

盗撮とは、以下のような行為をいいます。

盗撮とは、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置することです。

 

引用元:警視庁

典型的な盗撮行為としては、エスカレーターで上にいる女性のスカートの中を撮影したり、電車内などでカメラをスカートの下に入れて撮影したりするものがあります。

また、実際に撮影していなくても、撮影目的でカメラなどを向ける行為や、撮影目的でカメラなどを設置する行為も「盗撮」になり得ます。

これらのような盗撮行為をすると、「迷惑防止条例違反」となります。

条例改正によりあらゆる場所が対象に

迷惑防止条例が盗撮を罰することができる場所は、従来は「公共の場所・公共の乗物、公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室、公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」でした。

従来では、公園・電車といった公衆の場所や乗り物、公衆トイレや温泉施設などは規制対象でしたが、会社の事務室や更衣室、カラオケボックスの個室、タクシーの車内といった場所での盗撮を罰することができませんでした。

そこで、東京では、平成30年7月に条例が改正され、従来の規制対象の場所に加えて次のような場所も規制対象に加えられました。

公共の場所以外の住居・便所・浴場・更衣室

不特定または多数の人が入れ替わり立ち替わり利用する場所・乗物

東京・大阪などの大都市圏では積極的に改正が進められている一方で、地方では改正が進められていない自治体もあるようですが、いずれは大多数が改正されるものと予想されます。

逮捕される盗撮の具体例

盗撮行為を軽微な犯罪と甘く考えている人もいるかもしれませんが、罰則が設けられている以上、犯行を行えば、必要に応じて逮捕されるおそれがあります。

盗撮行為で逮捕される具体例としては、次のようなケースが考えられるでしょう。

  • 公衆トイレを覗いて盗撮した

    会社の女性更衣室に隠しカメラを設置して盗撮した

    スーパーの買い物客を相手に、エスカレーターの下からスカート内を盗撮した

    主に女性の顔を盗撮した

盗撮は何罪?盗撮で逮捕されたときの罪名と刑罰

日本の法律には「盗撮罪」や「盗撮禁止法違反」といった犯罪は存在しません。

盗撮行為は、盗撮そのものや盗撮に付随する行為を罰する条例や法律によって規制されます。

盗撮を犯罪行為として罰するのは、以下のような条例・法律です。

  • 各自治体が定める迷惑防止条例
  • 軽犯罪法
  • 刑法(住居侵入罪)
  • 児童ポルノ禁止法

各自治体が定める迷惑防止条例違反

盗撮行為を罰するもっとも一般的な条例が『迷惑防止条例』です。

迷惑防止条例は、各自治体が独自に定めている条例のひとつで、名称や規制・罰則の内容には若干の差があります。

「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」や「◯◯県迷惑行為等防止条例」といった名称が一般的ですが、一部の自治体では別の名称が使用されています。

東京都で迷惑防止条例に違反して盗撮をした場合の刑罰は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

これよりも軽い、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されている自治体も存在します。

また、常習になると刑が重くなる場合もあります。

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(1)  略

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用

し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

(3)  略

2~4 略

 

(罰則)

第8条

1 略

2  次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

(1)  第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者

(2)  略

3~10 略

 

引用元:迷惑防止条例-東京都

軽犯罪法違反

軽犯罪法は、軽微な秩序違反にあたる行為を規制する法律です。

軽犯罪法では「人が通常衣服をつけないでいるような場所」におけるのぞき行為が禁止されています。

脱衣場・更衣室・トイレなどにおける盗撮には適用されますが、公園や商業施設の中などのように人が通常衣服を着ているような場所では対象外です。

軽犯罪法違反の罰則は、拘留または科料です。

1日以上30日未満の身柄拘束か、1,000円以上1万円未満の金銭徴収という軽い刑罰が規定されていますが、有罪となれば前科がついてしまうので軽く考えてはいけません。

第一条

左の各号のひとつに該当する者は、これを拘留または科料に処する。

23 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

 

引用元:軽犯罪法

住居侵入罪

盗撮目的で他人の住居や敷地に侵入すると、刑法第130条の住居侵入罪が成立します。

盗撮の有無にかかわらず、不法な侵入に対して適用される犯罪です。

他人の住居や敷地に入っただけで処罰されるので、盗撮をする前に発見された場合でも成立するのが特徴です。

住居侵入罪が成立した場合は3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

第百三十条(住居侵入等)

正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。

 

引用元:刑法

児童ポルノ禁止法

盗撮行為そのものではなく、盗撮によって得た画像などが児童ポルノにあたる場合には、児童ポルノ禁止法で罰せられることがあります。

たとえば、18歳未満の児童を対象としたポルノ画像を第三者に提供する目的で製造(=撮影)した場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

また単に自己の性的好奇心を満たす目的であっても、児童ポルノ(=盗撮した動画像)を所持していた場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)

 

自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

 

2 児童ポルノを提供した者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

 

3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、または本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 

引用元:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

 

盗撮は現行犯じゃないと逮捕されないはウソ!後日逮捕されるケース

インターネットの情報では「盗撮は現行犯逮捕でしか逮捕できない」という情報がありますが、これは間違いです。

その場では被害者に気づかれなかった、目撃者などにより捕まりそうになったが上手く逃げ切れたなどのケースでも、いたるところに設置されている防犯カメラに盗撮している様子が記録されていることがあります。

警察が捜査をすれば個人が特定され、逮捕状が発付されて犯行の後日に通常逮捕される可能性も否定できません。

現行犯逮捕されるケース

現行犯逮捕は、現に罪をおこない、またはおこない終わった者の身柄を拘束する逮捕です。

実際に盗撮事案の多くは、現行犯逮捕によって身柄を確保されています。

現行犯逮捕は、逮捕状を必要とせず、被害者や目撃者などの私人にでも逮捕が認められています。

第二百十三条

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

 

引用元:刑事訴訟法

現行犯逮捕されるケースとしては、次のような状況が考えられます。

  • 公衆トイレで盗撮していたところを被害者に気づかれて現行犯逮捕された
  • 電車内で盗撮していたところを周囲の乗客が目撃して現行犯逮捕された
  • スーパーの店内でほかの客のスカートの中を撮影していたところを警備員に見つかり現行犯逮捕された

後日逮捕されるケース

盗撮行為について「現行犯でないと逮捕できない」とする法律の定めは存在しません。

逮捕の要件に合致していれば、盗撮でも後日逮捕される可能性はあります。

一般的に後日逮捕と呼ばれているのは、令状に基づく原則的な逮捕である「通常逮捕」を指しています。

第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

 

引用元:刑事訴訟法

後日逮捕されるケースとしては、次のようなケースが考えられます。

  • 電車内で盗撮し逃走した様子が車内・構内の防犯カメラに記録されていた
  • 近所にある民家の風呂場を盗撮し逃走した姿を付近の住人が目撃していた
  • トイレに設置された隠しカメラの盗撮映像をインターネットにアップしたことで個人が特定された

後日逮捕されるかどうかのポイント

後日逮捕されるのは、逮捕の理由と逮捕の必要性がある場合です。

罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、逃亡・証拠隠滅のおそれがある場合は、裁判官が発付した逮捕状に基づいて逮捕されてしまう可能性があります。

後日逮捕されるかどうかの大きなポイントとなるのは次の2点です。

  • 目撃者が存在するのか?
  • 防犯カメラなどに記録されているのか?

もちろん、目撃者の供述や防犯カメラの映像といった証拠がないからといって「逮捕されない」とは断言できません。

これらの証拠がない場合でも、捜査が尽くされて被疑者として特定され、逮捕されるケースもあることは心得ておくべきです。

盗撮で後日警察が家に来るケース

盗撮を行った際に現行犯逮捕がされなくても、後日条件が揃えば犯人を逮捕するための警察が自宅に捜査に行くという場合があります。

現行犯逮捕でない場合、警察はいくつかの手順を踏んでから自宅に訪問することになります。

盗撮被害者から被害届が提出されている

まずは、盗撮の被害者からの被害届が提出されている場合には、警察の捜査によって容疑者の特定につながる可能性があります。

その場では盗撮が見つからずに何事もなく過ぎたとしても、ある日突然警察官が自宅を訪れて捜査がおこなわれるということもあり得ます。

盗撮現場の証拠が残っている

自宅に警察が来る際には、現行犯でなくとも犯人を特定できるほどの証拠をつかんでいる可能性が高いと考えられます。

先述した通り、防犯カメラの映像に盗撮の様子が記録されていたり、目撃者がいたりした場合、それが証拠となり犯人が特定されていることになります。現場にカメラを残してしまうと、犯人の特徴が映像から特定できることもあります。

人通りの多い駅や商業施設では証拠が残っているケースがあり、後日警察が自宅に証拠をもって捜査にくることも不思議ではありません。

盗撮で後日逮捕されるのは逮捕状がある場合

現行犯逮捕ではない逮捕には、警察官は逮捕状を裁判官に請求する必要があります。この逮捕状が認められなかった場合、自宅に捜査に訪れたとしても逮捕することができません。

逮捕状が認められるための理由としては、「逃亡の可能性」「証拠隠滅の可能性」などが挙げられます。盗撮をしていたにもかかわらず、その場で罪を認めずに逃亡した場合には、「逃亡の可能性」があるとみなされる確率が高まります。

盗撮は現行犯逮捕でなければ捕まることはないという認識は誤りであり、証拠や逮捕状が揃っていれば警察官が家に来て逮捕されるということも十分あり得るのです。

実際に盗撮により後日逮捕されたケース

盗撮によって現行犯逮捕以外で逮捕されるケースは、多くはありません。

しかし、被害届の提出や証拠の有無など、状況によっては数ヵ月経ってから逮捕される例もあります。

スカートの中を盗撮。2ヵ月後に逮捕

犯行時に盗撮をしていたことが見つかったものの、現行犯逮捕を免れた人が2ヵ月後に逮捕された例があります。

駅で被害者のスカートの中にスマホを差し入れ、被害者に犯行を目撃されたものの、その場では証拠不十分で逮捕されずに釈放されました。

しかし、犯人は2ヵ月後に警察に呼び出され、逮捕されました。

別件の捜査から余罪発覚。5ヵ月後に逮捕

別の場所で盗撮をしたことが原因で、余罪が見つかり逮捕に至るケースもあります。

盗撮を疑われてカメラを確認したところ、他に2つの盗撮映像が残っていたため、最初の通報から5ヵ月後に逮捕されました。

このケースでは、被害者との示談が成立し、不起訴処分となっています。

このように、現行犯逮捕でない場合にも後日逮捕される可能性は十分にあります。

盗撮で逮捕された後の流れ

逮捕後の流れ

逮捕された場合、逮捕から起訴されるまでの身柄拘束は13~23日間です。(逮捕による身柄拘束72時間+勾留による身柄拘束10~20日間)

検察官が起訴したうえで裁判官が保釈を認めなかった場合はさらに身柄拘束を受けることになります。

このように逮捕後の勾留は長期に及ぶおそれがあり、それだけ日常生活に大きな影響が生じてしまいます。

早い段階から弁護士に相談して、身柄が解放されるよう弁護活動を受けることが賢明です。

盗撮で起訴されたら

盗撮容疑で起訴されると、被告人として刑事裁判の場において審理を受ける身になります。

被告人は刑事裁判への出廷を維持する目的で勾留を受けることになり、保釈が認められない限り刑事裁判が終わるまで身柄を拘束されます。

刑事裁判は、通常、1~3回程度の公判期日を経て結審となり、判決が言い渡されます。

懲役の実刑判決が言い渡された場合は刑務所に収容されることになり、執行猶予や罰金刑が言い渡された場合には釈放されます。

盗撮で不起訴になりやすいケースとは

検察官が不起訴処分にはいくつか理由がありますが、そのなかでももっとも多いのが起訴猶予と呼ばれる処分です。

起訴猶予とは、犯罪を証明する証拠はそろっているものの、さまざまな事情を考慮してあえて起訴を見送るという処分を意味します。

起訴猶予になりやすいケースには、次のようなものがあります。

  • 犯行態様が悪質ではない
  • 同種の前科がない(初犯)
  • 更生の見込みがある
  • 再犯の恐れがない
  • 被害者との間で示談が成立している

 

盗撮のように被害者がいる犯罪では、被害者との示談が成立しているかどうかは処分に大きく影響します。

ただし、加害者やそのご家族が直接被害者と示談交渉をするのは現実的ではありません。

被害者の感情を優先すれば、弁護士に被害者との示談交渉を依頼するのが一般的です。

盗撮で前科をつけないためには?後日逮捕を回避する方法

盗撮事件を起こして有罪判決を受けると前科がついてしまいます。

前科がつくと、一定の職業に就くことができなくなったり、海外渡航が制限される場合があったりすることがあるので、できる限り前科がつく事態は回避したいところです。

盗撮で前科をついてしまう事態や逮捕を避けるために有効な方法をみていきましょう。

自首する

盗撮行為が捜査機関に発覚する前に、自らの処罰を求めて犯罪事実を申告することを「自首」といいます。

自首が有効に認められた場合は、刑法第42条1項の規定に従って刑が減軽される可能性があります。

(自首等)

第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

 

引用元:刑法

自首には「刑の減軽」が期待できますが、さらに捜査機関に対しては「逃亡はしない」「捜査には協力する」という姿勢を示すことにもなります。

また、自主により反省を示すことで起訴猶予が獲得できる可能性も高まるので、逮捕や前科の回避にも有効となるでしょう。

被害者と示談交渉をする

盗撮で前科をつけないためには被害者と示談できるかが重要なポイントになります。

盗撮の示談金の相場は、5~15万円程です。

ただし、示談金額は、盗撮その他行為の内容、被害者との交渉状況など、個別の事情によって異なります。

もっとも、相場から大きく外れた金額での示談金というのも考えにくいので、示談金額が適正であるかどうかも含めて、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

盗撮で逮捕されたら弁護士に相談すべき理由

盗撮行為をし逮捕に不安を感じているなら、ただちに弁護士への相談をおすすめします。

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取調べに対する適切なアドバイスをしてくれる

逮捕されると、捜査機関から取り調べを受けることになりますが、取り調べの場で話した内容は供述調書にまとめられます。

供述調書とは、被疑者や参考人の証言を捜査機関が書面にまとめた供述証拠のことです。

供述調書は、裁判となった場合には証拠として用いられ、事後的に供述内容の訂正するのは非常に難しいです。

何の準備もないまま不用意な供述をしてしまい、供述調書が不利に働いてしまう可能性は否定できません。

供述調書の内容に誤りがあれば訂正をしてもらい、納得できなければサイン・押印は拒否すべきです。

逮捕後は当番弁護士制度を利用することで早急に弁護士との接見が可能であるため、逮捕された場合は、すぐに当番弁護士の接見を求め、今後の対応についてアドバイスを受けるべきでしょう。

勾留を阻止し、早期保釈が期待できる

逮捕されて身柄を拘束されている場合でも、弁護士に刑事事件の弁護活動を依頼すれば、早期釈放が期待できます。

仮に勾留が決定された場合には、準抗告などの手続きで対抗することも可能です。

被害者と示談できる可能性が高まる

盗撮で不起訴を目指す上では、被害者との示談交渉を成立させることが重要です。

示談交渉は、弁護士に依頼したほうが賢明でしょう。

加害者やその家族が直接被害者と示談しようとすると、次のような不都合が起こり得ます。

  • そもそも被害者の連絡先がわからない
  • 被害者に連絡や面会を拒絶される
  • 「金で解決する気か!」などと被害者感情を逆なでしてしまう
  • 相場以上の示談金を請求される

 

「謝ったところで許すつもりはない」と頑なになっている被害者を説得するには、数多くの交渉の経験をもつ弁護士へ依頼したほうが、成功率は高まると考えられます。

前科がつくリスクを回避できる

今後の就職や現在の職業への資格制限などが気になる方は、前科がついてしまう事態を避ける必要があります。

たとえ警察に逮捕されたとしても、刑事裁判で有罪判決が下されない限り前科はつきません。

しかし、日本の刑事裁判では起訴された事件の有罪率が99%以上と言われているため、無罪を期待するのは現実的ではないでしょう。

前科がつく事態を避ける最善の方法は、検察官の不起訴処分を獲得することです。

被害者との示談交渉のほか、本人が深く反省している意思を示す反省文や家族・同僚などによる嘆願書の提出など、様々な働きかけを行い不起訴処分が下される可能性を高めてくれることが期待できるので、弁護士にサポートを求めましょう。

再犯防止に向けたサポートも期待できる

検察官の起訴の判断や、裁判官が刑事裁判で量刑を判断される際には、「再犯のおそれ」も材料のひとつになります。

盗撮は性犯罪の入り口なので、検察官や裁判官は「これからさらに犯行がエスカレートするのではないか?」という疑念を持ってしまう可能性があります。

弁護士に依頼すれば、再犯防止に向けたサポートが期待できます。

家族による監督体制の強化や性犯罪に走らないためのカウンセリング受診といった対策をとることで、検察官や裁判官に対して再犯のおそれがないことをアピールできるでしょう。

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盗撮逮捕についてよくある質問

盗撮に関して多くの方がもつ疑問への回答をまとめました。

Q1.服の上からでも犯罪なんですか?

単に人物を撮影しただけでは、迷惑防止条例違反などに問われることはありません。

しかし、ズボンを着用した女性の臀部を撮影して逮捕された事例も存在します。

このケースは、迷惑防止条例で規制する『卑わいな言動』として逮捕されたようです。

参照元:産経ニュース

Q2.盗撮で逮捕されました。釈放されるにはどうしたらいいですか?

逮捕後の釈放が期待できるタイミングは複数ありますが、もっとも早いタイミングとなるのは検察官に送致されたあとです。

送致を受けた検察官が勾留請求をしなかった場合はただちに釈放されるので、早期釈放を望むなら逮捕後72時間が勝負になります。

ただちに弁護士を選任して、被害者との示談交渉など、勾留を回避するための弁護活動を依頼しましょう。

Q3.テレビやネット上での実名報道を防ぐことはできますか?

警察は、多くの場合被疑者を逮捕した事案については報道各社に情報を提供しています。

逮捕されれば実名報道されるケースがあるのが実情のため、まずは逮捕を回避するために素早い解決を目指しましょう。

被害者との間で早期に示談が成立すれば、逮捕も防げるでしょう。

仮に逮捕されてしまった場合は、ただちに弁護士に依頼して報道発表を避けるよう警察に働きかけてもらうことも検討しましょう。

Q4.盗撮で捕まったら学校や会社は辞めさせられますか?

盗撮事件を起こして逮捕されただけで会社や学校を辞めさせられることは基本的にないと考えてよいでしょう。

ただし、刑事裁判で有罪判決を受けた場合は、会社・学校の規則によっては解雇・退学といった不利益な処分を受けるおそれもあります。

解雇・退学を回避するには、前科がつかないような対応が欠かせません。

また、事件発生後に弁護士が会社・学校に対して不利益処分を課さないようはたらきかけることも大切です。

Q5.盗撮した画像や動画を動画サイトに投稿したらどんな罪になりますか?

盗撮画像・動画を動画投稿サイトなどに投稿すると、わいせつ物頒布罪や児童ポルノ禁止法違反に問われる可能性があります。

わいせつ物頒布罪は2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料または懲役と罰金の併科、児童ポルノ禁止法違反では5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれらの併科となり、盗撮自体よりも刑罰がさらに重くなります。

Q6.盗撮しようと思い、スマホのカメラを下に向けたけど思いとどまりました。罪になりますか?

多くの自治体では撮影行為だけでなく、撮影目的でカメラを差し向ける行為も処罰の対象としています。

盗撮するつもりでスマホのカメラを向けただけでも罪になり得るものと認識しておきましょう。

Q7.別の事件で前科がある場合は、罪は重くなりますか?

前科があるからといって必ずしも刑罰が重くなるわけではありません。

もっとも、同種の前科・前歴があれば、刑罰が重くなる可能性はあります。

Q8.相手に盗撮がバレたかもしれません。自首したほうがいいでしょうか。

自首をすれば、捜査機関側に反省の態度を示すことになり、不起訴処分が得られる可能性はありますし、仮に裁判となっても刑が減軽される可能性もあります。

盗撮を行った事実は、被害者の被害届や防犯カメラなどからいつ明るみになるかわかりません。

仮に逮捕・勾留されれば、長期間身柄拘束される事態にもなり得るため、ご自身の行為で逮捕される可能性を感じているのであれば、自首することをおすすめします。

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この記事の監修者
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
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本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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