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盗撮で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れと刑罰、後日逮捕される可能性を解説

須賀翔紀
監修記事
盗撮で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れと刑罰、後日逮捕される可能性を解説

「盗撮事件を起こしてしまい、逮捕されるのかどうか気になっている」

「盗撮事件で逮捕された場合の刑罰や流れを知りたい」

カメラ機能のあるスマートフォンをほとんどの人が所有している今の時代、盗撮は「誰でも犯罪者になりうる身近な犯罪」ともいえます。

実際に軽い気持ちから盗撮行為に及んでしまい、今後の動向に大きな不安を抱えている方もいるでしょう。

本記事では、盗撮事件で逮捕されたときの流れや刑罰、後日逮捕される可能性をわかりやすく解説します。

なお、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(通称「性的姿態撮影等処罰法」)が2023年7月13日に施行されました。

これにともなう盗撮行為に対する処罰の変更内容についても、詳しく解説していきます。

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目次

どこからが盗撮?犯罪になる盗撮行為とは

まずは、どのような盗撮行為が犯罪になるのかを明確にしておきましょう。

2023年7月より撮影罪(盗撮罪)として処罰の対象に

従来、盗撮行為は各都道府県の迷惑防止条例によって処罰されていましたが、2023年7月に性的姿態撮影等処罰法が施行されたことにより、撮影罪(盗撮罪)として処罰されるようになりました。

具体的には、以下の3点を満たす行為に及んだ場合に撮影罪(盗撮罪)が成立します。

  • 性的姿態を対象としていること
  • ひそかに撮影していること
  • 撮影行為に及ぶ正当な理由がないこと

「性的姿態」とは、身体の性的な部位や下着、わいせつな行為や性行為をおこなっている姿などのことです。

「ひそかに」とは、対象者に気づかれないようにすることを指します。

「正当な理由」には、医療行為をおこなううえで撮影が必要だったケースなどが該当しますが、日常生活のなかで「盗撮に正当な理由があった」といえる状況は、基本的にないと考えてよいでしょう。

従来の迷惑防止条例違反との違い

新たに施行された性的姿態撮影等処罰法による撮影罪と、従来の迷惑防止条例違反の違いは主に以下の3点です。

【新設された撮影罪と従来の迷惑防止条例違反の主な違い】

  • 盗撮行為が全国一律の基準で処罰されるようになった
  • 盗撮した画像の保管・提供も処罰対象となった
  • 適用される法定刑の種類が変更された

撮影罪が新設されたことで、盗撮行為は全国一律で処罰されるようになっています。

従来の迷惑防止条例は都道府県ごとに制定されているため、撮影場所によって懲役期間や罰金額が異なっていました。

また、離陸した飛行機の中など、どの都道府県で撮影されたのか特定できない場合に処罰できないといった問題点もありましたが、全国一律で適用できる法律が施行されたことで解消されたわけです。

また、盗撮した画像を保管したり、第三者に提供したりすることも処罰の対象となっています。

たとえば、インターネット上に撮影した画像や動画をアップロードする行為は、撮影罪に該当する可能性があります。

撮影罪と迷惑防止条例違反では、適用される法定刑に違いがあることも覚えておきましょう。

たとえば、東京都の迷惑防止条例では、非常習の盗撮行為に対する法定刑を「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」としています。

しかし、2023年7月以降は盗撮行為に撮影罪が適用され、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」という、より厳しい法定刑が科されることになっています。

逮捕される盗撮の具体例

逮捕されるかどうかは、撮影対象が性的姿態にあたるがどうかが重要です。

性的姿態には、具体的に以下のようなものが該当します。

  • 性器・肛門・尻・胸などの性的な部位
  • 性的な部位を覆っている下着
  • わいせつな行為や性行為をおこなっている様子

たとえば、エスカレーターで前にいる女性のスカートの中を撮影したり、電車でカメラをスカートの下に入れて撮影したりすることは、逮捕される典型的な盗撮行為といえるでしょう。

一方、単に後ろ姿を撮影した場合など性的姿態にあたるものが映り込んでいなければ、基本的に盗撮には該当しません。

ただし、盗撮に類似する違法行為として、逮捕されるケースもあるので注意してください。

盗撮は何罪?盗撮で逮捕されたときの罪名と刑罰

盗撮で逮捕されたときの罪名は、盗撮行為そのものや盗撮に付随する行為などによって異なります。

ここでは、盗撮した際に成立する可能性がある罪名と刑罰を詳しく見ていきましょう。

性的姿態等撮影罪(撮影罪・盗撮罪)

上述のとおり、盗撮行為は、性的姿態撮影等処罰法に定められた「性的姿態等撮影罪」にあたる可能性があります。

具体的には、性的な部位や下着、わいせつ行為・性行為の様子を相手の同意なく撮影した場合に性的姿態等撮影罪が成立します。

性的姿態等撮影罪に規定された罰則は、「3年以上の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。

なお、拘禁刑とは受刑者を刑務所に収容・拘束する刑罰のことを指します。

執行面でほとんど変わらない懲役と禁固を一本化するかたちで、2025年6月1日から施行される予定です。

(性的姿態等撮影)

第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

引用元:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 | e-Gov法令検索

迷惑防止条例違反

性的姿態等撮影罪が新設されるまで、盗撮行為は迷惑防止条例違反として罰せられるケースが一般的でした。

迷惑防止条例は都道府県ごとに定められているものなので、それぞれ名称や罰則の内容が少しずつ異なります。

たとえば東京都の場合、非常習の盗撮行為に対する罰則は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」で「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と定められています(第8条2項1号)。

しかし、自治体によっては「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」と、比較的軽い罰則が設けられているケースも少なくありません

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(中略)

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

【参考】公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例|東京都

軽犯罪法違反

盗撮行為をおこなうと、軽犯罪法違反にあたる可能性があります。

軽犯罪法とは、軽微な秩序違反を規制するための法律です。

さまざまな禁止行為を定めており、その中のひとつに「人が通常衣服をつけないでいるような場所」におけるのぞき行為が含まれています。

そのため、浴場・更衣室・トイレなどで盗撮行為をおこなうと、軽犯罪法違反となる可能性があります。

軽犯罪法に規定された刑罰は、「1日以上30日未満の身柄拘束」もしくは「1,000円以上1万円未満の金銭徴収」です。

なお、迷惑行為防止条例は「公共の場所」での盗撮行為が対象になりますが、軽犯罪法は「公共の場ではない場所」を規制対象としている点が大きく異なります。

第一条 左の各号のひとつに該当する者は、これを拘留または科料に処する。

二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

引用元:軽犯罪法 | e-Gov法令検索

住居侵入罪

住居侵入罪は、正当な理由なく、他人の住居や敷地などに侵入した場合に成立する犯罪です。

盗撮目的で対象者の自宅に侵入した場合は、住居侵入罪の罪に問われる可能性があります。

住居侵入罪に対する刑罰は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

なお、住居侵入罪は必ずしも盗撮目的である必要はなく、基本的には他人の住居に侵入した時点で成立する点に注意しておきましょう。

(住居侵入等)

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法 | e-Gov法令検索

児童ポルノ禁止法違反

盗撮内容によっては、児童ポルノ禁止法で罰せられる可能性があります。

児童ポルノ禁止法とは、18歳未満のわいせつな写真や動画の撮影を規制する法律です。

児童ポルノ禁止法に違反する盗撮行為に対しては、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科せられます。

また、性的好奇心を満たすために、盗撮した動画像を所持する行為も、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されることが定められています。

(児童ポルノ所持、提供等)

第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

2 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、または本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

引用元:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律| e-Gov法令検索

盗撮は現行犯じゃないと逮捕されないはウソ!後日逮捕されるケース

「盗撮は現行犯じゃないと逮捕されない」と、見聞きしたことがある方もいるでしょう。

しかし、盗撮行為をおこなった人が後日逮捕されている事例も実際に存在します。

ここでは、現行犯逮捕されるケースと後日逮捕されるケースについて詳しく見ていきましょう。

現行犯逮捕されるケース

盗撮行為は後日逮捕される可能性もありますが、実際は現行犯逮捕されるケースがほとんどです。

現行犯逮捕でよく見られる状況には、以下のようなものが挙げられます。

  • 更衣室で盗撮しているところを被害者に気づかれた
  • 電車内や駅のエスカレーターで盗撮していることが周囲の乗客にバレた
  • スーパーで盗撮しているところを警備員に目撃された

現行犯逮捕は逮捕状を必要としないため、警察官ではなく、被害者や周囲の目撃者によって逮捕されることもあります。

第二百十三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

引用元:刑事訴訟法| e-Gov法令検索

後日逮捕されるケース

割合としては少ないものの、盗撮行為に及んだ人が後日逮捕されるケースもあります。

そもそも、盗撮行為に関して現行犯でなければ逮捕できないという法律は存在しません

そのため、逃走してしばらく経過したあとでも、逮捕状に基づく一般的な逮捕がおこなわれる可能性は十分あります。

第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

引用元:刑事訴訟法| e-Gov法令検索

現行犯逮捕でよく見られる状況には、以下のようなものが挙げられます。

  • 電車や駅構内で盗撮していた様子が防犯カメラに映っていた
  • 盗撮して逃走していた姿を付近の住民が目撃していた
  • 盗撮した映像をインターネット上にアップロードして特定された

後日逮捕されるかどうかのポイント

盗撮を終えたあとでも、以下の要件を満たしている場合は後日逮捕される可能性があります。

  • 逮捕の理由:盗撮したことを肯定できる合理的・客観的な理由がある
  • 逮捕の必要性:逃亡や証拠隠滅のおそれがある

たとえば、防犯カメラに盗撮している様子が映っていたり、目撃者の情報があったりした場合は、「嫌疑の相当性」を満たす可能性が高いでしょう。

しかし、逮捕の理由がある場合でも逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、逮捕に至らないケースもあります。

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盗撮で後日警察が家に来るケース

盗撮行為をおこなった場合、現行犯逮捕されていなくても、後日警察が自宅に来ることがあります。

ここでは、盗撮をおこなったあとで警察が自宅に来る3つのケースを詳しく見ていきましょう。

盗撮被害者から被害届が提出されている

まず考えられるのは、盗撮の被害者から被害届が出されているケースです。

恐怖心からその場を立ち去った被害者が、後日、勇気を出して警察に被害届を出すことは決して珍しくありません。

被害届には提出期限がないため、盗撮行為からしばらく経過したあとでも、警察が逮捕状をもって現れる可能性は十分あります。

盗撮現場の証拠が残っている

盗撮現場の証拠が残っていた場合も、警察が自宅に来る可能性があります。

現行犯で逮捕されなくても、証拠をもとに後日犯人が特定される事例は数多く存在します。

たとえば、防犯カメラに盗撮している姿が映っていたり、現場にカメラを放置したままにしたりしたときは、犯人を特定する有力な証拠となるでしょう。

また、人通りの多い場所で盗撮をおこなった場合などは、周囲の目撃情報が証拠となることもあります。

盗撮で後日逮捕されるのは逮捕状がある場合

盗撮で後日逮捕されるのは、裁判所から逮捕状が出されたときだけです。

警察が容疑者の自宅を訪れる際は、裁判所に対して逮捕状の発行を請求しなければなりません。

そして、容疑者に逃亡や証拠隠滅の可能性があると判断された場合に逮捕状が発行され、後日逮捕に至る流れです。

逮捕状が発行されなかった場合は、仮に自宅を捜査されたとしても逮捕されることはありません

実際に盗撮により後日逮捕されたケース

ここでは、実際に盗撮で後日逮捕されたケースを2つ紹介します。

被害届が提出されたり、証拠が見つかったりした場合は、数ヵ月後に逮捕される可能性があることも認識しておくようにしましょう。

スカートの中を盗撮。2ヵ月後に逮捕

スカートの中を盗撮し、現行犯逮捕はされなかったものの、2ヵ月後に後日逮捕に至った事例があります。

加害者はスマートフォンを利用して、駅にいる女性のスカートの中を盗撮しました。

現場で被害者に犯行を目撃されましたが、証拠不十分として逮捕には至らなかったようです。

しかし、2ヵ月後に警察からの呼び出しがあり、逮捕されました。

別件の捜査から余罪発覚。5ヵ月後に逮捕

別件の捜査から余罪が発覚し、5ヵ月後に逮捕された事例もあります。

女性から盗撮を疑われた加害者のカメラを警察が確認したところ、ほかに2つの盗撮映像が残っていたため、通報から5ヵ月後に逮捕されました。

最終的には示談が成立し、加害者は不起訴処分となっています。

盗撮で逮捕されたあとの流れ

盗撮で逮捕されると、警察の取り調べや検察官との面談をおこない、逮捕後72時間以内に勾留されるかどうかが決定します。

勾留が決まると、最大20日間は拘置所で過ごさなければなりません

そして、勾留中に起訴されるかどうかが決定します。

不起訴になれば捜査が終了して釈放されますが、起訴されるとそのまま勾留されるケースが一般的です。

盗撮で起訴されたら

盗撮で起訴されたら、刑事裁判の審理を受けなければなりません。

この間、保釈制度によって保釈される場合もありますが、裁判官から認められない限りは身柄を拘束された状態が続きます

刑事裁判は1~3回程度の公判期日を経て、判決に至るケースがほとんどです。

そして、懲役の実刑判決が下された場合は刑務所に収容され、執行猶予・罰金刑が下された場合は釈放されます。

盗撮で不起訴になりやすいケースとは

盗撮で不起訴になりやすいのは、起訴猶予の判断が下されるケースです。

起訴猶予とは犯罪を証明する十分な証拠は揃っているものの、検察官が裁判を受けさせるまでもないと判断した場合に、あえて起訴を見送る処分のことを指します。

具体的には、以下のような事情があれば起訴猶予となる可能性があります。

  • 犯行態様が悪質ではない
  • 初犯である
  • 更生の見込みがある
  • 再犯のおそれがない
  • 被害者との示談が成立している

ただし、起訴猶予になったとしても、その後一切起訴されないわけではありません。

新たな証拠が見つかったり、同種の余罪が発覚したりした場合などは起訴される可能性もあります。

盗撮で前科をつけないためには?後日逮捕を回避する方法

ここでは、後日逮捕を回避する2つの方法を詳しく解説します。

後日逮捕を回避する行動を取れば前科をつけずに済む可能性が高くなるので、盗撮行為をしてしまった方はぜひ参考にしてみてください。

自首する

盗撮行為に及んでしまった場合は、自首することも前向きに検討してみてください。

自首をして撮影に使った道具などを提出すれば、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と認められ、逮捕されずに済む可能性があります。

また、反省の態度が認められ、起訴猶予を獲得できれば前科はつきません。

もし有罪判決が下された場合でも、自首していれば刑法の規定により減刑されることがあります。

(自首等)

第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

引用元:刑法 | e-Gov法令検索

被害者と示談交渉をする

後日逮捕を避けたいのであれば、被害者と示談交渉をおこなうのもひとつの方法です。

示談が成立し、被害者も納得している状態であれば、警察が加害者を逮捕する必要はなくなります。

当然、起訴されることもなくなるので前科はつきません。

しかし、盗撮の加害者が直接交渉しようとしても、相手方になかなか応じてもらえない可能性があります。

そのため、示談を進めたい場合はまず弁護士に相談し、交渉を依頼するのがおすすめです。

盗撮で逮捕されたら弁護士に相談すべき理由

盗撮で逮捕されたときは、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

ここでは、弁護士に相談するメリットを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

取調べに対する適切なアドバイスをしてくれる

弁護士に相談するメリットのひとつが、取調べに対する適切なアドバイスを受けられる点です。

逮捕後は捜査機関から取り調べを受け、話した内容が供述調書にまとめられます。

供述調書は裁判の証拠として用いられるものなので、取り調べの受け答え方には細心の注意を払わなければなりません。

供述調書に一度サインしてしまうと、あとで修正することも難しくなります

そのため、取調べで不用意な発言をしてしまわないように、あらかじめ弁護士から助言を受けておくことが大切です。

逮捕された場合は、早急に弁護士との面会を求めるようにしてください。

勾留を阻止し、早期保釈が期待できる

弁護士に相談すれば、早期保釈も十分期待できます。

弁護活動によって、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを示してもらえば、勾留を回避できる可能性があるためです。

勾留が決定すると最大20日間は身柄が拘束されるため、学校や会社にも知られずに事態を収集することが難しくなります。

勾留を回避し、早期釈放を目指すのであれば、一刻も早く弁護士に相談することが大切です。

被害者と示談できる可能性が高まる

被害者と示談できる可能性が高まることも、弁護士に相談すべき理由のひとつです。

加害者やその家族が直接示談交渉を持ち掛けようとすると、被害者側に拒否されてしまうことがあります。

示談交渉に応じてもらえたとしても、被害者との関係性がさらに悪化したり、相場以上の示談金を請求されたりするかもしれません。

そのため、交渉のプロである弁護士に依頼したほうが、示談の成功率は上がると考えられます。

前科がつくリスクを抑えられる

盗撮で逮捕された場合は、弁護士に相談することで前科がつくリスクを抑えられます。

前科がつく事態を避ける最善の方法は、不起訴処分を獲得することです。

刑事裁判における有罪率は99%以上といわれており、起訴されてしまうとほぼ確実に有罪となってしまいます。

そのため、弁護士に依頼し、被害者との示談交渉や反省文・嘆願書の作成など、さまざまな働きかけをおこなってもらうことが重要です。

盗撮は決して許されるものではありませんが、相対的には軽い罪といえます。

弁護活動次第で不起訴となる可能性は十分あるので、できる限り弁護士のサポートを得るようにしましょう。

再犯防止に向けたサポートも期待できる

弁護士に相談するメリットには、再犯防止に向けたサポートも受けられる点も挙げられるでしょう。

検察官が起訴・不起訴の判断をおこなったり、裁判官が量刑を検討したりする際には、被疑者に再犯のおそれがあるかどうかが重要なポイントとなります。

そのため、犯行がエスカレートしないためのカウンセリングの受診や、監督体制の強化といった対策を講じ、再犯のおそれがないことをアピールしなければなりません。

経験に基づく弁護士の手厚いサポートを受けられれば、不起訴や減刑となる可能性も十分あるでしょう。

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盗撮逮捕についてよくある質問

最後に、盗撮逮捕に関するよくある質問を紹介します。

同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q1.服の上からの撮影でも犯罪になるのですか?

服を着た人物を撮影するだけで、すぐさま犯罪になることはないでしょう。

しかし、撮影様態が相手を不安にさせたり、辱めたりするものであれば逮捕される可能性もゼロではありません

実際に、服を着た人物をつけ回して胸元や尻を撮影し、迷惑防止条例違反として逮捕されている事例も存在します。

Q2.盗撮で逮捕されました。釈放されるにはどうしたらよいですか?

早期釈放を望むのであれば、できるだけ早く弁護士に弁護活動を依頼しましょう。

弁護活動がうまくいけば、取り調べ後に検察官へ送致された段階で釈放される可能性があります。

しかし、検察官が勾留か釈放かを決定するまでの時間は、逮捕後から最大72時間しか設けられていません。

そのため、逮捕されたときには、直ちに刑事事件が得意な弁護士を探すことが大切です。

Q3.テレビやネット上での実名報道を防ぐことはできますか?

盗撮で逮捕された場合、テレビやネット上での実名報道を防ぐことは難しいでしょう。

少年事件を除いて、被疑者の実名を報道するかどうかは報道機関の判断に任されているためです。

特に、公務員などの公共性が高い職業や地位にある人物の犯行は、実名で報道される可能性が高い傾向にあります。

そのため、盗撮をしてしまった場合は、まず逮捕を回避するために行動することが重要です。

被害者との示談が早期に成立し、逮捕を回避できれば、実名が報道されるリスクを抑えられます。

Q4.盗撮で捕まったら学校や会社は辞めさせられますか?

盗撮で捕まったというだけで、学校や会社を辞めさせられることは基本的にないと考えられます。

盗撮は私生活上での不祥事であり、会社の業務と直接関係するものではないため、直ちに解雇する理由にはあたりません。

学校の対応もさまざまですが、厳重注意や停学処分に留めてもらえる可能性は十分あるでしょう。

ただし、起訴されて有罪となった場合は、解雇や退学の処分を受けることがあります。

そのため、逮捕された場合には起訴されないようにすることを最優先に考えましょう。

また、会社や学校に対して、不利益な処分がおこなわれないように弁護士から働きかけてもらうことも大切です。

Q5.盗撮した画像や動画をインターネット上に投稿したらどのような罪になりますか?

盗撮した画像や動画をインターネット上に投稿した場合は、性的姿態等撮影罪が成立する可能性があります。

性的姿態撮影等処罰法では、盗撮行為だけでなく、盗撮した性的姿態等の画像や動画を第三者に提供することも、処罰対象とされているためです。

特にインターネット上に投稿する行為は、違法な画像・動画を不特定多数に提供することに等しいため、刑罰が重くなる点にも注意しておきましょう。

具体的には、「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」の刑罰が科されることになります。

(性的影像記録提供等)

第三条 性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

2 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 | e-Gov法令検索

Q6.盗撮しようと思い、スマートフォンのカメラを下に向けたけど思いとどまりました。罪になりますか?

盗撮の意思をもってスマートフォンのカメラを下に向けた場合、撮影に至っていなくても罪に問われる可能性はあります

たとえ未遂に終わったとしても、性的姿態等撮影罪は成立し、罰せられることが法律で定められています。

(性的姿態等撮影)

第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為

2 前項の罪の未遂は、罰する。

3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

引用元:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 | e-Gov法令検索

ただし、実際に撮影することなく踏みとどまった場合は、刑の減刑や免除がおこなわれることもあります。

(未遂減免)

第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

引用元:刑法 | e-Gov法令検索

Q7.別の事件で前科がある場合は、罪は重くなりますか?

別の事件で前科があるからといって、必ずしも罪は重くなるとは限りません

しかし、前科がある場合や再犯の場合は罰が重くなる傾向にあります。

そのため、懲役刑が下されることも覚悟しておかなければなりません。

Q8.相手に盗撮がバレたかもしれません。自首したほうがよいでしょうか。

盗撮が相手にバレている可能性があり、逮捕される心配をしているのであれば、自首することをおすすめします。

自首すれば捜査機関に反省の態度を示せるので、不起訴処分や減刑につながるかもしれません。

被害者から被害届が出されたり、防犯カメラに犯行が映っていたりと、盗撮した事実はいつ明るみになるかわからないものです。

もし逮捕されてしまうと長期間の身柄拘束を受け、会社や学校に盗撮したことがバレてしまう可能性もあります。

逮捕を回避して事態を穏便に済ませるためにも、弁護士と相談しながら、自首することを前向きに検討してみてください。

さいごに|盗撮事件で逮捕されたら早めに弁護士に相談を

盗撮事件で逮捕された場合、初動によってその後の運命が大きく変わるため、できるだけ早く弁護士に相談してください。

逮捕後最大72時間は家族や友人であっても面会は認められず、頼ることができるのは基本的に弁護士だけです。

弁護士の弁護活動がうまくいけば早期釈放が期待できるうえ、不起訴となる可能性も出てくるでしょう。

もし起訴されてしまうと、99%以上は有罪となります。

前科がつき、さまざまな不利益が生じるリスクを少しでも抑えたいのであれば、一刻も早く刑事事件が得意な弁護士にサポートを依頼しましょう。

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この記事の監修者
須賀翔紀 (東京弁護士会)
刑事分野全般に注力しているが、幅広い分野の相談が可能。依頼者に寄り添った迅速丁寧な対応を心がけているほか、オンラインでの面談も可能なため遠方の依頼者でも柔軟に相談を受け付けている。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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