盗撮事件で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。
- 仕事や学校に影響が出る可能性
- 重い罰則が科される可能性
- 前科がつく可能性がある
逮捕後72時間以内の対応で、今後の生活が大きく変わる恐れもあります。
対応を間違い一生後悔しないためにも、弁護士への相談をご検討ください。
盗撮は、カメラ機能がついたスマートフォン・携帯電話が急激に普及したことで増えた犯罪といえます。
以前は秘匿撮影に適したカメラ・ビデオなどの資器材が必要でしたが、最近では手軽に撮影できるデバイスを誰もが持っているため、盗撮事件が急増しています。盗撮はいまや、「誰でも犯罪者になりうる身近な犯罪」になったのです。
軽はずみな行動によって逮捕される、容疑をかけられて警察の呼び出しを受けるといった事態も十分に予想されます。
この記事では「盗撮」に焦点をあてて、逮捕されるとどのような刑罰を受けるのか、逮捕された場合の具体的な対処法などを解説します。
盗撮事件で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。
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まず確認しておきたいのが、日本の法律には「盗撮罪」や「盗撮禁止法違反」といった犯罪は存在しないということです。盗撮行為は、盗撮そのものや盗撮に付随する行為を罰する法律によって規制されます。
盗撮を処罰する罪名と刑罰は次のとおりです。
罪名 |
刑罰 |
迷惑防止条例違反 |
1年以下の懲役または100万円以下の罰金(※東京都の場合) 常習の場合は最大2年以下 |
軽犯罪法違反 |
拘留または科料 ※拘留=1日以上30日未満の刑事施設での収監 科料=1,000円以上1万円未満の金銭徴収 |
刑法の住居侵入罪 |
3年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
迷惑防止条例は、各都道府県や自治体が独自に定めているものです。
「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」や「◯◯県迷惑行為等防止条例」といった名称が一般的ですが、一部の自治体では別の名称が使用されています。
迷惑防止条例を最初に制定した東京都を例に、盗撮を規制する条文をみてみましょう。
【第5条 粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止】 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。 (2)次のいずれかに掲げる場所または乗物における人の通常衣服で隠されている下着または身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、または撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、もしくは設置すること。 イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所 ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定または多数の者が利用し、または出入りする場所または乗物(イに該当するものを除く。) ※(1)(3)は省略 【第8条2項 罰則】 第5条第1項(第2号にかかる部分に限る)の規定に違反して撮影した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。 |
条文を読み解くと、撮影をしていなくても「撮影目的でカメラを向けた・設置した」時点で罪に問われる可能性があります。
迷惑防止条例において禁止される盗撮行為は、おもに「公共の場所」におけるものに適用されます。電車やバスなど公共の乗り物のほか、公衆トイレなどでの盗撮が典型例となるでしょう。
また、近年では東京都・大阪府などを中心に条例が改正され、公共の場所だけに限らず学校や事務所、タクシーの車内などでの盗撮も規制の対象になりました。
改正された自治体では、会社・学校・商業施設など、不特定または多数の人が利用するさまざまな場所において盗撮が禁止されています。
迷惑防止条例で禁止される盗撮は「衣服を着けないでいるような場所」や「通常、衣服で隠されている下着・身体」の撮影が対象となります。
たとえば、通行人の姿を隠し撮りするような行為は原則的に規制されていませんが、着衣のままでも胸や臀部などの性的な部位を中心に撮影すれば「卑わいな言動」として処罰されることがあるので要注意です。
軽犯罪法は、軽微な秩序違反にあたる行為を規制する法律です。
【第1条】 左の各号のひとつに該当する者は、これを拘留または科料に処する。 23 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者 |
軽犯罪法では「撮影」を規制するのではなく、撮影の前提となる「のぞき見」を規制しています。
軽犯罪法におけるのぞき見の規制では、場所が「人の住居・浴場・更衣場・便所」などが例示されています。
迷惑防止条例とは異なり「公共の場所」という限定がないため、あらゆる場所での盗撮が規制されると考えるべきでしょう。
盗撮は、刑法第130条の「住居侵入罪」で逮捕されることもあります。
【第130条 住居侵入等】 正当な理由がないのに、人の住居もしくは看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、(中略)者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。 |
いわゆる「不法侵入」を処罰するのが住居侵入罪です。盗撮の前提行為としての「侵入」を処罰するため、広く適用されるおそれがあります。
住居侵入罪で逮捕されるのは私有地に侵入した場合です。盗撮目的で他人の私有地に立ち入る行為は「正当な理由がない」とみなされます。
また出入りが自由な店舗などでも、盗撮目的であることが立証されてしまえば「正当な理由がない侵入」とみなされ、同条の「建造物侵入罪」に問われるので注意が必要です。
盗撮は現行犯逮捕を受けやすい犯罪だといえます。現行犯逮捕とは、現に罪をおこなっている、または罪をおこない終わって間がない場合におこなわれる逮捕です。
通報を受けてかけつけた警察官が逮捕するケースのほか、被害者や目撃者に取り押さえられた場合も「私人の現行犯逮捕」となります。
噂やインターネットの情報では「盗撮は現行犯逮捕でしか逮捕できない」という情報がありますが、これは間違いです。
その場では被害者に気づかれなかった、目撃者などに捕まりそうになったが上手く逃げ切れたなどのケースでも、いたるところに設置されている防犯カメラに盗撮している様子が記録されていることがあります。
警察が所要の捜査をすれば個人が特定されてしまい、逮捕状が発付されて犯行の後日に通常逮捕される可能性はあります。
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盗撮容疑で逮捕されてしまうと、さまざまなリスクが生じます。
その後の生活や人生に悪影響を与えてしまうものなので、ここで確認しておきましょう。
盗撮の容疑で逮捕されると、まず警察段階で48時間以内の身柄拘束を受けます。
さらに、検察官に送致された段階で24時間以内の身柄拘束を受けたうえで、勾留が認められてしまうと最長20日間まで延長されてしまいます。
検察官に起訴された段階で一時的な釈放となる「保釈」の請求が認められますが、その間までの23日間は帰宅・外出・連絡などの一切が認められません。
仕事や学校を長期にわたって休むことになり、就業規則の内容次第では解雇の対象になってしまうリスクも否定できないでしょう。
刑事手続きの流れについては、ほかの記事でもさらに詳しく解説しています。
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検察官が「罪を問うべき」と判断した場合は、裁判所に起訴されます。
起訴された場合は刑事裁判に移行することになり、ここで有罪となれば刑罰が科せられるのです。
日本の司法制度では、刑事裁判にかけられてしまうと99%以上という高い割合で有罪判決が下されてしまいます。異常なまでに高い割合で有罪となるのは、起訴までの間に徹底して証拠が精査されているからです。
検察官は確実に有罪判決が下される事件を厳選して起訴しています。つまり、起訴されてしまえば無罪判決はまず期待できません。
有罪判決が下されると、法定刑の範囲内で懲役・罰金・拘留・科料といった刑罰に処されます。すぐに刑務所に収監されてしまう実刑判決を避けることができても安心はできません。
一定期間の執行猶予が得られた場合や、罰金・科料といった金銭の支払いで済まされた場合でも、有罪判決を受けて刑罰が下された時点で「前科」がつきます。
前科がついてしまうと、一定の職業に就けない、海外渡航に制限がかかるなどの不利益が生じてしまいます。
以前にも盗撮事件を起こして懲役刑に処されたうえで、刑の執行が終了した日、または執行猶予を得た日から5年以内にふたたび盗撮事件を起こしてしまうと「再犯」として扱われます。
再犯の場合、累犯加重といって最長で2倍の懲役刑が下されてしまうため、長期に渡って社会から隔絶されてしまうおそれがあるでしょう。
また、厳密に再犯には該当しない場合でも、過去に盗撮事件を起こした経歴があるうえでさらに盗撮事件を起こせば「反省していない」と評価されてしまいます。
執行猶予や罰金刑では済まされず、実刑判決が下されやすくなるので注意が必要です。
逮捕・起訴・刑罰に関しては別の記事でもさらに詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。
【関連記事】
起訴されると99.9%の確率で有罪|不起訴処分となる3つのポイント
盗撮行為で警察に逮捕されてしまったら、ただちに弁護士に相談しましょう。
弁護士のサポートが得られれば、面会禁止のときでも外部との連絡役になってくれたり、取調べにあたっての助言をしてくれたりします。
警察に逮捕されてしまうと、勾留が決定するまでの72時間は家族といえども一切の面会が認められません。逮捕直後で焦りや危機感が強いなか、家族との面会や連絡も許されない時間は非常につらいものになるでしょう。
この期間において逮捕された本人と面会できるのは、独自の接見交通権をもつ弁護士だけです。弁護士に依頼すれば、家族に対して必要な連絡を取ることも可能になります。
逮捕されて不安を感じているのは自分だけではありません。残された家族も状況がわからず強い不安を抱いているので、弁護士に依頼して状況を伝え合いましょう。
刑事事件に注力している弁護士は、数多くの刑事弁護を経験していることが多いです。そのため盗撮事件の捜査や取調べが、どのように進んでいくのかを熟知しています。
捜査・取調べに際するさまざまな助言や対策を得られるのも、弁護士に相談する大きなメリットとなるでしょう。
警察官・検察官による取調べでは、供述内容がまとめられた供述調書が作成されます。
刑事裁判における証拠となるため、事実と異なる供述調書が作成されてしまうと多大な不利益を被ってしまう事態になりかねません。
弁護士のサポートを受けることで、不用意な発言や曖昧な同意は避ける、供述内容とは異なる調書には署名しないなど、具体的なアドバイスが期待できます。
弁護士は、逮捕された被疑者用の「被疑者ノート」の差し入れも可能です。
被疑者ノートには、日々の取調べや留置の状況を自由に記録できるので、不当な取調べや処遇があった場合に記録しておけば「暴力を受けて自白を強要された」などの証拠にもなり得るでしょう。
【関連記事】
被疑者ノートとは?被疑者の権利を守るツールの入手方法、活用方法を解説
弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉や捜査機関へのはたらきかけも可能です。
示談交渉を進めるには被害者の住所や連絡先などの情報を入手する必要がありますが、捜査機関から逮捕された本人やその家族に開示されることはまずありません。弁護士のサポートがないと、示談交渉を始めることさえ叶わないケースも多いでしょう。
また捜査機関に対して、身柄拘束は不要である、起訴は妥当ではないといった意見を述べることができるのも弁護士の強みです。
被害者との示談が成立すれば、被害届や告訴が取り下げられることで検察官が不起訴処分を下す理由となる可能性があります。不起訴処分が下された場合、その時点で事件は終了となり即日で釈放されます。
示談成立のためには、謝罪や反省を伝えるだけでなく示談金の支払いも必要です。盗撮事件における慰謝料や示談金については、別の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
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盗撮事件を起こして逮捕されてしまうと、刑罰を受けるリスクを負うだけでなく、その後の人生にも多大な悪影響を及ぼしかねません。
ただちに弁護士に相談して弁護活動を依頼し、適切なタイミングで最善を目指したサポートを受けましょう。
盗撮事件における逮捕は、現行犯逮捕に限りません。証拠が残っていれば逮捕状による後日の通常逮捕もあり得るので、逮捕に不安を感じている方は身柄を拘束されていないうちに弁護士に相談して対策を講じておくことをおすすめします。
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