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教員が盗撮で逮捕された場合|懲戒処分や教員免許資格剥奪の可能性

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
教員が盗撮で逮捕された場合|懲戒処分や教員免許資格剥奪の可能性

教員盗撮行為で逮捕されるといったことがあれば、職場から解雇といった処分を受けて職を失ったり、行政処分として教員免許が停止されたり、取り消されたりする可能性があります。

公立学校と私立学校では処分や手続きの内容に若干の違いがありますが、大まかなリスクは共通しています。

このような場合、逮捕後に的確な対応をすることで、リスクをできる限り抑制することができるかもしれません。

この記事では、教員が逮捕されたときにどのような対応をするべきかについて簡単に解説いたします。

盗撮で逮捕された人やご家族の方へ

逮捕された場合、可能な限り早急に弁護士をつけることをおすすめします。

適切な対処が遅れてしまうと、不起訴処分をしてもらうための活動に、タイムリミットができてしまうのです。

逮捕後の取調べへの適切な助言と、被害者との示談交渉が成立すれば、リスクを最小限に抑えられる可能性があります。

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盗撮は犯罪行為となり得る

盗撮は、盗撮の対象や態様によっては犯罪行為となり得ます。具体的に盗撮行為は、以下のような法律・条例に違反する可能性があるのです。

各都道府県の迷惑防止条例違反

各都道府県には「迷惑防止条例」という条例が制定されており、一定の範囲で盗撮行為を処罰対象としています。

例えば東京都の条例では、以下のように定めがあります。

次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体 を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し 向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる ような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用 し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

東京都 迷惑防止条例

東京都の条例では上記処罰対象となる盗撮については、1年以下の懲役刑又は100万円以下の罰金刑と定めています。

他の都道府県についても、概ね同様の処罰が予定されています。

児童ポルノ禁止法違反

盗撮が「児童ポルノ禁止法違反」となるケースもあります。

児童ポルノ禁止法違反は、18際未満の者のわいせつな画像を「所持」等することを禁止し、加えて、これをひそかに撮影して「製造」することも禁止しています。

例えば、中高生のわいせつな画像を密かに盗撮してコレクションしているような場合、その盗撮行為は児童ポルノ禁止法違反として重く処罰される可能性があります。

盗撮のための立入りについて住居侵入罪

盗撮カメラを仕掛けたり、撮影行為を行うために他人の敷地内に侵入したりすると、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」が成立する可能性があります。

盗撮で逮捕された場合の詳細については、以下記事も参考にしてみてください。

【関連記事】盗撮で逮捕されたら|拘束期間や罰則など逮捕後の流れについて

教員が盗撮で逮捕され懲戒処分になる可能性

教員が処罰対象とされている盗撮行為で逮捕された場合、職場から懲戒解雇普通解雇等されて職を失うといったリスクがあります。

また職を失わないまでも、当該盗撮行為により秩序を乱したものと認められれば、降格・降給や出勤停止などの重い懲戒処分を受ける可能性があるので。

これは、盗撮に限られたことではありません。たとえ私生活上の事柄であっても、組織・企業に雇用されている者が、職場の秩序を乱すような行為をすれば、それ相応の人事処分や懲戒処分を受ける可能性があります。

一般的に懲戒処分は、以下のような種類があります。

種類

内容

懲戒解雇

懲戒処分として即時解雇する

諭旨解雇

労働者に自主退職を求め、応じない場合には懲戒解雇する

降格

役職・職位を引き下げる

出勤停止

一定期間就労を禁止し、
その間の賃金を支給しない

減給

賃金を一定の範囲で減額し、反省を促す

譴責

厳重注意をし、反省を求める

戒告

厳重注意をし、反省を求める

表の上にあるほど処分は重く、特に懲戒解雇や諭旨解雇は、極めて重い処分であると考えられています。

盗撮行為についてどのような処分となるのかはケースバイケースですので、一概にはいえません。しかし犯行が悪質で、社会的に広く報道されてしまったような場合、懲戒解雇や諭旨解雇などの重大な懲戒処分となる可能性も否定できません。

懲戒処分は誰が決めるのか

懲戒処分を決定するのは、公立学校の場合には所管当局(人事院もしくは人事委員会)が、人事処分について判断・決定します。私立学校の場合には、学校法人が判断・決定します。

また特に教員は、教育者として優れた人格を有すべきという感覚が、社会的に広く持たれてます。盗撮行為を一般人よりも重く評価される可能性は否定できず、比較的厳重な処分をくだされる可能性があるでしょう。

公立学校の場合も私立学校の場合も基本的な考え方は同じ

私立学校でも公立学校でも、教員による盗撮行為に対するスタンスは基本的に同じでしょう。仮に教員が盗撮行為で立件された場合、私立学校は懲戒解雇を含む重い処分が検討されることになるでしょうし、公立学校の場合も懲戒免職を含む重い処分が検討される可能性があります。

なお私立学校の行うペナルティは「懲戒処分」と呼び、公立学校の行うペナルティは「分限処分」と呼びますが、基本的な考え方は同じです。

教員が盗撮で逮捕されて教員免許を失う可能性

教員が盗撮で逮捕された場合、教員免許そのものを失う可能性があるのでしょうか。

教育職員免許法には、以下のように記載されています。

国公立学校を懲戒処分になった場合は失効

国公立の教員が懲戒免職となった場合、教員免許が失効してしまいます。教育職員免許法第十条に、以下のように記載されています。

第十条 免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う。

一 第五条第一項第三号、第四号又は第七号に該当するに至つたとき。

二 公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けたとき。

三 公立学校の教員(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十九条の二第一項各号に掲げる者に該当する者を除く。)であつて同法第二十八条第一項第一号又は第三号に該当するとして分限免職の処分を受けたとき。

教育職員免許法第十条

教員免許が効力を失うと、現在勤めている学校だけではなく、別の学校で教員を勤めることもできません。

教員として、完全に職を失ってしまう可能性が高くなります。

私立の場合は取り上げられる

私立学校の教員の場合も、懲戒免職相当の事由により解雇されたと認められる場合には、「免許の取上げ処分」が行われ、当該処分について通知されることで免許が失効します。

教育職員免許法で、以下のように記載されています。

1 国立学校、公立学校(公立大学法人が設置するものに限る。次項第一号において同じ。)又は私立学校の教員が、前条第一項第二号に規定する者の場合における懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められるときは、免許管理者は、その免許状を取り上げなければならない。

4 前三項の規定により免許状取上げの処分を行つたときは、免許管理者は、その旨を直ちにその者に通知しなければならない。この場合において、当該免許状は、その通知を受けた日に効力を失うものとする。

教育職員免許法第十一条

第十条では公立学校の教員のみが対象でしたが、第十一条では私立学校の教員にも当てはめています。

公立・私立は関係なく、懲戒免職相当の事由により解雇されたと認められる場合には、教員免許を失ってしまうのです。

3年後に再取得できるが教職復帰は難しい

教育職員免許法第十条・第十一条により免許が失効した場合、失効又は処分の日から3年経過しなければ、教員免許を取得する事はできないとされています。

逆に言えば、免許が失効しても、失効日又は処分日から3年以上経過していれば、再取得は可能ということです。

しかし法律上免許を再取得できたからといって、再び学校教員として教壇に立てるかどうかはわかりません。たとえば過去に盗撮行為で逮捕されたり、起訴されて有罪判決を受けたりしたことが、社会に広く報道されていた場合、インターネットが普及した現代社会では、再就職先が容易にその事実を把握できます。

そのような経歴が知られれば、学校としては採用に躊躇するのは当然でしょう。そのため教員が盗撮行為で逮捕されたり、有罪となったりしたことが報道されていれば、教員としての復帰はかなり困難になると考えても良いかもしれません。

教員が盗撮で逮捕された場合の対応

教員が盗撮で逮捕されたときに、重い懲戒処分を受けたり、教員免許が失効してしまったりするリスクを、できる限り回避するためには、どのように対応すれば良いのでしょうか。

懲戒解雇・懲戒免職となるケース 

公立学校は特殊であるため、私立学校にフォーカスして解説します。私立学校教員が盗撮行為で逮捕・起訴されて処分されるのは、あくまで職場が当該刑事事件について認知した場合です。

教員による盗撮行為が職場でされた場合はともかく、完全に私生活上の事柄であるような場合、当該非違行為と職務には直接の関係がありません。

教員が盗撮で逮捕されても懲戒処分を避けられるケース

言い方は悪いですが、仮に逮捕されたり、起訴されたりしても職場がその事実を知らなければ、処分を受けることはありません。また職場に対して、積極的に刑事事件の被疑者・被告人となった事を伝える義務も、通常はないでしょいう。

私立学校教員についていえば、盗撮行為で懲戒解雇となる可能性が高いのは、盗撮行為で立件されたことが職場に知られている場合かつ、当該事実が学校の職務を通じて行われたり、広く報道されたりして学校の名誉・信用を著しく傷つけたような場合であるといえます。

逆に言えば、このようなケースに当たらなければ必ずしも懲戒解雇となるわけではありませんし、懲戒解雇とならなければ教員免許が失効しない可能性もあります。

公立学校の場合、刑事事件の被疑者・被告人となったことが職場に知られないで通すことができるのか、社会的に公表されないことがあり得るのかという点で、私立学校とは異なる対応が必要にるかもしれません。

素早い対応がリスク回避につながる

上記のように、教員が重い処分を受けるのは、職場に逮捕・勾留・起訴等の事実が知られてしまった場合や、これら事実が広く報道されてしまった場合と考えて良いでしょう。

しかし深刻な不利益をできる限り回避したいのであれば、できる限り刑事事件を迅速・穏当に解決するということがいえそうです。

盗撮行為をしたかしないかに争いがある場合は現実的に困難ですが、もし盗撮行為が事実であれば、被害者との示談処理を進めることで、上記解決を実現することができるかもしれません。

被害者との示談交渉を目指す

盗撮行為のように、被害者が存在する犯罪の場合、被害者との間で示談が成立しているかどうかは、刑事処分を検討する上で重視される傾向にあります。

盗撮行為で逮捕された場合でも、被疑事実が間違いなければ、これを素直に認めつつ被害者との間で、早急に示談交渉を進めましょう。その場合は勾留の必要はないとして、速やかに身柄が解放される可能性があります。

身柄拘束が一時的なもので済めば、職場に逮捕された事実を知られることなく済む可能性は、十分にあるでしょう。ちなみに警察は、逮捕した事実を職場に通知することはありません。

また逮捕・勾留されたとしても、身柄拘束期間中に被害者との間で示談処理を進められれば、これを重視した検察が事件を起訴しない場合があります。もしくは略式手続によって、罰金刑で処理するということもありえるでしょう。

この場合も刑事事件が速やかに終了するので、職場に刑事事件の被疑者として逮捕・勾留された事実を知られずに済むかもしれません。

このように、逮捕後に被害者との示談を含む的確な対応をすることで、刑事事件の被疑者・被告人となることによる不利益・リスクを抑制することができます。

このような的確な対応は、早いにこしたことはありません。必要であれば、即時弁護士に依頼し、示談交渉を検討してみてください。

国選弁護人も選べるが私選弁護人がおすすめ

刑事弁護人には、「国選弁護人」と「私選弁護人」があります。

国選弁護人の場合には弁護士費用が不要ですが、国選弁護人を選任できるのは、逮捕後に勾留という比較的長期の身体拘束処分を受けた場合に限られます。

そのため逮捕後勾留前の期間(最長72時間)は、国選弁護人による弁護活動を受けることができないという点はデメリットといえるでしょう。

また国選の場合、どのような弁護士に対応してもらえるかはわかりません。日頃、刑事事件を多く取り扱っていない弁護士や、性犯罪に積極的でない弁護士もいます。また国選弁護人制度では費用が限られているため、弁護士の活動内容も制限されてしまう可能性があるのです。

逮捕直後から十分な知識・経験を有する弁護士に刑事弁護活動を依頼したいと考えるのであれば、国選弁護人よりも私選弁護人に依頼することを検討した方がよいかもしれません。

私選弁護人であれば、逮捕直後から弁護活動を開始することができます。また、依頼する弁護士を自身(身柄拘束を受けている場合は家族等)で吟味することができます。

刑事事件の中でも、性犯罪・盗撮事件に強いと思われる弁護士に依頼するということもできます。もちろん、費用はかかりますが、1日でも早い弁護活動開始を希望するのであれば、私選弁護人に依頼する方がベターかもしれません。

国選弁護人と私選弁護人の比較については、以下記事も参考にしてみてください。

【関連記事】私選弁護人と国選弁護人を比較|どちらに相談するか迷っている人必見

まとめ|教員が盗撮で逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぶ

教員が盗撮で逮捕されたときには、免職や免許失効・取り上げなどの不利益を受ける可能性があります。そのため、できる限り早急に的確な刑事弁護を受けることを積極的に検討するべきでしょう。

特に社会的責任がある教員の場合は、専門知識・経験を有する弁護士のサポートが、大きな役割をもつ場合があります。

以下を参考にして、刑事事件・性犯罪に積極的に取り組んでくれる弁護士を探し、相談・依頼を検討してみてください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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