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各犯罪に対する公訴時効一覧と時効が成立した未解決事件を紹介

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
各犯罪に対する公訴時効一覧と時効が成立した未解決事件を紹介

公訴時効とは、刑事上の時効の概念で、犯罪が終わってから一定期間が過ぎると、公訴の提起(起訴)ができなくなることです。
 
時効という言葉は聞いたことがあるでしょう。しかし、時効には様々な種類があります。例えば、借金の返済の時効や、損害賠償請求の時効、残業代が請求できる時効などもあります。公訴時効とは、簡単に言うと犯罪に対する時効です。
 
今回は、公訴時効の一覧と、公訴時効の仕組みについて解説していきます。

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公訴時効がある理由

やはり、一部では「公訴時効はなぜあるのか」という声も聞きます。しかし、いくつかの理由があるからこそ公訴時効が存在しています。
 

いつまでも捜査できない

捜査にあたって、証拠が重要になりますが時間が経つに連れ、人の記憶は薄れていき、証拠が風化していきます。いつまでも捜査を続けることはできないのです。また、捜査員の数や労力にも限界があります。
 
例えば、20年前に起きた連続強盗事件の捜査を未だ続けていて、最近起きた殺人事件の捜査がおろそかになってしまうと、世間の声も「昔の事はいいから、今の事件を解決させてくれよ」となるでしょう。
 

被害者感情が弱まる

事件の程度によっては、「犯人を罰して欲しい」という被害者感情も薄れてきます。むしろ、いつまでも捜査されていては事件のことを忘れようとも忘れられません。また、事件によっては、被害者本人や周囲の人物も犯人として疑われた形で捜査されるケースもあります。
 
「自分や家族が犯人として捕まるかもしれない」そのような、感情でいつまでも過ごすことは精神衛生上よくないでしょう。
 

公訴時効が無い犯罪もある

しかし、それでも公訴時効が無い犯罪もあります。下記でも説明しますが、「人を死亡させて、死刑に当たる罪」は公訴時効がありません。ただ、2010年に公訴時効の内容が改定され、それ以前は、それらの犯罪にも公訴時効がありました。
 
「人を死亡させて、死刑に当たる罪」に公訴時効がなくなった背景には、世間の声や、DNA型鑑定などによる科学的捜査の手法が確立されてきていることがあります。
 

公訴時効一覧(2016年1月段階)

それでは、公訴時効の一覧を解説していきます。
 

公訴時効なし

人を死亡させて、死刑に当たる罪に関しては公訴時効がありません。
 

❏主な犯罪

殺人罪・強盗殺人罪など
 

公訴時効30年

人を死亡させて、無期懲役・禁錮刑に当たる罪は公訴時効が30年になります。
 

❏主な犯罪

強姦致死罪・強制わいせつ致死罪など
 

公訴時効25年

人を死亡させていない、死刑に当たる罪は公訴時効が25年になります。
 

❏主な犯罪

現住建造物等放火罪・現住建造物等侵害罪・外患誘致罪・外患救助罪など
 

公訴時効20年

人を死亡させて、長期20年の懲役・禁錮刑に当たる罪は公訴時効が20年になります。
 

❏主な犯罪

傷害致死罪・危険運転致死罪など
 

公訴時効15年

人を死亡させていない、無期懲役・禁錮刑に当たる罪は公訴時効が15年になります。
 

❏主な犯罪

強盗強姦罪・身代金目的略取罪・通貨偽造罪など
 

公訴時効10年

人を死亡させて、長期20年に満たない懲役・禁錮・その他の刑に当たる罪は公訴時効が10年になります。
 

❏主な犯罪

業務上過失致死罪・過失運転致死罪など
 
また、人を死亡させておらず、長期15年以上の懲役・禁錮刑に当たる罪も公訴時効が10年になります。
 

❏主な犯罪

強盗罪・傷害罪など
 

公訴時効7年

人を死亡させておらず、長期15年未満の懲役・禁錮刑に当たる罪は公訴時効が7年になります。
 

❏主な犯罪

窃盗罪・詐欺罪・恐喝罪・業務上横領罪など
 

公訴時効5年

人を死亡させておらず、長期10年未満の懲役・禁錮刑に当たる罪は公訴時効が5年になります。
 

❏主な犯罪

未成年者略取罪・受託収賄罪など
 

公訴時効3年

人を死亡させておらず、長期5年未満の懲役・禁錮・罰金刑に当たる罪は公訴時効が3年になります。
 

❏主な犯罪

暴行罪・名誉毀損罪・過失傷害罪・過失致死罪・威力業務妨害罪・器物損壊罪など
 

公訴時効1年

拘留・科料に当たる罪は公訴時効が1年になります。
 

❏主な犯罪

侮辱罪・軽犯罪法違反など
 

公訴時効は改正されている

上記でも少し触れましたが、公訴時効は数年単位で改正されています。理由としては、上記のように、世間の声や、捜査手法の変化によるものです。主な改正された公訴時効は以下のようになります。
 

改正後

改正前

罪の内容

公訴時効なし

25

人を死亡させ、死刑に当たる罪

30

15

人を死亡させ、無期懲役・禁錮刑に当たる罪

20

10

人を死亡させ、上限が20年の懲役・禁固刑に当たる罪

10

5年又は3

人を死亡させ、長期20年に満たない懲役・禁錮・その他の刑に当たる罪

このように、公訴時効は伸ばされていく傾向が見られます。大きな理由として、科学的捜査手法の確立と、犯罪自体が減少傾向にあり、1つずつの捜査により重点を置いて捜査が出来るようになってきたことが言えるでしょう。

公訴時効はどの段階で停止するのか

ドラマなどで「時効ギリギリで逮捕!」という展開を見たことがないでしょうか。厳密に言うと間違っている事もあります。
 

公訴時効の停止は起訴後

冒頭で触れましたが、公訴時効とは、犯罪発生後、起訴することができなくなる期間のことです。刑事手続では、逮捕後しばらくの捜査期間を経て起訴・裁判へと進みます。(詳しくは「逮捕後の流れ」をご覧ください。)
 
通常、逮捕後数日~3週間程度の期間を経て起訴される事になります。被疑者が否認などすれば、期間が長くなる傾向にあります。例えば、公訴時効3年の器物破損罪で2年と362日目に逮捕されたとしましょう。(滅多に起きない出来事ですが)
 
逮捕後、スムーズに取り調べ等が済み、被疑者からの自供が取れれば、3日後に起訴ができ、公訴時効が停止します。しかし、仮に被疑者が公訴時効の存在を知っていて、「自分はやっていない」と粘って捜査が長引くと、公訴時効が成立し、起訴することができなくなってしまいます。
 
ですので、仮に公訴時効ギリギリで逮捕したとしても、その後起訴までに公訴時効が成立してしまうと、起訴されず、そのまま釈放されることになります。
 

公訴時効が成立した未解決事件の一例

余談にはなりますが、公訴時効が成立した事件と概要を簡単に紹介していきます。
 

三億円事件 1968年発生 1975年公訴時効成立

犯罪史の中でも最大のミステリーとなっているため、ご存知の方も多いでしょう。犯人グループが、白バイ隊を装い騙し、現金輸送車ごと乗っ取り逃走した事件です。
 
犯行に、暴力や恐喝が使われていないので、窃盗罪として捜査が進められ、公訴時効も7年と短く、犯人の見当が全くつかないまま未解決事件になってしまいました。※ちなみに、当時の三億円は現在の十億円相当に値します。
 

井の頭公園バラバラ殺人事件 1994年発生 2009年公訴時効成立

東京都三鷹市の井の頭恩賜公園に人の足首が入ったポリ袋が発見された事件です。体内の血が全て抜かれる、指紋が削り取られるなど、犯行が緻密で、目撃情報も少なかったため、捜査が難航し、未解決事件となりました。
 
1994年当時の殺人罪の公訴時効は15年で、2009年に公訴時効を迎えています。
 

グリコ森永事件 1984・1985年発生 2000年公訴時効成立

1984年、江崎グリコの社長が誘拐され、身代金が要求された事件を始め、その後も食品企業に対し、脅迫や放火が行なわれた事件です。1985年に起きた青酸入り菓子事件を最後に事件は収まりました。
 
しかし、捜査は難航し、1985年の青酸入り菓子事件の殺人未遂罪の公訴時効(15年)の成立で未解決事件となりました。
 

札幌信金OL殺人事件 1990年発生 2005年公訴時効成立

1990年に札幌信用金庫職員の女性が殺害される事件が発生しました。現場付近に落ちていた預金通帳の指紋や、自宅にあった「捕まらないため逃げる」と書かれたメモなどから、犯人Aの目処はたち、全国指名手配されました。
 
しかし、その後もAの行方はつかめず、2005年に公訴時効を迎え、未解決事件となってしまいました。犯人の目処は立っていたのに、逮捕に至らず公訴時効が成立した珍しいケースです。
 

チ-37号事件 1961年発生 1973年公訴時効成立

秋田市にある日本銀行で、廃棄処分される千円札の中から偽千円札が見つかり、その後2年間、22都道府県で343枚の偽千円札が見つかった事件です。「チ」は紙幣偽装事件の千円札を意味する警察が使うコードのことで、37番目に起きた偽千円札偽装事件のため「チ-37号事件」と呼ばれています。
 
偽札の特徴が報道されるたびに改良がされ、目撃情報が複数あったものの検挙まで至らず、最後に偽千円札が発見された1963年の10年後の1973年に公訴時効が成立し、未解決事件となりました。
 
日本の偽札史上、最高の芸術品とまで言われ、この事件を機に、千円札の肖像画が聖徳太子から伊藤博文に切り替わっています。
 

まとめ

いかがでしょうか。公訴時効とは、犯罪における時効のことです。「犯罪に時効があれば犯人が逃げきれるではないか」と思われる方もいるでしょうが、未解決事件はそう滅多にあるものでもありません。
 
軽微な事件でも数年単位で公訴時効がありますので、逃げきれることはほとんど無いでしょう。更には、通常の人であれば、その間罪悪感に悩まされるでしょう。

事件の当事者になってしまったのであれば、納得出来ない部分もあるかもしれませんが、これ以上捜査が進められないと判断する基準として、公訴時効があることをご留意ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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