家庭内の盗撮も犯罪になる?問われる罪や逮捕の可能性について解説
家庭内での盗撮は「身内のことだから大丈夫」と思われがちですが、実は立派な犯罪にあたる場合があります。
この記事では、家庭内盗撮がどのような行為を指すのか、どんな場合に犯罪となるのかをわかりやすく解説します。
また、逮捕を避けたい・被害を穏便に解決したいと考えている方に向けて、適切な対処法や相談先も紹介します。
トラブルを大きくしないためにも、まずは正しい知識を身につけましょう。
家庭内の盗撮も法律的な問題になる
夫婦間、家庭内のトラブルは、当事者間のちょっとした揉めごとに過ぎず、外部の第三者が介入するものではないと認識されがちです。
しかし、当事者の行為が犯罪や不法行為に該当する場合には、家庭内トラブルであったとしても、法律トラブルに発展する可能性があります。
以下では、家庭内の盗撮において法的に問われる可能性があるリスクについて見ていきましょう。
家庭内の盗撮であっても撮影罪が適用される可能性がある
まず、家庭内での盗撮であっても、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」に基づいて撮影罪が適用される可能性があります。
撮影罪とは、「性的な目的で、相手の身体(下着などを含む)を同意なく撮影した」場合に適用される犯罪類型のことです。
夫婦や恋人などの関係であっても、相手の了解なしに隠しカメラを設置し、性的姿態等を撮影した場合には、立派な犯罪として逮捕・立件されるおそれがあります。
法定刑としては、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑が設けられており、「家庭内だから」「自分の家だから」という理由で免責されることはなく、行為の目的や撮影状況によっては厳しく処罰される点に注意が必要です。
家族に訴えられたり慰謝料を請求されたりする可能性もある
家庭内での盗撮行為は、刑事責任だけでなく民事上の責任(損害賠償や慰謝料)を問われる可能性もあります。
たとえ夫婦や恋人、同居する家族といった身近な関係であっても、同意なく撮影をおこなえばプライバシーの侵害や人格権の侵害として訴えられることがあるのです。
また、婚姻関係にある場合は、盗撮を理由に離婚請求や親権争いに発展することもあります。
家庭内の盗撮は刑事事件として処罰されるだけでなく、家庭内での信頼関係を完全に失ってしまうリスクもあるため、「家庭内だから大事にならない」と軽く考えるのは危険です。
穏便に解決したい場合は、感情的に対応せず、弁護士など第三者を通じて誠実に話し合うことが重要です。
家庭内の盗撮で現行犯逮捕・後日逮捕の可能性もあり得る
家庭内での盗撮行為が発覚した場合、現行犯逮捕や後日逮捕に至るケースも少なくありません。
まず、現行犯逮捕とは、盗撮行為をしている最中や、撮影機材・データを持っているところを発見された際におこなわれる逮捕です。
家庭内でも、被害者が不審に思って隠しカメラを見つけたり、スマートフォンの録画履歴から発覚したりして、その場で警察を呼ぶケースがあります。
一方で、後日逮捕は、盗撮データの存在や証拠が後から確認された場合におこなわれます。
たとえば、カメラの映像データやクラウド上の記録が見つかり、捜査機関が証拠として押収・解析した結果、逮捕の必要性があると判断した場合は後日逮捕される流れです。
家庭内だからといって警察が介入しないわけではなく、被害者が被害届を出せば通常の犯罪として捜査・逮捕の対象になることを覚えておきましょう。
ただし、家庭内の盗撮行為が発覚すると必ず逮捕されるかといわれるとそうではありません。
逮捕が実施されるのは、以下の要件を満たすときのみです。
- 逮捕の相当性:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 逮捕の必要性:逃亡または証拠隠滅のおそれがあること
家庭内の盗撮で有罪になると前科がつく
家庭内の盗撮行為も性的姿態等撮影罪などに該当する犯罪なので、逮捕・勾留されると、そのまま有罪になる可能性があります。
そして、有罪になると刑事罰を科されるだけではなく、前科がつく点に注意が必要です。
前科とは、有罪判決が下された経歴のことです。
実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決や罰金刑が下されたときにも、前科持ちとして扱われます。
前科がつくと、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。
- 前科情報は賞罰欄付きの履歴書に記載しなければいけない
- 採用面接で前科の有無について質問されると回答する必要がある
- 記載義務・回答義務に違反して前科を隠したまま内定を獲得したり就職に成功したりしても、前科がバレると、経歴詐称を理由に内定取り消しや懲戒処分の対象になる場合がある
- 前科があるだけで就業できない仕事や取得できない資格がある(金融機関、士業、警備員、公務員など)
- 前科があるとビザやパスポートの発給が制限され、海外旅行や海外出張に支障が生じる場合がある
- 前科は法定離婚事由に該当すると判断されることが多いので、家庭内の盗撮が原因で前科がつくと、最終的に離婚を拒否できない
- 前科がある状態で再犯に及ぶと、刑事処分が重くなる可能性が高い など
家庭内での盗撮でも示談は有効
家庭内で盗撮事件を起こした場合であったとしても、速やかに示談成立を目指すのが重要です。
示談とは、刑事事件の当事者間で和解条件について話し合いをおこない民事的解決を図ることです。
示談が成立することで、刑事手続きにおける以下のメリットを得ることができます。
- 被害者が警察に相談する前に示談が成立すれば刑事事件化を防止できる
- 被害者が警察に相談をしたあとでも、示談成立によって被害届や告訴状を取り下げてもらえる
- 示談成立によって、起訴猶予処分や執行猶予付き判決などの有利な刑事処分・量刑判断を引き出しやすくなる
撮影罪の示談金(慰謝料)相場は10万円~100万円
示談金の条件は当事者が自由に決定できます。
示談交渉をするときには、盗撮事件の示談金相場を目安に、相手方と金額交渉をするとよいでしょう。
なお、性的姿態撮影等罪に該当するような盗撮事件を起こした場合の示談金相場は10万円〜100万円です。
たとえば、盗撮行為が1回限りで盗撮データをすぐに削除したようなケースなら示談金は引き下げやすいでしょう。
一方、長期間家庭内で盗撮行為に及んでおり、盗撮データを第三者に提供したりSNSなどにアップロードしていたりする場合には、示談金が高額になる可能性があります。
家庭内での示談交渉でも弁護士に相談・依頼することが推奨される
家庭内で盗撮行為に及んだ場合の示談交渉は弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。
というのも、刑事事件や示談交渉が得意な弁護士の力を借りることで、以下のメリットを得られるからです。
- 怒りや不安で感情的になっている被害者との間で冷静に話し合いを進めてくれる
- 示談金の金額を引き下げるなど、有利な示談条件での合意形成を期待しやすい
- 家庭内での盗撮行為が刑事事件化したとしても、早期の示談成立によって逮捕・勾留を回避したり、微罪処分・起訴猶予処分などの有利な刑事処分を引き出しやすくなる
- 家庭内の盗撮行為が原因で刑事裁判にかけられたとしても、執行猶予付き判決や罰金刑などの量刑判断を引き出すための証拠を用意して、実刑判決回避を目指してくれる
- 家庭内の盗撮行為がきっかけで離婚問題に発展したとしても、夫婦間の話し合いをサポートしてくれたり、調停や裁判などの手続きを代理してくれたりする
弁護士に相談するタイミングが早いほど、家庭内の盗撮トラブルをできるだけ穏便に終わらせやすくなります。
盗撮カメラが見つけられたり、配偶者との間で喧嘩になったりしたときには、速やかに信頼できる弁護士のアドバイスを参考にするべきでしょう。
さいごに|家庭内の盗撮で問題を穏便にすませたいときは弁護士に相談を!
家庭内での盗撮行為は犯罪です。
適切な防御活動を開始しなければ、警察に逮捕・勾留されたり、有罪になったりしかねません。
また、盗撮事件がきっかけで離婚問題に発展する可能性もあります。
離婚を回避したり、離婚条件を少しでも有利にしたりするには、弁護士のサポートが不可欠でしょう。
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