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海外で盗撮をしたらどうなる?逮捕されてしまった場合の正しい対処法も解説

藤垣 圭介
監修記事
海外で盗撮をしたらどうなる?逮捕されてしまった場合の正しい対処法も解説

海外旅行や出張の際に軽い気持ちで盗撮をしてしまった場合に「もし見つかったらどうなるのか」と不安に思う人は少なくありません。

日本では迷惑防止条例などで盗撮が処罰されますが、国によってはさらに重い刑罰が科されることがあります。

この記事では、海外で盗撮をした場合にどのような罪に問われるのか、逮捕された際の流れや対処法を解説します。

日本人が実際に海外で盗撮し逮捕された事例や、よくある疑問についても整理しましたので、ぜひ最後まで参考にしてください。

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海外で盗撮をしたらどうなる?

日本人が海外で盗撮行為をした場合、どのように処罰がされるのでしょうか。

まずは、海外での犯罪行為の裁かれ方や帰国後に犯罪行為が発覚した場合の扱いについて、解説します。

原則としてその国の法律で裁かれることになる

海外で盗撮などの犯罪をおこなった場合、原則として犯行地の国の法律に基づいて裁かれます。

この考え方は「属地主義」と呼ばれ、多くの国で採用されている方式です。

そのため、日本人であっても、現地で逮捕されれば現地警察に拘束され、裁判を受けることになります。

日本に帰国したあとに発覚した場合の対応は相手国によって異なる

海外で盗撮行為をしたあとに日本へ帰国し、あとから盗撮行為が発覚した場合、その対応は「どの国で犯行がおこなわれたか」によって異なります。

ポイントとなるのが、犯罪引き渡し条約の有無と、属地主義・属人主義という2つの考え方です。

まず、日本と犯罪人引き渡し条約を結んでいる国(韓国・アメリカ)で盗撮をおこなった場合は、現地の捜査機関が日本側に身柄引き渡しを求める可能性があります。

実際に引き渡しが認められれば、日本人であっても現地の法律に基づき裁かれることになります。

一方で、タイやフィリピンなどの犯罪引き渡し条約がない国で盗撮行為をおこなった場合、日本に帰国したあとに現地での捜査が続いても、身柄を引き渡されることはほとんどありません。

その代わりに、相手国の要請を受けて日本側が捜査をおこなう「捜査協力」や、日本の裁判所が代わりに処罰をおこなう「代理処罰」が検討されることもあります。

日本の刑法は「属人主義」を採用しており、日本人が海外で一定の犯罪をおこなった場合でも、日本の刑法によって処罰できる場合があります。

したがって、海外での盗撮行為が日本の刑法における「不同意わいせつ罪」などに該当すると判断されれば、帰国後に日本の法律で裁かれる可能性もあるのです。

このように、帰国後の対応は「犯行国」「条約の有無」「犯罪の内容」によって変わるため、発覚後はすぐに国際刑事案件に詳しい弁護士へ相談し、法的な立場や今後のリスクを確認することが重要です。

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海外で盗撮をしたらどんな罪に問われる可能性がある?

海外では盗撮に対する刑罰が厳格に規定されています。

法務省の資料をもとに、主要国の刑罰を以下に整理しました。

国名 法定刑
アメリカ合衆国(合衆国法典) 罰金刑もしくは1年以下の拘禁刑またはその両方
イギリス 略式起訴の場合は6ヵ月以下の拘禁刑もしくは法定上限額以下の罰金または併科、正式起訴の場合は2年以下の拘禁刑
フランス 1年以下の拘禁刑及び4万5000ユーロの罰金刑
ドイツ 2年以下の自由刑または罰金
韓国 7年以下の懲役又は5千万ウォン以下の罰金

各国とも、日本に比べて盗撮に対する処罰が重いことがわかります。

特に韓国は懲役7年などの極めて厳しい刑罰を定めており、盗撮を社会全体で重大な性犯罪として扱う姿勢が強く表れています。

ちょっとした出来心からその後の人生を台無しにしてしまうおそれもあるので、「海外だから大丈夫」と油断しないことが大切です。

海外で盗撮してしまい逮捕されたらどうすればいい?

海外で盗撮が発覚し逮捕された場合、まず日本国大使館や総領事館に連絡を求めることが重要です。

在外公館の職員は弁護士や通訳の情報提供、家族への連絡支援をおこない、不適切な拘束があれば現地当局に改善を働きかけます。

これは国際人権規約やウィーン領事関係条約によって保障されている権利です。

特に、とくに同条約第36条は、外国で拘禁された人が自国の領事館に通報を求める権利を認め、現地当局には速やかな通知義務が課されています。

海外で逮捕されても孤立するわけではなく、国際条約に基づき領事館の支援を受けられることを理解しておくことが大切です。

ただし、釈放や減刑の要求、費用の負担などはできず、現地の法律に従って手続きは進みます。

【弁護士解説動画】盗撮とデータ販売の実態と対処法

弁護士解説動画31分42秒
巧妙化する盗撮の手口と、撮影データが販売・拡散される実態を弁護士が解説
ベンナビ公式チャンネル
この動画でわかること
  • 01:09盗撮が起きやすい場所と、被害の実態
  • 03:30巧妙化する盗撮の手口
  • 08:03撮影データが販売・拡散される仕組み
  • 09:14拡散されたデータを消去する方法
  • 17:51示談金の相場と、逮捕後にたどる流れ
  • 27:38盗撮に気づいたとき、その場で取るべき行動
【関連動画】出演:南村 早紀弁護士(札幌弁護士会)
※本動画の出演弁護士は、本記事の監修者とは異なります。
刑事事件を扱う南村 早紀弁護士(札幌弁護士会)が、盗撮の発生場所・手口から、撮影データの販売と拡散、示談金の相場、被害に気づいたときの対応までを解説した内容を、質問と回答の形に要約しています。
Q盗撮はどこで起きやすいですか?
A最も多いのは駅構内と商業施設で、とくに階段とエスカレーターで発生しています。近年はスポーツジムや職場でも起きており、人が密集するイベントやフェスの会場で撮影された例もあります。
Q撮影されたことに被害者は気づけますか?
A気づかない人が大半です。近づかれた違和感で振り返って発覚するほか、一緒にいた人や周囲にいた人の声かけ、駅の防犯カメラの確認をきっかけに判明することが多くなっています。
Qどのような手口が使われていますか?
A中心はスマートフォンでの動画撮影です。シャッター音が鳴らない、画面が光らない、画面を見えにくくするフィルムを貼るといった方法で、起動していても外から判別しにくくなっています。小型カメラは軽量化と長時間駆動が進み、コンビニや駅のトイレでは操作ボタンの横に開けられた小さな穴に仕込まれていた例があります。
Q撮影されたデータはその後どうなりますか?
A撮影すること自体が目的で、撮った後は見返さない加害者もいます。悪質な例では、X・Instagram・スレッズなどのSNSを通じて販売や送信が行われ、女性になりすまして販売する手口も確認されています。盗撮されたものだと知りながら購入した側も、罪に問われる可能性があります。
Q拡散された画像や動画は消せますか?
Aサイトの運営者やプロバイダに削除を依頼します。見つけたものが転載された3つ目・4つ目であれば、最初に投稿されたものを突き止めない限り拡散が続くため、気づいた時点で早く動くほど広がるリスクを抑えられます。弁護士に依頼した場合の費用は1件あたり数万円から数十万円と幅があり、海外のサイトは削除まで至らないこともあります。
Q盗撮はどんな罪になり、刑罰はどの程度ですか?
A2023年7月13日に性的姿態等撮影等処罰法が施行され、都道府県ごとの迷惑防止条例で扱われていた盗撮が全国共通の犯罪になりました。性的な部位などを撮影した場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。撮影したデータを不特定多数が見られる状態で提供・公開した場合は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科となり、特定の相手に渡した場合より重く定められています。提供する目的で保管していた場合は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です。
Q示談金の相場はどのくらいですか?
A数万円から数十万円での解決が中心で、100万円を超える例は多くありません。撮影の回数や内容、加害者の年齢や支払える金額、被害者が置かれている状況によって変わります。罰金の上限が300万円以下と定められていることも、金額を話し合ううえでの目安になります。
Q男性が被害者になることはありますか?
Aあります。男性の性的な部位を撮影した場合も撮影罪は成立します。加害者が女性である事例もあり、ジムの更衣室や公衆トイレ、温泉などで発生しています。
Q家族や同居人を撮影した場合も罪になりますか?
Aなります。交際相手や家族、同居人を撮影した場合も撮影罪は成立します。売る目的や誰かに渡す目的で保管していれば、保管罪にあたる可能性もあります。
Q盗撮されたかもしれないと思ったら、その場で何をすればいいですか?
Aまず近くにいる人に被害を伝え、警察を呼んでもらう、その場を離れないよう協力してもらうといった対応を求めます。駅であれば駅員にも伝えます。被害者自身が証拠を残すのは難しいため、防犯カメラの映像や、見ていた人の証言が有効な証拠になります。
Q家族が被害に遭った、あるいは加害者になったときはどうすればいいですか?
A被害に遭った場合は、施設や学校の管理者に被害を申告したうえで、本人の心のケアを最優先にします。「短いスカートをはいていたからだ」といった服装を責める言葉は二次被害やトラウマにつながるため避けます。家族が加害者になった場合は、警察と接触しているかをまず確認し、できるだけ早く弁護人を選任します。早い段階で弁護人がつけば逮捕や勾留を避けられる可能性があり、示談が成立すれば前科がつかずに終わることもあります。
出典:本記事に掲載した動画(ベンナビ公式チャンネル「【巧妙化する手口】盗撮/データ販売の実態と対処法を弁護士が解説」2026年8月22日公開、出演:南村 早紀弁護士〔札幌弁護士会〕)の解説内容。法定刑は性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(e-Gov法令検索)による。

海外で日本人が盗撮し逮捕された事件の例

海外では、日本人であっても盗撮が発覚すれば厳しく処罰されます。

ここでは、香港とシンガポールで実際に起きた事件を紹介します。

香港で日本人が行為で逮捕された事例

2017年6月、香港国際空港の女性用トイレで女装した日本人男性が盗撮をしたとして逮捕されました。

警察では、携帯電話や黒のかつら、衣類などが押収され、裁判所はこの男性に14日間の禁錮刑を言い渡しました。

香港の報道では、男性は中国広州で会計士として勤務しており、妻子もいる人物として実名報道されています。

シンガポールで日本人が逮捕された事例

2022年には、シンガポールのショッピングモールで、日本人学校の元教諭の男性(41歳)が女性のスカートの中を盗撮したとして逮捕・起訴されました。

シンガポールの裁判所は、男性に禁錮6週間の実刑判決を下し、判決は確定する見通しとなりました。

シンガポール刑法ではこのような盗撮行為に対し、最長2年の禁錮や罰金、さらにむち打ち刑を科すことが可能です。

事件を受けて、福岡県教育委員会は男性を懲戒免職処分としました。

これらの事例は、海外での盗撮が軽微な行為ではなく、社会的信用や職業人生を失うほどの重大な結果を招くことを示しています。

海外での逮捕についてよくある質問

最後に、海外での犯罪行為についてよくある質問とその回答を紹介します。

海外で逮捕されその国の刑罰を受けたら日本の前科はつく?

結論として、海外で刑罰を受けても日本国内での前科にはなりません

日本の前科は、日本の裁判所で有罪判決を受けた場合にのみ記録されるものだからです。

ただし、海外での有罪判決の事実そのものは、ビザ申請や就職の審査などで問われる可能性があり、社会的信用に大きく影響する点には注意が必要です。

海外で永住権を持っている場合にその国で盗撮して逮捕されたらどうなる?

海外に永住権を持っている場合でも、その国の法律に従って処罰されます

永住権はあくまで長期的な居住・就労を許可する資格にすぎず、犯罪をした際に特別扱いを受けるものではありません。

そのため、盗撮を含む犯罪をおこなった場合には、現地人と同様に逮捕・起訴され、刑罰が科されます。

加えて、有罪判決によっては永住権の剥奪や国外退去処分といった付随的な不利益を受ける可能性もあります。

さいごに|海外で盗撮したら現地の法律で裁かれる可能性がある!

ここまで見てきたように、海外で盗撮をすれば日本人であっても例外なく現地の法律に従って処罰されます。

各国は盗撮を性犯罪の一種として厳しく扱っており、懲役刑や高額の罰金が科される国も少なくありません。

さらに、逮捕されれば身柄の拘束に加え、社会的信用や職業上の立場を失う大きなリスクも伴います。

また、帰国後に発覚した場合でも、相手国との条約や捜査協力の要請次第では日本での処罰につながる可能性があります。

そのため、「日本に帰れば大丈夫」といった考え方は非常に危険です。

海外で安全に生活し、旅行を楽しむためには、現地の法律や文化を尊重し、違法行為には決して手を出さないことが不可欠です。

盗撮は一瞬の軽い気持ちでおこなったとしても、人生を大きく狂わせる重大な結果を招くことを改めて心に留めておきましょう。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
これまで500件以上の刑事事件に携わり、特に痴漢/盗撮/暴行/傷害に関する事件の解決を得意とする。レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、豊富な経験をもとに即日接見を用いて、早期釈放を目指している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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