ご家族が刑事事件の当事者になった場合、弁護士に依頼する事をおすすめします。
弁護士であれば、次のような弁護活動を効果的に行えます。
- 被害者と示談して処分の軽減を目指せる
- 取り調べの受け方についてアドバイスがもらえる
- 弁護活動によって不起訴処分・執行猶予判決などが望める
刑事事件は早い段階での弁護活動が重要です。
ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)では、刑事事件に注力している弁護士を掲載しています。
初回相談が無料のところもありますので、まずはお気軽にご相談ください。
2000年に『ストーカー規制法』が施行されて以来、ストーカー行為にも刑事罰が科されるようになりました。
ストーカー被害者が保護される法整備が進められた一方で、思いがけずストーカー事件の容疑者となってしまう事例も少なくありません。
自分でも知らず知らずのうちに行き過ぎた行為をしてしまい、警察に逮捕されてしまう方もいるかもしれません。
ストーカー規制法の対象となる行為や罰則、逮捕されてしまった場合の対処法などを詳しく解説いたします。
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ストーカー規制法は、正式には「ストーカー行為等の規制等に関する法律」という法律です。
ストーカー行為をについて必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることで、個人の身体・自由・名誉への危害発生を防止し、国民生活の安全と平穏に資することを目的としています。
この法律では、ストーカーの加害行為について『つきまとい等』にあたる8類型の行為を掲げたうえで、同一人物に対してつきまとい等を反復して行うことを『ストーカー行為』と定義しています。
ストーカー規制法は、2000年11月に施行された法律です。
この法律ができる以前はストーカー行為を直接規制する法律が存在しなかったので、脅迫・暴行・名誉毀損・住居侵入などの個別の刑法犯として対応するしかありませんでした。
警察に被害を相談しても「男女間ではよくあることだ」「民事不介入だ」などと相手にされないケースも多かったようです。
このような状況のなか、1999年には埼玉県で女子大生が元交際相手らの共謀によって刺殺された、通称『桶川ストーカー殺人事件』が発生します。
法律による規制が存在しなかったこと、被害の相談を受けた警察が適切な対応をとらなかったことが問題として取り上げられ、ストーカー規制法が制定される契機となりました。
一般的に「警察は実害が発生しないと動いてくれない」といわれています。
たしかに「暴行をしそうな人だ」「いつか盗みをはたらくかもしれない」などという理由では、警察は事件として動くことはできないでしょう。
しかし、後手にまわった対応によって桶川ストーカー殺人事件のような悲惨な結果を招いたというのも事実です。
そこで、ストーカー規制法では、刑法などでは実害とはとらえにくい行為についても、規制の対象となるように整備されています。
暴行を受けた、脅迫されたなどのように、刑法では対応できないような段階でも、警察による『警告』や公安委員会による『禁止命令』といった被害防止措置が可能です。
ストーカー規制法は、過去に2回の改正を行っています。
2013年の改正では電子メールの連続送信が、2016年の改正ではTwitter・LINEなどのSNSにおけるメッセージの連続送信などが規制対象に加えられるとともに、罰則の強化をしています。
つまり、ストーカー規制法は、時代に応じて変化するストーカー・つきまとい等の形態に対応するかたちで改正されてきたといえるでしょう。
そして、3回目となる2021年の改正では、新たにGPS機器やスマートフォンのアプリなどを悪用して、相手の承諾なく居場所を把握する行為を規制対象に加えています。
また、被害者の自宅や勤務先など特定の場所だけでなく、被害者の現在地での見張り等の行為も規制対象とすることで保護体制を強化したほか、手紙などの文書を連続して送る行為も規制対象に加えられました。
参考:「警視庁 ストーカー規制法」
『つきまとい等』にあたる行為をおこなったとしても、すぐに逮捕されるわけではありません。
つきまとい等にあたる行為を、同一の人に対して繰り返しおこなうことを『ストーカー行為』と呼びます。
外出先で尾行する、自宅付近で待ち伏せする、自宅・勤務先・学校などに押しかけるといった行為が該当します。
帰宅にあわせて電話をかけて「おかえり」と伝える、行動や服装などをメールやSNS投稿によって告げるなど、監視していることを匂わせるような言動をすることです。
「どうしても会ってほしい」「ヨリを戻してほしい」と何度も面会・交際を求める、自宅などにプレゼントを送りつけるといった行為が典型例です。
被害者本人を前にして大声で怒鳴ったり「ぶっ殺すぞ」など乱暴なメッセージを送信する、自宅や勤務先の周辺で車のクラクションを鳴らし続けたりするなどの行為も規制の対象です。
無言電話をかける、「もう連絡しないでほしい」と明確に拒否されているにもかかわらず何度も電話・メール・SNSなどを利用してコンタクトを図ろうとする行為が考えられます。
汚物を玄関先に置く、動物の死骸を宅配便で送るなど、不快感や嫌悪感を催させるようなものを送りつける行為です。
不名誉な内容のビラを作って街頭に貼る、SNSなどで誹謗中傷にあたる投稿をするなど、被害者の社会的評価をおとしめる行為です。
わいせつな写真を送りつける、電話・メールなどで卑猥な言葉を告げるといった行為が該当します。
ストーカー事件での警察の対応には、『警告』や『禁止命令』を出す場合もあれば、このような過程を経ずに逮捕する場合もあります。
禁止命令に違反してストーカー行為をはたらいた場合にはさらに罪が重たくなります。
ストーカー行為に対する罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
悪質性が低いものであれば罰金刑で済まされる可能性がありますが、行為が悪質で被害者への危害が大きいケースでは懲役刑が下されるおそれが高まります。
警察は、被害者の申出により、つきまとい等の行為をする者に対して『警告』をすることができます。
また、都道府県公安委員会は、つきまとい等の行為を反復するおそれがあると認めるときは、被害者の申出又は職権で『禁止命令』等をすることができます。
通常、禁止命令が下されるには公安委員会による『聴聞』によって、加害者の意見も聴取する機会がもたれます。
ただし、加害者への危害が予想されるなどの緊急性が高いケースでは、聴聞を開くことなく禁止命令が下されることもあり得ます。
禁止命令を受けたうえでストーカー行為をはたらいた場合の罰則は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金です。
警告・禁止命令を経てもさらにストーカー行為を繰り返すという悪質性を考慮して、通常のストーカー行為よりも重い刑罰が規定されています。
上記の他、単に禁止命令等に違反した者に対しても罰則が設けられており、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
ストーカーによる危害が刑法によって規定されている具体的な犯罪行為にあたる場合は、刑法の各罰条によっても処罰を受けることになります。
たとえば、復縁を迫って押し問答になり相手を突き飛ばしてしまった場合は暴行罪が成立し、恋慕の情が恨みにかわってSNSで誹謗中傷をすれば名誉毀損罪に問われ得るでしょう。
ここで挙げるのは、ストーカー行為から発展しやすい刑法犯の一部です。
性的な行為や相手の家へ入ることは、交際中には許されていたかもしれませんが、交際終了後も同じ感覚で相手の同意を得ることなく行為に及ぶと犯罪になる可能性があります。
罪名 | 罰則 |
---|---|
暴行罪 | 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料 |
脅迫罪 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
強制わいせつ罪 | 6カ月以上10年以下の懲役 |
住居侵入罪 | 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
窃盗罪 | 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
名誉毀損罪 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
逮捕・監禁罪 | 3カ月以上7年以下の懲役 |
ストーカーの加害者として警察に逮捕されると、次のような流れで刑事手続きが進みます。
警察に逮捕されると、ただちに身柄拘束を受けて行動や連絡の自由が制限されたうえで警察署内の留置場に留置され、警察官による取り調べがおこなわれます。
警察における身柄拘束の上限は48時間です。
被疑者を逮捕した警察は、被疑者を取り調べたうえで48時間以内に検察官へと送致するか、釈放しなければなりません。
警察から検察官への送致のことを、マスコミなどの用語では『送検』と呼ばれています。
送検を受けた検察官は、みずからも被疑者を取り調べたうえで24時間以内に『勾留』を請求するか、釈放しなければなりません。
裁判官が勾留を許可した場合は、初回で原則10日間、延長請求によってさらに10日間、合計20日間を上限として身柄拘束が延長されます。
勾留が満期を迎える日までに、検察官は『起訴』または『不起訴』を判断します。
起訴されれば被告人として刑事裁判を受ける立場となりますが、不起訴となった場合はただちに釈放されます。
刑事裁判では、検察官・弁護人が証拠を提出して裁判官の審理を受けます。
刑事裁判の最後には、裁判官から有罪・無罪の別、有罪の場合は量刑が言い渡されます。
思いがけずストーカー行為の容疑者として逮捕されてしまった場合は、ただちに弁護士に相談してサポートを求めるのがベストです。
刑事事件の弁護活動はスピード感をもって対応する必要があります。
できるだけ早い段階で適切なサポートを得られれば、身柄の早期解放や起訴された場合でも執行猶予を獲得できる可能性が高まり、社会生活への影響も最小限にくい止めることができるでしょう。
ストーカー事件を起こして逮捕されてしまうと、警察・検察官の段階で最長72時間の身柄拘束を受けたうえで、勾留が決定すればさらに20日間の身柄拘束を受けます。
裁判官が勾留を許可すれば身柄拘束が長期化するため、逮捕直後の弁護活動は、勾留が決定するまでの「72時間以内が勝負」です。
逮捕された本人でも留置担当官をとおして当番弁護士を呼ぶことは可能ですが、当番弁護士を呼べるのは一度きりで、継続した弁護活動は期待できません。
当番弁護士に弁護を依頼して、継続的な弁護活動をしてもらうことは可能ですが、弁護士を選ぶことはできないので刑事事件の解決実績がある弁護士を選任できないおそれもあります。
すでに逮捕されてしまっている場合は、残された家族などが尽力して弁護士を選任することになるでしょう。
逮捕されて身柄を拘束されている被疑者と面会することを『接見』といいます。
逮捕直後から勾留が決定するまでの72時間は、たとえ家族であっても逮捕された被疑者との接見は認められません。
この期間に接見できるのは弁護士だけです。
弁護士による接見は、逮捕されてしまい強い不安を抱えている被疑者の精神的なサポートとなり、面会さえも許されない家族との連絡の機会にもなります。
また、逮捕直後の取調べに対してどのような供述をしていけばよいのか、否認や黙秘が有効なのかなどのアドバイスも期待できるでしょう。
刑事事件において「被害者との示談成立」は、とても重要な意味をもっています。
示談が成立して被害届や告訴が取り下げられれば、被害者が「加害者を許した」ものと評価され、検察官の不起訴の判断に傾く考慮要素になるでしょう。
たとえ起訴されても、被害者に対する謝罪と一定の賠償が済んでいた場合には、罰金刑や執行猶予つきの判決を得られる可能性が高まるでしょう。
ただし、ストーカー事件の被害者は、加害者やその家族に対して強い嫌悪感をもっています。
示談を申し入れても相手にしてもらえないケースも多いので、本人や家族が直接交渉することは、避けるべきです。
第三者としての弁護士が代理で交渉を行うことで、被害者の対応も柔和になり、示談成立の可能性も高まるでしょう。
ストーカー被害者との示談を成立させるために必要な示談金の金額は一定ではありません。
示談はトラブルの当事者同士が裁判外で話し合いによって解決する手続きなので、被害者が許せば低額での解決が叶う可能性がある反面、強固な姿勢をみせている場合は高額になってしまうおそれもあります。
示談金の金額は、次のような点が考慮されて決まるのが一般的です。
ストーカー規制法の罰則に照らして、ストーカー行為では100万円以下、禁止命令に違反したストーカー行為では200万円以下を基準とし、処罰意思や行為・態様の悪質性などを考慮して金額を決めることになるでしょう。
実際のストーカー事案における示談交渉では、100万円前後で決着するケースが多いようです。
被害が軽微であれば10万円程度でも示談成立にいたる可能性がある反面、執拗なストーカー行為によって被害者に強い不安を与えて精神疾患を発症させたなどのケースでは100万円を超えるおそれもあります。
被害者が提示する示談金の金額が果たして事案の内容に照らして適切であるのかどうかの判断は容易ではありません。
なかには、被害者であるという立場を逆手にとって相場を大幅に超える示談金を提示してくる人もいるかもしれません。
無用に重い経済的な負担を回避するためにも、被害者との示談交渉はストーカー事件の解決実績が豊富な弁護士に一任するのが最善策です。
相手に交際して欲しいと告げる、元交際相手に復縁を求めて電話をかけるといった行動は、男女の恋愛の仲であれば不自然なことではありません。
しかし、相手に拒絶されているのにしつこくこれらの行動を繰り返していると、ストーカーとみなされてしまうおそれがあります。
意図せず「ストーカーだ」といわれて逮捕されてしまった場合は、早急に弁護士に相談して対策を講じましょう。
刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった場合は、逮捕から72時間が勝負です。
まずは早急に弁護士による接見を依頼し、被害者との示談交渉や勾留請求の阻止など適切なサポートを受けることをおすすめします。
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