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公開日:2018.3.2  更新日:2020.9.18

指名手配とは?指名手配の基準や情報の探し方・通報窓口などの基礎知識

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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指名手配とは、一定の事件で逮捕状が発布されている被疑者の情報を公開し、国民全体から情報提供を受けることで被疑者の身柄確保を行うためのシステム。

指名手配というと連合赤軍やオウム真理教事件の関係者などが浮かびますが、これらは特に特別手配(警察庁指定被疑者特別指名手配)と呼ばれています。ただ、指名手配はこれだけでなく、規模の小さな事件でも一般指名手配という形で行われています。

指名手配は、逮捕状が出ているものの被疑者の逃亡によって行方が分からないという場合に行われます。指名手配による逮捕と通常の捜査で逮捕とで何が違うのでしょうか?

そこでこの記事では、今さら他人に聞けない指名手配の基礎知識と、実際に指名手配犯を見つけたらどうするのがよいのかをご紹介します。

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指名手配とは

指名手配は、犯罪捜査規範および犯罪捜査共助規則という警察内部の規則に定められた制度で、全国の捜査機関が共同して被疑者を逮捕するための手段です。

まずは指名手配の基礎知識をご紹介します。

どんな事件で指名手配される?

指名手配の法的根拠になる条文は、犯罪捜査規範31条と犯罪捜査共助規則7条などです。

(指名手配)

第三十一条 逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する手配を、指名手配とする。

2 指名手配は、指名手配書(別記様式第二号)により行わなければならない。

3 急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、指名手配書による手配を行つた後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報しなければならない。

4 第二十九条(緊急事件手配)の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第一項の規定による手続をとるものとする。

(引用元:犯罪捜査規範31条

(指名手配)

第七条 逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する場合には、指名手配書(規範別記様式第二号)により、指名手配を行うものとする。

2 急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、前項に規定する指名手配書により手配した後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報するものとする。

3 第五条の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第一項に規定する手続をとるものとする。

(引用元:犯罪捜査共助規則7条

これらの条文によれば、指名手配は逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を(全国の捜査機関に)依頼する場合に行われるものなので、どんな事件であっても指名手配される可能性はゼロではないということです。

警察庁などによって現在公開されている指名手配犯(指名手配被疑者ともいいます)の被疑事実は強盗や殺人といった重罪ばかりなので、ごくごく軽微な事件で指名手配されることは少ないと感じられるかもしれませんが、公開される指名手配犯は一部の重大な事件の被疑者です。

一般に公開されず、警察内部のみで共有されている指名手配情報と合計すると、2017(平成29)年9月末時点で約680人の指名手配被疑者が存在しているそうなので、指名手配自体が珍しいわけではなさそうですね。

【参考】指名手配が行われた、または指名手配犯が逮捕された事例

  • 警察官の職務質問を振り切ってその警察官に暴行し、公務執行妨害容疑で逮捕直前に被疑者が逃亡したケース(産経ニュース
  • トランプを使ったバカラ賭博の容疑で摘発された違法カジノ店の従業員が賭博開帳図利容疑で指名手配され逮捕されたケース(産経WEST
  • 大規模詐欺事件の主犯格が指名手配され逮捕されたケース(共同通信社
  • 明治神宮の境内で液体をまいて鳥居などを汚した建造物損壊容疑で外国人が指名手配されたケース(朝日新聞

指名手配される基準とは

指名手配が行われるのは、逮捕状の発せられている被疑者が逃亡により行方がわからない場合です。また、被疑者が住所不定(身元が不明)であったり外国人であったりというケースでも指名手配は行われています。

つまり、逮捕状を取ったものの被疑者がどこにいるのか分からない場合に指名手配が行われる傾向にあるといえるでしょう。そのため、犯罪の嫌疑をかけられており、逮捕状が発布されているという場合に逃走すれば、誰でも指名手配されて全国的に氏名、顔写真等の情報が公開されてしまう可能性があるということです。

ちなみに、指名手配にもいくつか種類があり、一般に指名手配犯として認識されることが多いのが次の3種類です。

①警視庁指定特別手配被疑者…地下鉄サリン事件の被疑者などで、現在は該当者なし

②警察庁指定重要指名手配被疑者…殺人や強盗殺人、爆発物取締罰則違反などの犯人で、2017(平成29)年10月末で11人

③都道府県警察指定重要指名手配被疑者…各都道府県警察によって異なる

また、指名手配と似た捜査手法として公開捜査がありますが、こちらはその事件の捜査情報を一般に公開することで、全国の警察や一般市民に被疑者の情報提供を呼び掛ける制度です。

時効との関係

殺人などの犯罪を除いた一定の犯罪については、犯罪を起こしてから一定期間検察官が被疑者を訴えないと『公訴権』というものが消滅し、被疑者を罪に問えなくなります。これが刑事上の時効(公訴時効)の考え方ですが、時効期間は犯した罪の内容によって変わり、刑事訴訟法250条に時効期間が定められています。

第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年

二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年

三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年

2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

一 死刑に当たる罪については二十五年

二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年

三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年

四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年

五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年

六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年

七 拘留又は科料に当たる罪については一年

(引用元:刑事訴訟法250条

指名手配中でも原則として公訴時効は進行しますから、逃げ続けていればいつか公訴時効が完成し、結果的に罪に問われなくなるということはあり得ます。

しかし、一定の事情があれば公訴時効は停止するので、自分では公訴時効期間が経過したものと考えていても、実際には期間が満了していなかったということもあり得ます。また、警察の検挙率は非常に高いことから、逃亡しながら普通の生活を送ることは極めて困難でしょう。そのため、そもそも公訴時効期間が満了するまで逃亡生活を続けるということが困難であることも十分認識すべきといえます。

なお、公訴時効が停止する条件はいくつかありますが、代表的なものだと『被疑者が国外にいる(国外に逃亡している)場合』や『共犯者の起訴から結審までの間の時効停止』などが挙げられます。

指名手配犯が捕まらない理由

指名手配犯が捕まらない典型的な理由として、手配書と実際の被疑者の容貌がかけ離れていることが挙げられます。例えば、逃亡の際に整形手術を受けた、犯罪を犯してから数十年が経過しており老化によって風貌が代わったというように、さまざまな要因で雰囲気や顔かたちが大きく変わってしまう可能性があります。

このようなケースでは、たとえ被疑者の家族・親族が見た場合であっても指名手配犯と目の前の人物が同一人物であるということを見分けることは難しいのかもしれません。

もちろん、被疑者が上手に逃げ回っているケースもありますが、人間は目から入る情報に惑わされやすいといわれています。捜査官など被疑者逮捕のために何年も心血を注いでいる人でなければ、目の前の人物が指名手配犯であるか否かを見分けるのは難しいのかもしれません。

指名手配犯が逮捕される経緯

それでは、指名手配犯が逮捕されるのはどんなときなのでしょうか。

実は、警察庁は毎年指名手配容疑者の捜査強化月間を設定しており(2017年度は11月)、準備期間の10月を含めた2ヶ月間で合計410人の手配容疑者を逮捕したそうです。

その際の逮捕のきっかけとしては、立ち回り先の捜査が251人、職務質問が39人、容疑者の顔や特徴を覚えた捜査員が繁華街などで行う見当たり捜査で36人となっており、地道な捜査から逮捕につながるケースが多いようです。

【参考ニュース】手配容疑者410人逮捕=強化月間、逃亡6年も―警察庁(時事ドットコムニュース)

また、捜査強化月間以外でも市民などから寄せられた情報をもとに捜査を進めるケースや、指名手配されたことを知った被疑者本人が観念して出頭してくるケースもあります。

指名手配犯の情報の集め方

もしもあなたが指名手配犯の情報を知りたいと思ったとき、信頼できる情報源がどこなのかをご紹介します。

指名手配犯の情報はどこで見られる?写真はあるの?

指名手配犯の情報を集めるには、警察庁のホームページを閲覧するのがおすすめです。

警察庁のホームページでは『指定重要指名手配被疑者』という重大事件の指名手配犯の氏名や写真、犯した事件の概要がまとめられています。また、都道府県警察の出している指名手配犯情報へのリンク集が設けられているので、特に注目されている指名手配犯の情報を効率よく集めることができます。

小さな事件の指名手配犯の情報まで網羅しているわけではありませんが、最も信頼できる情報源は警察の提供するホームページや交番などのポスターでしょう。

また、ニュース記事などでも指名手配犯の情報を得られることがありますので、気になる方はそちらも確認してみるのがよいでしょう。

指名手配犯を見つけたら

あなたが指名手配犯を見つけた場合、どういった行動が適しているのかをここで確認していきましょう。

情報提供で報酬金が支払われる可能性がある

警察庁では、指名手配犯の情報を提供してくれた人に報酬金を支払う『捜査特別報酬金制度』を運用しています。一定の重要凶悪事件かつ警察庁が指定した事件に関する情報を提供した人に、原則として300万円までの報酬が支払われるのです。

ただし、どの程度の金額が支払われるかは提供した情報の寄与度によって変わるうえ、匿名など個人を特定できない方法で情報提供をしてしまうと報酬金を受け取ることはできません。

また、私的懸賞金対象事件というものもありますので、気になる方は適宜警察庁などのホームページをチェックしてみるのがよいでしょう。

指名手配犯でも怪我をさせたら犯罪になる!

もしも指名手配犯を見つけたときに、『絶対に捕まえてやる!』と逮捕行為におよぶことは許されていません。

一般人による逮捕は現行犯逮捕以外には認められておらず、指名手配犯であっても現行犯ではありません。そのような逮捕行為はすべて違法です。また、身柄確保を目的として、相手に暴行を加えることも一般人が行えばすべて犯罪となります。絶対にやめてください。

たとえ指名手配犯であっても人間であるため、基本的人権が保障されており、身体や財産などの自由があります。このような権利は指名手配されたことで喪失されるものではなく、これを侵害するためにはそれなりの手続きと権限が必要です。このような手続きや権限がない状態で指名手配犯に暴力をふるったり、怪我をさせる行為はすべて犯罪行為です。

指名手配犯だから何をしても許されるというわけでは絶対にありません指名手配犯を発見したら、自分で捕まえることはせず、必ず警察官等に情報提供をして後を任せてください。

まとめ

指名手配は被疑者が逃亡するなど所在不明の場合に広く用いられるものなので、軽い犯罪であっても対象になる可能性があります。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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