軽犯罪法に違反したときの罰則には大きく分けると以下の2つの特徴があります。
1:『すべての行為は同様の罰則を受ける』
軽犯罪法に違反した場合、基本的にはすべての行為(33の行為)について同様の罰則(『1日以上30日未満の身柄拘束』または『1,000円以上1万円未満の金銭徴収』)が定められています。
2:『未遂に罰則はない』
軽犯罪法では第1条に書かれている33の行為を行った場合にしか罰則が定められていないため、それらを未遂の場合には罰則はありません。
そうなると、以下のことについて気になるのではないでしょうか?
- どのような行為が軽犯罪法違反で罰則の対象となるのか
- 逮捕されるのかどうか
- 更に罰則が重くなることはないのか
そこでこの記事では、軽犯罪法に違反する行為やその罰則、弁護士に依頼するメリットなどを紹介します。
軽犯罪法違反を犯してしまった方へ
軽犯罪法に違反した人に科される刑罰は『1日以上30日未満の身柄拘束』または『1,000円以上1万円未満の金銭徴収』で、比較的軽い刑罰です。
しかし軽犯罪行為が刑法規範にも抵触する場合は、刑法で定められたより重い罰則が適用される可能性もあります。
その場合は懲役や刑罰を科され、社会生活に支障が出ることも考えられます。
弁護士に依頼すれば、『刑法違反』ではなく、比較的罰則の軽微な『軽犯罪法違反』としての処分になるよう全力を尽くしてくれることでしょう。
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軽犯罪法違反となる7つの行為
どのような行為が軽犯罪法に違反し、どれほどの罰則を受けることになるのかをお伝えします。
刑犯罪法では第1条第1号から第34号で定義する33の行為(21号は削除済)を禁止しています。ここで代表的な7つの行為をご紹介します。
ドライバーなどを正当な理由なく所持する行為|侵入器具携帯の罪(第3号)
「念のためにドライバーを持ち歩いている。」という人をまれに見かけますが、この行為は軽犯罪法に違反します。住居や小屋などに浸入することを防ぐためにある条文です。
ドライバーのほかにこの条文で正当な理由なく所持が禁止されているアイテムは以下のものがあります。
- 他人の家の合鍵
- のみ
- ガラス切り
- ペンライト など
正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
引用元:軽犯罪法第1条第3号
立ち入り禁止の場所に入る行為|変事非協力の罪(第8号)
洪水や地震、家事などの現場で、公務員が『立ち入り禁止』と定めた場所に無断で入ることは禁止されています。
風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
引用元:軽犯罪法第1条第8号
住居の塀の近くで焚火をすることなどの行為|火気乱用の罪(第9号)
- 住居の塀の近くなどで焚火をすること
- ガソリンやその他燃えやすい燃料などの近くで火気を扱うこと
こうした危険な火気の取り扱いを禁止しています。
相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
引用元:軽犯罪法第1条第9号
バスやタクシー待ちの行列に割り込む行為|行列割込み等の罪(第13号)
バスやタクシー待ちの行列に割込む行為|行列割込み等の罪(第13号)
バスやタクシー、電車などで順番を待っている人の前に割り込むことは禁止されています。
公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
引用元:軽犯罪法第1条第13号
自主的に警察に対して嘘の証言をする行為|虚構申告の罪(第16号)
- 「さっきあの人が万引きをしていた。」
- 「3丁目で火事が起きていた。」
以上のように、存在しない事実を公務員に申し出ることは禁止されています。
虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
引用元:軽犯罪法第1条第16号
公園や線路などで立小便をする行為|排せつ等の罪(第27号)
街路や公園、線路などの公衆の場所にたんつばを吐いたり、大小便を排せつしたりすることは禁止されています。
公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
引用元:軽犯罪法第1条第27号
つきまとい行為|追随等の罪(第28号)
- 他人の進路に立ちふさがること
- 他人の近くに群がって立ち退こうとしないこと
- 不安や迷惑を覚えさせるような仕方で他人に付きまとうこと
上記のことは禁止されています。
他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
引用元:軽犯罪法第1条第28号
軽犯罪法違反となった場合の罰則

主な罰則(刑罰)
軽犯罪法に違反した人に科される刑罰は『1日以上30日未満の身柄拘束』または『1,000円以上1万円未満の金銭徴収』です。
刑法による罰則となる場合
もっとも、軽犯罪行為が刑法規範にも抵触する場合は、刑法で定められたより重い罰則が適用される可能性もありますので注意しましょう。
前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
引用元:軽犯罪法第2条
軽犯罪法で禁止されている行為は、刑法犯の予備行為的、または、未遂的行為です。そのため、逮捕や勾留(※)に関しても刑法犯とは異なる扱いを受けます。
※勾留とは
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勾留とは被疑者の起訴・不起訴を検察が判断するまでの期間において、留置場や拘置所などの検察の監視下に被疑者の身柄をおいておくことをいいます。
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軽犯罪法違反特有の内容
刑法犯と比較して、軽犯罪法違反の特別な点は以下の事項です。
項目
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内容
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通常逮捕
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被疑者が以下に該当する場合にのみ通常逮捕できる。
- 住所不定の場合
- 正当な理由なく出頭の求めに応じない場合
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現行犯逮捕
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被疑者が以下に該当する場合にのみ現行犯逮捕できる。
- 住所不定の場合
- 氏名不明の場合
- 被疑者が逃走するおそれがある場合
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勾留
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被疑者が『住所不定の場合』にのみ勾留できる。
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現行犯逮捕の条件と流れ|もし現行犯逮捕されてしまったら
勾留とは|勾留される要件と早期に身柄を釈放してもらうための対処法
軽犯罪法違反で逮捕された後に弁護士に依頼するメリット
『軽犯罪法違反の罰則』でもお伝えしたように、軽犯罪法に違反する行為は刑法犯の一歩手前のような行為です。場合によっては、軽犯罪法違反ではなく、刑法違反と判断される可能性もあります。
その場合は懲役や刑罰を科され、社会生活に支障が出ることも考えられます。
こうした事態を避けるためにも、万が一逮捕されてしまったときは弁護士に相談することが推奨されます。
被疑者と弁護士で話し合って今後の弁護方針を練りつつ、『刑法違反』ではなく、比較的罰則の軽微な『軽犯罪法違反』としての処分を目指して弁護してもらうことで刑罰が軽くなり、社会生活をそのまま送れる可能性もあるでしょう。
もちろん、罪に対して反省していることを大前提とした話です。
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まとめ
軽犯罪法に違反する行為や罰則についてわかりましたか?
軽犯罪法違反の罰則はすべて同様に『1日以上30日未満の身柄拘束』または『1,000円以上1万円未満の金銭徴収』です。
もちろん、軽犯罪も犯してはいけない行為です。ですが、軽犯罪法違反が刑法違反に発展してしまった場合は、この罰則では済まない可能性が高いでしょう。
もし、ご自身や家族、友人が軽犯罪法に違反することをしてしまった場合には、弁護士に相談してみてくださいね。
軽犯罪法違反を犯してしまった方へ
軽犯罪法に違反した人に科される刑罰は『1日以上30日未満の身柄拘束』または『1,000円以上1万円未満の金銭徴収』で、比較的軽い刑罰です。
しかし軽犯罪行為が刑法規範にも抵触する場合は、刑法で定められたより重い罰則が適用される可能性もあります。
その場合は懲役や刑罰を科され、社会生活に支障が出ることも考えられます。
弁護士に依頼すれば、『刑法違反』ではなく、比較的罰則の軽微な『軽犯罪法違反』としての処分になるよう全力を尽くしてくれることでしょう。
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