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不退去罪で逮捕される要件と罰則|逮捕後の流れと対処法
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公開日:2018.2.20

不退去罪で逮捕される要件と罰則|逮捕後の流れと対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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不退去罪(ふたいきょざい)とは、住居などから出ていくように要求を受けたにもかかわらず、退去せずにそのまま居座り続けることで罪が成立する犯罪です。
 
滅多に逮捕者を出すようなものでもない珍しい罪ですが、今回は不退去罪とは具体的にどのような行為が罪となるのか、逮捕されるとどのようにして捜査が進められていくのかを解説していきます。

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不退去罪が成立する要件と罰則

それでは早速、不退去罪がどのような罪で、どのような行為が処罰の対象になるのかを解説していきます。
 

不退去罪は刑法第130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 
刑法第130条には、上記のように明記されています。このうちの前半部分は住居侵入罪。後半部分が不退去罪の記述となります。
 

不退去の対象となる場所

刑法130条よると、不退去罪が成立する場所は
 

  • 人の住居
  • 人の看守する邸宅
  • 人の看守する建造物
  • 人の看守する艦船 

 
があります。
 

不退去罪に該当する行為

不退去は、ざっと説明すると「他人の住居等にから出ていくように命じられたのにも関わらず退去しなかった」ことで成立します。
 

退去を命じられていること

不退去罪が成立する要件の一つに、退去を命じられている必要性があります。
 

退去に必要な時間を経過した時点で成立

退去を命じられたからと言ってすぐに不退去罪が成立するのではなく、退去に必要な合理的な時間を経過して罪が成立します。合理的な時間とは、荷物をまとめる時間や衣服を着用するような時間です。
 

不退去罪の法定刑

不退去罪の罰則は【3年以下の懲役/10万円以下の罰金】です。
 

住居侵入罪(不法侵入)との違い

不退去罪と同じく、住居権を犯す犯罪に住居侵入罪があります。住居侵入罪と不退去罪の違いは、入ってはいけない(不法)場所に勝手に入る罪(住居侵入罪)か、入って良い場所もしくは、過失で入ってはいけない場所に入って、出ていくように要求されたのに出ていかないか(不退去罪)の違いです。
 

不法に侵入し退去しなかった場合は住居侵入罪

不退去罪は、適法・過失に住居等に入った場合でも成立します。一方で不法に住居等に侵入し相手から見つかり、退去の要求をされても居座った場合、住居侵入罪が成立し、不退去罪は住居侵入罪に吸収されます。
 
【関連記事】
住居侵入罪での罪の重さと逮捕後の流れ|弁護士の対処法
 

未遂も処罰の対象

刑法では不退去罪や住居侵入罪の未遂も処罰の対象とされています。しかし、不退去罪は退去しなかった行為自体が罪成立の要件になります。つまり、実際には不退去罪の未遂はあり得ないと言われています。

 

不退去罪で逮捕されることのある行為や実例

それでは、数は少ないのですが不退去罪で逮捕される行為や実際のニュースなどをご紹介していきます。
 

クレーム

不退去罪で一番考えられる行為は、クレームによるものです。例えば、営業中のお店に入る行為自体は適法ですね。しかし、店側と揉め事になって出ていくように要求されることがあり、それでも退去しなければ不退去罪が成立します。
 

ラーメン屋に3時間居座り不退去罪で男を逮捕

ラーメン店の対応に腹を立てたとして、約3時間店に居座り続けたとして会社員の男が不退去の容疑で逮捕されたニュースがあります。餃子の次にラーメンを出すように注文したところラーメンが先に出てきたとして店長と口論。
 
その後約3時間にわたり男は店に居座り続け、店長の110番通報で警察が駆けつけ男は現行犯逮捕されました。
 
参照:「「ギョーザが先だ」3時間居座り男を逮捕
 

営業活動

しつこい訪問販売や布教活動などの勧誘行為、営業活動でも相手から出ていくように命じられているにも関わらず居座り続けると不退去罪が成立する可能性があります。
 
特に、「NHK受信料契約のしつこい訪問は不退去罪になるのか?」と、疑問に思っている方も多いのですが、明確に「帰ってくれ」と要求したにも関わらず、その後もしつこく居座るようでしたら不退去罪になり得る可能性もあります。
 

不退去罪で私人逮捕はできるのか?

しつこい訪問販売などに対し不退去罪で警察を呼ぶと、逃亡する恐れがあるので、私人逮捕(現行犯逮捕)はできるのか?という話も聞きますが、法律的には私人逮捕も可能ですし、警察も現行犯逮捕することができます。
 
しかし、不退去容疑では直ちに身体的、金銭的被害を受ける危険性も低いため、私人での逮捕はあまり良い方法だとは言えません。私人逮捕でも逮捕した側が逮捕罪の容疑をかけられる危険性もあります。
 
ですので、退去しない人物に対する対処法としては、
 

退去してもらうことを明確に要求する

不退去罪で警察を呼ぶことを知らせる

それでも退去しなければ110番する

 
このような方法を取ることをおすすめします。
 
【関連記事】
一般人も逮捕ができる私人逮捕|私人逮捕ができる条件と方法
 

ストーカー

ストーカーまがいな行為も不退去罪に該当する場合があります。例えば、元交際相手の家に行き、出ていくように言われているにも関わらずそのまま居座れば不退去罪となる可能性もあります。そのような行為を繰り返しているようでしたら、ストーカー規制法に反するとも考えられます。
 
【関連記事】
ストーカーで逮捕された場合の罪の重さと逮捕後の流れ
 

デモ

よくある内容が、労働問題を巡った労働者と使用者間の労働紛争です。使用者側の業務遂行を妨害するような行為は不退去行為とみなされることもあります。労働問題において、どうしても納得いかない場合、このような強硬姿勢を取る方もいますが、法を犯してしまえば元も子もありません。
 
まずは、労働問題を適法に解決させていくためにも労働問題を得意とする弁護士に相談することをおすすめします。
 
労働問題を得意とする弁護士へ相談|労働問題弁護士ナビ
 

不退去罪で逮捕された後の流れ

それでは、実際に不退去罪で逮捕されたとなるとどのようにして刑事事件がされていくのでしょうか。こちらでは、不退去罪で逮捕された後の流れについてご説明していきます。
 

逮捕後警察の捜査

不退去罪で逮捕されるとまずは警察によって捜査が行われます。この警察の捜査は逮捕後48時間以内と決められており、その間はたとえ家族の方でも面会することはできません。
 
一方で、不退去罪で初犯の容疑では微罪処分とされることも多いでしょう。微罪処分を受けると被疑者の身柄は解放されます。
 
【関連記事】
微罪処分は逮捕後の最速の釈放|微罪処分となるための基準
 

検察からの捜査

警察からの捜査が済むと被疑者の身柄は警察から検察へと移されます。このことを送検(送致)と言います。検察からの捜査は原則として24時間以内です。この24時間以内に捜査が完了しなければ、さらに身柄拘束をされることがあります。
 
このことを勾留と言います。勾留期間は原則として10日間。それでも捜査が必要な場合、勾留延長によりさらに10日間の合計20日間が勾留期間の最大となります。ただ、不退去罪ではそこまで拘束期間が長引くことも少ないと考えられます。
 
【関連記事】
勾留の要件と流れ|拘留を防ぎ早く身柄を解放させる方法
 

起訴・不起訴

検察からの捜査が済むと、検察によって起訴か不起訴の処分を受けることになります。起訴されると99.9%が有罪になり何かしらの処罰を受けます。不起訴は実質無罪と同意です。刑事事件ではこの逮捕されてから起訴・不起訴の処分を受けるまでの対処が重要になります。
 
ただ、正直申すと不退去罪で長期間拘束されたり、起訴処分を受ける可能性は低いと考えられます。理由としては、罪自体が軽微なことが多いのと、実害が出ていないケースもあるからです。
 
それでも、起訴される可能性が高いケースとして、被疑者に前科や前歴があったり、不退去罪に付随して他の犯罪も関連しているような悪質なケースが考えられます。
 
【関連記事】
起訴と不起訴の違いと不起訴処分を獲得するためにできること
 

不退去罪で逮捕された場合の対処法

最後に、万が一不退去罪で逮捕されてしまった場合の対処法をご説明します。
 

逮捕後は無料で弁護士を呼べる

まず不退去罪に限らず、逮捕されてしまったのであれば誰でも一回だけならば無料で弁護士を呼べる制度があるということを覚えておいてください。「当番弁護士制度」と言います。
 
事件の細かい状況によって、逮捕後の流れや対処法も変わってきます。やはり個別に相談してみないとそれらが判断できないことが結論としてあります。具体的に相談する相手は刑事事件を多く扱っている弁護士ですが、普段弁護士と接点がない方がほとんどでしょうから、この制度は非常にありがたいものです。
 
「逮捕されたら無料で弁護士を呼ぶ」このことは覚えておきましょう。
 
【関連記事】
無料で簡単に呼べる当番弁護士は逮捕で困った被疑者の味方
 

示談交渉を行う

不退去罪では、被害者との示談交渉が効果的です。示談とは被害者との和解交渉の事です。刑事事件では、被害者の処罰感情(被疑者を罰してほしい気持ち)も、その後の処分に大きく影響してくるので、被害者と和解しておくことでその後の刑事手続きにも大きく影響します。
 
刑事事件では示談交渉を行う際、弁護士を間に挟むことがほとんどです。
 
【関連記事】
【刑事事件加害者の示談】示談の3つのメリットと注意点
 

身柄解放に向けた弁護活動

また、不退去罪ではそこまで身柄拘束の必要性がない場合があります。そのような場合、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張し、早期釈放を求める弁護活動を弁護士が行います。

 

 

まとめ

いかがでしょうか。不退去罪は滅多に起こる刑事事件ではありませんが、逮捕されると罰則を受ける可能性も出てくるでしょう。退去を命じられているにも関わらず居座る行為は罪になりますのでお気をつけください。


 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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