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公開日:2018.6.18

死体遺棄とは|罰則・事例や散骨の違法性などを解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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死体遺棄(したいいき)とは、人が亡くなった後、火葬などの埋葬手続きを取らずに捨て置くことを指します。死体遺棄は刑法で禁止されており、同罪で有罪判決を受けた場合は懲役刑が科せられます。

 

この記事では、死体遺棄の事例や罰則、散骨の違法性などについて解説します。

 

死体遺棄の基本概要

まずは、死体遺棄とは何かについて解説します。

 

死体遺棄の定義

死体遺棄とは文字どおり死体を遺棄することで、死体遺棄それぞれについては、一般的に次のように定義されます。

 

死体というのは,死亡した人の身体をいい,人の形体を備えている以上,死胎をも含む。ここで遺棄というのは,通常の埋葬と認められない方法で死体等を放棄することをいう。

引用元:死体遺棄罪|コトバンク

 

遺骨の遺棄も『死体遺棄』の罰則対象

法律上は、遺骨を遺棄した場合も死体遺棄として扱われ、罰せられます。

以下のように、遺骨を遺棄した男性が死体遺棄容疑で逮捕されたケースなどもあります。

 

2015年4月に東京都にて、男性が妻の遺骨を量販店のトイレに捨て、死体遺棄容疑で書類送検された事件です。男性は犯行後、骨壺を持って出頭したとのことです。

参考元:妻の遺骨をスーパーのトイレに遺棄…「憎んでいた」骨壺持って出頭 68歳夫を死体遺棄容疑で立件|産経ニュース

 

散骨の違法性

自然葬の1つとして散骨(※)がありますが、これを厳密に取り締まる法律はありません

死体の扱い方は、墓地埋葬法で次のように触れられているものの、個人で行われた節度ある散骨について逮捕されたケースは今のところありません。

 

第四条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。

2 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。

引用元:墓地埋葬法第4条

 

散骨については、法務省でも『社会的習俗として宗教的感情などを保護する目的だから、葬送のための祭祀で、節度をもって行われる限り問題はない』との見解が示されています(あくまで非公式のもの)。

参考元:第6回「これからの墓地等の在り方を考える懇談会」議事要旨

 

埋葬方法は、個人の宗教観などにも大きく関わるものであるため、取り締まりについても一定の余地が設けられていると考えられます。

 

※散骨

死者の遺骨を粉状に砕いて、海・山・陸などに撒くこと。

 

死体遺棄の罰則

死体を遺棄することは刑法で禁止されており、もし違反した場合は死体遺棄罪が成立します。罰則については次のように定められています。

 

(死体損壊等)

第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

引用元:刑法第190条

 

また刑事事件には、犯行から一定期間が過ぎると起訴ができなくなるという、公訴時効が設けられています。

時効期間は罰則の重さにより異なりますが、死体遺棄罪の公訴時効は、次のように定められています。

 

第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年

引用元:刑事訴訟法第250条

 

死体遺棄の事例

最後に、死体遺棄の事例をご紹介します。

 

2017年12月鹿児島地裁の判決

2016年9月に鹿児島県にて、被告人が突然死した長女の死体を葬祭せずに自宅に遺棄したとして、死体遺棄容疑で逮捕された事件です。裁判所は、「被告人が信仰する宗教の教えを誤って解釈した上での犯行で、利欲的な意図などはない」として、懲役1年と執行猶予3年との判決を下しました。

 

裁判年月日 平成29年12月26日

裁判所名 鹿児島地裁 裁判区分 判決

事件番号 平29(わ)207号

事件名 死体遺棄被告事件

参考元:文献番号 2017WLJPCA12266009

 

2018年2月奈良地裁の判決

2016年9月に奈良県にて、被告人が長女と共謀した上で、突然死した夫の死体を山林に遺棄したとして、死体遺棄容疑で逮捕された事件です。裁判所は「前科などがなく更生の余地は十分にある」として、被告人に対して懲役1年6ヶ月と執行猶予3年との判決を下しました。

 

裁判年月日 平成30年 2月 5日 裁判所名 奈良地裁 裁判区分 判決

事件番号 平29(わ)63号

事件名 殺人,死体遺棄被告事件

裁判結果 有罪

参考元:文献番号 2018WLJPCA02059004

 

まとめ

散骨のように宗教観が関わる場合は取り締まりも難しいようですが、明らかに違法性が認められるものについては、死体遺棄罪で罰せられます。

死者を満足に弔うことなく捨て置く死体遺棄は、まさに命を軽んじた行為といえるでしょう。

 

参照元一覧

死体遺棄罪|コトバンク

妻の遺骨をスーパーのトイレに遺棄…「憎んでいた」骨壺持って出頭 68歳夫を死体遺棄容疑で立件|産経ニュース

墓地埋葬法第4条

第6回「これからの墓地等の在り方を考える懇談会」議事要旨

刑法第190条

刑事訴訟法第250条

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

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