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商標法違反とは|該当する条件・罰金や懲役・逮捕の事例を紹介

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
商標法違反とは|該当する条件・罰金や懲役・逮捕の事例を紹介

商標法違反(しょうひょうほういはん)とは、他者の商標(商品やサービスを区別するマーク)と同一の商標を使い、商標権者の権利を侵害したり、不当利得を得たりする行為を言います。

意図的に他社を模倣していたわけでなければ、誰かから知らされるまで商標法違反に気づかない場合もあります。本来であれば事業を行う前に商標のリサーチをするべきではあるものの、「知らなかった」という人がいるのもまた事実でしょう。

しかし、知らなかったでは済まされない場合もあります。商標法違反が認められた場合の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらの併科です(商標法第78条)。

法人が違反した場合であれば、最大3億円の罰金が課せられる恐れもあります(商標法第80条)。

ただ、すべての場合においてこのような刑事事件になるわけではありませんし、当事者間の話し合いで和解できる場合もあります。罰金や懲役刑に課せられないようにするためにも、商標法違反をしてしまった場合は火種が小さいうちに対処をしておきましょう。

今回は、知らぬ間に商標法違反をしてしまった、もしくは商標法違反をしてしまっているか心配な人が理解しておくべき商標法違反に関する知識をお伝えします。

身内が逮捕された方はすぐにご相談を!

商標法違反で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。

  1. 仕事や学校に影響が出る可能性
  2. 懲役・高額な罰金が科される可能性
  3. 前科がつく可能性がある

逮捕から起訴までの期間は最長で23日間です。

この間に適切な弁護活動を受けられたかどうかが、今後の命運を左右します。

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商標法違反に当てはまる条件

他者の商標を使えば何でも商標法違反になるわけではありません。どんな場合に商標法違反に該当するのか、まず確認していきましょう。

業務上で商標を使っている

他者の商標を業務のために使用していた場合、商標法違反に当てはまる可能性があります。例えば、プライベートで使用するSNSのトップ画像として他者の商標を使っていた場合などは業務上の使用とはいえず、少なくとも商標法違反にはなりません。

専用権や禁止権を侵害して商標を使っている

商標権の中には、専用権・禁止権というものがあり、これに違反すると商標権を侵害したことになります。

専用権とは

自分の商標と同一のものに対し、独占排他的権を持つことを専用権といいます。独占排他権を持っている場合、自分の商標に関しては他人に使用されず独占的に利用でき、なおかつ他者が使用した場合は禁止や排除を主張できます。

禁止権とは

自分の商標と類似したものに対し、排他権を持つことを禁止権と言います。類似した商法を使用された場合に禁止や排除を主張することはできますが、商標権者が類似した商標を利用することはできません。

商標権者の許可なく商標を利用している

商標権者の許可を得ていれば、商標権違反に関しては問題になりませんが、無断で利用することで商標法違反となります。

商標法違反で刑事事件になる場合について

「刑事事件になって逮捕されたり罰金を課されたりするんじゃないか」というのが心配事の1つかと思います。ここでは、商標券違反をするとどんな場合に刑事事件になり、どんな場合に逮捕されるのか、ということをお伝えします。

どんな場合に刑事事件になるのか

商標法違反があった場合、被害者の訴えがなくても検察が自由に訴追できます(これを非親告罪という)。また、商標権者も告訴をせずに商標権侵害を主張可能です。したがって、検察や商標権者が商標法違反と判断すれば刑事事件になる可能性もありますので、そうならない前に対処しておくことが重要になります。

商標法違反で逮捕されるかどうかの判断基準

商標法違反をしている自覚があったのか、それとも故意だったのかが大きな判断基準になります。故意だった場合は反省している姿勢を見せることが大事ですが、仮にわざとでなかったとしても、物証が揃っていれば故意に商標法違反をしたと判断される可能性もあるので、注意が必要です。

商標法違反で逮捕された事例

ここでは、商標法違反で実際に逮捕された事例をお伝えします。

ブランド服の偽物を販売し逮捕された事例

 ナイジェリア人らが若者に人気の米ファッションブランド「XLARGE?(エクストララージ)」の偽物を販売していた事件で、県警生活経済課は6日、商標法違反(販売譲渡目的所持)容疑で、ナイジェリア国籍の衣類卸売販売業の男(32)=横浜市西区平沼、同法違反(販売譲渡)容疑で逮捕=ら日本人を含む4人を再逮捕した。容疑者は容疑を認めている。

 再逮捕容疑は共謀して6月15日、同区藤棚町の会社事務所などでエクストララージの偽物のジーパンなど約120点を販売目的で所持していたとしている。

引用元:偽ブランド販売目的所持疑い、ナイジェリア人ら再逮捕 神奈川 - 産経ニュース

ネットオークションで米国有名ブランドのパーカに見せかけた偽物を販売し、逮捕された事例です。このようにブランドの偽物を売っている場合というのは明らかに故意なので、儲かるからと安易な気持ちで続けていると、いつか家宅捜索がやってくるかもしれません。

ブランドのロゴを無断で使用し逮捕された事例

県警生活環境課サイバー犯罪対策室と宇都宮南署は9日、商標法違反の疑いで、名古屋市西区見寄町、無職の男(32)を逮捕した。調べに対し、「お金が稼げると思ってやった」と、容疑を認めている。

 逮捕容疑は昨年10月26日、インターネットのフリーマーケットアプリで、加熱式たばこ用のシールに有名ブランド「Supreme」のロゴを無断で使用したとしている。

引用元:有名ブランドロゴ無断使用で男逮捕 商標法違反疑い 栃木 - 産経ニュース

フリーマーケットアプリで企業の商標を無断利用して逮捕された事例です。最初は儲かっていたのかもしれませんが、商標権を持つ企業に発見され、警察に通報されたことをきっかけに犯罪が明るみになりました。

上記の事例の場合、逮捕された人は故意に商標法違反をしていたことが推測できます。ただ、商標権をわざと侵害したわけでなくとも、被害や権利侵害の規模次第では証拠を集められ、ある日警察が家にやってきた、ということにもなりかねません。

商標法違反で刑事事件になるとどうなるのか

では、商標権違反で刑事事件になると具体的にどんなことになるのでしょうか?以下で詳しくお伝えしますが、刑事事件にならず民事や話し合いで解決する場合もあるので、あくまで最悪の場合について説明しているのだということは覚えておいてください。

家宅捜索される場合がある

刑事事件としての捜査が進んでいる場合、警告書が届くことなく家宅捜索をされる場合があります。

逮捕される可能性がある

また、ケースによっては、逮捕されてから家宅捜索される場合もあります。逮捕された後は次の流れを辿ります。

逮捕の流れ

詳細:逮捕に関する全て|逮捕の種類と逮捕後の流れと問題点

逮捕された後は、まず警察による取調べがあります(48時間以内)。24時間以内に検察へ送検され、検察官が勾留を請求し、裁判所がこれを認めた場合、原則10日、最大で20日の身体拘束を受けることがあります。この間に商標法違反の事実があるのか捜査をされ、起訴されるか否かが決まります。

この間に釈放されたり刑を軽くしたりするために行動するためには、弁護士に刑事弁護を依頼する以外にありません。

執行猶予もしくは実刑判決が下る

起訴された場合は執行猶予がつくか実刑判決が下るかのどちらかになります。初犯で示談や損害賠償が済んでいる場合であれば執行猶予で済む可能性もありますが、示談や損害賠償が済んでいない場合や、同種の前科がある場合などは実刑を受ける可能性が高まります。

実刑を受けるのが最大のリスクです。実刑を避けるには、起訴される前に示談や損害賠償を済ませる必要があります。そのためには弁護士に刑事弁護を依頼することになるでしょう。

もちろん逮捕される前に弁護士に相談し、事前に対処しておくのもリスク回避になります。

商標法違反で弁護士に相談をすると得られる可能性があるメリット

弁護士に刑事弁護をしてもらうことで、実刑判決を受けるリスクを減らせることは既にお分かりいただけたかと思いますが、その他にも次のようなメリットがあります。

  • 釈放が早くなる
  • 前科がつかない
  • 刑務所に入るリスクが下がる
  • 漠然とした不安が解消する

身柄拘束が続けば仕事や家庭に影響が出てきますし、事業を営む人でしたら契約打ち切りなども考えられるでしょう。また、刑務所に入ってしまえば数年間は仕事ができません。

  • 「商標法違反をしてしまったんじゃないか」
  • 「これからどうなるんだろう」

こんな風に不安や心配があることでしょうが、法律が絡むので具体的にどうなるのか判断は難しいでしょう。「大丈夫だろう」と現実から目をそむけても、不安が消えるわけではありません。

もし悩んでいるのであれば、1人で考えるのではなく、刑事弁護をした実績がある弁護士に相談をすることで、より知識がつき、具体的に何をすれば良いのか理解するきっかけになります。

まずは無料相談を利用し、現状を正しく判断するのが良いでしょう。

まとめ

わざとやったわけでなければ、商標法違反は誰かに何かを言われない限り気づけない場合もあります。

大切なのは、商標法違反をしたと気づいた後にどう対処するかです。本記事を参考に、然るべき対処をしていただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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