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虚偽告訴罪(誣告罪)とは|痴漢をはじめとする冤罪の防御策
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公開日:2015.9.29

虚偽告訴罪(誣告罪)とは|痴漢をはじめとする冤罪の防御策

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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虚偽告訴罪とは、相手を刑事処分・懲役処分を受けさせる目的で虚偽の告訴を行った者に対して課せられる刑罰で、罪を犯した人物は3ヶ月以上10年以下の懲役に処されます。

 

痴漢や強制わいせつなどの突発的で証拠の残りづらい事件に多く、「やった、やっていない」と水掛け論にもなりえます。今回は、虚偽告訴罪の内容を詳しく説明いたします。

 

虚偽告訴罪の内容を理解していただいたうえで「虚偽の罪を着せられてしまったらどうすればいいのか?」と冤罪の被害者に向けて解説していきます。
 


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【目次】

虚偽告訴罪が成り立つ要因

虚偽告訴罪の刑の重さと損害賠償

虚偽告訴罪が起こりやすい事件

虚偽告訴罪に類似した犯罪

冤罪で逮捕された後に虚偽告訴罪で訴えることはできるのか

冤罪での弁護活動で覚えておきたいこと4つ

虚偽告訴罪を知っているだけで冤罪が防げる

まとめ

 

虚偽告訴罪が成り立つ要因

冒頭でも触れましたが、刑法172条に「人に刑事処分・懲戒処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴・告発・その他申告をしたものは、3ヶ月以上10年以下の懲役」とあります。

 

刑事・懲役処分を目的としている

明確に「相手を逮捕させよう、罪を犯したことにして懲戒処分を受けさせよう」という目的が無いと虚偽告訴罪は成り立ちません。

 

単に「この間◯◯に暴行された」と周りに嘘を言いふらしたり、ネット上で「芸能人の◯◯はヤバイ薬をやっている」などとでっち上げた情報を書き込んだりすることは、虚偽告訴罪ではなく名誉毀損罪になり得ます。

 

また、犯人を特定せず「空き巣に入ってものを盗られた」と嘘の申告をすることは、警察を騙していることになり軽犯罪法の虚偽申告の罪に問われます。

 

ここでいう虚偽の定義

虚偽とは、事実に反した偽りの内容のことですが、虚偽告訴罪に問われる虚偽とは、告訴の内容に含まれる事実が真実に反することをいいます。勘違いで相手が犯人だと思い込み(過失)、告訴などをしたのであれば虚偽告訴罪には問われません。

 

虚偽親告罪の成立には故意が必要

例えば、満員電車で触られたと思って訴えたものの、事実はカバンが当たっていただけで相手が無罪になったとしても、この場合は告訴の内容が真実に反することを認識していないので、故意がなく虚偽告訴罪に問われることはありません。

 

しかし、普段から気に入らない人物が悪いことをしているという噂だけを聞き、その確証が取れておらず、もしかしたら真実とは違うかもしれないと思いながら、逮捕させてやろうという理由で相手を告発し、結果的に噂が全くのでまかせで無罪になった場合は、未必の故意が認められ、虚偽告訴罪に問われる可能性が十分にあります。

 

告訴・告発・その他申告とは

告訴・告発とは相手が犯罪を行ったと捜査機関に処罰を求めることですが、その他申告として、被害届も含まれます。

 

相手を犯人に仕立て上げて、「こういう被害を受けた」と被害届を提出することも、結果的に捜査が入り刑事処分や懲戒処分の対象になり得ますので虚偽告訴罪となるのです。

 

虚偽告訴罪の成立

虚偽告訴罪の成立は虚偽の申告が捜査機関に到達した時点で成立します。ですので、虚偽告訴罪には未遂はありません。

 

嘘の被害届を出して、捜査機関が捜査を進めていくうちに虚偽であることに気づき、例えそれが犯人逮捕の前であっても虚偽告訴罪は成立します。

 

訴られた”犯人”の無実が確定

もちろんのことですが、訴えた事件の無実が判明するまでは虚偽告訴罪は成立しません。仮にBが虚偽の告訴でAを逮捕させたのならば、捜査機関はAを犯人として捜査するわけです。

 

そのまま捜査機関がAを犯人として有罪にしてしまったのならば、真実はAとBにしか分からず虚偽告訴罪など無かったことになり闇の中に葬られてしまいます。しかし、日本の捜査機関はそのような事件を少しでも減らすために厳重な捜査が行われています。

 

虚偽告訴罪の刑の重さと損害賠償

刑法172条に「6ヶ月以上10年以下の懲役」とあります。人を欺き金銭を騙し取る詐欺罪よりも重い刑罰になりますが、罪もない人物が逮捕され人生を破綻されたと考えるとその事も頷けます。

 

自白による刑の減免

また、刑法173条には「虚偽告訴罪を犯したものが、その申告をした事件についてその裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる」とあります。

 

早い段階で虚偽だったということを捜査機関に打ち明ければ刑の減軽、免除になることにもなります。

 

虚偽告訴罪と損害賠償

無実の罪で捕まってしまうことは、場合によっては長期間拘束され、仕事も失い、社会からの信用も失う可能性もあります。そうなってくると、考えられることといえば、それら被害に対する損害賠償です。

 

損害賠償の金額は、拘束期間の長さ、逮捕前の会社での地位とその後の結果などで、様々な差があります。“被害者”が実際に被害を受けていて過失で告訴をしてしまったのであれば、損害賠償を支払う必要はありませんが、故意であった場合、訴えを起こすことで相手は損害賠償を支払わなくてはならない可能性が出てきます。

 

虚偽告訴罪が起こりやすい事件

虚偽告訴罪で多いものは女性が被害者になる事件が多いように思えます。言い方はちょっと乱暴かもしれませんが、女性が被害者となると世間も同情をするという心理を突いて虚偽告訴罪が起きることがよくあるようです。

 

そのうえで虚偽の告訴をするということは、告訴すること自体に何かの目的があります。多くは、「相手を訴えて示談金を獲得する」「相手側とトラブルがあったから、恨みを晴らすために訴えてやる」などという理由になります。

 

痴漢冤罪

虚偽告訴罪で一番多い内容が、この痴漢冤罪です。満員電車内で女性が「この人痴漢です!」と申告し、警察へと連行されるものの、実際には連行された人物は痴漢をしていないことです。

 

この場合2つのパターンが考えられます。1つは単に“被害者”の近くにいたばかりに痴漢に間違えられてしまった冤罪。それともう一つが示談金や慰謝料目的の犯人でっち上げの冤罪です。この場合後者が虚偽告訴罪に問われます。

 

後者は、相手を逮捕させることが目的ではなく、示談金や慰謝料の金銭を獲得しようという目的です。ですので、虚偽告訴罪の他にも詐欺罪や恐喝罪などが当てはまる事にもなります。

 

社会生活でのトラブル・報復

社会生活でトラブルになり、相手と険悪な関係になるとカッとなって手が出てしまったり、暴言を吐いてしまったりします。それとは別に「相手を陥れてやろう」という、よこしまな気持ちが出てきてしまうこともあります。

 

中には「相手が逮捕されるようなことを警察に言おう」などという思いが出てきてしまう人もいます。それが、虚偽告訴罪になります。しっかりとした証拠や証言がないと警察も動かないこともありますが、それでも、恨みの感情から虚偽の告訴を行う者もいます。

 

オオカミ少年という話を聞いたことがあると思いますが、虚偽の告訴を行う者がいることで、本当の事件の相談も事件として扱われず事件が大きくなるまで警察が動かないという悪循環が生まれてしまっていることも問題として発生しています。

 

虚偽告訴罪に類似した犯罪

虚偽告訴罪には、いくつかの類似した犯罪があります。ここでは、それらの類似した犯罪のご説明をします。

 

名誉毀損罪

相手を逮捕させようと警察を始め捜査機関に虚偽の告訴をすることを虚偽告訴罪と言いますが、逮捕させるつもりは無いものの虚偽の情報を周りの人物に言いふらすことは名誉毀損罪になります。

 

名誉毀損罪は3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。名誉毀損の場合は、内容が嘘でも本当でも相手の社会的評価を低下させてしまえば要件に当てはまります。

 

虚偽申告の罪

軽犯罪法は33の行為が罪として認められており、そのうちの一つに「虚偽の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者」とあります。この場合、特定の犯人がおらず、公務員(警察)のみを騙したということで被害者はいません。

 

拘留又は科料の刑罰を受けることになります。イタズラ目的が多いでしょうが、場合によっては、捜査機関の業務を妨害したとみなされ業務妨害罪(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が問われることもあります。

 

恐喝罪・詐欺罪等

上記の痴漢冤罪のパターンでありえるのですが、虚偽の犯罪をでっち上げ“加害者”の「事態を大きくしたくない」という心理に付け込んで示談金や慰謝料で解決させようとする行為は恐喝罪や詐欺罪(どちらも10年以下の懲役)に当たります。

 

冤罪で逮捕された後に虚偽告訴罪で訴えることはできるのか

もし、冤罪で逮捕されてしまったら、虚偽告訴罪で相手を訴え返すことも可能です。しかし、ここで絶対に気をつけてほしいことが必ず弁護士を付ける(最低でも相談する)ことです。

 

弁護士を付けずに個人で訴えようとしても、やった・やってないの水掛け論になってしまう可能性が非常に高く、更には状況的にも”加害者”であるコチラ側に不利になってしまいます。余計刑罰が重くなる可能性も出てきます。一人で戦うにはあまりにもハードルが高すぎます。
 

   

 

冤罪での弁護活動で覚えておきたいこと4つ

こちらでは、虚偽告訴で冤罪をかけられてしまった際の弁護活動の方法をご説明いたします。

 

拘束期間が長くなることは覚悟しておいたほうがいい

容疑を否認することは、必然的に捜査が長引き拘束期間が長くなってしまいます。そのことは覚悟しておいたが良いでしょう。拘束期間が長くなることへの対処法は2つありますので以下でご説明します。

 

事件後の社会生活を穏便に送れる手配をする

1つは、虚偽の告訴を受けてしまったら家族、会社をはじめとした身の回りの人に「何もやっていないのだけど虚偽の告訴を受けてしまった。逮捕されてしばらく拘束されるかもしれない」という事情を説明して下さい。

 

身柄を拘束されてしまったら、早急に弁護士に依頼し外部との接触は取れるようにしておきましょう。容疑を否認していると弁護士以外は例え家族であっても面会できない「接見禁止処分」を受けてしまう可能性が非常に高くなります。

 

特に、会社とのやり取りになると思いますが、拘束されて仕事に行けない間の業務的なやり取りや、解雇・減給をしないように弁護士に間に入ってもらい交渉してもらいます。

 

拘束されたことで発生した損害や慰謝料を請求できる

それでも、拘束されたことにより損害が出た、休み扱いになり給料が出なかった、又は解雇されたと言った損害が出てしまった場合は、虚偽告訴をした相手に損害賠償を請求することも可能です。

 

弁護士の言うことは絶対

逮捕されてしまい、容疑を否認することは非常にハードルが高く精神的にもキツイ事があります。捜査機関の誘導尋問や、「今認めれば罰金で済ませてやるよ」などといった弱みに付け込んだ自供の要求などには乗らず弁護士から受けた助言に従って下さい。

 

供述が二転三転していると、捜査機関からの印象も悪くなりその後の判決に大きく響いてきます。

 

   

虚偽告訴罪を知っているだけで冤罪が防げる

こちらでは、圧倒的に冤罪が多い痴漢の事件を例にして事前知識で冤罪を防ぐ方法をご説明いたします。

 

毅然とした態度で立ち向かう

いきなり痴漢の犯人に仕立て上げられて「正気でいて下さい」ということは難しいことですが、この事を頭の片隅に置いていただいて、もしものときに思い出していただければ少しでも効果的にはなります。

 

というのも、相手が実際に被害を受けていても、示談金目当ての虚偽告訴でもコチラが少しでも毅然とした態度でいれば「あれ?この人じゃない?」なり「やばい、通用しない」などの感情になります。

 

逆に突然の出来事に戸惑っていると、ますます怪しく見えてしまい、相手の思う壺になってしまいます。

 

被害者女性と話し合う

痴漢の罪を着せられてしまったのであれば、駅員室に連れて行かれる前に被害者女性と直接話し合って下さい。ここでも感情的にはならずなるべく毅然な態度でいましょう。

 

「私は痴漢をやっていない。それでもやったというなら捕まえればいい。コチラも弁護士を呼び打つ手は打つし、示談は行わない。場合によっては虚偽告訴罪や詐欺罪で訴えることもある。」

 

ちょっと極端ですが、これくらい毅然とした対応を心がけて下さい。もし、相手が示談金目当ての申告だったのであれば、毅然な態度と「弁護士」というフレーズ、「虚偽告訴罪」という聞き慣れない専門用語で観念することも考えられます。

 

弁護士をすぐさま呼ぶ

状況にもよるでしょうし、急な出来事でなかなか思うような対応ができないことは十分に考えられます。しかし、これだけは覚えていて下さい。「痴漢冤罪にあったのならすぐさま弁護士を呼ぶ」ことです。

 

早期に釈放されることも、無実を貫き通す事も弁護士がいることで大きく結果が変わってきます。相手が虚偽告訴であれば逮捕を事前に食い止める牽制にもなります。身に覚えのない罪に着せられたのであれば、弁護士を呼んで下さい。

 

痴漢冤罪の詳しい記事は「痴漢冤罪の完全対策|弁護士に聞いた冤罪を回避する全手順」にありますので、参考にして下さい。

 


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まとめ

いかがでしたか?犯罪はもちろん悪いことで、捜査機関も事件を解決させるために注力して動きます。しかし、その捜査機関を利用して相手を陥れようという考えは、捜査機関も混乱させ相手の自由をも奪ってしまう重罪です。

 

その罪を処するために虚偽告訴罪があります。聞き慣れない言葉ですが、いつ身に覚えのない事件に巻き込まれるか分かりません。困ったらまずは法律の専門家・弁護士に相談しましょう。

 

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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