起訴猶予とは|不起訴との違い・前科の有無・可能性を高める方法を解説
起訴猶予とは何なのか、ほかの罪状とどのような違いがあるのかを知りたい方も多いのではないでしょうか。
起訴猶予とは、検察官が罪の証拠はあるが、今回は裁判にしないと判断した不起訴処分のひとつです。
起訴猶予は前科がつかないため社会復帰への影響は限定的ですが、前歴は残りますし、再起訴のリスクもゼロではありません。
本記事では、起訴猶予の意味・不起訴との違い・メリット・デメリット・処分が決まるまでの流れ・可能性を高めるポイントまで解説します。
起訴猶予とは?不起訴処分との違い
起訴猶予とは、被疑者への犯罪の嫌疑は十分であるものの、起訴して裁判を起こす必要はないとして、検察官の判断により不起訴処分になることです。
不起訴処分は、検察官が刑事事件について被疑者(容疑者)を裁判にかけないと決定して成立します。
不起訴処分は、以下の3パターンに分けられます。
- 嫌疑なし|犯罪をおこなった疑いがないと判断された場合
- 嫌疑不十分|証拠が不十分であるため、有罪判決を得るために必要な証拠が足りない場合
- 起訴猶予|証拠はあるが、諸事情を考慮して起訴を見送る場合
一般的に不起訴=起訴猶予と混同されがちですが、起訴猶予は不起訴処分の理由のひとつに過ぎません。
また、起訴猶予と執行猶予も混同されやすいですが両者はまったく別物です。
執行猶予は有罪判決を受けた後に刑の執行を一定期間猶予する制度である一方、起訴猶予はそもそも裁判自体がおこなわれないため、有罪判決も下りません。
起訴猶予は不起訴処分の理由のひとつ
起訴猶予は、不起訴処分の中に含まれる処分理由のひとつです。
検察庁の統計によると、不起訴になる理由の約7割が起訴猶予とされており、不起訴処分の大半を占めています。
検察官が起訴猶予の有無を判断する際は、被疑者の反省の度合い・被害の重さ・示談の成否・前科および前歴の有無・犯行の動機などを総合的に考慮します。
起訴猶予における前歴とは、捜査機関の記録に捜査対象になった事実が残ることです。
前科のように資格制限や公表がされるわけではありませんが、同じ人物が再び事件を起こした場合、前歴が検察官の判断材料になります。
起訴猶予になる条件
起訴猶予になるかどうかは、検察官が以下の事情を総合的に判断して決めます。
起訴猶予について、刑事訴訟法248条では次のように定められており、検察官には広い裁量が認められています。
刑事訴訟法248条
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる
検察官が起訴猶予にすべきかを判断する際の主なポイントは、以下のとおりです。
- 犯罪の軽重|軽微な犯罪ほど起訴猶予になりやすい
- 被害の程度|犯罪の被害が小さいほど有利に働きやすい
- 示談の成否|被害者との示談成立は最大の考慮事由のひとつ
- 反省・更生の見込み|真摯な反省と再犯防止策が評価される
- 前科・前歴の有無|初犯かどうかは大きく影響する
- 被疑者の属性|年齢、職業、家族環境なども考慮される
以上の事情が重なるほど、起訴猶予の可能性は高まります。
逆に、前科があったり被害者との示談が未成立だったりする場合は、起訴に向かいやすくなります。
起訴猶予になる割合は不起訴処分全体の約7割
令和6年版の犯罪白書によると、令和5年に不起訴処分となった人員のうち、起訴猶予が占める割合は約7割です。
つまり、不起訴になった人の大半は起訴猶予によるものといえます。

ただし、窃盗・傷害・器物損壊などは起訴猶予率が高いですが、殺人・強盗・性犯罪などの重大事件は起訴される割合が高いです。
また、初犯か再犯かによっても大きく異なります。
同じ罪種で前科がある場合は起訴猶予になる可能性が下がるので、起訴猶予の割合が高いからといって、起訴猶予になるだろうと楽観視するのは禁物です。
最終的な判断は検察官の裁量によって決まるので、一日でも早く弁護士の力を借りて起訴猶予になるためのサポートを受けるのをおすすめします。
起訴猶予の期間は法律上定められていない
起訴猶予処分を受けても、公訴時効が完成するまでは再び起訴される可能性が残っています。
公訴時効とは、犯罪が終わってから一定の期間が経過すると、検察官が容疑者を起訴できなくなる制度のことです。
起訴猶予は検察官の裁量による一時的な判断なので、裁判の確定判決のように一度決まったら二度と裁かれないという効力はありません。
以下のようなケースは、同じ事件で再起訴される可能性があるので注意が必要です。
- 犯行を裏付ける決定的な新証拠が発見された場合
- 示談が破談になるなど、当初の判断を覆す新たな事情が生じた場合
事件が法的に完全に解決するのは、罪種ごとに定められた公訴時効が成立したタイミングです。
起訴猶予はゴールではなく、あくまでも今は起訴しないという判断に過ぎないことを理解しておきましょう。
起訴猶予を受けて得られる3つのメリット
起訴猶予になれば、刑事手続きという大きな山は越えたといえます。
前科がつかず、身柄も解放されて日常生活への影響を最小限に抑えられるのが起訴猶予における主なメリットです。
具体的なメリットを3つ解説します。
①身柄が解放される
起訴猶予処分が決定した時点で、身体を拘束されていた場合はすぐに解放されます。
被疑者の身体拘束は、起訴前の捜査段階における手続きのひとつです。
検察官が不起訴と判断すれば、身柄を拘束し続ける法的根拠が失われるため釈放されます。
たとえば、万引きで逮捕・勾留が続いた場合でも、起訴猶予と判断されればその日のうちに警察署から解放されて帰宅が可能です。
たとえ拘束期間が長引いていた場合でも、決定が出た時点で速やかに自由の身となります。
なお、在宅事件であれば起訴猶予の決定をもって捜査機関との関わりが事実上なくなります。
在宅事件とは、被疑者(容疑者)が逮捕や勾留などの身柄拘束を受けないまま、通常の日常生活を送りつつ警察や検察の捜査を受ける刑事事件のことです。
仕事や家庭への影響を最小限に抑えられる点は、身柄拘束事件と異なり、仕事や家庭への影響を最小限に抑えられる点が大きなメリットです。
②有罪判決を受けない
起訴猶予になれば裁判が開かれないため、有罪判決を受けることはありません。
有罪判決による資格制限や就職への悪影響、数ヶ月から1年以上におよぶ裁判手続きの精神的・時間的負担を回避できるのは非常に大きなメリットです。
ただし、起訴猶予は検察官が今回は刑事責任を問わないと判断しただけであり、無罪とは異なります。
前科にはなりませんが、警察や検察の内部には前歴(捜査対象になった記録)として残ります。
起訴猶予になる=罪が全くないという意味ではなく、あくまで今回は見逃してもらったという意味合いに過ぎません。
同様の事件を起こした場合には、過去の経緯が厳しく考慮される社会的リスクが残る点には注意が必要です。
③前科がつかず法的デメリットがない
起訴猶予処分では前科がつかないため、特定の職業に就けなくなる資格制限や、海外渡航時のビザ取得への影響などの法的なデメリットを避けられます。
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた経歴のことです。
医師や看護師、教員、警備員などの資格は、一定以上の刑に処せられると欠格事由として定められている場合があります。
欠格事由に該当すると、資格を失ってしまったり、改めて取得できなくなったりする可能性が高いです。
例えば、看護師を目指している学生が万引きで検挙された場合でも、起訴猶予となれば有罪判決を受けたことにはならないので、看護師免許の取得に影響はありません。
起訴猶予を受けて生じる2つのデメリット
前科がつかないとはいえ、起訴猶予で全てが解決したとは言い切れません。
捜査記録は残り、職場への影響も避けられないケースがあります。
ここでは、起訴猶予後に生じる2つのデメリットを解説します。
①捜査機関に前歴が残る
起訴猶予になっても、警察・検察の記録には捜査対象になった事実が前歴として残ります。
起訴猶予はあくまでも今回は見送ったという判断であり、記録そのものが抹消されるわけではないからです。
前歴は一般に公開されず、就職や資格取得に関する直接的な法的制限もありません。
ただし、後日新たな事件を起こした場合、検察官が処分を判断する際の考慮材料になります。
たとえば、前歴がある中で同じ罪種で事件を再び起こした場合、改善の見込みが低いと判断され、起訴猶予にならないおそれがあるので注意が必要です。
前歴が残る以上、再犯しないことが最大の対策です。
②解雇処分の可能性がある
起訴猶予になった場合、会社から懲戒処分や解雇を受ける可能性があります。
起訴猶予は刑事的には裁判にしないという判断に過ぎず、会社側の人事処分を縛る法的効力はないからです。
会社が事件の事実を知った場合、就業規則にある会社の名誉・信用を傷つける行為や逮捕・勾留された場合などの条項を根拠に、次のような処分が下される場合があります。
- 口頭または文書による厳重注意
- 給与および役職の引き下げ
- 一定期間の就業禁止(出勤停止)
- 懲戒解雇・即時解雇(退職金不支給の場合もある)
特に逮捕・勾留によって長期間欠勤した場合、会社側に事件が発覚するリスクは高まるので注意が必要です。
起訴猶予後の職場対応については、弁護士に相談のうえ、報告の要否や方法を慎重に判断するのをおすすめします。
起訴猶予が決まるまでの流れ
身柄拘束事件の起訴猶予は、逮捕から最大23日間の刑事手続きを経て決定されます。
どの段階で何が起きるのかを把握しておけば、いざというときに冷静に対処できます。
逮捕から起訴猶予決定までの流れを順に確認しましょう。
逮捕
逮捕は原則として、警察官がおこないます。
逮捕されると警察の留置場に収容され、警察官による取り調べが始まります。
逮捕の種類は、主に以下の3つです。
- 通常逮捕|裁判官が発付した逮捕状に基づく逮捕
- 現行犯逮捕|犯罪の実行中または直後に行われる逮捕
- 緊急逮捕|重大犯罪で逮捕状取得が間に合わない場合の逮捕
逮捕直後は、弁護士以外との接見が制限される接見禁止が付く場合があります。
家族であっても面会できないケースがあるため、逮捕後はできるだけ早く弁護士に接見を依頼することが重要です。
送致(送検)|逮捕から48時間以内
逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と事件記録が検察官へ送致されます。
身柄が警察から検察庁へ移送された後は、検察官による取り調べがおこなわれます。
検察官が勾留請求をするか・釈放するかの初期判断をおこなうのは、このタイミングです。
送致後24時間以内に検察官が釈放してよいと判断すれば、この時点で身柄は解放されます。
起訴猶予を含む不起訴処分は後日決定されますが、身柄拘束は終わります。
勾留請求|送致後から24時間以内
検察官は送致を受けてから24時間以内に、引き続き身柄を拘束する必要があるかを判断します。
捜査を続ける必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求をおこないます。
継続捜査が必要ないと判断した場合は釈放され、以後は在宅事件として捜査が続きます。
一方、勾留請求がおこなわれた場合でも、弁護士が勾留却下の働きかけを行い、裁判官がこれを認めれば(勾留請求を却下すれば)、 、釈放される可能性があります。
早期釈放を目指すなら、裁判官に対して勾留請求を認めず「勾留却下」の決定を下すよう意見書などを提出してもらうため、このタイミングでいち早く弁護士に動いてもらうのが重要です。
勾留|原則10日間・最大20日間
裁判官が勾留質問(被疑者との面談)を経て勾留請求に理由があると判断すれば、勾留が決定します。
勾留期間は原則10日間ですが、検察官が延長を請求し裁判官が認めればさらに最大10日間延長されます。
この間も警察官・検察官による取り調べが続きますが、弁護士が接見を通じて取り調べへの対応をアドバイスしてくれる重要なタイミングです。
もし裁判官が勾留請求に理由がないと判断した場合は、被疑者は釈放されて在宅事件となります。
起訴・不起訴の決定|最大23日以内
身柄拘束が続いている場合、逮捕段階の72時間に勾留期間の最大20日間を加えた、合計最大23日以内に検察官は起訴・不起訴を判断します。
起訴猶予はこの段階で決定され、もし起訴猶予となれば被疑者は即日釈放され、刑事手続きは終了します。
なお、在宅事件においては23日間のタイムリミットは適用されません。
場合によっては、数週間から数ヵ月にわたって捜査が続くこともあるので注意が必要です。
起訴猶予後のリスクは「再起訴と解雇の可能性があること」
起訴猶予になっても、将来的に起訴されるリスクはゼロではなく、会社を解雇されるおそれもゼロではありません。
起訴猶予はあくまで検察官が今回は見送った状態に過ぎず、罪そのものが消滅したわけではないからです。
たとえば、被害者と揉めて示談が破談になったり、新たな証拠が出てきたりすれば、同じ事件で再起訴される可能性があります。
また、会社側には事件を起こした事実が伝わるケースも多く、就業規則の懲戒規定に基づいて解雇などの重い処分が下る可能性もあります。
たとえ起訴猶予になっても、社内処分を避ける強制力などはないため安心するのは早計です。
起訴猶予で安心せずに、再起訴を防ぐための誠実な対応と職場への適切な状況報告・弁明の準備を迅速に進めましょう。
起訴猶予の可能性を高めるための4つのポイント
起訴猶予になるかどうかは検察官の裁量による判断ですが、適切な対応を取ればその可能性を高めることは可能です。
ここでは、起訴猶予の可能性を高めるためのポイントを4つ解説します。
①被害者との示談を成立させる
起訴猶予の可能性を高めるために、被害者との示談を成立させることを目指しましょう。
被害者との示談成立は、検察官の判断に大きく影響する要素のひとつです。
示談が成立すれば、被害者が処罰を望んでいないという事実が明確になります。
特に傷害・窃盗・痴漢など、被害者が存在する事件では、示談の有無が起訴・不起訴の分岐点になるケースも少なくありません。
ただし、示談交渉を被疑者本人がおこなうことは難しく、被害者から拒否されるケースも多いです。
弁護士が代理人として交渉すれば、被害者側も話し合いに応じやすくなります。
逮捕後は時間的な猶予がないため、できるだけ早く弁護士に依頼するのをおすすめします。
②反省の態度を反省文として残す
起訴猶予の可能性を高めるためにも、反省の態度を反省文として残しましょう。
検察官への処分判断において、被疑者が真摯に反省しているかどうかは非常に重要な考慮事由です。
反省文は、口頭での謝罪と異なり、記録として検察官に提出できます。
犯行に至った理由・被害者に対する謝罪の気持ち・二度と繰り返さないための対策を記せば、反省の深さを伝えられます。
ただし、内容が不十分だったり逆効果になる表現が含まれていたりすると、マイナスに働く場合もあるので注意が必要です。
なお原則として、反省文を提出した後のやり直しは不可能なので、弁護士に具体的な書き方や提出のタイミングを相談しながら慎重に進めましょう。
③周囲に監督してもらい再犯防止に努める
周囲に監督してもらい、再犯防止に努めるのも重要な行動のひとつです。
検察官に対して再犯防止の姿勢を示せば、罪を犯した事実を十分に反省しているのをアピールできます。
具体的には、家族や職場の上司などに監督者になってもらい、被疑者の更生を支援して再犯を防止する旨を記した監督誓約書を作成・提出する方法が有効です。
監督誓約書とは、被疑者に対して、監督者が責任を持って指導・管理・監督することを約束し、相手方や公的機関に提出する書面です。
周囲がしっかり見守っているという事実は、検察官に社会内での更生が可能と判断してもらうための材料になります。
決して一人で抱え込まず、信頼できる家族や知人に状況を打ち明けて協力を求めましょう。
④刑事事件の経験が豊富な弁護士に弁護してもらう
起訴猶予となる可能性を高めるためには、刑事事件に精通した弁護士のサポートが必要不可欠です。
起訴猶予の可能性を高めるには、示談交渉・反省文の作成・監督者の選定・検察官への意見書提出など、さまざまな活動が必要となります。
全ての活動を逮捕後の限られた時間内に適切におこなうには、刑事手続きに熟知した弁護士でなければ対応が難しいのが実情です。
また、弁護士が介入すれば検察官に対して被疑者が真剣に事態に向き合っているという印象を与えられます。
自分でなんとかなるだろうと判断せず、早い段階で弁護士へ相談することが起訴猶予への近道です。
起訴猶予後の不安を弁護士に相談する主なメリット
起訴猶予は前科がつかず、被疑者にとって望ましい結果のひとつです。
ただし、それで不安がすべて消えるわけではありません。
起訴猶予は「今回は起訴しない」という判断にとどまり、公訴時効が完成するまでは、新たな事情によって処分が変わる可能性が残る状態だからです。
起訴猶予後の不安を解消するうえで、弁護士への相談は大きな助けになります。
弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として不起訴処分告知書を取得してくれます。
不起訴処分告知書とは、不起訴処分を受けた事実とその理由を公式に証明できる重要書類です。
さらに、示談が未完了のまま残っている場合は、示談を成立させて再起訴や後日の民事訴訟につながる可能性を法的に断ってくれるのも大きなメリットです。
加えて、起訴猶予になった事実を勤務先に伝えるべきか、どこまで話すべきかといったデリケートな悩みにも具体的な指針を示してもらえます。
処分後も不安が残る場合は、ひとりで抱え込まず早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
起訴猶予で悩んでいるならベンナビ刑事事件で弁護士に相談しよう
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示談交渉を任せたい場合や起訴猶予後の対応を相談したい場合など、どのような段階でもまずは相談できます。
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一日でも早く今の状況を前に進めるために、まずは弁護士に話を聞いてもらうところから動き出しましょう。
弁護士に依頼して不起訴処分(起訴猶予)を獲得した3つの事例
実際に弁護士へ依頼したおかげで、起訴猶予から不起訴処分を獲得したケースがあります。
自分の場合はどうなるのかと不安を感じている方は、以下の事例を参考にしてみてください。
執行猶予中の再犯で不起訴処分(起訴猶予)を獲得したケース
まず紹介するのは、執行猶予中の再犯で不起訴処分を獲得したケースです。
執行猶予中に再び事件を起こした場合、通常は執行猶予が取り消され、実刑となるリスクが高い状況です。
このケースでは、執行猶予期間中に傷害事件を起こした被疑者が弁護士に依頼。
弁護士が被害者との示談交渉を迅速に進め、示談を成立させることに成功しました。
示談成立によって被害者が処罰を望まない意思を示したことで、検察官は不起訴処分を決定し、執行猶予の取り消しも回避されました。
執行猶予中の再犯という非常に不利な状況でも、早期の示談交渉が結果を大きく変えることを示す事例です。
執行猶予中に万引きをしたが不起訴処分(起訴猶予)を獲得したケース
次に紹介するケースも、執行猶予中に万引き(窃盗)をしてしまったケースです。
前回の有罪判決から間もない再犯であり、実刑リスクが高い状況でした。
弁護士が介入し、被害店舗への被害弁償と謝罪を迅速におこなうとともに、家族による監督体制などの再犯防止に向けた対策を検察官にアピール。
その結果、検察官は起訴を見送り、不起訴処分が決定しました。
万引きは軽微な犯罪と思われがちですが、執行猶予中の再犯となれば話は別です。
弁護士が素早く動き、反省と再犯防止の姿勢を具体的に示したことが、不起訴につながりました。
電車内で盗撮行為をおこなったが、不起訴処分(起訴猶予)を獲得したケース
最後に紹介するのが、電車内での盗撮という性的な犯罪行為で逮捕されたケースです。
盗撮行為は社会的制裁も大きい犯罪であり、職場への影響が懸念される状況でした。
弁護士が早期に被害者との示談交渉を開始し、被害者の心情に配慮しながら丁寧に交渉を進め、示談を成立させることに成功しました。
併せて、カウンセリングへの通院などの再犯防止への具体的な取り組みを検察官に示しました。
結果として不起訴処分を獲得し、前科がつくことなく社会復帰への道を確保できました。
社会的制裁が大きい性犯罪であっても、弁護士による丁寧な示談交渉と再犯防止への誠実な姿勢が、不起訴という結果につながったことがわかる事例です。
起訴猶予に関するよくある質問
最後に、起訴猶予についてよくある疑問をまとめました。
気になる点を確認しておきましょう。
Q1.示談なしでも起訴猶予になったらどうなる?
示談が成立していなくても、起訴猶予(不起訴処分)になるケースはあります。
ただし、示談がある場合と比べて、2つの重大なリスクが残る点には注意が必要です。
刑事手続きが終了しても民事上の賠償責任は別問題なので、被害者から慰謝料などを求めて損害賠償請求をされるおそれがあります。
また、示談未成立で被害感情が強いままだと、その後の民事裁判での証言や新証拠の発見などを機に、検察官に捜査を再開されて事件を再起訴されるリスクも否定できません。
処分後であっても弁護士を介して示談交渉を続け、双方のリスクをなくすことが重要です。
Q2.一度起訴猶予になった事件が再起訴されることはある?
起訴猶予に一事不再理の効力はないため、公訴時効が完成するまでは再起訴される可能性が残ります。
一事不再理とは、刑事裁判が確定した場合、当該事件について再び起訴することが許されなくなることです。
再起訴につながりやすい主なケースは、以下のとおりです。
- 新証拠の発見|犯行を裏付ける決定的な証拠が新たに出てきた場合
- 示談の破談|成立していた示談が何らかの理由で無効になった場合
- 被害者の告訴|被害者が改めて処罰を求めて告訴した場合
- 再犯|同種の犯罪を繰り返した場合、過去の事件も含めて処分が見直される場合がある
再起訴のリスクをゼロに近づけるには、示談を確実に成立させて誠実な態度を維持し続けることが重要です。
Q3.罰金や執行猶予と起訴猶予は具体的にどう違うの?
それぞれまったく異なる制度ですが、混同しやすいため整理しておきましょう。
| 処分 | 起訴の有無 | 前科 | 内容 |
| 起訴猶予 | なし(不起訴) | つかない | 検察官が起訴を見送る処分 |
| 罰金 | あり(略式起訴) | つく | 裁判所が金銭的制裁を科す有罪判決 |
| 執行猶予 | あり(正式起訴) | つく | 有罪判決後、刑の執行を一定期間猶予する制度 |
罰金は軽い処分と思われがちですが、前科がつきます。
執行猶予も同様に有罪判決の一種です。
一方、起訴猶予はそもそも起訴されないため、前科がつかない点で両者と根本的に異なります。
Q4.家族が逮捕された…起訴猶予のために何をすればいい?
家族が逮捕された場合、まずは弁護士に相談するのが最優先事項です。
逮捕後72時間は、弁護士以外との接見が制限される場合があります。
具体的にすべき行動は、以下のとおりです。
- 刑事事件に強い弁護士へ今すぐ相談・依頼する
- 本人の更生を支援する監督誓約書の作成に協力する
- 弁護士と連携し、示談に必要な費用を準備する
- 職場・学校にどう連絡すべきか弁護士に相談する
逮捕後72時間というタイムリミットが迫っているからこそ、何をすればいいかわからずに行動に移せない状態が一番危険です。
家族が逮捕された場合、一刻も早く弁護士に相談して具体的な行動指針をもらうのが最善策です。
まとめ|自分や家族が起訴猶予を受けたときは速やかに弁護士に相談しよう
起訴猶予とは、検察官が「罪の証拠はあるが、今回は裁判にしない」と判断した不起訴処分のひとつです。
前科はつかずに身柄も解放されるため、社会復帰への影響は限定的です。
ただし、起訴猶予は事件の完全解決ではありません。
公訴時効が完成するまで再起訴のリスクは残り、捜査機関には前歴が記録されます。
示談が未成立のままであれば、被害者から民事訴訟を起こされる可能性もあるので注意が必要です。
起訴猶予となる可能性を高め、その後のリスクを最小限にするためにも早い段階で弁護士に依頼しましょう。
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略式起訴とは、検察官が簡易裁判所に対して被疑者への処罰を求める簡易的な手続きのことです。書面のみで審理がおこなわれ、被告人には罰金または科料が科せら...
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前科一犯とは、過去に犯罪を起こし、前科が1回付いた人の事を指します。“一犯”とは、前科になった回数の事で、2回、3回と増えていけば、二犯、三犯とその...
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本記事では、懲役刑・禁錮刑が拘禁刑に一本化された理由やその内容、拘禁刑への制度変更がもたらすデメリットなどについてわかりやすく解説します。
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偽計業務妨害罪は身近にある犯罪であり、実際に自身の行為が該当するのではないかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。本記事では、偽計業務妨害...
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未成年でも14歳以上は逮捕される可能性があります。本記事では逮捕後の流れや少年審判で受ける処分の内容、学校の退学処分、進学や就職への具体的な影響、今...
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