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不起訴処分が前科に与える影響|正しく理解し対処するための基礎知識

須賀翔紀
監修記事
不起訴処分が前科に与える影響|正しく理解し対処するための基礎知識
  • 「不起訴になっても前科はつくのか」
  • 「どうすれば不起訴を勝ち取ることができるのか」

逮捕されてしまった場合、なんとかして不起訴になりたいと考えるのは当然のことです。

しかし、不起訴を勝ち取ったとしても、私生活になんらかの不利益が生じるのではないかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、不起訴処分となった際に前科がつくのかどうかを解説します。

不起訴処分となる条件や、逮捕後に不起訴処分を獲得するためのポイントなども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

不起訴処分でも前科はつくの?前科はつかないが前歴は残る

まず、不起訴処分でも前科はつくのかどうかを解説します。

不起訴なら前科はつかない

逮捕されたとしても、不起訴であれば前科はつきません。

前科がつくのは、起訴されて有罪判決を受けたときだけです。

そのため、不起訴となり釈放されたあとは普段どおりの生活を取り戻すことができます。

不起訴であっても前歴は残る

不起訴になると前科はつきませんが、前歴は残る点に注意しておきましょう。

前歴とは、捜査機関の捜査対象になったものの、有罪判決には至らなかった経歴のことです。

前歴は消すことができず、本人が死亡するまで残り続けます

しかし、前歴があるからといって、私生活への影響を心配する必要はありません。

海外旅行にいったり、ローンを組んだり、国家資格を取得したりすることもできます。

前歴の有無は照会をかけて調べられるものではなく、自ら申告する義務もないので、就職活動などで不利になることもないでしょう。

ただし、再犯の際に前歴があることで不利になる可能性はあります。

刑事事件において不起訴処分以外で前科がつかない2つのケース

不起訴を獲得する以外にも、前科を避けられる方法は存在します。

ここでは、刑事事件において不起訴処分以外で前科がつかない2つのケースを詳しく見ていきましょう。

1.微罪処分|一定の犯罪について警察限りで終結させる手続きのこと

微罪処分が下された場合は、前科がつきません。

微罪処分とは、比較的軽い犯罪の捜査を警察限りで終結させる手続きのことです。

検察官に事件が引き継がれる前に捜査が終了するので、その時点で前科は確実に避けられます。

微罪処分となる犯罪の種類は自治体ごとに異なりますが、窃盗罪・詐欺罪・賭博罪・暴行罪・傷害罪などが一般的です。

もちろん、事件の規模や前科の有無などによっては検察に送致され、起訴される可能性も十分あり得ます。

2.無罪判決|刑事裁判において被告人が刑に処されない判決のこと

不起訴処分以外で前科がつかないケースのひとつが、無罪判決を受けた場合です。

無罪判決とは、刑事裁判において被告人が刑に処されない判決のことを指します。

検察官が起訴を決定すると裁判が開かれ、裁判官が有罪・無罪の判決を下すことになりますが、無罪判決を勝ち取ればいかなる処罰も受けません。

とはいえ、日本の刑事事件における有罪率は99%を超えます

起訴されてしまった段階で有罪となり、前科がつくことはほぼ確実といえるでしょう。

刑事事件を起こした場合に前科がつくことになる3つのケース

次に、刑事事件を起こした場合に前科がつくケースを紹介します。

実刑判決・執行猶予付き判決・略式命令の3種類があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.実刑判決|被告人に対する執行猶予を設けない有罪判決のこと

刑事事件を起こし、実刑判決が下された場合は前科がつきます。

実刑判決とは、被告人に対する執行猶予を設けない有罪判決のことです。

実刑には懲役・禁錮・罰金などがありますが、いずれにしても前科はついてしまいます

2.執行猶予付き判決|被告人に対して執行猶予を設ける有罪判決のこと

執行猶予付き判決を受けた場合も前科はつきます。

執行猶予付き判決とは、被告人に対して執行猶予を設ける有罪判決のことです。

執行猶予期間中は普段どおりの生活を送ることができ、犯罪を起こさなければ刑が免除されるため、執行猶予がつくかどうかはその後の人生を左右する分かれ道となります。

しかし、執行猶予付き判決であっても有罪であることに変わりなく、前科がついてしまう点には注意しておきましょう。

3.略式命令|略式手続で簡易裁判所から出される罰金・科料の命令のこと

刑事事件を起こした場合に前科がつくケースのひとつが、略式命令が出された場合です。

略式命令とは、略式手続で簡易裁判所から出される罰金・科料の命令のことを指します。

略式命令に懲役などの刑罰はなく、命じられるのは罰金・科料の支払いだけです。

しかし、正式な裁判手続きが省かれているにすぎず、略式命令が確定した場合は有罪判決と同じ効力が生じます。

そのため、不服申し立てをおこなわない限りは有罪が確定し、前科がついてしまうのです。

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刑事事件を起こして逮捕されても不起訴処分となるケース

刑事事件を起こして逮捕されても、不起訴処分となれば前科がつくことを避けられます。

ここでは、逮捕後に不起訴処分となるケースを詳しく見ていきましょう。

1.嫌疑なし|被疑者が犯人でないことや証拠がないことが明白な場合

逮捕後に「嫌疑なし」となった場合は、不起訴処分となります。

嫌疑なしとは、被疑者が犯人でないことが明白な場合や、証拠が見つからない場合におこなわれる判断です。

たとえば、真犯人がほかに見つかったときなどは嫌疑なしで不起訴となり、当然前科がつくこともありません。

2.嫌疑不十分|犯罪の成立を認定するのに必要な証拠が不十分な場合

「嫌疑不十分」とされた場合も、不起訴処分となります。

嫌疑不十分とは、犯罪の成立を認定するために必要な証拠が不足している場合におこなわれる判断です。

被告人を裁判で有罪にするには、一般人が合理的疑いを抱かない程度の立証が求められます。

そのため、被疑者にアリバイがあり、明白な証拠が見つかっていないときなどは、裁判官も起訴することができません。

確証をもてない限りは、嫌疑不十分として不起訴とせざるを得なくなるわけです。

3.起訴猶予|犯罪は明白であるが、一定の事情を考慮して訴追しない場合

刑事事件を起こして逮捕されても、不起訴処分となるケースのひとつが「起訴猶予」です。

起訴猶予とは、犯罪をおこなったことは明白であるものの、一定の事情を考慮して訴追しない判断のことを指します。

実際、起訴猶予を理由に不起訴となるケースが最も多く、その数は半数以上にのぼります。

なお、検察官は以下のような点を考慮したうえで、起訴猶予とするかどうかを判断するケースが一般的です。

  • 犯人の年齢・性格・境遇
  • 犯罪の軽重・動機・様態
  • 示談の有無
  • 反省の程度

たとえば、万引きなどの軽微な犯罪を犯した場合に、初犯かつ示談も成立しているようであれば、起訴猶予となる可能性は高いといえるでしょう。

不起訴処分を獲得し前科をつけないための3つのポイント

不起訴処分を獲得できるかどうかで、その後の人生は大きく変わります。

ここでは、不起訴処分を獲得し、前科をつけないためのポイントを解説するので参考にしてみてください。

1.犯罪について深く反省をする

まずは、犯罪を犯したことについて深く反省することが大切です。

十分な反省が見られ、再犯の可能性が低いと判断された場合には不起訴になる可能性があります。

反省の意は、目に見える形で示さなければなりません。

検察庁に反省文を提出したり、被害者に謝罪文を送付したりといった対応が考えられるでしょう。

2.被害者との示談を成立させる

被害者との示談を成立させることも、不起訴処分を獲得し、前科をつけないための方法のひとつです。

示談の成立は、被害者が加害者を許し、処罰を求めない意向があることを意味します。

そのため、検察官からも刑罰を科す必要性は低いと判断され、不起訴を獲得できる可能性が高まるのです。

また、早急に示談を成立させ、被害届を取り下げさせることができれば、その時点で警察の捜査自体が終了する可能性もあります。

3.できる限り早く弁護士に相談する

不起訴処分を獲得したいのであれば、できる限り早く弁護士に相談しましょう。

法律の知識と実務経験に基づいた弁護活動をおこなってもらうことで、不起訴処分を勝ち取れる可能性があります。

たとえば、被害者との示談交渉や警察・検察へのはたらきかけなどを円滑に進めてもらえるはずです。

自力で事態を収集することは難しいので、逮捕された場合には刑事事件が得意な弁護士を早急に探すようにしてください。

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不起訴処分と前科に関するよくある質問

最後に、不起訴処分と前科に関するよくある質問に回答します。

Q.不起訴処分になる割合はどれくらいですか?

検察に送致されたあとで、不起訴処分になる割合は6~7割程度です。

多くの場合、起訴猶予を理由に不起訴処分となっています。

Q.不起訴になるかどうかはいつわかりますか?

逮捕・勾留によって身柄が拘束される身柄事件の場合は、逮捕後23日以内に不起訴かどうかが判断されます。

通常どおりの生活を送りながら捜査が進められる在宅事件の場合は、起訴か不起訴の判断がいつになるかは不明です。

被疑者本人が処分の見込みを尋ねても、検察から回答してもらえることはほとんどありません。

Q.示談が成立すれば必ず不起訴になりますか?

示談が成立したからといって、必ずしも不起訴になるとは限りません

前科があったり、事件の内容が深刻だったりすると起訴されることがあります。

反対に、軽犯罪で初犯であるような場合には、示談の成立を理由に不起訴となる可能性が高いといえるでしょう。

不起訴によって前科がつかないメリットは何ですか?

不起訴によって前科がつかないメリットには、以下のような点が挙げられます。

  • 就職活動時の不利益を避けられる
  • 資格の取得制限を受けずに済む
  • 自由に渡航できる

起訴されて有罪となった場合は、就職希望先に提出する履歴書に前科を記載しなければなりません。

犯罪を犯した経歴を知られてしまうため、就職活動に支障が生じる可能性は高いと考えられます。

また、前科の内容によっては医師や教員などの資格取得を制限されるほか、パスポート・ビザが発行できないケースもあります。

このように、不起訴になるかどうかで、その後の人生が大きく変わることを覚えておきましょう。

さいごに|前科をつけないためにも早めに弁護士に相談を!

逮捕されてしまった場合は、前科をつけないためにも早めに弁護士に相談してください。

迅速に弁護活動や示談交渉を進めてもらうことによって、不起訴処分を勝ち取れるかもしれません。

前科を回避できれば不利益を受けることもなく、普段通りの生活を取り戻せます。

弁護士を探す際は、できるだけ刑事事件が得意な弁護士に依頼することを心掛けましょう。

豊富な知識と経験のある弁護士であれば、被害者の心情を汲み取りながら示談交渉を進めたり、検察官に直接不起訴処分を訴えたりすることができます。

初回の相談であれば無料で対応している弁護士も多いので、まずは気軽に問い合わせてみることが大切です。

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この記事の監修者
須賀翔紀 (東京弁護士会)
刑事分野全般に注力しているが、幅広い分野の相談が可能。依頼者に寄り添った迅速丁寧な対応を心がけているほか、オンラインでの面談も可能なため遠方の依頼者でも柔軟に相談を受け付けている。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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