弁護士費用保険は刑事事件被害で役に立つ?|被害者の味方になる被害者弁護とは

犯罪に巻き込まれたとき警察に相談することは当然ですが、弁護士も頼れることをご存知でしょうか。
しかし、弁護士に依頼した場合の費用は決して安いものではなく、突発的に発生する犯罪に対して、いつでも対応できるとは限りません。
そこで、弁護士費用保険を活用すれば、弁護士費用の一部もしくは全額が補償されることがあるのです。
この記事では、犯罪に巻き込まれたとき、弁護士と弁護士費用保険がどのように役立つか紹介いたします。
犯罪被害者における弁護士の必要性
犯罪・刑事事件における弁護士といえば、加害者を弁護する存在のイメージがありますが、被害者にとっても弁護士は必要といえるかもしれません。
守られる立場にあるべき犯罪被害者とはいえ、十分な保護を受けているとは限らないのです。
被害者の味方と言い切れない警察・検察の立場
被害者の味方になる存在といえば、警察・検察といった捜査機関が思い浮かびます。しかし実情として、捜査機関が味方とは言い切れません。
警察・検察はあくまで加害者の捜査をし、刑事罰を与えるべきかどうかを判断する立場にあります。
刑事事件の被害者となった場合、身体・経済的な損害を受けることがありますが、被った損害の弁済まで、警察・検察は面倒を見てくれません。
もちろん最低限の身心・名誉・プライバシー保護はしてくれますが、被害者にとってそれが十分なものとは限りません。
わかりやすくいえば、「加害者を捜査・逮捕し処罰を求めること」が仕事であり、「被害者の味方」というわけではないのです。
刑事事件被害者の味方となる弁護士
犯罪被害者の多くは、刑事手続の専門知識を有していません。そのため基本的には、相談した捜査機関へ任せきりになってしまうことがあります。
たとえば犯罪により受けた損害を賠償してもらえるのか、そもそも捜査機関へどう相談すべきかなどです。弁護士であれば、刑事事件の専門知識を有しています。
もちろん弁護士によって得意分野はありますが、刑事事件を得意としている弁護士を、自分で探すことが可能です。
被害者の味方として加害者への損害賠償請求を手助けしてくれるのは弁護士の役割となります。
弁護士への依頼ハードルを下げる弁護士費用保険
弁護士へ相談・依頼する際、弁護士費用がハードルとなるケースがあります。
個別の事情によって費用は変わりますが、刑事事件の被害者弁護では概ね30万円~100万円程度の弁護士費用が必要になるでしょう。
犯罪被害者における弁護士の必要性を理解できても、弁護士費用が高いという理由で依頼できなければ意味がありません。
しかし、弁護士費用保険へ加入していれば、一部の弁護士費用の補償を受けられるため、経済的な負担を減らしつつ弁護士へ依頼ができることを期待できます。
毎月少しの出費で弁護士に頼れる
保険商品によって異なりますが、弁護士費用保険の費用は毎月少しの出費で加入できます。
たとえば弁護士費用保険「Mikata」であれば、1日98円、月額2,980円という保険料です。
通算支払保険金の限度額は1,000万円で、事件によっては最大で1件あたり最大で300万円の補償を受けられます。
犯罪被害はもちろんですが、法律上の不安でも気軽に相談可能になるといえるでしょう。
被害者弁護にかかる費用の相場
被害者が弁護士に相談・依頼をする場合、内容によって費用が異なります。
被害者弁護にかかる費用と、それらの相場の一例を確認しておきましょう。
項目 | 補足 | 費用相場 |
着手金 |
・弁護士が処理を進めるため、最初に支払うお金 ・原則として返還されることはありません |
20万円〜 |
報酬金 (成果報酬) |
・何を成果とするかは事前に協議します ・事件終結時に得られた、損害賠償金や示談金の一部から支払われることが一般的です |
賠償額の15%前後 |
告訴状作成 |
・警察に被害詳細を伝えて捜査するよう親告します ・事件の内容や複雑さにより費用が異なります |
5万円〜 |
刑事裁判参加 |
・刑事裁判が行われた際に、同伴して出廷します ・裁判の記録・検察への意見・被告人質問等が可能 |
30万円〜 |
いずれの場合も弁護士事務所によって異なるため、依頼時には必ず見積もりを確認してください。
また被害者弁護における項目はこれだけでなく、検察審査会への申立や、示談交渉など多岐にわたります。
不安な点がある場合は、積極的に弁護士へ相談してみましょう。
弁護士が被害者にしてくれること
犯罪に巻き込まれてしまった犯罪被害者の弁護士には、さまざまなサポートを期待できます。
たとえば、被害者が警察に被害届を出しても、必ず捜査を進めてくれるとは限りません。それらの刑事手続きはもちろん、加害者との示談交渉といった点でもサポートを受けられます。
被害者に泣き寝入りをさせない
犯罪被害に遭ってしまった場合、被害内容を記載した被害届を警察に提出することになりますが、被害届では警察に捜査をさせる法的効力はありません。必ずしも捜査機関が、加害者検挙に向けて捜査をしてくれるとは限らないのです。
告訴状であれば、捜査機関に捜査を強制する効力を持ちます。しかし告訴状について、必ず受理してくれるとは限りません。そこで弁護士が作成・提出すれば、告訴状を受理してもらえる可能性が高くなるのです。
「被害を訴えたい、犯人を処罰してほしい」という状態で、警察が相手をしてくれず泣き寝入りになってしまうことを、防げるかもしれません。
示談における被害者側代理人
加害者の中には、被害者に対して示談交渉をしてくる人がいます。多くの場合は、弁護士を経由して示談交渉が行われるでしょう。
被害者は示談を受けることも、拒否することも可能です。しかし加害者の弁護士を相手にして、言われるがまま交渉が進んでしまうことも考えられるでしょう。
また一般的に示談には、慰謝料・損害賠償の意味を込めた示談金が伴います。専門知識がない場合は、提示された金額で納得すべきかどうかも判断が難しいと言えます。
被害者弁護士は示談交渉の代理や相場・流れの説明など、被害者の心強い味方になるかもしれません。
被害者のためのあらゆるサポート
犯罪被害者の弁護は、告訴状の提出や示談交渉だけではありません。
被害者保護の観点から、被害者はあらゆる申告・請求・サポートを受ける権限を有しています。
それらの一部を確認しておきましょう。
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少しでも早く犯罪被害から立ち直るためには、弁護士への依頼を検討してみても良いかもしれません。
弁護士費用保険は刑事事件以外でも使える
この記事では主に犯罪被害について紹介してきましたが、弁護士費用保険での補償対象は犯罪被害だけではありません。
民事上のトラブルであっても、弁護士へ相談して費用が発生すれば、補償を受けられます。
たとえば補償の対象になり得る法的トラブルとして、以下のようなものが挙げられます。
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補償の対象になる法的トラブルは幅広いため、「まずは相談してみよう」と頼りにしてみることも検討してみてください。
実際に弁護士費用保険「Mikata」に加入しており、補償を受けて解決にいたった事例を確認してみましょう。
セクシャルハラスメントトラブル
この事例では、25歳の会社員女性が上司と出張に行った際、セクハラ被害を受けたものです。
移動中の車の中で「最近彼氏とはうまくいっているのか?」など聞かれたり、体を触られたりして、精神的に嫌な思いをしました。 その後、一緒に働いていることがストレスになってしまい、医者に相談した結果、軽度の鬱と診断されました。
上司に対して損害賠償請求をするため、弁護士に相談しました。 弁護士の協力のもと裁判を起こすこととなり、損害賠償300万円を請求した結果、損害賠償120万円を支払っていただくことができました。
この事例の場合、弁護報酬金は264,600円かかり、保険金は151,840円受け取れました。
損害賠償金から差し引いても、108万円以上の経済的利益を得られたようです。
参考・引用元:出張中にセクハラされました|プリベント少額短期保険株式会社
子どものいじめ被害トラブル
この事例では、中学1年生のお子さんが暴行を含めたいじめを受けており、治療費を請求した事例です。
学校へ何度も相談をしましたが、いじめの事実は無いと全く対応してもらえず、暴行を加えている生徒の保護者とも何度も交渉しましたが、いじめは無くなりません。
生徒の保護者に対して治療費の請求をするため、弁護士に相談しました。 弁護士の協力のもと裁判を起こすこととなり、損害賠償50万円を請求した結果、50万円を支払っていただくことができました。
この事例においては、弁護士費用が満額支払われており、損害賠償の50万円がそのまま経済的利益となりました。
参考・引用元:いじめにより負ったケガの治療費を請求したいと考えています|プリベント少額短期保険株式
弁護士費用保険のよくある質問
保険料のことや、補償範囲、補償期間について、気になることがあるかもしれません。
弁護士費用保険「Mikata」について、よくある質問を見ておきましょう。
保険を使うと保険料は上がる?
弁護士費用等の保険金を支払われても、保険料は変わりません。
ただし、直近3年間の法律相談料保険金の支払いが、11,000円を超えると、保険更新時に保険料が加算される場合があります。
補償されるのは自分だけ?
原則は被保険者(弁護士費用保険の契約者様)のみが補償されますが、家族特約を付加すると家族も同じ補償を受けられます。
ただし、原則として3親等以内の親族に限られます。しかし、年齢・人数制限はありません。
家族特約の場合は保険料が1名につき月1,500円で、通常の保険料の半額で申し込むことが可能です。
補償期間はいつから?
偶発性を伴わない法的トラブルである一般事件と、不慮の事故が原因の特定偶発事故によって異なります。
一般事件の場合は責任開始日(保険開始日)から、3ヶ月間は補償を受けられません。特定偶発事故については、責任開始日から補償を受けられます。
また、離婚・相続・親族関係・リスク取引に関する法的トラブルは、責任開始日から1年間は補償を受けられません。
事業トラブルは補償してもらえる?
「Mikata」は個人向けの保険ですので、法人・事業のトラブルは補償されません。
個人の法人に対するトラブルについては、補償の対象になります。
まとめ|刑事事件であっても弁護士費用保険は役に立つ
捜査機関の処理すべき事件の量から、犯罪に巻き込まれた被害者は、十分に守られていない実情があります。
しかし、弁護士に相談・依頼をすれば、刑事手続き上はもちろん、身心のケアを含めさまざまなサポートが期待できるでしょう。
とはいえ、弁護士へ相談・依頼する費用は決して安いものではないため、誰しもが頼れるものではありませんでした。
そこで、弁護士費用保険を活用すれば、費用の一部もしくは全額が補償されるため、被害弁護の依頼ハードルが下がることを期待できます。
もちろん刑事だけではなく、民事上でも頼れるものです。いざというときのために、弁護士費用保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。



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