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裁判員制度とは|選ばれ方の仕組み・当日の流れを簡単に解説!

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
裁判員制度とは|選ばれ方の仕組み・当日の流れを簡単に解説!

裁判員制度(さいばんいんせいど)とは、刑事事件ごとに選ばれた一般市民(有権者)が、裁判官らと一緒に判決へ参加する制度のことです。一般市民から選ばれた6名の裁判員が3人の裁判官と一緒に、被告人の有罪無罪の判決に加え具体的な罰則を決めます。

なぜ、このような制度が生まれたのでしょうか。裁判員制度が導入された理由には以下のことが挙げられます。

  • 一般市民に司法への理解を深めてもらうため
  • 一般市民の意見や日常的な感覚などを裁判結果に反映させることができるため
  • 刑事裁判に対する一般市民からの信頼を高めてもらうため

平成21年5月21日に始まった制度ですが、裁判員に選任された人の数は8,673(参照:裁判員制度(平成28年12月までの実施状況))にも及び、今後あなたが裁判員に選任される可能性も十分にあり得るでしょう。

しかし、まだ具体的な仕組みや流れなどについてよく分からないという方も多いかと思います。そこで今回は、裁判員制度の仕組みや流れ、裁判員の選ばれ方などについてまとめました。

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裁判員制度の仕組み

冒頭でもお話しましたが、裁判員制度とは一般市民の中から選ばれた6名が、ひとつの刑事事件の裁判に参加し3名の裁判官らとともに判決内容を決めるものです。

刑事事件に参加する人たちと裁判員の様子

下図は、裁判が行われた際の様子をあらわしたものです。裁判員に選ばれた場合、裁判官の左右に3名ずつ並ぶ形で座り裁判に臨むことになります。

引用:毎日新聞

裁判員

裁判官とともに被告人の有罪無罪の判決や具体的な処罰を決める人

裁判官

検察官や弁護人の話や集めた証拠などを元に判決を決める人。裁判官の真ん中に座る人は裁判長と呼び、裁判を進行する役割を担う

検察官

被告人を起訴した人

被告人

刑事事件を起こし、裁判にかけられた人

弁護人

被告人の弁護をする人。

書記官

裁判の内容を記録する人

裁判員制度の対象となる刑事事件の種類

裁判員制度は、全ての刑事事件が対象となる訳ではありません。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条を元に、以下に挙げた犯罪が裁判員制度の対象となります。

  • 殺人罪
  • 強盗致死傷罪
  • 傷害致死罪
  • 現住建造物等放火罪
  • 身代金目的誘拐罪
  • 強制わいせつ致死傷
  • 覚せい剤取締法違反
  • 強盗強姦 など

【根拠】

  • 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(第2条)

第二条 地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第三条の二の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第二十六条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。

一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件

二 裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの

引用:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

  • 裁判所法(第26条2)

一 合議体で審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件

二 死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪

三 簡易裁判所の判決に対する控訴事件並びに簡易裁判所の決定及び命令に対する抗告事件

四 その他他の法律において合議体で審理及び裁判をすべきものと定められた事件

引用:裁判所法

裁判員の選ばれ方|20歳以上の有権者から無作為に選ばれる

裁判員はどのように選ばれるのでしょうか。ひとつの事件に6名の裁判員が選任されるまでの流れを以下にまとめました。基本的に、20歳以上の有権者から無作為に選ばれます。

引用:裁判員制度

裁判員候補者名簿を作成|前年の秋頃

前年の秋頃、地方裁判所ごとに、翌年の裁判員候補者名簿を作成します。名簿には、管轄地域の選挙管理委員会がくじ引きを行い、選ばれた人の名前が記載されます。

調査票を元に候補者へ名簿登録されたことを通知|前年11月頃

前年11月頃に名簿の作成が完了します。その後、名簿に記載された人たちに、裁判員候補者に登録されたという通知と調査票の送付が行われます。

調査票には、自衛官や警察官など就職禁止事由に該当するか、重い疾病などを抱えているかなどのヒアリング事項が記載されています。通知が送られた人は原則、調査票を返送しなければなりません。

事件別に名簿からくじ引きで候補者を選定

事件別に、裁判員を選任するくじ引きが行われます。最終的に、1つの事件につき6名の裁判員が選任されます。

選任された候補者に質問票と選任手続期日のお知らせの送付|裁判の6週間前

裁判が行われる日の6週間前までに、事件ごとに選任された候補者宛に、質問票と選任手続期日のお知らせ(法律上は呼出状)が送付されます。このとき、欠員が出たときの補充要因である裁判員候補者70名程度にもお知らせが送られます。

選任手続期日

選任手続期日の当日は、管轄の裁判所へ行き、裁判長からの質問を受ける手続きをしなければなりません。具体的には、裁判で不公平なことはしないか、辞退の希望があるのかといった質問をされます。

裁判員6名を選任

最終的に、裁判員6名が選ばれます。状況によっては、補充裁判員が選任されることもあります。

裁判当日の流れ

裁判員に選任され、裁判当日を迎えた場合の流れを確認していきましょう。

引用:日本弁護士連合会

公判手続|刑事裁判の審理に出席

裁判当日、刑事裁判の審理に出席します。審理では、被告人や検察官の話や、証拠などについて見聞きします。

評議

審理で見聞きした内容を元に、裁判官や裁判員と議論し判決内容を決めます。具体的には、被告人を有罪とするのか、有罪とした場合の罰則はどうするのかなどです。

判決宣告

裁判官と裁判員で決めた判決内容を、裁判長が被告人に伝えます。裁判員の任務は、この判決宣言を持って終了となります。

裁判員を辞退することはできるのか?

裁判員を辞退することは基本的に認められません。ただし、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条の項目に該当する場合は辞退を申立てることが可能です。

  • 年齢が70歳以上
  • 地方公共団体の議員(会期中のみ適用)
  • 学生(通学する学科に在学する者のみ適用)
  • 5年以内に裁判員または補充裁判員を務めた
  • 3年以内に選任予定裁判員だった
  • 1年以内に裁判員候補者として選任手続きに出頭したことがある
  • 5年以内に検察審査員または補充員だった
  • 重い疾病などにより裁判所に出頭することが難しい
  • 同居している親族の介護または子供の養育をしている
  • 父母の葬式へ出席
  • 社会生活上の重要な用務がある
  • 災害などの被害により生活の再建が必要な場合 など

参照:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(第16条)

裁判員制度の日当

裁判員に選ばれると日当が支払われます。具体的な金額は、裁判員の参加する刑事裁判に関する規則第7条に基づき、1日あたり10,000円以内の日当が支払われます。また、裁判員候補者や選任予定裁判員については1日あたり8,000円以内の日当が支払われます。

第七条 裁判員等の日当は、出頭又は職務及びそれらのための旅行(以下「出頭等」とい

)に必要な日数に応じて支給する。

日当の額は、裁判員及び補充裁判員については一日当たり一万円以内において、裁判

員等選任手続の期日に出頭した選任予定裁判員及び裁判員候補者については一日当たり

八千円以内において、それぞれ裁判所が定める。

引用:裁判員の参加する刑事裁判に関する規則

過去の統計から見る裁判員制度

過去の統計から裁判員制度を見ていきましょう。審理にかかる期間や開廷回数の目安、裁判員制度の対象となる事件がどの程度発生しているかなどをまとめました。

過去に当選した人の年齢・性別構成

下図は、過去の裁判員制度で当選した人の年齢や性別の統計です。性別・年代ともに偏りなく選任されていることが分かります。

引用:裁判員制度

事件の審理期間と開廷回数の目安

裁判員に選任された場合、気になるのは審理にかかる期間と開廷回数がどのくらいかではないでしょうか。

審理にかかる期間の平均は、7.7ヶ月とされていますが、被告人が容疑を自白しているか否認しているかによって大きく変動することが伺えます。開廷回数も同様です。被告人が自白している場合は3回なのに対し、否認している場合は6.1回も開かれています。

引用:裁判員制度

裁判員制度対象事件の発生数

下図は、裁判員制度の対象となる事件がどのくらい発生しているのかをまとめたものです。事件の数自体は減少傾向にありますが、強盗致傷と殺人が圧倒的に多いことが分かります。

引用:裁判員制度

裁判員制度が抱える問題点

最後に裁判員制度が抱える問題点についてまとめました。元々は、一般市民の日常的な感覚を判決に反映させることや司法への理解を深めてもらうことを目的に生まれた制度ですが、裁判員としての参加に消極的な方が多いことが浮き彫りとなっています。

出席率が低い

制度が生まれた平成21年は83.9%の出席率だったにもかかわらず、平成28年には64.9%と大きく下がっています。病気や高齢を理由に辞退してしまうケースも多く、実際の出席率は23.6%しかありません。

引用:NHK解説委員室

心理的負担を危惧して参加に消極的な人が多い

統計によると、裁判員としての参加に消極的な人の割合は83.6%と非常に高いことが分かります。消極的だと回答する理由には、被告人の運命を決めてしまうことへの重圧や、法律行為に携わる不安が挙げられています。

国民全体が、裁判員への参加に前向きになるためには、制度自体の見直しなどが必要なのかもしれません。

引用:NHK解説委員室/p>

まとめ

裁判員制度は、20歳の有権者であれば誰でもなり得る可能性があります。(除外項目に該当する場合は除く)

制度についてよく知らないという方も、ここでぜひ基本的な知識や流れについて心得ておくことをおすすめします。いざというとき、慌てずに臨むことができるでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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