犯罪歴とは?前科・前歴の違いや調べ方、社会生活への影響を解説

- 「過去の犯罪歴のせいで仕事や結婚に影響が出るかが不安」
- 「できれば犯罪歴があることを隠して社会生活を送りたい」
前科・前歴といった犯罪歴があると、せっかく更生して前向きな気持ちで社会復帰を目指そうとしてもさまざまな不安に襲われてしまいます。
また、現実的な問題として、安定した状況でキャリアや生活を積み重ねていても、過去の犯罪歴が発覚した途端、全てが無に帰するという事態も起こしかねません。
そこで本記事では、犯罪歴が日常生活に及ぼす悪影響、犯罪歴がバレるリスク、犯罪歴が残らないようにするためのポイントなどについてわかりやすく解説します。
まだ犯罪歴がついておらず、対処できる段階にあるのなら、早めに弁護士へ相談し、対応を検討しましょう。
犯罪歴とは?前科・前歴との違いは?
まずは、犯罪歴の定義、前科・前歴との違いについて解説します。
犯罪歴は犯罪を犯した経歴を表す一般用語で「前科」「前歴」に分けられる
犯罪歴とは、過去に犯罪に及んだ経歴のことです。
犯歴と呼ばれることもあります。
「犯罪歴」という言葉は法律用語ではありません。
実際、犯罪歴には以下のような幅広い事象が含まれます。
- 犯罪に及んで逮捕された
- 逮捕はされなかったが何度か取り調べを受けた
- 犯行を理由に起訴されて有罪になった
- 服役した
- 有罪にはなったが執行猶予がついた
- 刑法に触れる犯行に及んだが捜査機関には発覚していない など
なお、法律的な観点からは、犯罪歴は前科と前歴に区分できます。
ここからは、前科・前歴の内容及び違いについて解説します。
前科とは|刑事裁判で刑罰を受けた経歴
前科とは、刑事裁判で刑罰を受けた経歴のことです。
たとえば、以下のケースでは前科がつきます。
- 懲役刑・禁錮刑の実刑判決が確定した場合
- 執行猶予付き判決が確定した場合
- 罰金刑や科料が確定した場合(略式手続きを含む)
なお、前科は有罪の裁判が確定したケースを対象とするものなので、逮捕されただけの場合や、不起訴処分が下された場合などは含まれません。
また、軽微な交通違反に対して科される反則金も前科の対象外です。
前歴とは|捜査機関から容疑をかけられ捜査対象となった経歴
前歴とは、捜査機関による捜査対象になった経歴のことです。
実際にどのような処分が下されたかには関係がなく、容疑をかけられて捜査対象となった段階で、前歴がつくことになります。
たとえば、前科がつく状況なら、必ず前歴も残ります。
さらに、逮捕されたものの微罪処分が下されたケース、在宅事件として処理されて不起訴処分が下されたケースのように、前科がつかない事例でも前歴が残る場合があるのです。
以上を踏まえると、前歴は前科よりも広い概念だといえるでしょう。
犯罪歴は日常生活に影響する?どんなデメリットがある?
ここからは、前科・前歴といった犯罪歴が日常生活に与える悪影響やデメリットについて解説します。
前歴だけなら日常生活にほぼ影響しない
まず、前歴が原因で日常生活に悪影響が生じる可能性は低いでしょう。
というのも、前歴は何かしらの処分や刑事責任がきっかけでつくものではなく、捜査対象になった事実だけで残るものだからです。
インターネット上に情報が残り、他人にバレてしまう可能性はある
前歴があること自体で何かしらのデメリットが生じることはありません。
ただし、前歴が残るきっかけになった犯罪がテレビや新聞、インターネットメディアで報道されると、インターネット上に事件の情報が半永久的に残ってしまいます。
そのため、家族や親族、知人に名前を検索されると、過去の犯罪歴がバレてしまう可能性があります。
また、結婚や就職などにも実質上の悪影響が生じるリスクがあるでしょう。
捜査機関には記録が残るので、犯罪をおかしたときに不利になる可能性はある
前歴に関する情報は一般には公開されませんが、警察や検察は犯罪歴のデータを保管しています。
そのため、犯罪歴がある人が再犯に及ぶと、逮捕・勾留のリスクが高まったり、不起訴処分や微罪処分などを獲得しにくくなったりするでしょう。
前科がつくと日常生活にいろいろな影響が生じる可能性がある
前歴とは異なり、前科者になると日常生活にさまざまな悪影響が生じる可能性があります。
ここでは、前科によるデメリットを具体的に解説します。
解雇されたり、就職・転職に不利になったりする可能性がある
まず、前科があると仕事やキャリアに影響が出る可能性があります。
たとえば、勤務している企業の就業規則の懲戒解雇事由として「有罪判決を受けたこと」「〇〇以上の刑罰を科されたこと」「〇〇などの犯罪行為に及んだこと」などが挙げられている場合、前科を理由に仕事をクビになってしまう可能性があるでしょう。
また、このような前科や犯罪に関する明示的な規定が存在しなかったとしても、前科がつく原因になった犯罪行為によって世間を騒がしたり、会社の信用を毀損したりすると、何かしらの懲戒処分が下されかねません。
次に、就職活動や転職活動の際に会社側から提出を求められた履歴書に賞罰欄がある場合や、採用面接などの際に前科の有無を確認された場合には、前科を伏せておくことは難しくなります。
前科があると判明すると、当然採用されにくくなるでしょう。
仮に、前科を隠して内定を獲得したとしても、あとから前科があることが判明すると、経歴詐称を理由に懲戒処分を下される可能性が生じます。
なお、現在では前科情報はプライバシー性の高い個人情報だと考えられているので、採用面接の際に直接確認されるケースは多くありません。
会社側から申告を求められない限り、自主的に前科があることを伝える必要はないので、前科があることを会社に知られる可能性は低いのが実情です。
一部の職業にはつくことができなくなる
一部の職業・資格には欠格事由が定められており、前科があると資格制限・就業制限の対象になります。
前科を理由に資格制限・就業制限を受ける職業・資格の具体例は、以下のとおりです。
- 弁護士(禁錮以上)
- 医師(罰金以上)
- 看護師(罰金以上)
- 教員(禁錮以上)
- 国家公務員・地方公務員(禁錮以上)
- 警備員(禁錮以上、警備業法に規定される犯罪のうち罰金以上) など
なお、職業・資格ごとに資格制限や就業制限を受ける期間が限定されている場合があります。
現在従事している仕事や今後就業を希望している職種に関する法令を確認しましょう。
結婚に影響したり離婚のきっかけになったりする可能性はある
現実問題として、前科があると結婚のハードルが高くなる可能性があります。
たとえば、相手の家族・親族に前科があることを知られた結果、猛反対されて結婚できなくなるという事態は少なくはないでしょう。
パートナーに前科を打ち明けたところ、結婚話がなかったことになる可能性も否定できません。
また、結婚後に前科がついたり、前科があることが結婚後にバレたりした場合、配偶者から離婚を言い渡されるリスクも生じます。
離婚の申し出を拒絶したとしても、調停離婚・裁判離婚が成立する可能性はあります。
そして、前科が原因で離婚トラブルに発展した場面では、慰謝料や親権、面会交流などの諸条件で不利な判断を下される可能性もあるでしょう。
選挙権を失う可能性がある
前科がある場合、一定条件のもとで選挙権・被選挙権を失う可能性があります。
具体的には、以下の要件を満たす場合、衆議院議員の選挙、参議院議員の選挙、知事の選挙、都道府県議会議員の選挙、市区町村長の選挙、市区町村議会議員の選挙の選挙権・被選挙権を失うことになります。
- 禁錮以上の刑に処せられてその執行を終わるまでの者
- 禁錮以上の刑に処せられてその執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予期間中の者を除く)
- 公職にある間に犯した収賄罪によって刑に処せられて、実刑期間経過後一定期間(選挙権:5年間、被選挙権:10年間)を経過しない者、または、刑の執行猶予中の者
- 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられて、その刑の執行猶予中の者
- 公職選挙法などに規定される選挙に関する犯罪により選挙権・被選挙権が停止されている者
- 政治資金規正法に定められる犯罪により選挙権・被選挙権が停止されている者
ただし、刑の執行が終わっている状況などでは選挙権・被選挙権を再び行使することが可能です。
「前科があると選挙権・被選挙権を永久的に失う」というのはよくある誤解・間違いなので注意しましょう。
行き先の国などによっては海外渡航に影響が生じる可能性がある
前科の有無に関わらず、海外旅行や海外赴任・出張をするときには、入国・出国の際にパスポートが必要です。
ただし、旅券法第13条第1項では、公文書偽造罪などの前科がある場合、仮釈放中や執行猶予期間中について、テロ行為や国際的な麻薬取引などの前科により日本国の利益や公安を害するおそれがあると認められた際に、パスポートの発給制限の対象になると定められています。
また、海外旅行などの行き先次第では、入国の際にビザの取得が求められる場合があります。
ビザなしで入国できる制度の国については前科があっても変わりません。
しかし、入国にビザが必要で入国審査が実施される場合には、前科を理由にビザの発給が制限される可能性があります。
たとえば、アメリカやカナダ、オーストラリアでは厳しい入国審査がおこなわれるため、前科があると入国を拒否されかねないでしょう。
万が一再犯をした場合に、より重い刑罰を受ける可能性がある
前科がある状態で再犯に及んだ場合、刑事手続きが不利になったり刑事処分が重くなったりする可能性が高いです。
前科があると捜査機関や裁判所からの心証が悪くなるので、逃亡・証拠隠滅のおそれがあることを理由に逮捕・勾留という身柄拘束処分が下されやすくなります。
また、在宅事件処理を獲得しにくくなるので、刑事手続きの進行段階で不利な状況を強いられかねません。
さらに、前科があることは情状面で考慮されるため、起訴処分や実刑判決などの重い刑事罰を科されるリスクが高まります。
起訴猶予や執行猶予付き判決を獲得できないと、今後の社会生活に生じるデメリットは甚大なものになるでしょう。
口座開設やローンの利用、年金・生活保護には影響ない
ここまで紹介したように、前科があると日常生活などにさまざまなデメリットが生じます。
一方で、世間一般では前科によるデメリットとして誤解されているものも少なくありません。
前科によるデメリットとして誤解されやすいものは以下のとおりです。
- 前科があると銀行口座を開設できない、現在保有している銀行口座が凍結される
- 前科があると年金や生活保護費が打ち切られる
- 前科があると住宅ローンやキャッシング、カードローン、クレジットカードを利用できなくなる
- 前科情報は戸籍や住民票に記載される など
これらは全て間違いです。
前科があるとどのようなデメリットが生じるのかについて不安・疑問があるときには、刑事事件を得意とする弁護士まで相談しましょう。
犯罪歴はいつまで残る?消える?
ここからは、犯罪歴がどのように保管されるのか、いつ消えるのかについて解説します。
前歴は死ぬまで消えることはないがほぼ不利益はない
前歴に関する情報は、捜査機関が内部情報としてデータベースで保存・管理しています。
そして、本人が死亡するまで、もしくは、本人が死亡した事実を捜査機関が把握するまでは抹消されません。
また、本人から捜査機関に働きかけて前歴情報を抹消してもらうことも不可能です。
ただし、前歴は行政警察活動や捜査活動の際に内部的に活用される情報でしかなく、前歴があることが直接的に何かしらのデメリットを生じることはありません。
前科も消えることはないが、法的効力は一定期間で消滅する
前科情報は、対象者が死亡するまで、または対象者の死亡が確認されるまで、検察庁が保管しています。
本人からの削除請求などによって前科情報が抹消されることはありません。
ただし、刑法第27条及び刑法第34条の2では、前科の法的効力は以下のように一定期間で消滅すると定められています。
- 懲役・禁錮の前科:刑期を終えてから10年間、罰金以上の刑に処せられなかったとき
- 執行猶予付き判決の前科:執行猶予期間を経過したとき
- 罰金の前科:罰金を支払ってから5年間、罰金以上の刑に処せられなかったとき
これらの期間を経過すると、前科の法的効力が消失するため、法律上は前科者ではなくなります。
つまり、各種資格制限・職業制限が生じることはなくなるのです。
犯罪歴はバレる?他人の犯罪歴を調べる方法はある?
犯罪歴について、「誰かに犯罪歴が調べられるのではないか」「他人が簡単に犯罪歴にアクセスできると安心して社会生活を営むことができない」などの不安を抱えている人も少なくないでしょう。
ここからは、犯罪歴がバレるきっかけや、犯罪歴を調べる方法について解説します。
一般人が公的機関にて犯罪歴を調べる方法はない
そもそも、検察庁が保管している前科情報は非公開情報であり、検察官及び検察事務官以外からの照会は認められていません。
そのため、無関係の第三者だけではなく、本人や家族・知人などが検察庁が保管している前科データにアクセスすることは不可能です。
検察庁が保管する前科データは、市区町村が犯罪人名簿を作成する際に活用されます。
ただし、犯罪人名簿は選挙権・被選挙権の有無や資格制限の対象になるかを確認するなどのために使用されるだけで、第三者からの照会には一切応じていません。
つまり、検察庁や市区町村などの公的機関が保管する前科情報から、犯罪歴が第三者にバレる心配はないといえます。
また、警察庁及び各都道府県警察本部が保管している前歴情報も、捜査機関からの照会に応じる以外の場面では一切活用されません。
そのため、一般人が前歴データにアクセスする事態も考えられないでしょう。
インターネット検索や新聞記事などで調べられる可能性はある
犯罪歴がつくきっかけになった事件が報道された場合、前科や前歴が第三者にバレる危険性が高まります。
たとえば、事件が新聞に掲載されると、発行した新聞社が運営するサイトなどで記事が一定期間閲覧できる状態になります。
また、国立国会図書館には過去の新聞記事データが全て保管されているので、これらをきっかけに犯罪歴が発覚しかねないでしょう。
そのほか、事件がネットニュースなどで報道されると、氏名や事件の内容、顔写真などの情報がWeb上に半永久的に残ってしまいます。
その場合、誰かに名前を検索されるだけで、犯罪歴のきっかけになった事件などがバレる可能性が高いです。
以上を踏まえると、犯罪歴を隠したいなら、報道されないことが何より重要だと考えられます。
どのような事件が報道の対象になるかは各報道機関の裁量次第ですが、一般的な傾向としては逮捕されたタイミングで報道されることが多いです。
そのため、何かしらの事件を起こしたときには、刑事事件化しないようにスピーディーに示談交渉をまとめることや、逮捕・勾留を回避して在宅事件化を実現するための防御活動を展開することが重要だといえるでしょう。
関係者に対して聞き込みをして調べられる場合はある
関係者に対する聞き込みで過去の犯罪歴がバレる可能性もあります。
たとえば、事件の被害者、本人の知人や会社の同僚、同級生、近隣の住民などに聞き込みをされると、インターネットや新聞などで報道されていない事実関係まで発覚しかねないでしょう。
探偵事務所や興信所などに依頼して調べられる場合はある
「対象者に犯罪歴があるかを確認したい」と考えた第三者が探偵事務所や興信所に依頼をする可能性もゼロではありません。
たとえば、子どもの婚約相手に犯罪歴があるかどうかを確認したり、高額の融資先の身辺調査をしたりする際に、探偵や興信所が活用されます。
探偵や興信所は、インターネット上の情報や過去の新聞の内容、関係者への聞き込みなどのさまざまな方法を駆使して犯罪歴の有無を確認しようとするはずです。
探偵や興信所に依頼をされると第三者本人が調査をするときよりも犯罪歴がバレる確率は高いと覚悟しておきましょう。
原則として自分から犯罪歴を申告する法的義務はない
原則として、前科や前歴といった犯罪歴について自ら申告する法的義務は課されていません。
たとえば、第三者に「犯罪歴はありますか」と質問されたときに犯罪歴を隠しても法的責任は問われずに済むのです。
履歴書などに「賞罰欄」があれば、申告は避けづらい
就職活動や転職活動の際には、犯罪歴、とくに前科の申告が問題になる点に注意が必要です。
たとえば、企業側が用意した履歴書・職務経歴書のフォーマットに賞罰欄の項目がある場合には、前科の申告を回避することは困難です。
また、採用面接の際に犯罪歴の有無について直接質問されたときには、嘘偽りなく回答しなければいけません。
仮に犯罪歴を隠して内定を獲得したとしても、採用後に犯罪歴があることが発覚すると、懲戒解雇などのペナルティを科されるからです。
「犯罪歴を隠して社会復帰したい、キャリアを積み上げなおしたい」という気持ちは理解できますが、隠蔽したまま就職しても懲戒処分のリスクと隣り合わせの状態が続くだけです。
就職活動や転職活動で犯罪歴の申告を求められたときには素直に従うべきでしょう。
なお、前科がキャリア形成の妨げになる事態を防止するには、前科がつかない状況を作り出すしかありません。
日本の刑事裁判の有罪率は極めて高く、起訴処分が下された時点で有罪・前科が事実上決定的になることを踏まえると、不起訴処分の獲得を目指した防御活動が不可欠だと考えられます。
企業が採用面接などで犯罪歴(前科)を調べる方法
犯罪歴がある人にとっての大きな関心ごとのひとつが「就職活動や転職活動の際に会社側に犯罪歴がバレるのか」「現在勤務している会社に事件を起こしたことが発覚するのか」という点でしょう。
ここでは、企業が採用面接などのタイミングで犯罪歴の有無を調べる方法について解説します。
インターネット検索や新聞記事などで調べる
現在の日本の労働法制では、労働者の立場が強く保護されており、一度雇用した従業員を簡単に解雇することはできません。
そのため、従業員を採用する前の段階で、ほとんどの企業が氏名をインターネット検索したり、SNSのアカウントをチェックしたりします。
犯罪歴の根拠になる犯罪行為が報道されたケースでは、就職活動や転職活動の段階で企業側にバレる可能性が高いと理解しておきましょう。
バックグラウンドチェックのサービスを利用する
バックグラウンドチェックとは、採用候補者本人が申告した経歴や身辺の情報に虚偽・詐称や問題がないかを確認する行程のことです。
何かしらの不利な事実を隠蔽した従業員を採用してしまうと、採用後に企業に大きなデメリット・リスクが生じる可能性があるため、選考段階で慎重に調査をおこないます。
ただし、ある程度の質を保ったバックグラウンドチェックを実施するには、相当の時間・労力を要します。
そこで、バックグラウンドチェックをおこなう際には、外部の調査会社に依頼をするのが一般的です。
調査会社はバックグラウンドチェックに関する専門的な技術・ノウハウを有しているので、採用候補者の犯罪歴がバレる可能性が高いでしょう。
リファレンスチェックをおこなう
企業によっては、採用候補者の情報を精査するためにリファレンスチェックを実施する場合があります。
リファレンスチェックとは、採用候補者の上司や同僚、部下、取引先などに直接ヒアリングを実施して、採用候補者の経歴や当時の職務内容、勤務態度などを確認することです。
インターネット上の情報や採用候補者から提出された書類などからだけではわからない情報を入手できるので、採用候補者と企業との相性を図るのに役立ちます。
リファレンスチェックの際には、採用予定者の関係者に対して直接聞き取りがおこなわれるので、採用予定者の犯罪歴や過去のトラブルなどが明るみに出る可能性が高いでしょう。
犯罪経歴証明書や不起訴処分告知書を提出させる方法もある
企業によっては、犯罪経歴証明書や不起訴処分告知書の提出を求めて、前科がないことを証明させるケースも少なくありません。
- 犯罪経歴証明書(警察証明書、渡航証明書、無犯罪証明書):申請者の指紋と警察庁の指紋データベースの情報を照会して犯罪歴の有無などが記載された証明書のこと。
- 不起訴処分告知書:検察官が被疑者に対して不起訴処分を下した旨を証明する書類のこと。
犯罪経歴証明書や不起訴処分告知書があれば、少なくとも前科がないことの証明にはなります。
一方で、犯罪歴がある人が企業から犯罪経歴証明書・不起訴処分告知書の提出を求められると、犯罪歴を隠しとおすのは難しいでしょう。
犯罪歴についてよくある質問と回答
さいごに、犯罪歴についてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
少年事件でも前科はつきますか?
まず、14歳未満の少年には刑事責任能力が認められないので、事件を起こしたとしても前科がつくことはありません。
一方、14歳以上20歳未満の少年が事件を起こした場合は、20歳以上の成人が事件を起こしたときに比べてリスクは低いものの、前科がつく可能性はゼロではありません。
ただし、少年審判において家庭裁判所が保護処分の判断を下した場合、前科はつきません。
少年に前科がつくのは、少年審判で検察官送致(逆送)の判断が下されて、その後の刑事手続きにおいて公訴提起されて刑事裁判で有罪判決が確定したときに限られます。
一般の人が免許証から犯罪歴を調べられますか?
免許証には犯罪歴に関する情報は一切記載されていません。
免許証がきっかけで一般の人に犯罪歴を知られる心配はないでしょう。
ただし、職務質問や自動車検問の際、警察官から免許証の提示を求められることがあります。
この場合、警察官が免許証の情報を使って警察が管理する犯歴照会センターからさまざまな情報を引き出すので、過去の犯罪歴も判明します。
犯罪歴は戸籍や住民票に載りますか?
戸籍は、出生・死亡・婚姻・離婚・養子縁組などの身分関係に関する情報が登録される公簿です。
そして、住民票は、住民基本台帳法に基づいて、氏名、生年月日、性別、住所などの情報が記載される帳票のことです。
戸籍及び住民票のどちらにも犯罪歴は掲載されないので、戸籍や住民票がきっかけで前科や逮捕歴などが発覚するおそれはないでしょう。
犯罪歴を調べられるような検索サイトはあるのですか?
犯罪歴をまとめた検索サイトや、一般に公開されたデータベースは存在しません。
犯罪歴に関する情報は警察や検察庁などの公的機関で管理されているだけです。
警察庁などの「犯歴照会センター」に問い合わせれば、犯罪歴はわかりますか?
捜査機関は、警察庁や都道府県警察本部が管理する犯歴照会センターを活用して、捜査対象者などの前歴・前科の有無を確認します。
ただし、この犯歴照会センターを利用できるのは捜査機関関係者だけです。
一般人は犯歴照会センターにアクセスできないので、犯歴照会センター経由で犯罪歴がバレる心配はありません。
市役所に犯歴照会をかけることはできるのですか?
市区町村では、選挙権・被選挙権の有無や一定の資格制限の対象になるかなどを確認するために犯罪人名簿を作成・保管しています。
犯罪人名簿には、有罪判決を受けた過去がある人物の氏名・罪名・量刑などの情報がまとめられていますが、前歴に関する記載はありません。
そして、市区町村が管理している犯罪人名簿は非公開です。
本人や家族、第三者が犯罪人名簿に照会する方法自体用意されておらず、犯罪人名簿がきっかけで犯罪歴が発覚するおそれはないでしょう。
さいごに | 前科をつけないためにはなるべく早く弁護士へ相談を!
犯罪歴のうち、前科があると今後の社会生活にさまざまな支障が生じます。
罪を犯したことを反省して真面目に更生の道を歩もうとしても、前科によるデメリットが原因で社会復帰を妨げられかねません。
そのため、実際に何かしらの事件を起こしたときには、前科をつけないための防御活動が重要です。
前科がない状況を作り出すには、弁護士に相談して有罪判決を回避することや不起訴処分を獲得して刑事裁判自体を避けることを目指しましょう。
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