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詐欺罪で逮捕|初犯で執行猶予?懲役や逮捕後の流れ、逮捕事例など
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2018.3.9
詐欺罪 弁護士監修記事

詐欺罪で逮捕|初犯で執行猶予?懲役や逮捕後の流れ、逮捕事例など

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詐欺罪(さぎざい)とは、人を欺き現金など(財物)を騙し取った際に成立する罪。刑法第246条では、詐欺罪を次のように定義しています。

 

人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(引用元:刑法第246条)

 

詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑のみ。初犯であっても被害額によっては執行猶予がつかないケースもあります。故意に詐欺をはたらくことはもちろん、巻き込まれるリスクが少しでもあることは避けるべきでしょう。

 

今回は、詐欺罪の基礎知識や実際にあった事件、詐欺罪で逮捕された場合の手続きの流れなどをご紹介します。

 

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詐欺罪で逮捕された場合、次のようなリスクがあります。

 

  1. 長期間、身柄拘束される可能性
  2. 懲役刑になる可能性がある
  3. 前科がつく可能性がある

 

逮捕から起訴までの期間は最長で23日間です。

この間に適切な弁護活動を受けられたかどうかが、今後の命運を左右します。

 

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詐欺罪の基礎知識|法定刑や時効

ここでは、以下の点に関してお伝えします。

 

  • 詐欺罪の種類と成立要件
  • 罰則や時効
  • 詐欺罪に該当するケース
  • 詐欺未遂の刑罰

 

詐欺罪の種類と成立要件

詐欺罪は、次の2種類に分けられます。

 

  1. 詐欺罪(刑法246条)人間を欺く行為が対象
  2. 電子計算機使用詐欺罪(246条の2)コンピュータなど人間以外を欺く行為が対象

 

さらに、通常の詐欺罪(刑法246条)は次の2つに分類されます。

 

  1. 1項詐欺罪:人を欺いて財物(動産、不動産、電気など)の交付を受ける場合
  2. 2項詐欺罪:人を欺いて財産上不法の利益を得る(または他人に得させる)場合

 

いわゆる『詐欺』の事案には、オレオレ詐欺や結婚詐欺、クレジットカード詐欺などさまざまなバリエーションがありますが、おおまかな区別としては、人や会社を騙すものは『詐欺罪』、コンピュータやシステムを騙すものは『電子計算機使用詐欺罪』と考えていただくのがよいでしょう。

 

参考:キセル乗車はどんな詐欺罪になるのか?

いわゆるキセル乗車も詐欺罪にあたる場合がありますが、駅員などを騙すということで『詐欺罪』になるのか、改札口のシステムを騙すということで『電子計算機使用詐欺罪』になるのかは、キセル乗車が発覚して逮捕された状況によって変わります。

 

従前は、キセル乗車は適正な乗車に見せかけて運送サービスという利益を不法に得る行為として2項詐欺の問題と考えられてきましたが、近年は自動改札機が普及し改札処理はほぼ機械が行っています。

 

そのため、自動改札機のシステムを不法に利用してキセル乗車を行うケースについては、電子計算機使用詐欺罪と判断されることも十分ありうると思われます。

 

自動改札未設置の区間については2項詐欺、自動改札設置区間については電子計算機使用詐欺と区別することも考えられるでしょう。2016年9月にもキセル乗車によって男性が逮捕された事件がありましたので、こういった行為は軽い気持ちでするべきではありません。

 

詐欺罪

(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(引用元:刑法246条

詐欺罪の構成要件は、次の通りです。

 

1項詐欺罪

2項詐欺罪

  1. ①欺く行為
  2. ②相手方の錯誤
  3. ③処分行為
  4. ④財物の移転
  5. ⑤財産的損害
  1. ①欺く行為
  2. ②相手方の錯誤
  3. ③処分行為
  4. ④財産上の利益の取得
  5. ⑤財産的損害

 

 

①欺罔(ぎもう)|欺く行為

欺罔とは、真実とはことなる事実を述べる、または真実を告知する義務があるのにこれを告げないことをいいます。

 

欺く対象は、人に限ります。機械などに虚偽の情報を入力することは電子計算機使用詐欺罪、偽造あるいは窃取したカードを利用してATMから金銭を引き出すことは窃盗罪など、別の犯罪に該当します。

 

なお、詐欺罪の構成要件として『欺罔』が認められるのは財物交付や財産上の利益移転に向けられた欺罔行為をした場合です。単に嘘をついただけでは欺罔に該当せず、詐欺罪が成立しないと考えられます。

 

②相手方の錯誤|騙されること

欺罔行為の結果、被害者が事実と異なることを事実と誤信すること(錯誤に陥ること)が必要です。

 

ここでいう錯誤は、欺く行為によって相手がお金を交付したり、不動産を譲渡したりするなどの財産的処分行為をするような動機づけに誤信があることを指します。

 

また、錯誤とは以下でお伝えする要素の錯誤・動機の錯誤のどちらでもよいとされています。

 

例えば、騙されていると知っていてお金を支払う場合などは、錯誤が成立しないので詐欺既遂罪には該当しないと評価される可能性があります。

 

ただし、欺罔行為があればその時点で詐欺未遂罪は成立しますので、この場合でも未遂罪で罪に問われる可能性があります。

 

要素の錯誤と動機の錯誤とは

要素の錯誤とは、簡単に言えば『その錯誤がなければ財産的処分行為をしなかったような重大な錯誤』のことをさします。

 

例えば、八百屋で青リンゴが売られていたとします。このときに青リンゴだとわかっていたら買わなかったが、梨だと思って買ったとします。この錯誤(勘違い)がなかったら青リンゴを買うこと(財産的処分行為)はなかったはずですよね。

 

ですので、この錯誤は『要素の錯誤』となります。

 

動機の錯誤とは『意思と表示は一致しているが、動機の時点で勘違いをしている状態』のことをいいます。

先ほどの八百屋の例で考えてみましょう。

 

友人が『青リンゴを1個500円で買う』と言っていたのを覚えており、この八百屋では青リンゴが1個100円で売っていたとしましょう。友人に青リンゴを売って儲けようと思い、青リンゴを10個買いました。

 

後日友人に売ろうと思ったら、500円ではなく50円で買うと言っていたことが判明しました。

 

青リンゴを青リンゴだと思って買っていたため要素の錯誤にはなりません。この人はそもそも動機(青リンゴを友人に売ったら儲けられるという考え)の時点で勘違い(錯誤)が起きていました。

 

この錯誤が『動機の錯誤』です。

 

なお、欺く行為の相手方は、被害財産を支払う権限や地位を有していたことが必要です。つまり、欺く相手と被害財産を交付した人は一致するのが原則です。

 

とはいっても、欺いた相手と被害財産を支払った人が異なる場合でも詐欺罪は成立する場合があります。

 

例えば、クレジットカードの不正使用の場合は、被欺罔者は加盟店であるのに対し、金銭を処分(交付)して被害を受けるのはクレジットカード会社です。このような事例は、いわゆる三角詐欺とよばれる詐欺類型です(ただ、上記の例では加盟店が交付した財物についての1項詐欺という構成も可能です)。

 

③処分行為|財物を手放すこと

処分行為とは、譲渡の旨の契約書に署名したり、購入の契約をしたりするような『財産を処分する意思』に基づき、実際に財産が処分されることをいいます。

 

このため、財産処分の意思を持たない幼児や認知症の高齢者などによる財産の処分は詐欺罪の処分行為にあたらず、詐欺罪が成立しない可能性があります(この場合、詐欺の未遂罪と窃盗既遂罪が成立する可能性があります)。

 

また、被害者が騙されたのではなく、脅された恐怖心から財産を処分した場合には、詐欺罪でなく恐喝罪が成立する可能性があります。

 

また、処分行為がなく、単に相手から財産を奪い取る行為は、窃盗、強盗などほかの犯罪が成立する場合があります。

 

④財物(財産上の利益)の移転⑤財産的損害|財物等が詐欺師に渡り、被害者が損失を被ること

 

  • 財産の移転:財産の占有が移転すること
  • 財産上の利益の移転:行為者が現実に財産上の利益を受けたこと

 

詐欺罪は財産罪に分類されることから、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが詐欺罪の構成要件として挙げられます。

 

電子計算機使用詐欺罪

電子計算機使用詐欺罪は詐欺罪の補充規定であり、詐欺罪と電子計算機使用詐欺罪の両方が成立することはなく、どちらかしか成立しないという特徴があります。

 

(電子計算機使用詐欺)

第二百四十六条の二 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

(引用元:刑法246条の2)

 

電子計算機使用詐欺罪の構成要件は、次の通りです。

 

構成要件

説明

  • 不実の電磁的記録の作出または虚偽の電磁的記録の供用

不実の電磁的記録の作出とは、人の事務処理に利用されている電磁的記録に虚偽のデータを入力して、真実に反する内容の電磁的記録を作出する行為をいいます。

虚偽の電磁的記録の供用とは、行為者が所持する虚偽の内容の電磁的記録を、他人の事務処理用の電子計算機に差し入れて使用させることをいいます。

  • 財産上不法な利益の取得

 

 

電子計算機使用詐欺罪によって、以下のような行為が処罰されると考えていただければよいでしょう。

 

  • 窃取したクレジットカードの番号や名義人の氏名等を冒用してインターネットショッピングの決済をする行為(不実の電磁的記録の作出)
  • 通話可能度数を虚偽のものに改ざんした変造テレホンカードを利用して電話をかける行為(虚偽の電磁的記録の供用)
  • プリペイドカード等の残額を改ざんして利用するなどの行為(虚偽の電磁的記録の供用)

 

なお、他人の電子計算機から財産的価値のある情報を不正に写し取ってそれを売却して利益を得たようなケースでは『不法な利益の取得』にはあたらないとされています。しかし、このような行為は不正アクセス禁止法や不正競争防止法で別途処罰対象となっている場合もあります。

 

法定刑は懲役10年

詐欺罪で有罪判決を受けたときの法定刑は10年以下の懲役です。罰金刑はないことが特徴ですが、詐欺行為によって取得した金銭は持ち主に返却する義務があります。

 

執行猶予の有無

執行猶予になる可能性があるのは、次のような場合です。

  • 初犯の場合
  • 被害の程度が軽微である場合
  • 行為の悪質性が高くない場合

 

量刑判断の基準

詐欺罪の刑罰が加重される場合は大きく分けて4通りあります。

 

『損害額が大きい場合』

損害額が大きい場合は結果が重大ということで刑が加重される可能性があります。

 

『複数回詐欺を行っていた場合』

2回以上犯罪行為をした場合には併合罪となり、量刑の上限が1.5倍になります。

 

『振り込め詐欺のように組織的に詐欺行為を働いていた場合』

組織的に詐欺行為を働いた場合には組織犯罪処罰法が適用され、その場合の法定刑は『1年以上の有期懲役(上限は設定されていない)』になります。

 

詐欺罪の時効

公訴期間|刑事が起訴不起訴を判断する期間

公訴の時効は犯罪行為が終わった時点から進行し、その期間は7年間です。

 

損害賠償請求期間|被害者が損害賠償を求める権利を持つ期間

損害賠償の時効は損害と犯人を知った時点から進行し、その期間は3年間です。

 

詐欺未遂の刑罰の有無

刑法第250条によって詐欺罪は未遂でも刑罰の対象となることが定められています。

 

(未遂罪)

第二五〇条 この章の罪の未遂は、罰する。

刑法第250条|刑法

 

多様化する詐欺の手口と逮捕事例・ニュース

詐欺の手口は年々巧妙になってきており、2017年8月には17歳の少年がいわゆる『受け子』(詐欺行為において金銭を受け取る役回りのこと)容疑で逮捕され、同年9月には15歳の女子中学生が詐欺容疑で書類送検されるなど、老若男女問わず詐欺罪に問われるケースが増えてきました。

 

最近の詐欺事件では、知らない間に犯罪に巻き込まれて逮捕されるケースや、その結果誤認逮捕されてしまった事例も出ていますので、ここで簡単に詐欺の手口と逮捕事例をご紹介します。

 

借用詐欺

最初からお金を返すつもりがないのにお金を借りる・借り続ける詐欺です。

 

返す意思があって返済が滞っているような場合には詐欺罪に該当する可能性は低いですが、相手方を騙して借金したり返済の意思が一切ないことが証明されたりしてしまうと、詐欺罪で逮捕されることは充分ありえます。

 

フィッシング詐欺

カード会社やウェブサイト業者を装い、個人情報や口座情報を盗み出し悪用する詐欺で、組織的犯行が多くなっています。最近はSMS(ショートメッセージサービス)を利用したフィッシング詐欺として『スミッシング詐欺』という類型も登場しており、逮捕事例も出ています。

 

▶参考:『グーグル』サポート装い詐欺容疑、男2人を再逮捕 警視庁(産経ニュースより)

 

ワンクリック詐欺

フィッシング詐欺に似ているものとして、アダルトサイトなどのURLをクリックすると『ご登録ありがとうございます。◯月◯日までに入会金◯万円をお振り込みください。』などと表示される、ワンクリック詐欺という類型もあります。

 

この場合、放置していても特に何も起こらないタイプと、『振り込みを確認できなければ損害賠償を~』などと恐怖心を煽ってくるタイプがあります。知人や家族に相談しづらいという心理を利用した犯行となっています。

 

また、ワンクリック詐欺の解決を装った業者がさらに詐欺を行う事件も起きており、こちらも手口が巧妙になってきています。

 

▶参考:アダルトサイトのクリック詐欺の解決装う…全国初、詐欺容疑で探偵業者を逮捕(産経WESTより

 

オークション詐欺

架空の商品をインターネット上のオークションサイトに掲載し、被害者が料金を振り込んでも商品を発送せずに姿をくらませる手口が典型例です。ただし、最近は偽の商品を発送するケースも増えてきており、組織化・巧妙化が進んでいるといえるでしょう。

 

▶参考:

偽ブランドをネット販売 詐欺容疑の会社役員ら6人逮捕 被害は3千人、計1億円以上にも(産経ニュースより)

車売ると詐欺の疑い…島根県警、千葉の男逮捕(産経WESTより)

 

振り込め詐欺

オレオレ詐欺など、身内を装い「事故に巻き込まれて金が必要だ。」と振込先を指定したり、「友人が取りに来るから渡してくれ。」などと手渡しを要求したりして金銭を騙し取る詐欺です。

 

電話役、口座手配役、引き出し役など組織的に行われることが多く、振り込み詐欺として15人が逮捕された事件も起こっています。

 

かけ子

電話をかけて相手を騙す役をかけ子といいます。かけ子を行った場合は詐欺罪が適用され、10年以下の懲役刑に処されます。

 

出し子

振り込め詐欺犯罪に利用された貯金口座から現金を引き出す役を出し子といいます。出し子を行った場合には銀行の管理する金銭を引き出したことに対する窃盗罪が適用され、50万円以下の罰金または10年以下の懲役刑に処されます。

 

受け子

手渡しで被害者から現金を受け取る役を受け子といいます。受け子を行った場合には詐欺罪が適用され、10年以下の懲役に処されます。

 

リーダー

詐欺行為を主犯で行っている人のことをいいます。刑罰は10年以下の懲役刑です。ただ『詐欺罪の基礎知識|法定刑や時効』でお伝えした通り、詐欺を組織的に行っていた場合には懲役1年~20年になります。

 

保険金詐欺

保険金目当てで保険に加入し、わざと事故を起こしたり、架空の診断書を作り保険金を騙し取ったりする方法です。

 

こちらも組織的に動いていることが多く、『保険金を貰える裏技だ』などとオイシイ話として出てきますが、れっきとした犯罪行為になるので絶対にやめましょう。

 

▶参考:事故装い保険金詐取 容疑の2人を追送検 千葉(産経ニュースより)

 

結婚詐欺

結婚をエサに異性に近づき、金品を受け取りそのまま姿をくらますといった詐欺で、街コンや結婚相談所が悪用されることも増えています。

 

▶参考:

<結婚詐欺>容疑者を7回目の逮捕(河北新報より)

結婚ほのめかした女、男性に要求したのは… 詐欺容疑で逮捕(産経ニュースより)

 

無銭飲食・無賃乗車

食い逃げやキセル乗車も、最初から代金を支払う意思がなかった場合は詐欺罪に問われる可能性が充分あります。

 

いわゆる『利益窃盗』(相手の意に反して利益のみを得る行為)に該当するケースでは不可罰になることもあるでしょうが(食い逃げが処罰されないという論拠です)、ケースバイケースの判断になりますから、絶対に処罰されないというわけではありません。

 

▶参考:高級すし、焼き鳥『好きなもの食べたかった』連続食い逃げの高2男子2人逮捕(産経WESTより)

 

募金詐欺

寄付をするつもりもないのに街頭などで慈善団体を名乗り、通行人から募金を集める手口が典型例ですが、身内の名前を利用して架空の闘病資金を集めるというケースも起こっています。

 

▶参考:

募金詐欺容疑、2件2人逮捕 警視庁(日本経済新聞より)

『心臓手術のための募金』は伯母の虚偽発表(産経ニュースより)※逮捕には至っていないようです。

 

融資詐欺

『お金を貸します』と装って被害者に近づき、保険料や紹介料などの名目で金銭を騙し取る手口で、最近では貸金業者を装うケースや“つなぎ融資”といったケースが目立ちます。

 

▶参考:

キャッシュカード詐取容疑『道具屋』7人逮捕 約300枚被害か(日本経済新聞より)

【62歳つなぎ融資の女王】1600万円詐欺容疑で山辺容疑者再逮捕(産経WESTより)

 

詐欺罪で逮捕された場合の判決の傾向

詐欺での逮捕は、日常的に起きていますが、裁判になった際にどういった判決が下されるのか、おおよその傾向を見てみましょう。

 

①大東建託社員詐欺事件…懲役3年6ヶ月(控訴中)

賃貸アパートなどを販売・管理する不動産会社の社員が、会社に対して詐欺を行った事件です。

 

こちらの会社では契約を取ることでインセンティブが発生する制度を採用していたところ、この社員はインセンティブを手に入れるために虚偽の申告を行い、その結果1,650万円ものインセンティブを手に入れたという事件です。

 

被害金額も大きく、詐欺罪の他にも公文書偽造などの罪に問われたため、さいたま地裁川越支部で懲役3年6ヶ月の実刑判決が下されましたが、被告の社員は控訴中のようです。

 

 ▶参考:『金が私を狂わせた』――詐欺で実刑判決受けた元トップセールスが告白する、大東建託の“人間破壊経営”

 

②羽賀研二未公開株詐欺事件…懲役6年(服役中)

未公開株の売買をめぐり、芸能人が逮捕・実刑判決を受けた事件です。被害者から民事でも訴えられており、裁判の動向が注目されていました。

 

▶参考:

羽賀研二・渡辺二郎両被告の実刑確定へ 上告棄却(日本経済新聞より) ※刑事裁判

羽賀受刑者 再び全額賠償命令 未公開株の高値取引 控訴棄却(デイリースポーツより)※民事裁判

 

③サカナクションチケット転売詐欺事件…懲役2年6ヶ月、執行猶予4年(動向不明)

人気ロックバンドのコンサートの電子チケットを転売目的で取得した男性が詐欺罪に問われた事件について、神戸地裁が懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の判決を出しています。

 

電子チケットはスマートフォンで取得・表示するものであったことから、スマートフォン自体を貸し出してチケット2枚を転売した事件で、全国で初めて電子チケットの不正転売が立件されました。

 

▶参考:スマホ貸し出し不正転売 神戸地裁有罪判決(毎日新聞より)

 

詐欺罪の場合、③の事案のように、金額があまり大きくなく初犯のような状況であっても、実刑判決が出される可能性が充分あります。

 

詐欺罪で逮捕されるタイミングとそれまでの経緯

詐欺行為をしている最中に逮捕される場合(現行犯逮捕)

金銭受け渡し前に被害者が詐欺だと気づいた場合

被害者が事前に警察に通報し、張り込みをしていた警察官によって逮捕されることが多くなっています。

 

金銭の受け渡し中に被害者や周りの人が気づいた場合

被害者や周りの目撃者が通報し、警察官が駆け付けたタイミングで現行犯逮捕されることが多くなっています。

 

詐欺行為をした後日に逮捕される場合(通常逮捕)

防犯カメラやアクセス履歴などから特定される場合

防犯カメラやアクセス履歴などから特定されて、詐欺行為を働いた疑いがあると考えられた場合には逮捕されることがあります。

 

詐欺行為をしたにもかかわらず逮捕されない(在宅事件になる)場合

  • 逃亡の可能性が低い
  • 証拠隠滅の可能性が低い

この2つの条件を満たす場合には逮捕されずに取調べなどが行われる可能性があります。

 

自首や出頭をした場合、逃亡や証拠隠滅の可能性が低いと判断されることがあります。詳しくは『詐欺の加害者になってしまった場合の対処法』にてお伝えします。

 

詐欺罪で逮捕されたら|逮捕後の手続きの流れ

詐欺で逮捕された後の流れをお伝えします。

 

警察による事件送致|逮捕後48時間以内

逮捕されるとまず警察からの取調べを受けることになります。警察は逮捕後48時間以内に検察に事件と身柄を送致します。この間、被疑者は弁護士以外の誰とも接見することはできません

 

被疑者が家族や会社の上司に連絡をしたい場合、もしくは逆の場合は、弁護士に伝言をお願いしましょう。

 

取調べ時に弁護士に依頼することのメリットは他にも3点ほどあります。

  • 取調べの対応方法を教えてもらえる
  • 取調べの後の流れを説明してもらえる
  • 不安事項の相談に乗ってくれる

 

ただ、高額な弁護士費用を懸念して弁護士に依頼できない人もいると思います。そのような場合には無料で弁護士と接見することができる当番弁護士制度を利用しましょう。

 

ただ当番弁護士制度は一度のみしか利用できない、弁護士を選べないなどのデメリットも存在しますので、詳細は無料で簡単に呼べる当番弁護士は逮捕で困った被疑者の味方をご覧ください。

 

検察による勾留判断|送検後24時間以内

検察は事件送致を受けると24時間以内に勾留の要否を判断します。この期間も弁護士以外の誰とも接見することは許されません。

 

勾留とは被疑者が逃亡したり証拠隠滅したりしないように留置場などに身柄を拘束しておくことをいいます。検察が勾留を請求し、裁判官がこれを認めた場合勾留が決定されます。

 

勾留|原則10日間最大20日間

勾留中は留置場などに身柄を拘束されます。期間は原則として10日間ですが、検察官が必要だと判断し、裁判官がその判断を認めた場合には最大10日間の勾留期間延長措置が講じられます(合計20日間)

 

起訴不起訴判断|逮捕から23日以内

逮捕されてから23日以内に起訴・不起訴判断が下されます。

 

基本的に検察は犯罪を立証できる証拠が揃っている場合のみに起訴をするため、起訴された被疑者は統計上99.9%の可能性で有罪判決を受けます。逆に不起訴判断になった場合は釈放されます。

 

詐欺の加害者になってしまった場合の対処法

加害者になってしまった場合の対処法をお伝えします。

自首をする

自首をするメリット

 

逮捕されない場合がある

自首をした場合、被疑者逮捕の要件である逃亡や証拠隠滅のおそれが認められないとの判断に繋がる可能性がありますこの場合には逮捕手続は行われず、在宅事件として捜査を受けることになります。

 

平常通りの社会生活を送りながら取調べなどに対応できるため、欠勤が原因による解雇等を防ぐことができるでしょう。

 

減刑措置を受けられる

刑法第42条によって自首をした人に対して刑を軽減することが定められています。

 

執行猶予となる可能性がある

実刑になるか執行猶予になるかという微妙な事案において、自首は被告人に有利な事情として考慮されます。当該事情が考慮された結果、実刑ではなく執行猶予判決を受けることができる場合もあるかもしれません。

 

自首をする前に弁護士に相談をするメリット

そもそも自首すべきなのかを判断してくれる

罪の意識ばかりが先行してしまっている場合があります。犯罪は構成要件に該当し、違法かつ有責である場合に成立します。

 

このどれか一つでも満たしていない場合、犯罪は成立しません。弁護士に相談することによって自身の行為が犯罪行為にあたるか否かを判断してもらえます。

 

警察に対して処分を軽くするよう求めてくれる

自首した際に弁護士は警察に対して、犯罪事実の説明だけでなく、処罰を軽くするように求める上申書や意見書も作成して提出してくれます。

 

そのため、1人で自首するよりも処分を軽くしてくれる可能性が高まります。

 

被害者と示談をする

詐欺罪における示談の意味

詐欺罪のような被害者のいる犯罪では示談は加害者・被害者間で事件が解決していることを意味します。そのため、詐欺罪において示談が成立しているかどうかは検察官の起訴判断や裁判官の量刑判断に大きく影響します。

 

そのため、被害者との間に示談が成立していれば、検察官があえて刑事処分を求めないとして事件を不起訴としたり、裁判官があえて実刑判決を求めないとして執行猶予付き判決を選択する可能性は高くなります。

 

示談金の相場

示談金額は被害者と加害者(被疑者)の話し合いによって左右されるため、決まった金額や相場はありません。当然、詐欺被害の金額や精神的ダメージなどによって示談金額は大きくなるでしょう。

 

数十万円程度で済む場合もあれば数百万円程度必要になる可能性もあります

 

示談をする際に気を付けるべきこと

示談交渉をする際にはなるべく弁護士を代理に立てるようにしましょう。

 

被害者との間で示談を成立させるには、弁護士の関与は不可欠です。被疑者が身体拘束を受けていればそもそも示談交渉をすることはできませんし、被疑者の関係者であっても被害者と会うことすらできないケースがほとんどでしょう。

 

仮に会うことができても被害者の心情を思えばまともな示談交渉などできないことは明らかです。そのため、被害者との間で示談交渉を行うのであれば、弁護士に示談交渉の代理を依頼するのが得策でしょう。

 

 

初犯の場合

初犯であるかどうかは被害者にとっては関係ありません。そのため初犯であるかどうかが詐欺罪の示談金額に影響することはほとんどありません。

 

示談を拒否された場合

被害者が示談交渉に応じない場合、示談は成立しません。ただ、示談交渉に積極的に動いたけれどもダメだったという事実は検察官に一定程度被疑者に有利な事情として考慮される可能性もあります。

 

被害者が示談金に合意しない、受け取らないという場合、以下のような方法もあります。

 

①示談金を供託する

示談金を弁護士に差し出し、保管してもらう方法です。これは「示談金を払う意思があり、相応の金額をいつでも渡せる。示談に応じてもらえればすぐにでも支払います。」という思いを表しています。

 

②示談金相当額を贖罪寄付する

示談金相当額を、公益性の高い団体に寄付し、「自分なりに反省をしていて、示談金を受け取ってもらえないのであれば社会的に意義のあることにお金を使いたい。」という気持ちを表す方法です。

 

示談書の書き方

示談書には被害者と加害者の合意の内容を盛り込むことが重要で、記載する内容としては以下の事項があります。

  • 事件の内容(日時・場所・加害者と被害者の氏名など)
  • 示談金の金額や支払い方法
  • 双方のサイン

 

示談の流れ

基本的な示談の流れは以下のようになります。

  1. 話し合い
  2. 示談条件の確定
  3. 示談書の作成
  4. 示談金の支払い
  5. 示談書へのサイン

 

示談が成立した場合

示談が成立した場合には不起訴または減刑、執行猶予の付与の可能性が高まります。ただ、あくまで可能性が高くなるだけであり、必ずしもそうなるとは限りません。

 

示談が不成立だった場合

示談が不成立だった場合は上記のような有利な取扱いを受けることは難しいでしょう。もっとも、示談できずとも供託等の方法で被害額の弁償が実質的に完了しているという場合は、加害者に有利な事情として扱われます。

 

弁護士に刑事弁護を依頼する

弁護士に相談するメリット

逮捕回避の可能性がある

被疑者が逃亡または証拠隠滅の恐れがあることが逮捕の要件の一つです。

 

そのため、被疑者が弁護士を付けて自首をして被疑事実の一切を認めて関係証拠も自主的にすべて提出しているという場合、これらが認められないとして逮捕を回避できる可能性もあります。

 

不起訴を目指し被害者との示談交渉を代行してくれる

上記の通り、被疑者や被疑者関係者が被害者と直接会うことは通常困難ですし、会えたとしても被害感情を逆なでしてしまう可能性があります。その結果、事態を悪化させかねません

 

弁護士に間に入ってもらい示談交渉をすることによって、示談をスムーズに行い、結果的に示談成功の可能性が高まると予想できます。

 

社会復帰が早まる

適切な弁護活動の結果、早期釈放や実刑回避が実現できれば早期の社会復帰が可能となります。

 

弁護士に依頼した後の流れ

罪を認める場合

罪を認める場合は捜査機関に自白した上で被害者との間で示談交渉を進めることになります。具体的な進め方については弁護士から的確なアドバイスを受けることができますし、弁護士に直接動いてもらうことができます。

 

否認する場合

事実を明確に否認する、黙秘権を行使するという一貫した対応が必要となります。もっともこの場合取調べは極めて過酷なものとなりますので、弁護士によるアドバイス、サポートは不可欠でしょう。

 

弁護士費用相場一覧

弁護士によって費用は異なりますが、相場は以下の通りです。

 

項目

金額相場

備考

相談料

1万円

相談するときに必要な費用

接見費用

約2~5万円

勾留中などの接見にかかる費用

着手金

約30~50万円

契約した時点で支払う費用

※弁護失敗しても返ってきません

成果報酬金

約30~40万円

※成功の度合いによって変わる可能性あり

弁護が成功したら支払う費用

実費

弁護士が立て替えた分だけ

交通費や切手代など

 

詐欺に関わっているかもしれないと思ったら

自覚の有無にかかわらず、詐欺行為を繰り返していると、たとえ末端でも逮捕された際に弁解の余地がなくなりますし、詐欺に気づかず実行犯になっていた場合でも未遂罪で逮捕されるケースもあります。

 

こういったケースで自首を考える人もいますが、自首をするにも供述内容を事前に用意しておくことが重要なので、まずは弁護士に相談してみましょう。

 

自首のアドバイスのほか、自首同行を行っている弁護士事務所もありますので、逮捕のリスクを下げる意味でも大切なことです。弁護士に相談しておけば、もし逮捕されてしまっても不起訴や実刑回避に向けた弁護活動を行ってくれます。

 

まとめ

この記事では以下のことについてまとめました。

  • 詐欺罪の法定刑や時効
  • 詐欺罪で逮捕されるタイミングとそれまでの経緯
  • 詐欺罪で逮捕された後の流れ
  • 詐欺の加害者になってしまった場合の対処法

 

詐欺罪は有罪判決を受けると10年以下の懲役刑になる重い罪です。さらに、2件以上詐欺をした場合や組織的犯行を働いた場合には罪が加重されます。詐欺罪の検挙率は47.0%となっており、警察が認知した場合は約2人に1人は逮捕されている状態です。

 

捕まって重い刑罰を受けるよりも、自首を通して反省の意を伝え、減刑してもらう方が今後の人生のためでもあります。

 

万が一、詐欺行為をしてしまった場合や協力してしまった場合は、すぐに弁護士に相談して一日でも早く今後のための行動に移ることを推奨します。

この記事を監修した法律事務所

Thum_umezawa
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

詐欺事件での逮捕は弁護士に依頼することで状況が変わります


詐欺事件の被疑者は、詐欺の手口や規模によっては非常に厳しい取調べが行なわれ、大体的に実名が報道されるリスクが高いものです。特に、グループでの犯行であれば、関係者や背後の人物を洗い出すために厳重な捜査がなされることは充分ありえます。

こういった犯罪の当事者になってしまったら、刑事事件に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような結果が望めます。

・被害者と示談ができた
・接見禁止処分を回避でき、無事に家族と面会できた
・保釈された
・示談によって不起訴になった、執行猶予付きの判決を勝ち取れた

受け子などで犯罪に関与してしまったり、詐欺行為を働いてしまったら、お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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