窃盗の示談金の相場はいくら?示談するメリットや示談交渉の流れを解説

窃盗事件を起こした場合、被害者との示談が成立すれば有利な事情として考慮され、早期釈放や減刑獲得などの可能性が高まります。
被害者に対する謝罪や被害金の弁済なども非常に重要ですが、窃盗事件での示談金はどのくらいなのでしょうか。
ほかにも、示談成立までの流れ・示談書の記載内容・交渉のタイミング・示談金が高額だった場合の対応など、疑問は尽きないでしょう。
本記事では、窃盗事件での示談金相場や示談のメリット、示談交渉する際の流れや弁護士の必要性などを解説します。
窃盗事件で被害者との示談交渉が難航している方へ |
---|
逮捕・在宅事件となっているにもかかわらず、示談交渉が成立しなかった場合は、以下のようなリスクが想定されます。
弁護士であれば、被害者感情にも配慮しながら対応してくれて、示談成立の可能性が高まります。 お住まいの地域から、刑事事件が得意な弁護士を検索し、相談してみましょう。 |
窃盗の示談金相場と基準
ここでは、窃盗事件での示談金相場や示談金の決め方などを解説します。
窃盗事件の示談金相場は「被害額+20万円」
窃盗事件の示談金については、被害額や被害者側の対応などによっても金額が左右されるため、一律で決まっているわけではありません。
たとえば、万引きなどでは被害品の金額だけで済む場合もありますが、多くは被害額に加えて慰謝料なども支払うことになります。
一応の目安としては、被害額+20万円程度の場合が多いようです。
ただし、被害額が5,000円や1万円などのケースでは低額になることもありますし、逆に被害額が大きいようなケースでは示談金も高額になることが考えられます。
窃盗事件の示談金の決め方
窃盗などの刑事事件での示談金は交渉をおこなって決定します。
示談金には、被害を受けた金銭的損失の補償や、精神的苦痛に対する慰謝料などが含まれています。
たとえば被害額が高額な場合や、被害者の精神的苦痛が大きい場合などは、示談金も高額になることが考えられます。
窃盗事件で示談するメリット
窃盗事件で被害者との示談が成立した場合、以下のようなメリットが望めます。
前科を回避できる可能性が高くなる
窃盗などの刑事事件を起こした場合、警察や検察によって取り調べがおこなわれたのち、検察によって起訴・不起訴が判断されます。
日本では刑事裁判の有罪率が99%以上と言われており、起訴されてしまうと高い確率で有罪となって前科が付くことになります。
「被害者との示談が成立しているかどうか」は起訴・不起訴を決める際の重要な判断材料のひとつであり、示談が成立している場合は不起訴処分となって前科を回避できる可能性が高まります。
逮捕を回避できる可能性がある
逮捕前の段階であれば、被害者との示談交渉にて警察へ被害届を出さないことに合意してもらうことで、刑事事件化を阻止して逮捕を回避できる可能性があります。
すでに被害届が出されている場合でも、示談交渉にて被害届を取り下げることに合意してもらうことで、捜査が終了して逮捕を回避できることもあります。
勾留を阻止して早期釈放を目指せる
窃盗事件で逮捕された場合、最大23日間の身柄拘束を受けることになります。
被害者との示談が成立した場合、「証拠隠滅や逃亡などの可能性は低い」と判断されて早期の釈放が認められる可能性があります。
解雇を防ぐことができる
窃盗事件を起こして逮捕・勾留され、無断欠勤の状態が長期間続いたりすると、勤務先から解雇されてしまうおそれがあります。
被害者との示談が成立して早期釈放が実現すれば、速やかに日常生活に復帰できて解雇されずに済む場合もあります。
窃盗事件で示談交渉する際の流れ
窃盗事件で示談交渉する場合、主に以下のような流れで進めます。
- 被害者と連絡を取る
- 示談金額や示談条件を提示して交渉する
- 合意内容をまとめて示談書を作成する
ここでは、示談成立までの流れについて解説します。
1.被害者と連絡を取る
窃盗事件の場合、被害者側としては「被害の弁済をしてほしい」と考えていることが多く、可能な限り早い段階で示談交渉を進めたほうがよいでしょう。
刑事裁判になってしまうと高い確率で有罪判決が下されるため、できれば検察官が起訴・不起訴を判断するまでに示談成立させることが望ましいです。
ただし、直接交渉しようとすると拒否されるケースも珍しくないため、少しでも示談成立の可能性を高めたいのであれば弁護士に代行してもらうのがおすすめです。
2.示談金額や示談条件を提示して交渉する
被害者との示談交渉では、お互いの希望額を提示してすり合わせたり、すでに被害届が提出されている場合は取り下げを求めたり、万引き事件の場合は被害店舗に立ち入らないことを約束したりなど、さまざまなことを話し合います。
示談成立までにかかる期間はケースバイケースで、早ければ1日~2日程度で成立することもありますが、なかには示談金などで揉めて難航する場合もあります。
3.合意内容をまとめて示談書を作成する
お互いに示談条件について合意できた場合は、示談書を作成したのち、合意内容どおりに示談金を支払うことになります。
なお、示談書には主に以下のような内容を記載します。
- 加害者と被害者の氏名
- 事件を起こした日時・場所・事件の内容・被害金額
- 示談金の金額・支払方法・支払期限
- 清算条項・宥恕条項、告訴の取消
- 一括払いが難しい場合は分割払いの旨・月々の金額と支払い期間 など
清算条項 | 「示談書に記載されたもの以外に賠償義務がない」ということを確認する条項 |
宥恕条項 | 「示談によって被害者は加害者を許した」ということを確認する条項 |
窃盗事件で示談不成立になった場合のリスク
被害者との示談が成立しなかった場合、身柄拘束が長引いたり、刑事裁判で執行猶予が付かずに実刑判決を受けたりするなどのリスクがあります。
示談交渉が難航している場合は、窃盗事件の加害者弁護が得意な弁護士に依頼して粘り強く交渉してもらったり、示談条件を見直したりすることをおすすめします。
それでも示談成立が困難な場合は、示談金の供託や贖罪寄附をおこなって示談金を支払う意思や謝罪の気持ちなどを示すことで、示談成立ほどではないものの有利な事情として考慮される可能性があります。
窃盗事件の示談金が支払えない場合の対処法
示談金の支払いは一括が原則ですが、なかには示談金が高額になるケースもあります。
被害者が了承すれば分割払いも可能であるため、示談金の一括払いが難しい場合は分割払いにしてもらえないか交渉してみましょう。
注意点として、分割払いの場合、捜査機関によって「支払いの見込みがない」と評価されて示談の効果が薄くなることもあります。
支払いの見込みがあるかどうかは、主に以下のような点から判断されます。
- 定職に就いており、月々遅れずに支払い可能な状態にあること
- 支払い期間が短いこと
- 連帯保証人がついていること
窃盗事件の示談交渉は弁護士に依頼するのがおすすめ
窃盗事件の被害者と示談交渉をおこなう際は、弁護士に依頼しましょう。
ここでは、弁護士に依頼するメリットや弁護士の探し方などを解説します。
弁護士に依頼するメリット
窃盗事件での示談交渉は自力でも可能ですが、当事者同士では感情的になってしまって交渉が決裂することもありますし、警察に連絡先を聞いても教えてくれずに交渉を始められないこともあります。
弁護士に依頼すれば法的視点から冷静に対応してくれて、被害者側の感情にも寄り添いながらスムーズな示談成立が望めます。
被害者から直接交渉を拒否された場合も、弁護士が間に入ることで応じてくれるケースもありますし、弁護士に依頼することで警察が連絡先を教えてくれることもあります。
特に以下のようなケースにあてはまる場合は、弁護士への依頼をおすすめします。
- 被害者の連絡先がわからない
- 被害者に示談交渉を拒否されている
- 被害者から被害金以上の高額な示談金を請求されている
- 適正な示談金額がわからない など
窃盗事件に強い弁護士の探し方
早期釈放や減刑獲得などに向けて的確な弁護活動を受けるためには「十分な実績や実務経験のある弁護士」を選ぶことが大切です。
窃盗事件に強い弁護士を探す際は、当サイト「ベンナビ刑事事件」がおすすめです。
ベンナビ刑事事件は弁護士ポータルサイトで、窃盗事件の加害者弁護が得意な全国の弁護士事務所を掲載しています。
「休日・夜間の相談可能」「スピード対応」などの弁護士事務所も多数掲載しており、都道府県や市区町村を選択するだけで対応可能な事務所を一括検索できます。
以下のリンクから、お住まいの地域の弁護士事務所を探してみましょう。
窃盗事件の示談に関するよくある質問
ここでは、窃盗事件の示談に関するよくある質問について解説します。
窃盗事件の示談とは何ですか?
示談とは、加害者が被害者に金銭の支払いなどをおこなって和解することを指します。
示談の成立は加害者側にとって有利な事情として考慮され、早期釈放や減刑獲得などの可能性が高まります。
窃盗の示談金は平均いくらですか?
窃盗事件の示談金相場は「被害額+20万円程度」です。
ただし、被害状況や被害者側の対応などによっても左右されるため、被害額が高額なケースや被害者の精神的苦痛が大きいケースなどでは、上記の範囲を超えることもあります。
窃盗で示談をしたら刑事罰はどうなる?
被害者と示談することで刑事処分の軽減が望めます。
窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役(※)または50万円以下の罰金(刑法第235条)」ですが、示談が成立した場合は執行猶予がついて実刑を回避できたり、不起訴処分となって前科を回避できたりする可能性があります。
※2025年6月1日より、懲役刑は廃止され拘禁刑となります。
窃盗で示談に応じないとどうなる?
被害者と示談をしない場合、身柄拘束が長引いたり、起訴されて刑事裁判に発展したり、執行猶予が付かずに実刑判決を受けたりするなどのリスクがあります。
被害者から高額な示談金を請求されたらどうするべき?
当事者同士での示談交渉では、適正な金額がわからないために高額な示談金を請求されるケースもあります。
なかには罪を犯してしまったという後ろめたさから「言われたとおりに支払わないと」などと考える方もいるかもしれませんが、まずは弁護士に相談してください。
弁護士なら妥当な金額をアドバイスしてくれますし、もし請求額が高額な場合は減額交渉を依頼することも可能です。
まとめ
窃盗事件を起こしてしまった場合は、速やかに示談交渉を始めましょう。
窃盗事件に強い弁護士に依頼すればスムーズな示談成立が期待でき、逮捕や解雇の回避、早期釈放や減刑獲得などが望めます。
当サイト「ベンナビ刑事事件」では、窃盗事件の加害者弁護が得意な全国の弁護士事務所を掲載しているので、まずは一度利用してみましょう。



【スピード重視】【電話/メール/LINEのお問い合わせ24時間受付中】盗撮/風俗店トラブル/不同意わいせつ/痴漢/暴行/傷害/窃盗/援助交際など、幅広い刑事事件に迅速対応いたします!経験豊富な弁護士にお任せください!
事務所詳細を見る
【刑事弁護のプロフェッショナル】日本でも数少ない刑事弁護のみを専門的に取り扱うブティックファームです|電話が繋がらない場合は、メールまたはLINEよりお問い合わせください。
事務所詳細を見る
【即日接見可】痴漢・性犯罪/暴行・傷害・強盗/薬物/少年事件に注力◆東京23区外メインに迅速対応◆「家族が逮捕された」「取り調べに呼ばれた」方はお電話を!更生・再犯防止に向け徹底サポート!≪年中無休|7〜25時受付≫
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡



窃盗(強盗)事件を起こしたらに関する新着コラム
-
もしも窃盗をしてしまったら、警察からの連絡がなく日常生活も変わりないまま過ごせているからといって安心してはいけません。本記事では、窃盗事件に関する警...
-
ものを盗む行為は強盗や窃盗にあたり、どちらも逮捕される可能性が高い犯罪です。 例をあげながら強盗と窃盗の内容や法定刑について解説します。また、強盗...
-
従業員がレジ金を盗んでいるかもしれないというとき、経営者は非常に残念な気持ちになるものです。本記事では、有効な証拠の種類や収集方法、お金を返してもら...
-
窃盗に強い弁護士に相談したいという方のために、窃盗に強い弁護士の選び方・探し方・弁護士費用などを解説します。窃盗事件をできるだけ穏便な形で解決したい...
-
この記事では、万引きをして検察から呼び出しを受けた方向けに、検察庁に行く際の準備や注意点、不起訴になるためにできることなどをくわしくご紹介します。ま...
-
窃盗のような被害者の存在する犯罪では、加害者の反省を現す行為の一つとして、謝罪文や反省文を被害者宛に送ることがよくあります。この記事は窃盗事件を念頭...
-
万引や自転車泥棒などは、窃盗罪に該当します。窃盗罪も立派な犯罪ですから、起訴された場合さまざまなリスクがあるのです。
-
自転車の窃盗は、「自転車泥棒」、「チャリパク」などと呼ばれ、立派な犯罪でありながらもそうでないかのように見られることがあります。しかし、窃盗罪も犯罪...
-
万引は現行犯逮捕されるイメージがありますが、もちろん現行犯以外で逮捕される事例もあります。現行犯以外の方法で逮捕される理由と、実際に逮捕された事例に...
-
置き引きは、正式には遺失物等横領罪や占有離脱物横領罪と呼ばれるれっきとした犯罪です。場合によっては窃盗罪と評価されることもあります。この記事では、置...
窃盗(強盗)事件を起こしたらに関する人気コラム
-
万引きと聞くと軽犯罪に思う方も多いですが、実際は「窃盗罪」にあたり、逮捕・起訴、ともすれば懲役刑の可能性もある犯罪です。「魔が差した」ではすまない万...
-
本記事では、クレプトマニアの特徴や治療法、逮捕されたときに弁護士へ依頼するメリットなどを解説します。
-
この記事では、窃盗罪になる行為や該当した場合、どのような罰則を受けるのか、逮捕されたときに弁護士ができることなどについてわかりやすく解説します。
-
親族相盗例とは親族間における犯罪の特例のことを言います。この記事ではどのような犯罪、どの親族の間で親族相盗例が適用され、親族相盗例で刑事告訴された場...
-
たとえ初犯であっても、窃盗罪で逮捕されると実刑判決が下されることもあります。不起訴処分や早期釈放を獲得するためにも、今できることを確認しておきましょ...
-
強盗罪(ごうとうざい)とは、脅迫や暴行などを利用し、他人の財物を奪い取る罪です。脅迫・暴行などの不法行為を行い、さらに人の物を奪う犯罪として、刑罰も...
-
強盗致傷は『無期または6年以上の懲役刑』と非常に重い罰則が科されています。そのため、初犯であっても実刑判決が出るケースが多いです。この記事では、強盗...
-
ひったくりとは、荷物を持った歩行者に後ろから近づき、荷物を奪い取って逃走する行為です。行為が発覚した場合、窃盗罪で逮捕されることが多いです。この記事...
-
強盗罪の初犯の量刑はどのくらいなのでしょうか。この記事では、強盗罪の初犯の量刑相場、強盗初犯の裁判事例、強盗初犯の逮捕後の流れと処分の傾向などを解説...
-
下着泥棒とは、ベランダなどに干してある下着やコインランドリーの乾燥機内にある下着などを盗む行為を言い、刑法上は窃盗罪に該当しますが、収集癖のある変態...
窃盗(強盗)事件を起こしたらの関連コラム
-
この記事では、窃盗罪になる行為や該当した場合、どのような罰則を受けるのか、逮捕されたときに弁護士ができることなどについてわかりやすく解説します。
-
この記事では、万引きをして検察から呼び出しを受けた方向けに、検察庁に行く際の準備や注意点、不起訴になるためにできることなどをくわしくご紹介します。ま...
-
強盗罪(ごうとうざい)とは、脅迫や暴行などを利用し、他人の財物を奪い取る罪です。脅迫・暴行などの不法行為を行い、さらに人の物を奪う犯罪として、刑罰も...
-
置き引きで逮捕された場合どうなってしまうのでしょうか。この記事では、置き引きで逮捕された場合の対処法から、逮捕後の処分、逮捕事例、行った状況で異なる...
-
強盗罪の初犯の量刑はどのくらいなのでしょうか。この記事では、強盗罪の初犯の量刑相場、強盗初犯の裁判事例、強盗初犯の逮捕後の流れと処分の傾向などを解説...
-
ひったくりとは、荷物を持った歩行者に後ろから近づき、荷物を奪い取って逃走する行為です。行為が発覚した場合、窃盗罪で逮捕されることが多いです。この記事...
-
下着泥棒とは、ベランダなどに干してある下着やコインランドリーの乾燥機内にある下着などを盗む行為を言い、刑法上は窃盗罪に該当しますが、収集癖のある変態...
-
万引きで逮捕されたら弁護士に相談すべきです。相談することで的確なアドバイスと適切な弁護活動を期待できます。この記事では、相談すべき3つのケースから、...
-
置き引きは、正式には遺失物等横領罪や占有離脱物横領罪と呼ばれるれっきとした犯罪です。場合によっては窃盗罪と評価されることもあります。この記事では、置...
-
万引きで示談交渉をしたいけれど、そもそも示談とは何なのか、示談はどうすればいいのかと疑問が尽きませんよね。この記事では、万引きにおける示談の意味とメ...
-
息子さんが万引きをしてしまった際に、親御さんが対応するべきことを解説します。今後起こり得ることや、弁護士を呼んだほうがいい場合などについても解説する...
-
窃盗事件を起こしてしまった場合は、速やかに示談交渉を始めましょう。被害者との示談が成立すれば、逮捕や解雇を回避できたり、早期釈放や減刑を獲得できたり...
窃盗(強盗)事件を起こしたらコラム一覧へ戻る