日本の懲役の実態|懲役刑が果たす3つの役割と問題点

~いざという時の備えに~刑事事件コラム

 > 
 > 
 > 
日本の懲役の実態|懲役刑が果たす3つの役割と問題点
キーワードからコラムを探す
刑事事件コラム

日本の懲役の実態|懲役刑が果たす3つの役割と問題点

%e6%aa%bb

懲役(ちょうえき)とは、有罪判決を受けた人物を刑務所に拘禁し刑務作業を行わせる刑罰です。受刑者を刑事施設に拘禁し、自由を奪う、自由刑の一つです。同じく自由刑のうち、刑事施設に拘禁するものの、刑務作業を義務付けていない刑罰として、禁固刑が別にあります。

 

今回は、懲役刑を中心に日本の刑罰の種類と実態、そして懲役を回避するための制度を解説していきます。
 


刑事事件はスピードが命です!
もしもご家族や身近な方が逮捕されてしまったのであればすぐに弁護士に相談することをおすすめします。刑事事件ではスピードが重要になってきます。【刑事事件弁護士ナビ】では、刑事事件が得意な弁護士を掲載しています。相談料無料の事務所も多いので、まずはお住いの地域から弁護士を探してみて相談してみることをおすすめします。
 

 

[注目] どんな時に刑事事件の弁護士に依頼すべき?

 

【目次】
懲役刑とは?|懲役刑の3つの目的と役割
懲役刑で起きている問題
懲役刑での収監期間と仮出所の傾向
現在の日本の刑罰一覧
懲役刑と実刑と執行猶予の違い
懲役刑を受けた後の生活
無期懲役刑の実態
まとめ
 

懲役刑とは?|懲役刑の3つの目的と役割

冒頭でもご説明しましたが、懲役刑は受刑者を刑務所に入れ、刑務作業を行わせる刑罰の1つです。無期懲役という刑罰も聞いたことがあるでしょうが、無期懲役刑も懲役刑のうちの一つで、懲役の期間が決まっているか決まっていないかの違いだけです。
 
現在、日本には7種類の刑罰があります。懲役刑はその2番目に重い刑罰です。懲役刑は自由刑に該当し、受刑者の自由を奪うことが罰則の大きな目的ですが、以下の3つの目的があります。
 

懲役刑の3つの目的と役割

懲役には、本来3つの目的と役割があります。
 

隔離

犯罪を起こした人物を、刑事施設に隔離し、社会の安全性を保つ目的があります。例えば、凶悪殺人を犯した人物が罰金を払ってすぐに社会に戻されたのであれば、世間は不安と不満に思うでしょう。
 

抑止

長期に渡り自由を奪うペナルティーを科す事で、犯罪に対する抑止をする効果があります。「犯罪を起こすと刑務所に入れられる」という概念があるから、悪いことに踏み切らないことも実際のところはあります。
 

矯正

刑務所内で強制労働させることで、苦痛による再犯防止・生活習慣改善・職業訓練などの意味合いもあります。苦痛と言っても受刑者にも人権がありますので、起床時間・生活習慣の撤退や強制労働などにより強制をしていきます。
 

懲役刑で起きている問題

このような目的で設けられている懲役刑ですが、現状として懲役刑が抱える問題も存在しています。
 

犯罪を助長することとなる

刑務所内で毎日顔を合わせる人物は、刑務官か同じ受刑者しかいません。受刑者はもちろん犯罪者です。更に懲役刑となると、比較的重大な事件(殺人や強盗)を起こした人物や、再犯を起こしたような人物が多くいます。暴力団の組員もいるでしょう。
 
例え本人が「社会に戻れば真っ当に生きよう」と誓っても、長い間、毎日周りにそのような人物しかいないと、自然と周りのコミュニティに染まっていくことも考えられます。実際に刑務所内では、薬物の売人情報や犯罪の手口などの犯罪情報が流れていることもあるようです。
 

社会復帰が難しくなる

懲役刑で拘束される期間が長くなればなるほど、社会への復帰が厳しくなります。まず、逮捕前の仕事に復帰することは、相当寛大か人手不足、親戚家族が経営する会社でない限り無理でしょう。
 
再就職の際、懲役期間の情報を知らせる義務はありませんが、履歴書に長期の空白期間があることは、再就職に不利になります。人間関係でも劣等感を感じたり、家族に見放されたりすることで、社会生活に居心地が悪くなり再び犯罪を起こしてしまうこともあるようです。
 

懲役刑での収監期間と仮出所の傾向

実際に懲役刑を受けるとどれほどの期間刑務所に入れられてしまうのでしょうか。具体的な刑期は犯した罪の内容にもよりますが、「仮釈放」もあります。実際の懲役刑での期間を見てみましょう。
 

懲役刑の長さは刑事裁判で決まる

まず、ご存知の方がほとんどでしょうが、懲役刑は刑事裁判によって刑期が決められます。例えば、強姦罪の法定刑(各犯罪に規定されている罰則)は、【3年以上の懲役】と、はっきりと決められていません。そこで、実際の刑事裁判で法定刑と事件内容を元に、検察官・弁護士・裁判官による刑事裁判で刑期が決められます。
 
▶「刑事裁判の全て|知っておくべき基礎知識
 

有期懲役の最大刑期

例えば強姦罪の法定刑は3年以上の懲役となっていますが、3年以上であれば何年でも刑期を延ばすことができるわけではありません。

 

これを有期懲役と言い、30年間の懲役と決められています。これに対して、期間が決められていない懲役刑を無期懲役と言います。
 
▶「無期懲役の実態と実例から見る死刑判決との違い
 

仮出所の確率は約半数

刑期が満期になる前に受刑者を出所させることを仮出所(仮釈放)と言いますが、懲役刑を受けて仮釈放によって早めに出所する人は約半数います。(犯罪白書より)
 

仮出所は刑期の7割を過ぎてから

仮出所がいつから可能になるかというと、原則的に満期の1/3を過ぎてからです。しかし、実際のところ1/3で仮出所が検討されることはほとんどなく、刑期の7割を過ぎてから仮出所が検討されるようになります。
 

現在の日本の刑罰一覧

それではまず、現在の日本の刑罰の一覧をご説明します。上記でも述べましたが、現在日本には7種類の刑罰があります。
 

生命刑 自由刑 財産刑 付加刑
死刑 懲役 禁固 拘留 罰金  科料 没収
受刑者の生命を奪う 刑事施設に収監し、刑務作業を行わせる 刑事施設に収監する 1日以上30日未満の刑事施設への収監 お金を支払う刑罰 千円以上一万円未満の財産刑 犯罪に使われた物、犯罪で得たものを国が取り上げる

 

死刑

ご存知の通り、受刑者の生命を奪う最も重い刑罰です。日本では絞首刑が採用されています。余談ですが、先進国で死刑制度がある国は、日本とアメリカのみ、準先進国を加えても、シンガポールと台湾しかありません。世界的に見て、死刑を採用する国は少なくなっています。
 

懲役

ご説明した通り、刑事施設に収監し、刑務作業を行わせる刑罰です。懲役期間の定められない無期懲役と、「◯年以下」とあるような有期懲役に分かれ、有期懲役の最大年数は30年となっています。
 

禁固

懲役刑と同じ、刑事施設に収監される自由刑ですが、懲役刑との大きな違いは、刑事施設内での刑務作業の義務がないことです。刑罰としては懲役刑のほうが重いとされていますが、受刑者は刑務所内でもすることがなく、自ら刑務作業を志願する人も多いようです。
 

拘留

同じく刑事施設に収監される自由刑ですが、懲役・禁錮との違いは、拘束期間の長さです。1日以上30日未満と短期の期間が設定されています。
 

罰金

ご存知の通り、罰則金を徴収する刑罰です。1万円以上で定められており、罰金の使い道は国の予算に当てられます。被害者に返されるということは無いのです。被害者は民事での示談交渉などで損害賠償を請求できます。
 

科料

同じく、罰則金を徴収する財産刑ですが、1,000円以上10,000円未満と額が定められています。
 

没収

没収のことを付加刑と言い、没収刑単独での刑罰の言渡しはありません。要するに、罰金刑と没収刑、懲役刑と没収刑といったように他の刑罰と一緒に処罰されます。
 
没収は、犯罪に使用されたもの(銃や刃物などの凶器や薬物犯罪で使用した物)や、犯罪で得たもの(詐欺で得た金銭、窃盗で得た物品)が対象になります。こちらも確実に所有者が分からない場合、被害者には返されず、所有が国へと移ります。
 

懲役と禁錮と拘留の違い

上記の内容を見てみて、自由刑に当てはまる「懲役刑」「禁錮刑」「拘留刑」はそれぞれ紛らわしい部分もあるかと思いますので、こちらで別途ご説明をします。
 

懲役

お伝えの通り、懲役刑は刑務所に収監し刑務作業を行わせる罰則です。刑務所への収監で自由を奪うだけではなく、刑務作業をすることも刑罰の一つになります。
 

禁錮

禁錮刑は、刑務所に収監させることが罰則となります。懲役刑との違いは刑務作業が罰則に含まれていない事です。刑務作業がない分、禁錮刑が楽なようにも感じられるかもしれませんが、実際のところ部屋(牢屋)の中で何もすることがないというのは、長期的には耐えられなくなり、自ら刑務作業を志願する人がほとんどのようです。
 
禁錮刑は交通事故などの過失で犯罪を起こしてしまった際に受けやすくなっています。
 
▶「過失致死とは|過失致死の刑事的責任と事件後の対応
 

拘留

懲役と拘留の違いは、拘束期間の違いにあります。30日未満刑事施設に拘束させる刑を拘留と言いますが、実際のところ拘留刑は全犯罪を見てみても年間数件と滅多に判決を受ける刑罰ではありません。
 
▶「刑罰の「拘留」と処分の「勾留」|拘留と勾留の違い
 

労役場勾留

上記の刑事罰にはありませんでしたが、労役場勾留というものがあります。これは、罰金・科料の判決を受けたにも関わらず、指定された期限に罰金・科料を納められなかった場合に受けるものです。
 
罰金を完納することができない場合は1日以上2年以下の期間、科料を完納することができない場合は1日以上30日以下の期間、労役場で強制的に働かされますので、実質、懲役刑と同じような罰になります。
 
▶「罰金・科料を納めなかった場合

 

 

懲役刑と実刑と執行猶予の違い

たまにニュースなどで「執行猶予付き判決」「実刑判決」などと耳にしますが、執行猶予や実刑とは、どういうことでしょうか?こちらでは懲役刑と関連してくる実刑や執行猶予について解説してきます。
 

執行猶予付き懲役刑とは

執行猶予付きの実刑判決とは、懲役〇年の懲役刑に該当するが、〇年間犯罪を起こさなければ懲役刑の罰則は受けなくてよいという判決です。この「〇年間犯罪を起こさなければ」の期間が執行猶予期間になります。
 
例えば、【懲役3年執行猶予4年】という判決を受けると、「懲役3年が相当だが、4年間他の罪を犯さなければ懲役3年の罰則は受けなくていい」ということになります。詳しくは以下をご覧ください。
 
▶「執行猶予の仕組みを分かりやすく解説|執行猶予を獲得する方法
 

実刑判決とは

実刑とは、執行猶予が付かず、上記3つの自由刑を受けることをいい、実刑判決とは、簡単に言うと即刻刑務所に入れられる判決のことをいいます。同じ懲役刑でも、この執行猶予付き判決か実刑判決かで天と地の差があります。

 

懲役刑を受けた後の生活


ご説明した通り、執行猶予が付かず懲役刑になると、刑務所に入れられ刑務作業を行なうことになります。
 

刑務所での生活

刑務所での生活は、朝6時に起床し、21時には就寝という規則正しい生活になります。食事は3食きっちり出ますが、外の世界では2~300円でも食べる気が起きないような、質素なものになっています。
 
日中は刑務作業を行い、土日は休みで余暇時間に当てられます。部屋は雑居房で、数人と24時間同じ空間を過ごします。風呂は週に2~3回、プライバシーなどはありません。
 
表向きでは刑務所は更生施設という部分もありますが、犯罪者同士交流することにより犯罪を助長させている部分も否めません。
 

刑務作業 

刑務作業は、金属・革製品・木工・洋裁・印刷などの工場で行われます。労働時間は、1日8時間土日祝日は休みと、一般の企業と同じです。 また、出所後に就職で困らないように実技訓練を受けることもありますし、実際に出所後の受刑者を引き受けてくれる企業もあります。
 

刑務作業での報酬

一応給与のようなものも貰えますが、月数百円から数千円となっています。年間でも1~5万円程度です。報酬は刑務所内で嗜好品を購入する際に利用するか、出所時に渡され、交通費や生活費などに充てられます。
 

出所後の生活

一度刑務所に入れられた人物の再犯率は高くなっています。理由は、出所しても受け入れてくれるところが少なく、結果、自暴自棄になり再び犯罪を起こしてしまうからです。社会復帰は、刑期が長くなればなるほど難しくなります。
 
受刑者が出所後に真っ当な社会復帰を目指すのであれば、本人の並々ならぬ努力と家族や友人などのサポートが必要になってきます。しかし犯罪を起こす人物の中には、全く反省できない人物もおり、出所させたところで再び犯罪を起こしてしまいます。
 

無期懲役刑の実態

無期懲役と聞くと、「一生刑務所に入れられるもの」とイメージされる方も多いとは思います。実質、期限を決められていない懲役刑のことなのでそのような性質はあります。ただ、仮釈放で刑務所を出る可能性はあります。
 

無期懲役での拘束期間は30年以上

無期懲役刑でも10年を経過すると仮釈放を許可する制度があります。このことがあり、「無期懲役でも10~20年すれば仮釈放される」といった風説がありました。
 
しかし実際のところ、有期懲役の最大年数が30年であるため、無期懲役の仮釈放の審査は30年を超えて行なわれます。そうなると、出所するときの年齢は50代を超えており、そこからの社会復帰は非常に難しいものとなるでしょう。

無期懲役については「無期懲役の実態」をご覧ください。
 

 

まとめ

いかがでしょうか。懲役は、犯罪を起こした人物の自由を長期間奪う重い刑罰です。数ヶ月・数年であっても、社会へ及ぼす影響と、復帰後の大変さは計り知れません。

 

それを防ぎ、社会への復帰をスムーズに行なうために刑事弁護がありますので、気になる方は下のコラムもご覧ください。
 
執行猶予の全てと執行猶予をもらうためにすべき弁護活動
起訴猶予の獲得と早期釈放のためにできること
逮捕後の流れと手を打つべき5つのポイント
 


 

この記事を監修した法律事務所

Thum_umezawa
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

弁護士への相談で刑事事件の早期解決が望めます


刑事事件に関する専門知識もつ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・罪に問われた身内を助けたい
・窃盗罪や傷害罪で捕まってしまった
・痴漢冤罪などの冤罪から逃れたい

など、刑事事件でお困りの事を、【刑事事件を得意とする弁護士】に相談することで、刑事事件の早期解決となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

詐欺罪に関する新着コラム

詐欺罪に関する人気のコラム


詐欺罪コラム一覧へ戻る