ナンパで通報されることもある!罪に問われないための知識と対処法を解説
街で知らない方に声をかけ、ご飯やデートに誘ったり、交際を求めたりするナンパは、一歩間違えれば犯罪になる行為です。
実際に、ナンパをしたことで通報され、警察に逮捕された事例は、いくつもあります。
ナンパで問われる可能性がある罪にはどのようなものがあるのか、警察に通報や逮捕されたらどうすればよいのか、どこまでが許される行為なのか、法的観点から気をつけるべきことや対処法を解説します。
強引なナンパは通報されることもある!
初対面の方に話しかけることは、初対面の方、法的に制限されることではありません。
しかし、強引なナンパは、刑事責任を問われるリスクのある行為です。
たとえ自分では強引なつもりでなくても、問われる罪もあります。
無視されているのに何度も話しかける、相手の前に立つなどして進路を妨害する、手をつなぐ、肩に手を回すなどの行為は、避けるべきです。
今回は、ナンパで問われる可能性のある罪と、もしも通報・逮捕されてしまったらどうすればよいのかについて、解説します。
ナンパで問われる可能性のある罪
強引なナンパをすると問われる可能性がある5つの罪について説明します。
1.暴行罪|相手に強く触れた場合
相手の手を引っぱるような行為はもちろん、むりに手をつないだり、肩に手を回したりするような相手に強く触れる行為は、暴行罪になりえます。
暴行罪は、刑法第208条に規定されている犯罪です。
暴行罪における暴行の定義は「人の身体に対する不法な有形力の行使」であると考えられています。
そのため手をつないだり、肩に手を回したりするだけでも、暴行とみなされることがあります。
たとえ相手が、けがをしていなくても、2年以下の懲役や30万円以下の罰金などに問われる可能性があるのです。
2.不同意わいせつ罪|同意なくわいせつ行為をした場合
相手の身体に触れた部分によっては、不同意わいせつ罪となる可能性もあります。
同罪が適用されるのは、2023年7月13日以降に発生したわいせつ事件です。
罪名のとおり、同意がない相手へのわいせつ行為に対して適用されますが、一言でわいせつ行為といってもその内容は多岐にわたります。
衣服をぬがせたりキスをしたりするだけでなく、ナンパ相手のお尻や胸に触れたり、とつぜん抱きついたりすることも、不同意わいせつ罪におけるわいせつ行為に該当する可能性が高いです。
法定刑は、6ヵ月以上10年以下の懲役です。
罰金刑がないため、起訴されて有罪になると、執行猶予がつかない限り、刑務所で服役することになります。
ただナンパをするだけだと軽く考えず、重い罪に問われるリスクを考慮しなければなりません。
3.軽犯罪法・迷惑防止条例違反|相手に不安をおぼえさせるような行為をした場合
たとえ相手に触れていなくても、罪に問われることがあります。
むしろナンパの場合は、このケースに該当することが多いため、とくに注意が必要です。
相手に触れていなくても、軽犯罪法や迷惑防止条例に規定されているつきまとい行為に該当する場合があります。
つきまとい行為には、背後や隣を歩いてついていくことや、相手の前に立って進路を妨害する行為も含まれます。
軽犯罪法第1条第28号では、進路妨害やつきまといによって、相手を不安にさせたり不快にさせたりする迷惑行為を禁じており、これに違反すれば拘留または科料に処すると規定しています。
拘留とは1日以上30日未満のあいだ、刑事施設に拘束されることをいいます。
また、科料とは1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じられることです。
迷惑防止条例違反となるケース
迷惑防止条例は、都道府県などの自治体によって定められている、公衆への迷惑行為を禁止する条例です。
道路・公園・駅・空港・電車・バス・飛行機など、公共の場所や乗物における迷惑行為は、迷惑防止条例で取り締まられる場合があります。
たとえば、東京都では、正当な理由なくつきまとったり、待ち伏せをしたり、監視を匂わせることを告げる行為などを禁止しています。
違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
愛知県でも、東京と条件は異なるものの、正当な理由なく進路をふさいだり、つきまとったりするような行為を禁止しています。
もし、しつこくナンパしたために、迷惑防止条例違反になり有罪が確定すれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
4.脅迫罪・強要罪|相手に危害を加えるそぶりをみせるなどした場合
ナンパの最中に相手の生命や身体を侵害するようなそぶりを見せると、脅迫罪や強要罪に問われる可能性があります。
殴ったり蹴ったりすれば暴行となり、暴行を加えるそぶりを見せると、脅迫に該当します。
また脅迫によって相手が行為を強要された場合は、強要罪に問われます。
脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
強要罪の法定刑は、3年以下の懲役です。
冗談のつもりであっても、脅迫や強要とみなされかねない言動は避けるべきです。
5. 不同意性交等罪|合意なく性的な行為をした場合
2023年7月施行の刑法改正によって、それ以前の強制性交等罪と準強制性交等罪が統合されるとともに、不同意性交等罪へ変更されました。
不同意性交等罪は、暴行・脅迫によるものだけでなく、飲酒・薬物の摂取・睡眠中などで意識がはっきりしない状態での性的な行為も対象です。
また、怖がらせたり、社会的地位などの影響力を誇示したりすることによって、相手が拒否できない状態での性的行為も罰せられます。
自分は合意のうえだと考えていても、相手があとから、酔っていたあるいは恐怖で拒否できなかったなど、不同意であったと主張するリスクもあります。
とくにナンパから性交に至るケースでは、それまでの関係性がないため、合意のうえであったことを弁明するのは容易ではありません。
刑法改正によって時効が15年に延長されたため、そのあいだは相手から告訴される可能性があります。
ナンパをしてすぐの性行為は慎重に考えるべきでしょう。
未成年をナンパした場合は青少年健全育成条例違反
ナンパした相手が未成年であった場合は、より大きな罪に問われるリスクがあるので、さらなる注意が必要です。
青少年育成保護条例で保護の対象となる「青少年」とは基本的に18歳未満の者です。
そのため、ナンパした相手が18歳以上かつ真意の同意がとれているのであれば、食事や交際をすることに大きな問題はありません。
しかし、相手が18歳未満だった場合、たとえ合意があっても淫行や深夜徘徊を促したとして罪に問われるリスクがあります。
16歳未満なら、さらに重く罰せられます。
淫行|ナンパした未成年をホテルに連れ込んだ場合
ナンパした未成年をホテルに連れ込むなど、18歳未満の少年や児童に対して性的な行為をおこなえば、淫行とみなされる可能性が高いでしょう。
青少年とのみだらな淫行は、各都道府県が定める青少年健全育成条例違反です。
たとえば、東京都の青少年の健全な育成に関する条例では、青少年にする淫行における処罰は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。
相手が学生であるかどうかは関係ありません。
18歳未満であれば、すでに社会人として働いている相手であっても、行為に及んだ場合は処罰の対象となります。
相手が未成年であっても、真剣交際している場合の性行為は処罰対象ではありません。
しかし、ナンパで出会い、当日に性行為をした場合では、真剣交際と判断されづらくなるしょう。
もしも相手側が年齢を偽っていたとしても、淫行した成人側は責任に問われる可能性があります。
相手が未成年である可能性を少しでも感じるなら、合意があったとしてもホテルなどに連れ込むことは避けるべきです。
深夜徘徊|未成年を深夜に連れ回した場合
性的な行為がなくても、未成年の相手と深夜に一緒にいるのは避けるのが賢明でしょう。
未成年が深夜に出歩く行為は、深夜徘徊として補導される対象です。
深夜とは、23時00分から4時00分のことを指します。
夜にナンパをして、23時00分を過ぎても一緒にいる場合は、深夜徘徊をさせている連れまわし行為として条例違反となる危険性があります。
たとえば東京都では、違反した場合、30万円以下の罰金が科せられます。
性行為などを求める場合でなくとも、相手の年齢には注意しましょう。
16歳未満の子どもと性交に及ぶと不同意性交等罪に問われる可能性もある
16歳未満との性交は、前述の不同意性交等罪に該当します。
17歳以上に対する不同意性交等罪の要件とは違い、意識がはっきりしていない状態や拒絶する隙を与えないなどの要件は必要ありません。
また、同意の有無にかかわらず処罰されます。
13歳以上16歳未満の場合は、5歳以上の年齢差があれば処罰対象です。
13歳未満の場合は、年齢差に関わらず処罰対象となります。
ナンパで通報された場合の対処法
ナンパをしてしまったことにより通報され、警察からの取り調べ要請があった場合、どうすればよいのでしょうか。
なるべく罪に問われないためにできることを紹介します。
1.警察の取り調べには素直に応じる
ナンパをしたことで通報され、警察から事情を聴かれたら、素直に応じるようにしましょう。
ナンパを警察に目撃され、職務質問された場合も同様です。
証拠があるにも関わらず否認したり、逃げ出そうとしたりすると、逮捕されてしまう恐れがあります。
逮捕されれば、警察署内の留置場で寝泊りをしなければなりません。
また最大72時間、取調室においてひとりで警察からの質問に答えなければならないのです。
2.供述調書の内容に納得できなければ署名・捺印はしない
逮捕され、警察官や検察官から取り調べを受けることになってしまったら、そこで話した内容は供述調書に書き留められます。
供述調書は、刑事裁判において証拠として扱われる重要書類となるため、曖昧なことや事実でないことを話してしまうと、不利な状況に追い込まれてしまう危険性があります。
取り調べのあとは、供述調書に署名と押印をしなければなりません。
そのとき間違いに気づいたら、必ず訂正を求めましょう。
サインをしてしまったあとで内容が間違っていると主張しても、基本的に書き換えてもらえないからです。
もしも、捜査機関が訂正に応じてくれないときは、署名や押印をしないでください。
どうすればよいかわからない場合は、警察官や検察官に対して、弁護士に相談したいと申し出ましょう。
3.トラブルになりそうな場合は早めに弁護士に相談する
逮捕されてしまえば、自分で弁護士を探すことは非常にむずかしくなります。
そのため、警察が来るまえに、被害者から苦情を受けている段階で弁護士にすぐに相談をするのがおすすめです。
また、当人同士で口論になるような対応は不利になる可能性があるため、避けるべきです。
警察がすぐに来てしまい、しつこいナンパ行為であったと判断されてしまった場合、取り調べに応じるまでに時間があれば、迅速に弁護士に相談してください。
そのような時間もないときは取調室で弁護士を探すことはできませんが、諦める必要はありません。
在宅事件となり自宅に戻れる場合、そのあいだに自分に合う弁護士を探せるからです。
弁護士に相談すれば、相手との示談交渉などをサポートしてもらえるため、周囲に知られる前に早期解決できるかもしれません。
また、勾留や起訴を避けられる可能性も高くなります。
さいごに
以上のように、ナンパは、さまざまな犯罪になりえる行為です。
もしもナンパによって通報されたり、警察から事情聴取に応じるよう連絡がきたりして、逮捕されるかもしれないと不安なら、迷わず弁護士を頼りましょう。
弁護士に相談することを、ためらう必要はありません。
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不利な状況に陥る前に、なるべく早めに相談しましょう。
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