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警察と検察の違いを3つ紹介|組織、役割・職務、取調べについて比較してみよう

原綜合法律事務所
原 隆(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
監修記事
警察と検察の違いを3つ紹介|組織、役割・職務、取調べについて比較してみよう

ニュースやドラマでよく聞く「検察」について、警察との違いを知りたいけれどよくわからないという方は少なくありません

警察と検察の違いを理解すると、刑事事件の手続きについても理解できます。

本記事では、逮捕前後の流れを含め、組織・役割・取り調べなどにおける、警察と検察の違いについて解説します

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警察と検察の主な違い|特徴を一覧で比較

まずは、警察と検察の主な違いについて、表で比較してみましょう。

 

警察

検察

組織・管轄

国家公安委員会の特別機関。

国の警察組織と都道府県の警察組織から成る

法務省の特別機関。

最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁から成る

トップの役職名

警察庁長官(国の警察)、警視総監(東京都警視庁)

検事総長(最高検察庁)

公務員としての種類

地方公務員

国家公務員

刑事事件における役割

容疑者の逮捕・証拠収集・取り調べ・第一次捜査

第二次捜査・起訴か不起訴の判断・公判請求・刑事裁判

取調べのやり方や内容

取調室で警察官がおこない、供述調書を作成。

取り調べ時間は1日8時間以内

検察庁内の検察官の執務室で独自に取り調べを実施。

供述調書を作成し、起訴・不起訴を判断

それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。

警察と検察の違い1.組織・管轄

警察と検察の違いとして、まずあげられるのが、組織編成や管轄の違いです。

ここでは、警察と検察の組織編制・管轄の違いについて、見ていきましょう。

警察(警察庁)|国家公安委員会の特別の機関に位置付けられている

警察は、そもそも公安委員会制度によって管理されている組織です。

公安委員会には、国家公安委員会と都道府県公安委員会の2つがあり、それぞれで管轄や組織体制が異なります

以下では、国家公安委員会における国の警察組織と、都道府県公安委員会における都道府県の警察組織の違いを見ていきましょう。

国の警察組織

国の警察組織は、内閣総理大臣が管轄する国家公安委員会の管理のもと、警察庁として運営されています

国家公安委員会の委員は5人で、委員長は国務大臣です。

警察庁は、3つの附属機関である長官官房、5つの局、3部の内部部局から成ります。

警察庁のリーダーは警察庁長官です。

また、地方機関として、6つの管区警察局、1つの警察支局、2つの警察情報通信部が置かれています

警察庁は国の機関であり、都道府県警察を指揮監督する組織ですが、具体的には次のような役割を担っています。

  • 警察制度の企画立案
  • 警察活動の基礎となる教育訓練
  • 国の公安に関わる事案での警察の運営
  • 広域組織犯罪に対する警察の態勢づくり
  • 犯罪における鑑識業務
  • 犯罪統計などをまとめる事務
  • そのほか警察行政についての調整全般

都道府県の警察組織

都道府県には、都道府県公安委員会が置かれており、都道府県警察を管理しています。

都道府県警察を構成するのは、警察本部・警察署・交番・駐在所です。

東京都についてのみ、警察本部ではなく警視庁が設置されており、警視総監が警視庁を監督しています。

道府県警察本部では、道府県警察本部長が統括者です。

平成25年4月1日に警察庁から公開された統計資料によると、47の都道府県警察にある警察署の数は1,173つです。

検察(検察庁)|法務省の特別の機関に位置付けられている

検察庁は法務省の特別機関で、検察官たちをまとめる組織です。

また、検察庁では国家社会の治安維持に努めることを目的に検察官・検察事務官などが業務をおこなっています。

具体的には、刑事事件の捜査、取り調べ、起訴・不起訴の処分などの役目を担っています

検察庁の種類は、最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁の4種類です。

それぞれ役割が異なります。

最高検察庁は最高裁判所に対応する検察庁で、全国で東京都に1庁しかありません。

高等裁判所における刑事事件の裁判で上告された事件などを取り扱っています

高等検察庁は高等裁判所に対応する庁で、東京都千代田区・大阪市・名古屋市・広島市・福岡市・仙台市・札幌市・高松市の8ヵ所に設けられています。また、必要に応じて6庁の支部が活用されることもあります。

地方検察庁は50庁で、各都道府県庁所在地と北海道の函館市・旭川市・釧路市にあります。

地方検察庁で取り扱う事件は、地方裁判所・家庭裁判所が管轄する刑事事件などがメインです。

必要に応じて203庁の支部が活用されることもあります。

区検察庁は全国に438庁あり、簡易裁判所に対応して軽微な刑事事件を取り扱っています。

警察と検察の違い2.刑事事件における役割

警察と検察には、刑事事件における役割の違いがあります。

それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。

警察|主に容疑者の逮捕、証拠収集、取り調べをする

刑事事件において警察官がおこなうのは第一次的捜査です。

警察は捜査をしたあと、事件を検察へ送致しなければなりません。

そのため、容疑者の逮捕・証拠収集・取り調べなどを入念におこないます。

具体的には、暴力事件や痴漢事件が発生した際、事件現場にかけつけるのは警察官であり、検察官が登場することは基本的にありません

警察官は、暴力や痴漢行為をおこなった被疑者や被害者から事情聴取をし、事件現場の写真を撮ったり、供述調書を作成したりします。

それらの捜査が終われば、供述調書や証拠などを検察庁に送るのです。

なお、原則として警察は被疑者を逮捕したら48時間以内に事件記録を検察官に送致しなければなりません

被疑者自身は送致されずに釈放されることもあります。

検察|主に公判請求をしたり、刑事裁判を担当したりする

検察庁では、警察から送致された事件を扱います

自らの二次的な捜査と、警察に対するさらなる捜査の指示をおこなうのが検察の役割です。

検察官は、自ら被疑者・被害者・参考人を取り調べたり、警察を指揮して証拠に関する補充捜査をさせたりしながら、調書や証拠の内容を十分に検討することによって、検察官は被疑者の処分を決めます。

主に、裁判所に公訴を提起するかしないか、つまり起訴とするか不起訴とするかを決定します

また、起訴する場合は略式起訴をするか正式起訴をするかについても決定します。

被疑者を起訴するかどうかを決める権限は検察独自のものであり、警察が判断することはできません。

起訴か不起訴かが決まるのは、警察に逮捕されてから最長で23日以内、送致からは最長で21日以内です。

検察官は事件を起訴すると、刑事裁判の一方当事者として裁判で立証をおこなうことになります。

被告人に対して処罰を求めるという責任があるのです。

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警察と検察の違い3.取調べのやり方・内容

警察官も検察官も、いずれも自ら捜査する権限を持っています

しかし、取り調べの方法や内容には違いがあります

それぞれの取り調べについて、やり方や役割を確認しましょう。

警察|捜査の裏付けをすることを目的におこなう

警察官による取り調べは、捜査の裏付けを目的におこわれ、事情聴取された内容は供述調書という書面にまとめられて検察に送られます

また、警察における取り調べは取調室で、警察官1〜2人が被疑者に話を聞く形でおこなわれます。

基本的には弁護士が一緒に取調室に入ることはできません。

そのため、万が一逮捕されてしまったら、取り調べに応じる前に弁護士との接見を希望し、事前に取り調べに応じるコツをしっかりと聞いておくことが大切です。

取り調べ時間は、事件の内容やタイミングによって異なりますが、警察による取り調べは1日8時間以内、で5時00分から22時00分までの間におこなうという制限があります。

30分程度で終わることもあれば、長時間におよぶ場合もあるでしょう。

長時間になる際は、2時間〜3時間に1回程度、休憩が入ります。

なお、警察官による取り調べ時間のほうが、検察官によるものよりも長く、供述調書の分量も多くなる傾向にあるとされています

検察|起訴するかどうかを判断するためにおこなう

検察は、警察がおこなった取り調べ内容の確認に加えて、独自で取り調べをおこないます

主に、事件を裁判にかけて有罪判決を得られるかどうかについて、法律的な観点から捜査をします。

その結果によって、検察は被疑者を起訴するかどうかを判断するのです

検察の取り調べは、検察庁内の検察官の執務室でおこなわれるのが一般的です。

通常、事情聴取のたびに供述調書を作成します。

警察官が作成した調書であっても、検察官が作成した調書であっても、被告人の供述内容であれば同等に証拠として裁判で扱われます。

一方、被害者や参考人の供述内容を記した供述調書については、原則として弁護人が同意しなければ、証拠として法廷に提出することはできません

しかし、実務上、検察官調書は被害者や参考人のものであっても法廷で証拠として扱われるケースが多く、検察の調書はより重要度が高いといえます。

警察と検察の違いに関連するよくある質問

ここからは、警察と検察の違いに関してよくある質問に答えます。

Q.警察と検察に力関係・上下関係はあるのか?

検察と警察は、それぞれ独立しておりどちらが上か下かという関係はありません

しかし、起訴権限は検察官のみが持っていて、被疑者を裁判にかけるかどうかを判断するのは検察官の役割です。

そのため、検察官は刑事裁判の当事者にとなりますが、警察が刑事裁判の当事者になることはありません。

被疑者の人生を左右する権限の広さとしては、検察官のほうが広く持っているといえます

また、検察官になるためには司法試験に合格しなければなりません。

司法試験は日本の国家試験のなかでももっとも難しい試験のひとつです。

一方で、警察は行政機関のひとつであり、司法試験のような難関試験に合格する必要はありません。

学歴的な理由によって、警察よりも検察のほうが偉いと考える方もいるでしょう。

警察と検察は協力関係にありますが、ときに対立することもあります。

どちらも犯罪捜査に関する権限を持っているため、両者の捜査結果が異なるケースがあるからです。

ただし、互いが独立していることによって不正行為などを牽制することができ、協力して事件を解決していく関係であることに違いありません

Q.警察庁と警視庁にはどのような違いがあるのか?

警察庁は、日本全国の警察を管理・運営している組織です。

一方で、警視庁は東京都の警察署を束ねている東京警察本部です。

各都道府県にはそれぞれ警察本部があり、大阪府警察本部・神奈川県警察本部など、都道府県の名称がついています。

しかし、東京都のみ東京都警察本部ではなく警視庁と呼ばれているのです。

そのため、警視庁は各都道府県の警察本部と同列であり、警察庁が管理する警察本部のひとつでもあります

Q.国家公安委員会(公安)はどのような位置付けの組織なのか?

国家公安委員会は、内閣府に置かれている外局であり、行政委員会です。

国務大臣が委員長を務め、5名の委員を加えた計6名で構成されています

国家公安委員会は、以下のような職務を担っています。

  • 国全体の安全に関係する業務
  • 国の判断と責任によって遂行すべき業務
  • 国が統一しておこなうのが能率的な業務
  • 広域にわたり、国で調整すべき事件の取り扱い
  • 警察官の教育制度の作成
  • 警察の通信や統計の管理
  • 警察制度の予算決め

さいごに|警察・検察という捜査機関の違いについて正しく理解しよう

警察と検察の違いについて正しく理解することは、万が一法的なトラブルに巻き込まれたときにも役立ちます

どちらの機関も犯罪捜査や法の執行において大きな役割を果たしていますが、その役割や権限の違いを知っておくことで、より適切な対応ができるはずです

また、もしも刑事事件で加害者になってしまった場合には、自分だけで解決しようとせず、必ず弁護士に相談しましょう。

刑事事件はとくに迅速な対応が重要です。

刑事事件の加害弁護を得意とし、実績豊富な弁護士であれば、最善の結果を導くために力を尽くしてくれます

弁護士を探しやすいポータルサイト「ベンナビ刑事事件」を活用し、自分に合った弁護士を見つけてください。

なお、逮捕など拘束されてしまえば自分で弁護士を探すことはできません。

知っている弁護士がいなければ、当番弁護の弁護士を呼んで欲しいと警察に申し出ましょう。

面会できるようになれば、家族や友人に私選弁護士を探してもらうことができます。

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この記事の監修者
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原 隆(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修) (福岡県弁護士会)
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本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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