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処分保留とは?処分保留になる経緯とその後の傾向を解説

東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
監修記事
処分保留とは?処分保留になる経緯とその後の傾向を解説

処分保留とは、刑事事件で検察官が勾留期限内に起訴・不起訴を判断せず、一旦被疑者の身柄を解放することを指します。

ニュースなどで「処分保留で釈放」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。

砕けた言い方をすると「時間内に白か黒かはっきりしなかったから、とりあえず身柄を解放する」というのが処分保留になります。

本記事では、処分保留の定義や不起訴との違い、処分保留による釈放後の流れと取るべき対応などを解説します。

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処分保留とは

まずは、処分保留の定義や不起訴との違いなどを解説します。

処分保留の定義

冒頭でも触れたとおり、処分保留とは「検察官が勾留期限内に起訴・不起訴を判断せず、一旦被疑者の身柄を解放すること」を指します。

起訴とは「被疑者を刑事裁判にかけて処罰を求めること」、不起訴とは「被疑者を刑事裁判にかけずに事件を終結させる決定を下すこと」を指します。

基本的な刑事手続きの流れとして、まずは警察官による逮捕・取り調べがおこなわれたのち検察官に送致され、勾留決定後は検察官が捜査を続けて起訴するか不起訴とするかを判断します。

通常は勾留期限内に判断されますが、何らかの理由で判断できない場合は処分保留となります。

処分保留となった場合、被疑者の身柄は一旦解放されて捜査が継続します。

処分保留と不起訴の違い

処分保留は「不起訴」と混同されることもよくあります。

処分保留と不起訴処分の主な違いをまとめると以下のとおりです。

項目 処分保留 不起訴処分
意味 検察官が被疑者を起訴するかしないかの判断を一旦保留すること 検察官が被疑者を「起訴しない」と決定すること
被疑者の身柄 身柄は解放される 身柄は解放される
捜査の状態 捜査は継続している 原則として捜査は終了となる
刑罰や前科の状態 未確定 刑罰や前科は付かない

処分保留も不起訴処分も「身柄が解放される」という点は共通しています。

ただし、あくまでも処分保留の場合は「起訴・不起訴の決定を待っている状態」であるため、その後の捜査で起訴されて刑事裁判が開かれ、有罪となって前科が付く可能性があります。

一方、不起訴処分の場合は、刑事裁判は開かれずに捜査終了となるため、刑罰や前科が付くことはありません。

なお、不起訴処分にはいくつか種類があり、代表的なものとしては以下の3つがあります。

  • 嫌疑なし:「犯人ではないことが明白」「犯罪を証明する証拠がないのが明らか」という場合に出される不起訴処分
  • 嫌疑不十分:「完全には疑いが晴れていないものの、決定的な証拠がない」という場合に出される不起訴処分
  • 起訴猶予:「起訴すれば有罪になる見込みがあるものの、検察官の裁量で起訴を見送る」という場合に出される不起訴処分

処分保留になる理由・タイミング

処分保留になる理由・タイミング

刑事事件で処分保留となる主な理由は、以下の2つです。

  • 被疑者の勾留期限内に十分な証拠が集まらなかったから
  • 被疑者の余罪も捜査しており、起訴を検討しているから

なお、刑事手続きの流れは上図のとおりで、逮捕後の手続きにはタイムリミットがあります。

被疑者の勾留決定後、検察官は被疑者を原則10日間勾留している間に起訴・不起訴を判断し、検察側が「10日間では足りない」と判断した場合はさらに10日間の勾留延長が認められることもあります。

逮捕後から数えると、刑事事件の被疑者は最大23日間の身柄拘束を受けることになります。

処分保留のタイミングとしては、勾留後18日目~20日目付近のケースが多いようです。

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処分保留で釈放されたその後の流れ

処分保留で釈放されたあとの流れとしては、主に以下の3パターンがあります。

  • 不起訴処分となって事件終了する
  • 起訴されて裁判が開かれる
  • 再逮捕されて刑事手続きが継続する

ここでは、それぞれの流れについて解説します。

1.不起訴処分となって事件終了する

多くの場合、処分保留で釈放されたあとは不起訴処分となって事件が終了します。

「勾留期間内に捜査を尽くしたものの、起訴を決定するほどの証拠が集まっていない」というような状態では、身柄解放後に捜査を続けても決定的な証拠の確保は難しいためです。

余罪の捜査が進行しているようなケースでないかぎり、基本的には不起訴処分となって刑罰も前科も付かずに日常生活に復帰することができます。

なお、検察官が不起訴処分を下しても被疑者に連絡する義務はないため、場合によっては自分から検察官に確認しないと不起訴処分になったのかどうかわからないこともあります。

もし釈放後2ヵ月~3ヵ月ほど経っても連絡が来ない場合は、事件を担当している検察庁に電話して担当検察官につないでもらい、処分状況を確認しましょう。

自分で連絡せずに、弁護士に代わりに確認してもらうことも可能です。

2.起訴されて刑事裁判が開かれる

処分保留で釈放されても捜査は継続しているため、なかには新たな証拠が見つかったりして起訴されることもあります。

起訴された場合は裁判が開かれて、有罪無罪や量刑が判断されます。

「日本の刑事裁判の有罪率は約99.9%」と言われており、起訴されると高い確率で有罪判決が下されて前科が付くことになります。

刑事裁判の基本的な流れは以下のとおりで、詳しくは関連記事をご覧ください。

  • 冒頭手続き:氏名などの確認や起訴状の朗読などがおこなわれる
  • 証拠調べ手続き:証拠提出や主張がおこなわれる
  • 弁論手続き:検察官による求刑・弁護人による弁論・被告人による最終陳述がおこなわれる
  • 判決:裁判官によって有罪無罪や量刑が言い渡される
  • 判決の確定・刑の執行:控訴・上告などがなければ、判決が確定して刑が執行される

3.再逮捕されて刑事手続きが継続する

余罪の捜査が進行している場合、処分保留による釈放後に再逮捕されることがあります。

刑事手続きには「一罪一逮捕一勾留の原則」があるため、同一の犯罪事実に関する逮捕や勾留は原則1回しかおこなわれませんが、別の犯罪事実での再逮捕はあり得ます。

再逮捕された場合は、1回目の逮捕と同様の流れで刑事手続きが進行します。

処分保留で釈放された場合の対処法

処分保留による釈放後にやるべきことは、被疑者が罪を認めている「自白事件」の場合と、罪を認めてない「否認事件」の場合で異なります。

ここでは、それぞれのケースでの対処法について解説します。

罪を認めている自白事件の場合

自白事件で処分保留となった場合は、弁護士に連絡しましょう。

弁護士に相談すれば、起訴される可能性はあるか・起訴された場合はどのような刑罰が科されるか・起訴回避のために何をするべきか、などのアドバイスが望めます。

注意点として、逮捕後に国選弁護人に依頼していた場合は、釈放後に業務終了となります。

釈放後は新たに私選弁護人に依頼する必要がありますが、弁護士を探す際はベンナビ刑事事件がおすすめです。

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罪を認めていない否認事件の場合

なかには「身に覚えのない罪で誤認逮捕され、容疑を一切認めないまま勾留期間を過ぎて処分保留で釈放される」というようなケースもあります。

上記のような否認事件の場合、引き続き無実であることを主張することが大切です。

釈放後も捜査機関から取り調べなどで呼び出しを受けることもありますが、素直に応じて無実の主張を続けることで、起訴されずに済む可能性があります。

なお、最終的に嫌疑がないことを理由に不起訴処分を獲得できた場合は、被疑者補償規程による補償として「拘束1日あたり1,000円~1万2,500円」を受け取れる可能性があります。

また、他者からの虚偽告訴によって逮捕に至った場合は、虚偽告訴した相手に対して損害賠償請求をおこなうという選択肢もあります。

いずれにしても、自白事件と同様に弁護士と相談しながら今後の対応を考えましょう。

処分保留に関するよくある質問

ここでは、処分保留に関するよくある質問について解説します。

処分保留後の起訴率は?

法務省が公表した「令和6年版 犯罪白書」によると、2023年に検察官送致された刑事事件のうち実際に起訴されたのは23万8,145人で、起訴率は約32%となっています。

ただし、処分保留ではなく勾留期間内に起訴・不起訴となったケースも含まれているため、処分保留後の正確な起訴率は不明です。

処分保留の場合、不起訴処分となって事件終了となるケースが多いものの、なかには新たな証拠が見つかったり余罪の捜査が進行したりして起訴されることもあります。

処分保留となるのはいつまで?どのタイミングで判断される?

被疑者の勾留期間は原則10日間・最大20日間で、勾留期間満了までに検察官が起訴・不起訴を判断できない場合には処分保留となります。

処分保留となるタイミングとしては、勾留後18日目~20日目付近のケースが多いようです。

処分保留から不起訴になるまでの期間は?連絡はある?

処分保留から不起訴になるまでの一般的な期間は「数週間~数ヵ月程度」です。

ただし、ケースによっても異なり、なかには6ヵ月以上かかったりすることもあります。

なお、検察官が不起訴処分を下しても被疑者に連絡する義務はないため、自分から検察官に確認しないと不起訴処分になったのかどうかわからないこともあります。

もし釈放後2ヵ月~3ヵ月ほど経っても連絡が来ない場合は、自分で検察庁に連絡するか、弁護士に代わりに確認してもらいましょう。

まとめ

処分保留は「被疑者の勾留期限内に十分な証拠が集まらない場合」や「余罪を捜査していて起訴を検討している場合」などにおこなわれます。

処分保留後は不起訴処分となって事件終了となるケースが多いものの、なかには再逮捕・起訴されて刑事裁判にかけられることもあります。

今後の刑事処分が不安な場合は、まずは弁護士に相談しましょう。

弁護士なら、処分の見通しや今後取るべき対応をアドバイスしてくれますし、被害者との示談交渉や減刑獲得に向けた刑事裁判での主張立証などのサポートも依頼できます。

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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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