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誤認逮捕の実例と無実にも関わらず逮捕された場合の正しい対処法
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誤認逮捕の実例と無実にも関わらず逮捕された場合の正しい対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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誤認逮捕とは、警察などの捜査機関が無実の人物を逮捕してしまうことです。正式な発表は無かったものの、久保博司氏の著書「誤認逮捕」によると、2010年に起きた誤認逮捕の件数は343件とあります。

 

現在、年間約40万件もの検挙数がある中で、343件という数字が多いと思うのかこんなものかと感じられるかは、人それぞれでしょうが、事実として、年間300人以上の方が誤認逮捕で身柄を拘束されているのです。

 

何もされていないにも関わらず逮捕されてしまった側からすれば、たまったものではありません。「何もしていないのだから有罪になるはずがない」そう考えたくもなりますが、結論から申し上げると無実でも逮捕されたり、有罪判決が出たりする可能性は完全には否定できません。

 

例えば、痴漢冤罪で逮捕され映画にもなった『東京・三鷹バス痴漢冤罪事件』は無実の罪で逮捕された有名な例です。警察、検察、裁判所も故意に冤罪を作り出そうという気は一切ありません(むしろ、警察、検察、裁判所は冤罪を生じさせないよう、不断の努力を行っているはずです。)。

 

しかし、いずれも実際に処理するのは人間ですから、100%正確で問題がない対処をすることができない可能性も全くないわけではないということは、留意しておいたほうが良いかもしれません。

 

自分の身は自分で守らなければなりません。では一体、誤認逮捕された場合はどうするのが正解なのでしょうか?今回は、誤認逮捕の現状と対処法を解説していきます。万が一誤認逮捕されてしまった際の、参考となれば幸いです。

 

身内が誤認逮捕された!すぐにご相談を!

 

誤認逮捕で実際に長期間の身柄拘束を受けるケースがあります。

 

誤認逮捕では次のリスクが考えられます。

 

  1. 長期間、身柄拘束される恐れ
  2. 仕事や学校に影響が出る恐れ
  3. 起訴される可能性がある

 

精神的な疲弊でやってもいない罪を自白してしまう恐れもあります。

 

通話料は無料です。ただちに弁護士にご相談ください。弁護士はあなたの味方です。

 

誤認逮捕と冤罪の違い

誤認逮捕とセットで思い浮かんだ方も多いであろう、「冤罪」という言葉。誤認逮捕と冤罪の違いから解説していきましょう。

 

誤認逮捕

誤認逮捕という法律上の言葉はありません。しかし、一般的には「被疑事実を行っていない人間を、被疑事実を行った者として逮捕すること」を意味すると考えられているのではないでしょうか。

 

端的に言えば、犯罪行為に加担していないのに、これを加担したとして逮捕された場合が誤認逮捕ということになります。

 

冤罪

冤罪も、これは法律上の言葉ではなく、一般用語です。こちらは一般的には「被告事件の行為者ではないのに、行為者として断罪されること」を意味するように思われます。端的に言えば「裁判所で無実の罪に問われる」ということです。

 

したがいまして、誤認逮捕はやっていない被疑事実で「逮捕」されることを指し、冤罪はやっていない被告事件で有罪と認定されることを意味すると考えてください。

 

誤認逮捕の違法性

誤認逮捕された側からすれば怒りの行き場がない話ですが、誤認逮捕が直ちに違法となるかどうかとは別問題です。

 

誤認逮捕の違法性は、これが国家賠償法上の賠償責任が生じるかどうかという観点から議論されることが多いと思われますが、国家賠償法上、賠償責任が生じるのは、公権力(国家権力)の行使にあたって故意又は過失による権利侵害行為があったかどうか、これが公権力の裁量の範囲を超えるかどうかという判断基準をクリアする必要があります。

 

そのため、誤認逮捕であったとしても、警察・検察において故意・過失の有無や裁量違反がない限りは違法ということはないのです。

 

したがって、誤認逮捕が違法となるのは、被疑者が被疑行為を行っていないことが客観的に明らか又は容易に明らかとなるにもかかわらず漫然とこれを逮捕し、必要な捜査を尽くすことなく身体拘束を継続した場合のような特別な場合に限られるように思われます。

 

なお、誤認逮捕され、検察に起訴された後、裁判所で無罪判決を受けてこれが確定した場合、誤認逮捕行為の違法性の有無に拘らず、身体拘束期間に応じた補償を請求する権利が法律上認められていることは留意しておいてください。

 

詳しくは、『誤認逮捕が認められた後の対処法』にて後述します。

 

 

過去の誤認逮捕の実例

過去の誤認逮捕の実例を見てみましょう。

 

四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件

2004年、三重県四日市市で発生した、誤認逮捕と誤認逮捕によって男性が死亡した事件です。事件の経緯として、四日市市内にある大型ショッピングモール内のATMで女が「泥棒」と叫びました。
 

声を聞きつけ、近くにいた店員と買い物客が男性を取り押さえます。その後、近くに居合わせた警察官が男性を拘束。警察の拘束後、男性は高度のストレスが原因の心不全により死亡しました。
 

その後の捜査で、ATM内の監視カメラには男性が窃盗を行った様子は一切写っておらず、また、「泥棒」と叫んだ女と男性が奪い合っていた財布は男性のものと判明し、女が虚偽の申告をしていたことが分かっています。
 

その後、女は逃走しており見つかっていません。

 

なお、男性遺族は三重県に対し民事訴訟を起こし、結果として、取り押さえた警察官の行為が行き過ぎたとして、三重県に対し3,640万円の支払いを命じました。もっとも、これは誤認逮捕の違法性が判断されたものではなく、逮捕時の公権力行使の違法性が問題とされた事案といえるでしょう。

 

パソコン遠隔操作事件

2012年、犯人が他人のパソコンを遠隔操作し、襲撃や殺人の予告を行ったサイバー犯罪です。結果として4人の誤認逮捕者を出してしまった事件です。確かに犯人の手口も巧妙で悪質なものでしたが、何よりも問題となった点は、捜査機関による自白の強要です。
 
実際4人のうち1人は裁判まで終了し、罪まで認めてしまった完全な冤罪事件です。その他3人も「捜査で自白の強要がされた」「供述内容がでっち上げられた」という問題が浮き彫りになりました。

 

「逃走したので逮捕した」で誤認逮捕

2012年に振込詐欺の疑いで、20代の男性が緊急逮捕されました。経緯として、振り込め詐欺被害にあった女性宅の近くで真犯人Aを現行犯逮捕。更に、現場近くにいて、Aと話していた男性も緊急逮捕。
 
逮捕の理由は「逃走したから」。しかし、逮捕した警察官は当時、私服で警棒だけを持って追いかけています。私服の男に警棒を持って追いかけられたら、逃げ出してしまいますよね。

 
更に、男性はAに道を聞かれていただけで、何の面識もありませんでした。男性の拘束時間も5時間と大きな問題には発生しませんでしたが、「逮捕の理由が安易すぎる」という声もあります。

 

 

誤認逮捕が起きてしまう原因

上記の例から、以下のような誤認逮捕が起きてしまう原因と問題点が考えられます。

 

現行犯逮捕・緊急逮捕の簡易性

誤認逮捕で特に多いものが、現行犯逮捕によるものです。現行犯逮捕は、一般人も可能で、本来必要となる逮捕状も事前に準備をする必要が無いので、誤認逮捕の一因となっています。実際に、四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件では、店員と客が現行犯逮捕で男性を取り押さえています。

 

確かに、現行犯逮捕という制度がなければ、目の前で逃げている犯罪者をみすみす逃してしまうことにもなります。とはいえ、上記の例の「逃げたから逮捕した」という理由もいかがなものでしょうか。

 

更には、冤罪事件が問題となっている痴漢事件も現行犯逮捕によるものが多いのが実情のようです。

 

新手の犯行手口に警察が追いつかない

上記のパソコン遠隔操作事件は、新手の犯罪方法です。捜査機関が犯罪者の手口にまんまと引っかかってしまったわけですが、今後も新手の犯罪が生まれ、それによって誤認逮捕が生じる可能性はあります。

 

虚偽申告

四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件でもあったように、被害者を偽った人物からの虚偽の申告が誤認逮捕の原因となることがあります。しかし、嘘の被害を警察に申告することは犯罪ですし、民事での損害賠償責任を負うことにもなります。
 
詳しくは「虚偽申告罪とは|痴漢をはじめとする冤罪の防御策」をご覧ください。

 

自白の強要問題

これまで、逮捕した人物を確実に起訴に持っていくように、自白を強要することが問題視されてきました。特に取調べに関しては、このような違法な取り調べを無くすために、平成28年5月24日、改正刑事訴訟法が成立し、取調べの全過程を録音・録画する規定が追加されました。
 
しかし、取調べの全過程の録音・録画は裁判員制度対象事件など一部の犯罪にとどまるため、捜査機関もあの手この手を使い、逮捕者の自白を取ろうとします。詳しくは「取調べの実態と有効に進めていくための3つの方法」をご覧ください。

 

 

もしも誤認逮捕されてしまったら

このように誤認逮捕は、自分に全く身に覚えがなくても突然起きてしまいます。今は「やっていないものはやっていないのだから無罪を貫けばいい」と考えている方もいらっしゃるでしょうが、パソコン遠隔操作事件のように、警察はなんとしても自白をさせようとしてきます。

 

誤認逮捕された際の適切な対処法を知らないと、最終的に捜査機関に負けてしまったり、拘束期間が長引き、自身の生活に大きな影響が出てしまったりすることが十分に考えられます。

 

こちらでは、万が一誤認逮捕されてしまった際の対処法について解説をします。

 

必ず弁護士を呼ぶ(当番弁護士)

まず、誤認逮捕されてしまったのであれば、必ず弁護士を呼んで下さい。弁護士は敷居が高いイメージもありますが、「当番弁護士制度」であれば初回の面会を無料で呼ぶことが出来ます。

 

当番弁護士に状況を説明し、今後の取調べ等でどのような対応を取れば良いのかの方向性を決めることが出来ます。まずは、当番弁護士を呼び、誤認逮捕に対する戦略を立てましょう。詳しくは「無料で簡単に呼べる当番弁護士は困った被疑者の味方」をご覧ください。

 

勾留された場合は被疑者国選制度を利用する

長期3年以上の被疑事実に係る刑事事件は被疑者国選制度の対象事件です。被疑者は、勾留が決定した時点で弁護士を選任する事ができない場合、被疑者国選制度を利用して弁護士に依頼できます。

 

なお、対象事件でない場合は被疑者国選制度の利用はできないため、当番弁護士に私選弁護を依頼するという対応を取らざるを得ません。

 

問題が大きいようであれば私選弁護士を呼ぶ

例えば、「重い罪の容疑が疑われた」「拘束期間が長くなっている」「虚偽の申告を受けた相手がいる」などと、問題が大きいようであれば、費用はかかってしまいますが、私選弁護人に依頼をし、問題解決のサポートをしてもらうことも検討に値するといえます。

 

予算面も含め、当番弁護士に「この状況は、私選弁護士に依頼したほうが良いですか?」と聞いてみるのも良いでしょう。そのまま当番弁護士に費用を払い依頼することも可能です。

 

供述調書のサインは慎重に行う

既に何度か述べていますが、捜査機関は、逮捕者からの自白を取ろうとしてきます。そこで大事になってくるものは、取調べで話した内容が記された「供述調書」というものです。供述調書は、最終的に供述調書の内容を確認した上で、サインをし、完成するのですが、供述調書は非常に重要な証拠となります。
 
供述調書のサインは慎重に行って下さい。詳しくは「取調べで作成される供述調書の気をつけるポイントと対処法」をご覧ください。

 

 

 

誤認逮捕が認められた後の対処法

誤認逮捕をされた場合、無実にもかかわらず一定期間身柄を拘束されたり、実名報道をされて風評被害を受けたりする恐れがあります。

 

逮捕した側の勘違いのせいでこのようなリスクを負うのは許しがたいことでしょう。誤認逮捕については、被害者は次の2つの請求が一応は可能とされています。

 

国に補償金を請求する

刑事事件で身体拘束を受けた後、無罪判決を受けた者は、不当に身柄を拘束されたことに対して補償金を国に請求できます。刑事補償法4条では、補償の内容に関して次のように規定をしています。

 

抑留・拘禁:日数×1,000円~12,500円以下

死刑:3,000万円以内+本人の死亡によって生じた損失等の額

罰金・科料:支払った金額+支払った金額×年5%の金額

没収:没収品の返却、処分していた場合は時価相当の金額を補償

参考:刑事補償法4条

 

身柄を拘束されている間は働けないため、収入途絶えてしまいます。国に補償金を請求することで、その間に稼げなかったお金の補填に当てることができます。しかし、当該補償で十分かと言われると十分とはいえないと思われます。

 

国賠請求をする

誤認逮捕され、拘束期間が長引いてしまうと、職場を解雇されてしまう可能性も出てきます。更に、実名報道されてしまうと、ネット上・紙面上に名前が載り、風評被害を受けてしまうことも考えられます。


 このような被害について、公権力の行使に違法があったと主張して国家賠償請求訴訟を提起することは一応の方法としてあり得ます。しかし、国賠請求の壁は極めて高いです。一人の力では非常に難しいことが考えられますので、必ず弁護士に依頼して下さい。

 

 

まとめ

いかがでしょうか。捜査関係者も人の子ですし、虚偽申告するような悪人は根絶できないでしょう。だからと言って、泣き寝入りしてしまうことは避けるべきです。
 
また、誤認逮捕をした捜査機関に対して一人で立ち向かうことは、無謀と言えるでしょう。

 

もしも、誤認逮捕されてしまった場合は、まずは当番弁護士にお願いし、さらに問題が深いようでしたら「刑事事件を得意とする弁護士」から弁護士を探して相談してみてください。

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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