盗撮未遂は罪になる?逮捕される基準と示談で穏便に解決する方法
- 「盗撮していないのに疑われてしまった」
- 「スマホを構えただけで通報された」
- 「逮捕されたが、実際には撮っていない」
このような盗撮未遂に関する不安や混乱は、突然ふりかかります。
多くの人が「未遂なら逮捕されないのでは」と考えがちですが、実際には未遂でも犯罪とされ、逮捕・処罰の対象になります。
本記事では、盗撮未遂が法律でどう扱われるのか、逮捕後の流れ、刑罰の相場、そして早期解決のために何をすべきかについて、弁護士監修のもと詳しく解説します。
不安な気持ちを少しでも軽くし、冷静に対応するための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
盗撮未遂は処罰される?未遂でも逮捕される理由
盗撮は「未遂ならバレなければ大丈夫」と誤解されがちですが、未遂の段階でも十分に処罰対象となります。
不審な行動で現行犯逮捕される場合や、目撃証言・映像などの証拠があれば後日逮捕に至ることもあります。
ここでは、盗撮未遂がどのような場面で逮捕に結びつくのかを具体的に見ていきましょう。
未遂でも不審な行動は現行犯逮捕
盗撮は、被害者のプライバシーと尊厳を深く傷つける行為です。
たとえ撮影に至らなかったとしても、スカートの中を覗き込むような不審な動きや、カメラを構えている様子などの行為は現行犯として逮捕される可能性があります。
スマートフォンなどの撮影機器が普及したことで、盗撮を試みるケースが増加しており、社会的にもその危険性が認識されています。
これを受けて、2023年7月13日に施行された「性的姿態撮影等処罰法」では、盗撮の未遂行為も処罰の対象と明記されました。
同法第2条第2項には、「前項の罪の未遂は、罰する」と定められており、未遂であっても犯罪として扱われます。
性的姿態等撮影
第二条次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
(※第1項省略)
2前項の罪の未遂は、罰する。
引用元:性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律|e-Gov法令検索
また、刑法43条では未遂について「その刑を減軽することができる」と定められていますが、これは「無罪になる」という意味ではありません。
未遂であっても、法に基づいて明確に処罰されるという姿勢が、現在の法制度には貫かれています。
第8章未遂罪
(未遂減免)
第43条犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
(未遂罪)
第44条未遂を罰する場合は、各本条で定める。
引用元:刑法|条文-法令リード
目撃証言や映像があれば後日逮捕もある
盗撮未遂であっても、証拠があれば後日逮捕される可能性は十分にあります。
「現行犯でなければ捕まらない」というのはよくある誤解です。
実際には、盗撮目的が明確だったと判断できる証拠があれば、逮捕は可能です。
映像や証言などの客観的な記録が決定打になります。
たとえば2024年5月、山形県の温泉施設で小型カメラを岩に偽装して設置した男がいました。
利用客が不審に思い通報したことで発覚し、男はその場で逮捕されませんでしたが、カメラの映像や証言をもとに数日後に盗撮未遂の疑いで逮捕されました。
つまり、その場で取り押さえられなくても証拠があれば逃げることはできません。
防犯カメラがあちこちにある現代では、後日逮捕の可能性も0とは言えません。
盗撮未遂でも罪になる!撮影罪とほかに適用される法律
盗撮未遂で適用される法律は、ひとつではありません。
状況によって複数の法律が関係し、罪が重なる可能性もあります。
ここでは、代表的な法律とそれぞれの特徴についてわかりやすく解説します。
性的姿態等撮影罪
盗撮未遂であっても、「性的姿態等撮影罪」が適用されれば、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
第二章性的な姿態を撮影する行為等の処罰
(性的姿態等撮影)
第二条次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。
以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロイに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2前項の罪の未遂は、罰する。
3前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
この法律は、2023年7月に新設された比較的新しい規定で、盗撮行為を厳しく取り締まることを目的としています。
未遂の段階でも処罰対象として明記されているため、「実際に撮っていないからセーフ」という言い訳は通用しません。
行動だけでも「撮ろうとした意図」が明白であれば、未遂として立件されます。
「未遂」として適用される具体例は以下のとおりです。
- 電車やエスカレーターで、スマートフォンをスカートの下に向けて構えた
- 鞄や靴に仕込んだカメラの向きを、明らかに他人の身体に向けた状態で移動していた
- トイレや更衣室など、私的空間にカメラを設置・持ち込もうとした
いずれも、「実際に撮影されたかどうか」ではなく、「撮ろうとした意思と行動があったか」が判断基準となります。
未遂でも処罰されるという点で、この法律は非常に厳格です。
迷惑防止条例違反
盗撮未遂は、各都道府県が定める迷惑防止条例違反として処罰されるケースも多くあります。
条例とはいえ、懲役刑や罰金刑が科される重大な法令違反です。
たとえば東京都の場合、「公衆の場で、衣服で隠された部分を撮影または撮影しようとする行為」は、迷惑防止条例第5条ので禁止されており、これに違反した場合には第8条に基づいて、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
さらに常習性が認められた場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金とされており、決して軽い処分ではありません。
【東京都】公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
※一部省略※
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(罰則)
第八条次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一第二条の規定に違反した者
二第五条第一項又は第二項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)
多くの自治体でも、「公共の場で、他人に不安・羞恥・不快感を与える目的の行動」を禁止しており、次のような行為が検挙対象になる可能性があります。
- 女性の後ろを執拗について回り、不審な動きで周囲に警戒心を与えた
- トイレや更衣室の出入口に立ち、出入りする人を執拗に観察していた
- 不自然に低い体勢を取りながらスマートフォンを操作していた
迷惑防止条例の特徴は、性的姿態等撮影罪(撮影罪)を定めた「性的姿態撮影等処罰法」と異なり、実際に撮影されていなくても処罰される点にあります。
つまり、「シャッターを切ったかどうか」ではなく、その場の行為や被害者の感じた不安感が重視されるため、たとえ「まだ撮っていない」と主張しても、違反になるケースは十分に考えられます。
軽犯罪法違反盗撮未遂のようなまだ撮っていない段階であっても、軽犯罪法違反として処罰されるケースがあります。
軽犯罪法違反で科されるのは、「拘留(1日以上30日未満の身体拘束)」または「科料(1,000円以上1万円未満の罰金)」です。
軽犯罪法第1条には、公共の秩序や倫理を乱す行為を細かく規定しています。
とくに盗撮未遂に関係するのは、第22号「正当な理由なく、のぞき見をした者」です。
軽犯罪法
第一条
※一部抜粋※
二十三正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
引用元:軽犯罪法|e-Gov法令検索
たとえば、以下のような行動が軽犯罪法違反と判断されることがあります。
- 公共トイレや更衣室で、不審な角度でスマホを構えていた
- 鏡や反射を使って他人の下着や身体を覗き見ようとしていた
- 下からのぞくような体勢で他人のスカート内を見ようとしていた
刑の重さとしては比較的軽いものの、正式な犯罪歴がつくため、決して軽視できません。
さらに、ほかの罪と併せて立件されるケースもあり、その場合はより重い処分になる可能性もあります。
併合罪と牽連犯(けんれんはん)
盗撮と別の犯罪がひとつの目的でつながっておこなわれた場合、それぞれの罪が成立しても「牽連犯」として処理されることがあります。
これは刑法第54条で定められており、最も重い罪を基準に、1つの刑として処理されます。
第九章併合罪
(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
第五十四条一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
引用元:刑法|e-Gov法令検索
たとえば、以下のようなケースが牽連犯として扱われる可能性があります。
- 盗撮目的で更衣室に無断で立ち入った
- 電車で密着しながら盗撮を試みた
これらの行為は、前者が住居侵入罪(刑法)と盗撮未遂(迷惑防止条例または撮影罪)、後者が暴行または強制わいせつ(刑法)と盗撮未遂にあたり、いずれも一連の行動として牽連犯と判断される可能性があります。
行動が一度でも、複数の罪に該当する場合、最も重い罪に基づいて処罰されるため、思った以上に重い刑罰になる可能性がある点には注意が必要です。
盗撮未遂の刑罪の重さ
盗撮未遂は処罰対象となりますが、その後の処分は一律ではありません。
行為の悪質性や証拠の内容、被害者との示談の有無などにより、結果は大きく異なります。
ここでは、実際にどのような処分が下される可能性があるのか、パターン別に見ていきましょう。

盗撮未遂は不起訴になるケースが多い
盗撮未遂は法的に処罰の対象ですが、実際には不起訴処分となるケースも多く見られます。
特に、被害者との示談が成立している場合や、反省・謝罪の意思が明確な初犯者については、起訴を見送られる可能性が十分にあります。
捜査機関や検察は、起訴するかどうかを判断する際に、行為の悪質性、証拠の明確さ、被害者の処罰感情、本人の反省の態度などを総合的に評価します。
また、盗撮未遂は「撮影に至らなかった行動」であることから、そもそも立証が難しい場合や、客観的証拠が不十分な場合も多く、その点も不起訴処分に影響します。
たとえば、以下のようなケースでは不起訴となる可能性が高くなります。
- スマートフォンを構えただけで、実際の撮影には至らなかった
- 被害者と示談が成立し、被害届や告訴が取り下げられている
- 初犯であり、本人が深く反省し、再発防止の意思を示している
法律上は処罰の可能性があるものの、現場レベルでは「起訴しない」という判断がなされるケースが多いのが実情です。
ただし、「不起訴」イコール「無罪」ではなく、「起訴されなかっただけ」という処理に過ぎないことには注意が必要です。
罰金刑に問われる可能性が高いケース
盗撮未遂であっても、盗撮しようとした証拠が残っている場合には、罰金刑が科されることがあります。
「スマートフォンを被害者に明確に向けた」「カメラを設置しようとしていた」といった具体的な行動が確認された場合が該当します。
このようなケースでは、たとえ撮影が成立していなくても、「未遂」としての違法性が認定されやすく、検察が略式起訴を選択する可能性があります。
略式起訴とは、裁判を経ずに書類上の手続きで罰金刑を科す制度です。
初犯で、悪質性が低いと判断された場合に用いられます。
罰金刑が科される可能性があるのは以下のようなケースです。
- スマートフォンを女性のスカートに向けていたことが防犯カメラから確認された
- 鞄や靴に仕込んだカメラを使おうとしていたが、実際には撮影に至らなかった
- 示談は成立していないが、本人の反省の姿勢が一定程度見られる
ただし、罰金刑とはいえ正式な刑事処分であり、前科がつくことになります。
不起訴処分とは異なり、法的にも社会的にも「処罰された記録」が残るため、その影響は軽視できません。
懲役刑になる可能性が高いケース
盗撮未遂で起訴されると、懲役刑を言い渡される可能性があります。
未遂とはいえ、刑法上は処罰の対象であり、内容や態様によっては実際に刑務所に入るケースも珍しくありません。
たとえば、計画的にカメラを設置していた、複数回にわたって行動していた、過去に同様の前歴があるといった事情があると、裁判所は厳しい判断を下す傾向にあります。
刑法第43条には、未遂であることによる減軽の規定がありますが、それだけで処分が軽くなるわけではありません。
さらに、刑法第66条には、反省の意思や示談の成立など事情に応じて刑を軽くできる「酌量減刑」の規定もありますが、これも裁判所の判断によって適用されるものです。
被害者の処罰感情が強いケースでは、未遂であっても実刑判決となる可能性は十分にあります。
第八章未遂罪
(未遂減免)
第四十三条犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
引用元:刑法|e-Gov法令検索
第12章酌量減軽
(酌量減軽)
第66条犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
引用元:刑法|条文-法令リード
以下のようなケースでは、実刑判決になる可能性があります。
- カメラを設置・操作するなど、行動の悪質性が高い
- 前歴がある、または常習的な行動と見なされている
- 示談が成立しておらず、被害者の処罰感情が強い
たとえ、刑が軽く済んだとしても、前科がついてしまうと社会的信用の喪失や今後の生活への影響は避けられません。
盗撮未遂は示談で解決できる?穏便に済ませるための流れとポイント
盗撮未遂は、被害者との示談によって処分が軽くなったり、不起訴となる可能性がある犯罪です。
ただし、示談を成立させるには適切な対応と手順が必要です。
ここでは、示談の相場や効果、注意点をわかりやすく解説し、できるだけ穏便に解決するための現実的な選択肢を紹介します。
盗撮未遂の示談金相場

盗撮未遂の示談金は、おおよそ10万円~50万円程度が相場とされています。
初犯であり、スマホを向けただけの軽微な行為で、被害者の処罰感情も強くない場合には、10万円以下で示談が成立することもあります。
示談金の金額は、次のような要素によって左右されます。
- 実際に撮影されたかどうか
- 行動の具体性
- 被害者の処罰感情や精神的なダメージの大きさ
- 加害者の反省の姿勢、謝罪の有無
- 示談交渉のタイミング
- 前歴や常習性の有無
単に「お金を払えば済む」という話ではなく、誠実な謝罪と再発防止への姿勢が示談成立には不可欠です。
適切に対応することで、刑事処分の重さにも大きな影響を与える可能性があります。
盗撮未遂を示談するメリット

盗撮未遂のような事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが処分に大きく影響します。
示談は単なる金銭的な解決ではなく、加害者が被害者の精神的苦痛に対して責任を持ち、誠意を示す手段でもあります。
- 不起訴処分になる可能性が高まる(被害者が処罰を望まなくなるため)
- 起訴されたとしても、罰金刑や執行猶予付きの判決になる可能性がある
- 被害者の証言が柔らかくなり、捜査機関や裁判所の判断に良い影響を与える
- 刑事処分後の社会復帰(職場・学校など)への影響を最小限に抑えられることがある
また、被害届や告訴が取り下げられるケースもあり、逮捕や勾留を回避できる可能性も生まれます。
そのため、できるだけ早期に示談に取り組むことが、穏便な解決に向けた重要なステップとなります。
ただし、示談には被害者の理解と合意が必要であり、加害者側の誠実な対応がなければ成立しません。
「とにかくお金を払えばいい」という考えでは、かえって逆効果になる場合もあるため注意しましょう。
示談金が必要になる境界線とは?
示談といえば「お金を払って解決するもの」と考えがちですが、必ずしも金銭の支払いが必要というわけではありません。
被害者が処罰を望んでいない場合や、加害者の反省と謝罪の気持ちがある場合は示談金なしで示談が成立することもあります。
一方で、以下のような場合は示談金の提示が必要になる可能性が高くなります:
- 被害者の「お金では許せない」という処罰感情が強い
- 加害者の行動が被害者に強い不快感や恐怖心を与えている
- 示談交渉が長期化し、被害者側に弁護士がついている
ただし、基本的には示談金が必要になるケースがほとんどです。
ケースによって異なりますが、示談で解決したいなら最低でも10~30万円は用意しておきましょう。
示談書は必ず作成する
示談書は、処分の軽減や不起訴といった結果につなげるための、法的に有効な書類です。
示談書がなければ、たとえ当事者間で合意があったとしても、検察や裁判所はその事実を反映できず、罪状や求刑の内容は変わらないまま進行します。
さらに、示談書は後から示談の撤回を主張されるリスクや、「言った・言わない」の争いを防ぐ証拠としても重要です。
内容を明文化し、当事者双方が署名・押印した書類として残すことで、示談の成立を確実なものにする役割を果たします。
- 被害者の処罰意思(告訴の取り下げなど)
- 示談金の金額と支払い方法
- 加害者の謝罪や反省の意思、再発防止の誓約
示談書を検察官や裁判所に提出することで、起訴の回避や量刑の軽減につながる判断材料として用いられます。
必ず法律の専門家のサポートのもと、法的に有効な示談書を作成し、速やかに提出するようにしましょう。
実際に起きた盗撮未遂事件
ここでは、実際に起きた盗撮未遂のケースを紹介しながら、不起訴、示談成立、身柄解放といったそれぞれの結果に至った経緯や対応のポイントを解説します。
自分や身近な人の状況と照らし合わせながら、今後どのような対応が必要かを考える参考にしてください。
女性のスカート内の盗撮を試みた事例(不起訴)
相談者:30代男性
罪名:性的姿態撮影等処罰法
示談金:30万円
結果:不起訴処分
引用元:【不起訴処分】盗撮事件
Aさんはエスカレーターで、前にいた女性のスカート内を盗撮しようとしたところ、背後の男性に声をかけられ、その場から逃走。
防犯カメラの存在もあり、後日に特定される可能性を感じたAさんは、弁護士に相談して自首を決意しました。
弁護士とともに警察へ出頭し、すぐに示談交渉を開始した結果、早期に合意が成立しました。
Aさんは逮捕を回避し、最終的に不起訴処分に。
未遂であっても、目撃や映像があれば立件される可能性があるため、迅速な対応が処分を大きく左右します。
好意を持っていた職場の女性を盗撮しようとした事例(示談成立)
相談者:20代男性
罪名:盗撮
示談金:50万円
結果:被害届取り下げ
引用元:【被害取り下げ】盗撮事件
これは、20代の男性会社員による事例です。
職場の更衣室で、好意を抱いていた女性をスマートフォンで撮影しようとしたところ、相手に気づかれ、上司を通じて通報されました。
その後、警察に出頭し、在宅のまま捜査を受けることになりました。
被害者は精神的ショックから会社を休み、弁護士を通じた謝罪と休業補償を含む50万円の示談が成立。
被害届は取り下げられ、事件は終結しました。
職場など面識のある相手とのトラブルでは、特に誠実な対応が求められます。
盗撮未遂の疑いで逮捕・勾留された事案(身柄解放)
相談者:60代男性
罪名:性的姿態撮影等処罰法
示談金:非公開
結果:身柄解放、不起訴処分
引用元:【身柄解放】盗撮事件
60代の男性が盗撮未遂の疑いで逮捕・勾留された事例です。
本人が身柄拘束されていたため、家族を通じて弁護の依頼があり、弁護士が対応しました。
被害者女性の感情に配慮しつつ慎重に交渉を進めた結果、受任から7日で示談が成立。
この示談を受けて検察との協議を行い、勾留の延長は回避され、不起訴処分が決定しました。
逮捕後でも、早期の示談成立によって身柄解放と不起訴を実現することは十分に可能です。
刑事事件を弁護士に依頼するメリット
「弁護士に頼るなんて大げさでは?」と思っているうちに、事態が手遅れになることは少なくありません。
盗撮未遂のようなデリケートな事件では、早期に弁護士が介入することで逮捕を防いだり、不起訴処分に導ける可能性があります。
ここでは、弁護士が実際にどんな支援をしてくれるのか、状況ごとに整理してご紹介します。
起訴前の早期対応と不起訴処分への働きかけ
盗撮未遂のような事件では、警察の捜査が始まる前後の段階で弁護士に依頼することが、結果を大きく左右します。
特に、早期に弁護士が介入することで、被害者との示談交渉がスムーズに進みやすくなり、最終的に不起訴処分が選択される可能性が高まります。
加害者本人が直接謝罪や交渉を試みても、かえって相手の不信感を招くことが多く、話が前に進まないケースもあります。
弁護士という第三者が入ることで、被害者側の不安や疑念を軽減し、法的手続きも正確に進めることができます。
取り調べ・勾留中の対応
逮捕・勾留された場合でも、弁護士が早期に介入することで、取り調べ中の不利な供述を防ぐことができます。
警察や検察による取調べは精神的な圧力が強く、適切なアドバイスなしに発言した内容が不利な証拠として扱われることもあります。
弁護士がつくことで、供述内容について事前に方針を整理したり、不当な取り調べに対する助言を受けることが可能です。
また、勾留の延長や起訴を回避するために、検察との交渉や身柄解放に向けた活動も行います。
一方で、本人や家族に対する状況説明や連絡調整といった精神的・生活面での支援も、弁護士が果たす大切な役割のひとつです。
示談交渉と社会的影響の最小化
盗撮事件などのプライバシーに関わる事案では、被害者との示談交渉を弁護士が代行することで、本人の名前や連絡先を明かさずに進めることが可能です。
弁護士を通すことで、加害者の個人情報が被害者に直接伝わる事態を防ぎ、トラブルや誤解のリスクを最小限に抑えられます。
また、弁護士が介入することで示談の進行が早まり、警察や検察への対応にも余裕を持って備えることができます。
早期に示談が成立すれば、会社への発覚や報道といった社会的な影響を抑えるうえでも有効です。
盗撮未遂に強い弁護士は「ベンナビ刑事事件」
盗撮未遂とはいえ、逮捕や前科といった深刻な結果に発展することもあります。
しかし、早い段階で弁護士に相談することで、示談成立や不起訴の可能性が高まります。
ベンナビ刑事事件は、刑事事件を専門とする弁護士を簡単に探せる検索サービスです。
特に盗撮案件に強い弁護士が多数登録しており、無料で初回相談ができる事務所や、土日・祝日にも対応している事務所を地域別で見つけやすくなっています。
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盗撮未遂に関するよくある質問【弁護士監修】
盗撮未遂に関してよく寄せられる不安や疑問を、弁護士の監修のもとQ&A形式でわかりやすく解説します。
Q1.「盗撮が未遂だった」と言えば、罪にならない?
未遂だから罪にならない、というのは誤解です。
盗撮を実行しようとした意思が明確で、行動にも移していれば、たとえ撮影に至らなくても処罰の対象になります。
実際に、スマートフォンをスカートの下に向けただけで検挙されたケースは少なくありません。
盗撮未遂も立派な犯罪として扱われます。
Q2.カメラのデータを消せば証拠隠滅になる?
自分の犯罪に関する証拠を削除しても、「証拠隠滅罪(刑法104条)」にはあたりません。
証拠隠滅罪は、他人の刑事事件の証拠を壊す・隠す行為を処罰するものであり、自分自身の事件に関する証拠を消す行為は対象外です。
第七章犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
(証拠隠滅等)
第百四条他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法|e-Gov法令検索
ただし、証拠を削除したことが警察に発覚すれば、「証拠を隠して逃れようとした」と判断され、捜査や裁判で不利な心証を持たれる可能性があります。
また、逮捕・押収の最中にデータを削除すれば、公務執行妨害罪など別の罪に問われる恐れもあります。
さらに、スマートフォンのデータは専門機関によって復元されることも多く、証拠隠しがかえって立場を悪くするケースもあるため、軽く考えるのは危険です。
Q3.「やってないのに疑われた」場合はどうすればいい?
やっていないのに盗撮を疑われた場合でも、慌てて否定を繰り返すと、かえって不利な供述と受け取られる可能性があります。
取り調べでの発言は記録され、起訴・不起訴の判断材料になるため、早期に弁護士へ相談することが重要です。
実際に、防犯カメラ映像をもとに誤認逮捕が判明し、不起訴処分となったケースもあります。
冷静に対応し、専門家の助けを借りることが最善の防御です。
Q4.盗撮未遂で前科がつく確率はどれくらい?
盗撮未遂でも、有罪判決が出れば前科がつきます。
示談が成立し、初犯で反省の意思が見られる場合は、不起訴となる可能性もありますが、証拠がそろっており、悪質と判断されたケースでは略式起訴で罰金刑となり、前科が残ることになります。
実際に、示談が成立せず、罰金刑を受けて前科がついた事例もあります。
前科を回避するには、早期の対応と示談が極めて重要です。
詳しくはこちら↓
Q5.盗撮未遂を周囲にバレずに解決する方法はある?
盗撮未遂の事案でも、早い段階で弁護士に相談すれば、本人の名前や連絡先を出さずに示談交渉を進められる可能性があります。
弁護士を通じて交渉をおこなうことで、被害者とのやり取りを匿名で進められることが多く、会社や家族に知られずに解決できた事例も存在します。
絶対にバレないとは言い切れませんが、弁護士の介入によって社会的な影響を最小限に抑えることが可能です。
盗撮未遂は早期の示談がカギ!まずは弁護士に相談を
盗撮未遂は「撮っていないから大丈夫」と油断していると、逮捕や前科、社会的信用の喪失といった大きな問題に発展する可能性があります。
しかし、早期に弁護士へ相談し、誠実に対応することで、不起訴や社会的影響の軽減を目指せるケースも少なくありません。
一人で抱え込まず、できるだけ早く専門家のサポートを受けることが、被害者との示談や今後の人生を守る第一歩になります。
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電車内で盗撮行為をすると、撮影罪で逮捕される可能性があります。本記事では、盗撮事件の刑事罰や逮捕後の流れなどを解説します。さらに、弁護士による自首同...
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盗撮の初犯では不起訴処分や罰金刑が適用されるケースが多いですが、犯行の内容や被害の規模によっては懲役刑が下される可能性があります。執行猶予がつくケー...
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今回の記事では、公務執行妨害罪の成立要件や罰則といった基本から、逮捕後の具体的な刑事手続きの流れ、不起訴処分や減刑を目指すために何をすべきかまで解説...
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