オーバーステイの罪名とは?入管法違反に関する罰則や対処法などについて詳しく解説
- 「ビザの期限が切れているかもしれない」
- 「このままだと逮捕や強制送還になるのでは…」
オーバーステイの状態に不安を感じながらも、誰にも相談できず一人で抱え込んでいませんか。
オーバーステイは、入管法(出入国管理及び難民認定法)に違反する行為であり、刑事罰や退去強制の対象となる重大な問題です。
放置すれば、収監や再入国禁止など、将来の生活やキャリアに大きな影響を及ぼす可能性もあります。
しかし、状況によっては自主出頭や在留特別許可の申請など、早めに対応することで不利益を最小限に抑えられるケースもあります。
本記事では、オーバーステイの罪名や罰則の内容、摘発されるケース、今すぐ取るべき対処法までを、法律の基礎からわかりやすく解説します。
「このままで大丈夫なのか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
オーバーステイの罪名|不法残留罪や入管法違反などと呼ばれる
オーバーステイの正式な罪名は「不法残留罪」であり、出入国管理及び難民認定法第70条に違反する行為に該当します。
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
五 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第六項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者
この不法残留罪は、「在留資格の更新や変更を受けないまま、定められた在留期間を超えて日本にとどまること」が法に反する行為として定義されています。
つまり、たとえ悪意がなかったとしても、在留期間を過ぎて滞在していれば違反とみなされるのです。
なお、不法残留は「不法滞在」や「入管法違反」とも呼ばれ、これらはいずれも法律上の分類ではありますが、一般的には同じ違反行為を指す言葉として用いられています。
こうした複数の呼称が存在するため混乱しやすいものの、根本は全て入管法違反に起因する罪であるという点は変わりません。
外国人が日本でオーバーステイをした場合の刑事罰と行政処分
オーバーステイが発覚すると、外国人には刑事上の処罰と行政上の処分の双方が科される可能性があります。
ここでは、どのような罰則や手続が適用されるのかを確認しましょう。
1.刑事罰|有罪の場合は拘禁刑や罰金刑などが科される
オーバーステイは入管法第70条に違反する行為であり、有罪となった場合には刑事罰の対象となります。
入管法第70条に規定されている罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、もしくはこれらの併科」です。
この刑事罰は、在留期間を超えて滞在した事実があるだけで成立するため、本人に悪意がなかった場合でも処罰される可能性があります。
有罪となった場合、情状が考慮されれば執行猶予付き判決が下されることもありますが、いずれにしても前科が付く点は変わりません。
前科が付くことは、将来の日本への再入国や在留資格の取得に大きな影響を及ぼします。
そのため、オーバーステイが判明した段階で、できるだけ早く適切な対応を取ることが重要です。
2.行政処分|原則として退去強制処分の手続きが取られる
オーバーステイが発覚した場合、刑事罰とは別に入管法24条に基づく行政処分として「退去強制」の手続きが進められます。
(退去強制)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により本邦からの退去を強制し、又は第五十五条の二第一項の規定による命令により本邦から退去させることができる。
(中略)
ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第六項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。
第二十六条第一項及び第二十六条の二第二項(第二十六条の三第二項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者
退去強制手続きに入ると、外国人は原則として入管局の収容施設に身柄を拘束され、審理の結果「退去強制令書」が発付されると、日本からの退去が強制されます。
退去強制となった場合、一定期間日本へ再入国できない措置が取られる点にも注意が必要です。
再入国禁止期間は、通常は5年とされ、過去に退去強制歴がある場合は10年に延長されるケースもあります。
さらに、犯罪により刑期が1年以上となった場合などには、再入国禁止が無期限となることもあります。
外国人が日本でのオーバーステイに気付いた場合に取るべき対処法
オーバーステイが判明した場合、早めに適切な対応を取ることが、処分の軽減や今後の在留において重要です。
ここからは、オーバーステイが判明したときに取るべき行動を解説します。
1.入管に出頭して「出国命令制度」で自ら出国する
オーバーステイに気付いた場合、まずは自ら入国管理局に出頭することを検討しましょう。
自発的に出頭し、速やかに日本を出国する意思を示した外国人については、一定の要件を満たす場合に「出国命令制度」が適用されます。
出国命令制度は、通常の退去強制手続きとは異なり、収容されることなく自ら出国できる制度です。
出国命令制度が適用されるためには、以下の2つのいずれかを満たす必要があります。
- 入国警備官の違反調査の開始前に、速やかに出国することを希望して、自ら地方出入国在留管理局に出頭したこと
- 入国警備官の違反調査の開始後、入国審査官に退去強制事由に該当していると認定され通知される前に、入国審査官か入国警備官に速やかに出国することを希望したこと
加えて、次の全てに該当する必要があります。
- 違反が不法残留のみであること
- 窃盗その他の一定の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと
- これまでに強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと
- 速やかに出国することが確実であること
これらの要件を満たした場合、出国命令制度の適用により収容されずに帰国でき、日本への再入国禁止期間も通常の退去強制より短い1年となります。
適用されれば負担が大きく軽減されるため、要件を満たす場合は早めの出頭が重要です。
2.身柄を拘束された際に在留特別許可の申請をする
特別な事情があってオーバーステイをしてしまっている場合は、在留特別許可の申請を検討してください。
在留特別許可とは、法務大臣の裁量で特別に在留を認める制度であり、退去強制事由に該当していても事情によっては日本での生活を継続できる可能性があります。
この制度が設けられている理由は、家族状況や人道的理由など、個々の事情を考慮すべきケースが存在するためです。
例えば、日本人配偶者や日本人の子どもがいる場合、あるいは疾病により治療が必要な場合には、退去させることが著しく不利益になることがあります。
そのため、収容中、仮放免中、監理措置中、さらには刑事施設に拘留されている場合でも申請でき、入国審査官との面接を経て審査が進められます。
提出書類として申請書や在留状況を示す資料が必要となり、手数料はかかりません。
場合によっては「仮放免制度」を利用できることがある
収容された外国人は、在留特別許可申請と併せて仮放免許可申請をおこなうことで、収容を一時的に停止して身柄の解放を求めることができます。
仮放免制度は、収容施設での生活で行動が制限される環境であり、強いストレスの中で調査を受ける状況を緩和するために設けられた制度です。
仮放免は人道的な配慮などを理由に主任審査官等の裁量で判断され、許可が出た場合は指定額の保証金を納付する必要があります。
保証金は上限300万円ですが、通常は10万円から50万円程度とされ、許可までの期間は、帰国を前提とした仮放免申請の場合であれば、2週間から1ヵ月程度が一般的です。
申請は収容者本人だけでなく、代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹がおこなえますが、婚約者や内縁配偶者は対象になりません。
申請前には収容者との面談や家族との打ち合わせをおこない、必要性や相当性を整理した理由書を準備したうえで申請を進めることになります。
入国管理局に提出後、追加資料を求められることもあり、その対応を経て許可の可否が通知されます。
3.入管問題や在留手続きが得意な弁護士に相談する
オーバーステイが発覚した場合、適切な対応を取れるかどうかが結果を大きく左右するため、早い段階で入管手続に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
入管法の手続は複雑であり、在留特別許可や仮放免の申請では、個々の事情を整理し、法務大臣や入国管理局が判断できる形で資料を準備する必要があります。
専門的な知識が求められるため、自身だけで対応すると不利な内容になったり、必要な資料が不足したりするおそれがあります。
弁護士に相談することで、違反に至った経緯や家族状況などを丁寧に聞き取った上で、どのような対応が最善かを判断してもらうことが可能です。
在留特別許可の可能性がある場合には、その必要性や相当性を示す理由書の作成や資料収集を支援し、入国管理局とのやり取りもサポートしてもらえます。
また、仮放免申請が可能な場合には、その見通しや準備についての助言も受けられます。
さいごに|在留期間を1日でも超えたらオーバーステイになるので要注意!
在留期間を1日でも超えると、法律上はオーバーステイとなり、刑事罰や退去強制などの厳しい処分の対象になる可能性があります。
悪意がなくても違反となるため、在留期限の管理は慎重におこなう必要があります。
オーバーステイが発覚した場合は、出国命令制度の利用や在留特別許可、仮放免申請など、状況に応じて取り得る対応が存在しますが、いずれも適切な判断と準備が欠かせません。
特に在留特別許可や仮放免の申請は専門的な知識を要し、準備不足のまま進めると不利な結果につながるおそれがあるため、早い段階で弁護士へ相談し、正確な情報に基づいて行動することが安全です。
オーバーステイは重大な問題につながる可能性がありますが、適切な対処をおこなうことで不利益を最小限に抑えられる場合があります。
日本での生活を守るためにも、早めの行動と正しい対応を心がけましょう。
「家族が逮捕された」「警察から呼び出しが来た」…そんな不安に即応します。豊富な経験と交渉力を活かし、検察・裁判所へ迅速に働きかけ。会社や学校に知られる前の「早期釈放」と「前科をつけない解決」に全力を尽くします。
事務所詳細を見る
【ご家族が突然逮捕されてしまった方はすぐにご相談ください】仕事への影響を最小限にしたい/職場に知られずに解決したいなど迅速な身柄解放に向けてきめ細やかにサポートします【初回相談料30分:5500円】
事務所詳細を見る
【初回面談1時間1万円】【早期釈放】【示談交渉】【刑事事件の解決実績多数】家族が逮捕されてしまった/警察から取調べ・呼び出しを受けたなど、手遅れになる前に今すぐご相談を!《料金表・解決事例は写真をクリック》
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
刑事事件の基礎知識に関する新着コラム
-
在留期限切れは放置すると不法滞在(オーバーステイ)となり、罰則や退去強制の対象になります。本記事では、期限切れが発覚する流れ、取るべき対応、更新が遅...
-
オーバーステイとは何か、発覚した場合の罰則・退去強制・上陸拒否の期間までわかりやすく解説しています。技能実習生や特定技能の受け入れ担当者が知っておく...
-
不法就労助長罪の初犯でも、拘禁刑や罰金刑といった刑罰を受けるおそれがあります。不法就労助長罪に問われないためには、定期的な在留資格の確認や従業員への...
-
オーバーステイの罪名や不法残留に該当する法律上の扱い、刑事罰・退去強制などのリスク、さらに出国命令制度や在留特別許可、仮放免などの対処法を解説します...
-
事件から1年が経過しても、後日逮捕される可能性はあります。とくに殺人などの重大事件を起こした場合、事件発覚が遅れた場合、新しい証拠が見つかった場合に...
-
警察の事情聴取を受ける際に気を付けることをわかりやすく解説します。被疑者として呼び出された場合に知っておくべき基本対応や、黙秘権・署名拒否などの権利...
-
立ちんぼ行為は、売る側・買う側の双方に法的リスクがあります。売春自体に罰則はなくても、勧誘や客待ちは法令違反となるおそれがあります。相手が未成年なら...
-
たとえ犯行から3ヵ月が経過していても、被疑者に犯罪の嫌疑があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、後日逮捕される可能性は十分にあります。逮...
-
エアドロ痴漢は、AirDropを悪用して卑わいな画像や動画を送り付ける重大な犯罪です。迷惑防止条例違反や刑法175条に問われ、実際に逮捕事例も報告さ...
-
恫喝は状況により脅迫罪・強要罪・恐喝罪など重大な犯罪に該当する可能性があります。「単に注意しただけ」でも相手に恐怖心を与えれば法的責任を問われるリス...
刑事事件の基礎知識に関する人気コラム
-
逮捕されて有罪になると前科が付きますが、前歴というものもあり、こちらは逮捕されただけで付きます。前科は間逃れても前歴が残ると今後の生活にどう支障がで...
-
本記事では私人逮捕の条件や私人逮捕によるトラブルの対処法を解説します。
-
犯罪事件捜査の対象になった場合、刑事手続きはスピーディに進行します。早期に刑事手続きから解放されるためには、初動の段階から迅速な対応をとることが肝心...
-
書類送検とは、警察が被疑者の身柄を拘束せずに事件記録や捜査資料を検察に送る手続きのことを指します。本記事では、書類送検の意味や逮捕との違い、書類送検...
-
少年院(しょうねんいん)とは、家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容するための施設を言います。
-
鑑別所とは、正式には「少年鑑別所」と呼ばれる施設で、家庭裁判所の少年審判をおこなうにあたって、犯罪を犯した未成年の少年を一時的に収容する場所です。本...
-
観念的競合とは、1つの行動で2つ以上の犯罪を起こすことです。刑罰の考え方としては、2つ以上の犯罪の中で最も重い犯罪の刑罰が対象となります。
-
刑事裁判と言っても、事件内容によって方法が少し異なります。この記事では刑事裁判の種類や流れの他に、民事裁判との違いやよくある質問(裁判員制度について...
-
この記事では親告罪と何か、親告罪に該当する罪を解説したあと、告訴されたときの対処法について紹介しています。親告罪を犯してしまって告訴される可能性があ...
-
在宅起訴とは、刑事事件を起こした被疑者の身柄を拘束しないまま検察官が起訴することをいいます。逮捕を受けないまま起訴されるため日常生活に与える影響は少...
刑事事件の基礎知識の関連コラム
-
本記事では、刑務所と拘置所の違いを分かりやすく解説します。それぞれの施設の目的・収容される方・生活の様子やルールなどについて詳しく紹介するので、ぜひ...
-
本記事では、YouTube違法アップロードに関する逮捕事例などを交えながら、問われる罪や視聴者側の対処法などを解説します。
-
2023年5月の法改正により逃走罪の対象が拡大され、刑罰も厳格化されました。そのほか、GPS装着制度や刑の時効停止に関する規定が新設されるなど、逃走...
-
この記事では、痴漢で解雇されるシチュエーションや、解雇するかどうかを判断するときに考慮されるポイント、弁護士に早期相談・依頼するメリットなどについて...
-
冤罪事件の補償金については、金額が安すぎるという声も多く見られています。本記事では、冤罪被害者への補償金の現状や、その金額が「安い」と批判される理由...
-
犯罪をしてしまったときはもちろん、罪を犯していなくても指紋が警察のデータベースに登録されるケースがあります。 本記事では、警察に採取・登録された指...
-
刑事事件を起こして刑事告訴されると、警察が捜査開始して逮捕や裁判となるおそれがあります。逮捕回避や減刑獲得に向けて迅速に動くためにも、手続きの流れを...
-
今回は、刑罰のなかでも禁錮刑について、どのような刑なのかや、自宅での受刑はあるのかなどを解説します。「禁錮刑と懲役刑の違いは?」「どちらがつらい?」...
-
立ちんぼ行為は、売る側・買う側の双方に法的リスクがあります。売春自体に罰則はなくても、勧誘や客待ちは法令違反となるおそれがあります。相手が未成年なら...
-
本記事では私人逮捕の条件や私人逮捕によるトラブルの対処法を解説します。
-
実名報道されてしまうことのデメリットは多く、一度報道されてしまうと日常生活に大きな影響を及ぼします。この記事では、実名報道されることによるデメリット...
-
在留期限切れは放置すると不法滞在(オーバーステイ)となり、罰則や退去強制の対象になります。本記事では、期限切れが発覚する流れ、取るべき対応、更新が遅...
刑事事件の基礎知識コラム一覧へ戻る


