窃盗罪とは


窃盗罪(せっとうざい)とは、誰かの物を自分のものにしてしまう(誰かの物を「盗む」)という、もっとも古典的な犯罪です。
刑法上、窃盗罪は財産罪の一種であり、強盗罪や詐欺罪・恐喝罪などと同様の領得罪に分類されます。
今回は窃盗罪の基礎知識と、どういった行為が窃盗罪に該当するかについてご紹介していきます。
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窃盗罪とは
窃盗罪は、刑法235条に規定された財産罪で、分類としては領得罪(物の経済的な利用価値を取得する意思をもって他人の財産を侵害する犯罪)とされています。
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(引用元:刑法235条)
まずは、窃盗罪がどのような罪なのかについて簡単にご紹介します。
窃盗罪の量刑
窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される犯罪です(刑法235条)。
実際の量刑は事件の内容によって大きく変わりますが、傾向としては3年以下の懲役刑が科される割合が高く、罰金刑の場合でも20万円~30万円程度の覚悟が必要とされています。
窃盗罪の時効
罪を犯した後、一定期間を過ぎると検察官が公訴できる権限が消滅し、これを「公訴時効」といいます。
公訴時効は刑事訴訟法250条に規定されており、刑の重さによって期間が定められています。
第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年
(引用元:刑事訴訟法250条)
窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されますから、公訴時効は7年となります。
窃盗未遂の場合
刑法243条によって、窃盗罪の未遂に関しても処罰が行われる旨が明確にされています。
(未遂罪)
第二百四十三条 第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
(引用元:刑法243条)
例えば「Aさんのサイフをすろうと思ってサイフに手を掛けたところで、気が付いたAさんに捕まった場合」は窃盗未遂ということになります。この場合にも窃盗罪と同様に処罰の対象になり、刑罰が科される可能性があるというのが未遂犯の規定です。
未遂犯の場合は「刑を減軽することができる」とされており、一定の条件を満たした場合には「刑の減軽や免除」が認められています。
窃盗罪の構成要件
窃盗罪における構成要件(犯罪が成立する条件)は次の3点です。
- (盗んだ対象が)他人の占有する財物
- 不法領得の意思がある
- 窃取する
ここでは、窃盗罪の構成要件をご紹介します。
他人の占有する財物
窃盗罪において、客体は財物に限定されています。 財物とは、基本的には形のある有体物ですが、固体・液体・気体も空間の一部を占める有形的存在とみなされ、財物とみなされます。 さらに、「他人の占有する」ということに関しては、他人が現実に所持・管理している財産であるということが前提です。窃盗罪は他者の占有権を法益とする罪であるため、「他人の占有する自己の財物」(例えば、貸したり預けたりしている)という場合に、所有者が相手の意思に反してこれを奪い取れば窃盗罪は成立します。
不法領得の意思がある
不法領得の意思とは、簡単にいうと「自分のものにしようとする意思」のことです。 判例によれば、不法領得の意思とは『権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様に、その経済的用法に従って利用しまたは処分する意思』とされています。
物を盗んだのだから、不法領得の意思があるのは当たり前なのでは? と思われるかもしれませんが、わざわざ明確に不法領得の意思が要求される背景には、物の経済的効果を取得する意思で財産を侵害する「領得罪」と、財産の効用を減却・減少させる犯罪である「毀棄・隠匿罪」との区別のためでもあります。
毀棄・隠匿罪(きき・いんとくざい)との区別|財産の効用を減少させる犯罪との違い
単に物を破壊したり、物を隠すといった方法で財産本来の効能を減少させたりする場合は、窃盗罪ではなく毀棄罪や隠匿罪に該当します。器物損壊罪などが毀棄罪の典型例で、その他にも信書隠匿罪などが挙げられます。
窃盗罪の場合は、物の効用を害せずに本来の用法に従って利用・処分しようとする意思が前提になることから、物そのものを害する意思があるかどうかで毀棄罪や隠匿罪と区別することができます。
窃取する
窃盗とは本来「ひそかに盗み取ること」という意味でありますが、ひったくりや強盗のように、他人の前で強引に奪い取る行為も含まれます。
窃盗罪の構成要件である「窃取する」というのは、『占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すこと』をいい、その方法や手段はどのようなものであってもよいとされています(最決昭和31年7月3日)。
例えば、スーパーで陳列されている商品を盗むことは、①本来消費者へ売りたいお店の意思に反し、商品を盗むことで②お店の占有を排除し、③自分の占有下に置いたということになるので、窃取する行為にあたるといえます。
窃盗罪に該当する可能性のある行為
以上が窃盗罪に関する基本的な知識になりますが、ここからは窃盗罪と他の犯罪の関係も見ていきましょう。
具体的にどういった行為が窃盗罪に該当するのか、また窃盗罪に該当せずとも他の犯罪に該当するのかをまとめてみました。
【関連コラム】窃盗罪の安全対策|罰金や罪に問われる危険な行為と対処法
空き巣・万引き・ひったくり
空き巣・万引き・ひったくりは、典型的な窃盗罪ということができます。特に万引きは、窃盗罪と認識していない人もいるようですが、安価なものだからと軽い気持ちで盗んでしまって後から大変なことになったというケースも少なくありません。
空き巣の場合、住居侵入罪も問題になりますし、窃盗の機会に被害者や目撃者に対して暴行・脅迫を行ってその犯行を抑圧すると強盗罪・事後強盗罪が成立する可能性もあります。
窃盗にはさまざまな手口があり、空き巣や事務所荒らしなどを「侵入窃盗」、自転車やバイク・自動車等を盗むことを「乗り物盗」、万引き・ひったくり・置き引き・車上荒らしなどを「非侵入窃盗」と呼んで区別することもあります。
いずれの窃盗であっても具体的な犯罪態様によって刑罰は変わってくるので、安価なものだから罪も軽くなるとは限らないことに注意が必要です。
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一時使用(使用窃盗)とは?
例えば「試験に遅刻しそうなAさんが、駅に止めてあった自転車を所有者Bさんに無断で使用したが、試験が終わった2時間後にきちんと元の場所に戻した」というケースがあります。
このとき、自転車を盗んだという点では窃盗罪が成立しそうですが、使用者の権利を排除したのはあくまでも一時的な時間であり、最終的に元通りに戻したため、他人の物を領得する(自分のものにする)という不法領得の意思がないとみなされ、一時使用(使用窃盗)として不可罰とされることがあります。
使用窃盗になるかどうかは使用態様や時間、行為者の意思などから判断されることになりますが、大まかな目安としては「自動車のような価値の高いものに関しては短時間の使用窃盗であっても窃盗罪が成立する可能性が高い」こと、「乗り捨てるなどの意思がある場合は放棄という処分行為をする意思が認められるため、窃盗罪が成立する可能性が高い」ということができます。
このような一時使用目的の有無は、客観的態様から判断されますので、加害者が「一時使用目的だった」といえば罪に問われないという意味ではありません。
電気窃盗(盗電)
刑法245条は、窃盗および強盗の罪について、電気を財物として扱う旨を規定しています。
(電気)
第二百四十五条 この章の罪については、電気は、財物とみなす。
(引用元:刑法245条)
つまり、自宅以外の場所で勝手にコンセントを利用し携帯電話やゲーム機等を充電することで、窃盗罪が成立する可能性があるわけです。
例えばカフェやファストフード店などで「ご自由にご利用ください」と明記されているコンセントを利用することは何の問題もありませんが、利用の可否を確認せずに無断でコンセントを利用してしまうと、電気代が1円程度しかかかっていない場合であっても窃盗罪に問われるリスクがあります。
電気窃盗はよほど悪質でなければ通報される可能性は低いでしょうが、一言二言の確認で利用の可否は分かるはず。
手間を惜しまずにコンセントの管理者である店員や施設に確認することをおすすめします。
ゴト行為(不正な方法でパチンコ等の出玉を獲得する行為)
パチンコやスロットで不正な手段を用いて出玉などを獲得する行為をゴト行為といい、それを生業とする人をゴト師と呼んだりします。
ゴト行為は、遊技台に不正部品を取り付けたり、持ち込んだ出玉を交換したりするなどさまざまな態様がありますが、これらによって玉やメダルを獲得することは窃盗罪にあたるとされています(最決平成21年6月29日)。
また、ゴト行為を目的とする入店自体が建造物侵入罪に該当しますし、行為態様によっては詐欺罪にも問われますので、安易な考えでゴト行為を行うことはやめましょう。
窃盗罪と示談|示談の効果はどの程度?
窃盗罪を犯して逮捕されてしまうと、まず考えるのが被害者との示談でしょう。しかし、示談の効果がどの程度なのか、本当に示談がよいのか疑問に思われる方も少なくありません。
ここでは、窃盗罪と示談の関係についてご紹介します。
窃盗罪で示談は有効か
軽微な窃盗事件の場合、被害者と示談を行って損害を賠償することにより、逮捕や起訴を避けることができる可能性が大きくなります。
例えばコンビニなどで未成年者が万引きを行った際に店主が保護者を呼び出すケースでは、損害の賠償を行うことで警察へ通報することを止めてもらえることもあるでしょう。
常習窃盗犯の場合は難しいかもしれませんが、初犯の場合は被害者と示談交渉を行って損害賠償を済ませることで、たとえ逮捕後であってもその後の刑事手続きが有利に運ぶ確率がぐんと上がります。不起訴を獲得できたり、執行猶予をつけてもらえたりする可能性は充分あるので、窃盗罪に該当しうる場合は、速やかに示談を行いましょう。
示談を検討している方は弁護士への相談がオススメ
保護者や家族が被害者に呼び出されて話し合いを行うケースはともかく、加害者の逮捕後に加害者やその関係者が示談交渉を望む場合には、間に弁護士を挟んだ方がスムーズに話が進むでしょう。
というのも、刑事事件に詳しい弁護士ならば相手方と冷静に交渉が可能ですし、被害者としても加害者と直接やり取りをしなくて済む分、示談のラインが見極めやすくなるでしょう。被害者が何を望んでいるのかをきちんと聞き取るには第三者である弁護士が適していますし、示談の際に支払うべき金額も適正なものになります。
弁護士をつけて早く示談交渉をまとめれば、それだけ加害者の利益も大きくなるので、窃盗罪で示談を考えている場合は刑事事件の経験豊富な弁護士へ相談することをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本の司法では、起訴されると99.9%の確率で有罪となってしまうのが現状で、不起訴を獲得するには被害の弁償や反省の態度をきちんと示すことが大切になります。窃盗罪の場合、軽微なものであれば不起訴を獲得できる可能性は充分ありますから、速やかに弁護士へ相談するのが効果的です。
本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。



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