サイバー犯罪については、こちらでも詳しく解説しています。
不正アクセス禁止法で逮捕されるケースと逮捕後の流れ


不正アクセス禁止法とは、アクセス権限がないネットワークに侵入したり、パスワードを盗み取ったりすることなどを禁止する法律です。身近な例でいえば、家族のスマホのパスワードを覗き見て覚えておき、本人のいないときにパスワードを入力して侵入することも不正アクセス禁止法違反に該当します。
不正アクセス禁止法に違反すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。比較的長期の服役になる可能性があるので、実刑処分になった際には会社の解雇や支払い停滞による財産差し押さえなどが避けられないかもしれません。
(引用元:第1節 サイバー犯罪の現状|警察庁)
不正アクセス禁止法のようなインターネット上での犯罪をサイバー犯罪といいます。サイバー犯罪は年々増加傾向にあり、自分には関係ないとはいえない時代になってきたのではないでしょうか。
もしかしたら、知らないうちに不正アクセス禁止に法違反する行為をしているかもしれません。この記事では①不正アクセス禁止法で禁止されている行為②刑罰③逮捕された後の流れなどをお伝えします。
ご家族が逮捕された方へ 不正アクセス禁止法違反で逮捕・起訴された場合、次のようなリスクがあります。
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不正アクセス禁止法違反の時の刑罰
不正アクセス禁止法に違反したときに、どのような刑罰を受けることになるのかを見てみましょう。
不正アクセス禁止法で規制されている行為
ここでは、『不正アクセス禁止法』で規定されている禁止行為を確認していきましょう。
不正アクセス行為自体の禁止|第3条(不正アクセス罪)
不正アクセスを行うこと自体を禁止する条文です。第3条に違反した場合には3年以下の懲役、または、100万円以下の罰金です。
不正アクセスとは、本来アクセス権限を持たない人が、サーバーやSNS、情報システムの内部へ侵入する行為を指します。
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
具体例
LINEに無断でログインした。
他人のパスワードなどの不正取得の禁止|第4条(不正取得罪)
他人のパスワードを正当な理由なく取得することを禁止する条文です。第4条に違反し場合には1年以下の懲役、または50万円以下の罰金です。
何人も、不正アクセス行為(第二条第四項第一号に該当するものに限る。第六条及び第十二条第二号において同じ。)の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。
具体例
対象がふだん交流していない上司や、システム管理者のふりをして電話をかけ、パスワードを聞き出した。
正当な理由がないパスワード伝達の禁止|第5条(不正助長罪)
他人のパスワードを知っている人が本来知る権利のない人へパスワードを伝達することは不正アクセス行為を助長することになります。不正アクセス禁止法第5条は、こうした行為を禁止する条文です。第5条に違反した場合には1年以下の懲役、または、50万円以下の罰金です。
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。
具体例
友達のTwitterパスワードを他の人に教えた。
不正アクセスのためのパスワード保管の禁止|第6条(不正保管罪)
他人のパスワードなどを不正に保管しておくことを禁止する法律です。第6条に違反した場合には1年以下の懲役、または、50万円以下の罰金です。
何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、不正に取得されたアクセス制御機能に係る他人の識別符号を保管してはならない。
具体例
不正アクセスする目的で、入手したパスワードを保管しておく。
不正なパスワードの入力要求の禁止|第7条(不正入力要求罪)
不正にパスワードなどの入力を要求することを禁止する法律です。第7条に違反した場合には1年以下の懲役、または、50万円以下の罰金です。
何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。
一 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く行為
二 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールをいう。)により当該利用権者に送信する行為
具体例
公式サイトになりすましてパスワードを入力させた。
アクセス管理者の義務|第8条
不正アクセス禁止法では、サーバー管理者やサイト管理人などアクセス管理者は以下の措置を講じる義務があるとされています。
- パスワードなどを適切に管理する措置
- アクセス制限機能を適切に管理・強化する措置
- その他の不正アクセス行為を防ぐ措置
アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者は、当該アクセス制御機能に係る識別符号又はこれを当該アクセス制御機能により確認するために用いる符号の適正な管理に努めるとともに、常に当該アクセス制御機能の有効性を検証し、必要があると認めるときは速やかにその機能の高度化その他当該特定電子計算機を不正アクセス行為から防御するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
不正アクセス禁止法違反で逮捕された後の流れ
冒頭でもお伝えしましたように、不正アクセス禁止法違反で逮捕された人は多数存在します。では逮捕された場合はどのような流れをたどるのか見ていきましょう。
逮捕後48時間以内|逮捕期間-警察からの捜査~送検
不正アクセス禁止法違反で逮捕された場合、警察からの捜査を受けることになります。ただ、この捜査は逮捕から48時間以内と決まっており、捜査後、被疑者の身柄は警察から検察へと移されます(送検)。
また、逮捕されたとき、誰でも『当番弁護士制度』の利用が可能ですので、以下の記事を併せてご覧ください。
【関連記事】
当番弁護士と国選弁護人の違い|役割や依頼方法を解説
送検後24時間以内|逮捕期間-勾留請求
証拠隠滅や逃走を防ぐために、被疑者の身柄を拘束する場合があり、これを勾留といいます。勾留が必要だと判断された場合は、検察によって送検後24時間以内に手続きがなされます。
勾留開始最大20日間|勾留期間・起訴・不起訴処分決定機関
勾留期間は原則10日間で、この間に検察官は起訴か不起訴かを決めなくてはいけません。しかし、さらなる捜査などが必要と判断された場合、勾留の期間を最大10日間延長できます。
ちなみに、起訴とは検察が被疑者に対して裁判所に訴訟を起こすこと。起訴された場合の被疑者の有罪率は99.9%です。逆に不起訴で終わった場合は前科がつくことなくただちに釈放されます。
逮捕後約1~2ヶ月|刑事裁判
起訴を受けると『被疑者』から『被告人』へと呼び方が代わり、原則的には起訴後も身柄を拘束され続けます。刑事裁判までは約1ヶ月と長期間の拘束になってしまいますので、保釈制度の利用も可能です。
不正アクセス禁止法違反で逮捕された後の対処法
不正アクセス禁止法違反で逮捕されてしまったら、どうしたらよいのでしょうか。ここでは、身に覚えがある場合とない場合、それぞれの対処法をお伝えします。
身に覚えがない場合(否認する場合)
あなたが不正アクセスをしていなくても、他人にパソコンを遠隔操作され、不正アクセスに悪用されるおそれもあります。まったく身に覚えがない場合は遠隔操作の可能性も考え、弁護士に相談するようにしましょう。
そして、取調べ中は黙秘権を行使して罪を認めないようにしましょう。万が一、取調べ中に自白に近い供述をした後に、裁判時の主張と食い違ってしまうと、発言の信頼性が損なわれてしまいます。
心当たりがある(認める場合)
不正アクセスを実際に行って逮捕された場合には被害者との示談交渉に動きましょう。
示談成立は被疑者の反省、そして被疑者と被害者の和解を示すので、起訴・不起訴判断や減刑処分判断の際、有利に働く可能性があります。もちろん、被疑者本人が反省していることが前提条件です。
しかし、過去に1万人の被害者を出した事件(参考記事:17歳が教育システムに不正アクセス 攻撃用プログラムで脆弱性つく 「能力にちょっと驚く」と馳文科相 - ITmedia NEWS)のように、示談交渉しきれないほどの被害者がいる場合もあります。
そうした場合は、反省文を検察に提出して、反省を示しましょう。刑罰の目的は犯罪者の反省と更生なので、刑罰が確定する前でもすでに反省していると思われる場合は、処分が軽減されることがあります。
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家族が不正アクセスで逮捕された場合の対処法
ここでは、万が一家族が不正アクセス禁止法で逮捕された場合の対処法をお伝えします。
弁護士に依頼して被疑者と接見してもらう
被疑者は逮捕されて呆然としていて、何をしていいのかわからない場合が多いでしょう。実は起訴・不起訴判断は逮捕後23日以内、そして裁判は目安として逮捕後1ヶ月~2ヶ月以内に行われます。
そのため、刑事事件において処分の軽減を目指すならばスピードが命です。今後の流れや、取調べへの対処法などについて知っておくことが、処分の軽減を目指すために重要です。接見時、これらについて弁護士が被疑者へ伝えてくれます。
弁護士と共に示談交渉の準備を進める
示談交渉において被疑者(加害者)が被害者に直接会うことは避けるべきでしょう。
なぜなら、被疑者が直接被害者と会うことによって、事件時のつらい記憶や恐怖などの被害者感情を煽ることになり、被害者の混乱や怒りにつながって事態が悪化する可能性があるからです。
弁護士に間に入ってもらい示談交渉を進めてもらうことが重要になってきます。また、示談に要する時間のことを考えなくてはいけません。
- 被害者が示談を受けるか否かを決定する時間
- 示談場所・時間を決定するための時間
- 1回で示談が成立しなかった場合の日程調整の時間
などを考えると示談は時間を必要とすることがわかります。
先ほどもお伝えしたように、刑事事件はスピードが命です。被害者感情と時間を鑑みて、家族が弁護士に早く相談し、示談の準備を進めていくことが推奨されます。
【重要】【加害者向け】弁護士に示談交渉の相談や依頼をするメリット
不正アクセス禁止法の裁判例
不正アクセス禁止法違反で逮捕された事例をご紹介します。
インターネットバンキングなりすまし
刑罰
懲役8年
未決勾留日数中700日をその刑に算入
押収してある無線接続機器1式(平成28年押第25号符号1)を没収
以上の刑罰になった理由等
以下のような不正アクセスを多数働いた。
- 不正アクセス行為目的でインターネットバンキングサービスになりすまして、相手の顧客番号、ログインパスワード、インターネット用暗証番号等の識別符号を同サイトに入力させた。
- そしてそのパスワードを用いて、不正アクセス行為をはたらいた。
参考:東京地裁 平成29年4月27日(Westlaw Japan 文献番号 2017WLJPCA04279011) |
社内権限を使用した不正アクセス
刑罰
被告人を懲役1年6ヶ月
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予
以上の刑罰になった理由等
- 被告人は以下の事実に関わった。
- 総務課人事労務担当主査として職員の健康診断に関する事務に従事していた。
- 性的好奇心を満たすために女性職員の健康診断結果に関する個人情報を入手しようと考えた。
- 11人の健康診断結果に関する情報を被告人方に設置されたパーソナルコンピューターに転送した。
- 後日、同様の手口で女性職員の電話番号を手に入れた。
参考:横浜地裁 平成28年4月26日(Westlaw Japan 文献番号 2016WLJPCA04266005) |
まとめ
この記事では不正アクセスにおける以下の事項などについてお伝えしました。
インターネットが発達し、サイバー犯罪の件数が増えてきました。巻き込まれたら3年以下の懲役や100万円以下の罰金に処される可能性もあります。不正アクセス罪や不正助長罪など細かい部分も把握しておき、犯罪に巻き込まれないように注意してネットワークを使ってくださいね。



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