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逮捕・監禁罪とは|成立要件と罰則と逮捕された後の流れ

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逮捕・監禁罪とは|成立要件と罰則と逮捕された後の流れ

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逮捕・監禁罪(たいほ・かんきんざい)とは、人を不法に逮捕・監禁する行為を言います。法定刑は3カ月以上7年以下の懲役が設けられています。人の自由を奪う罪として、罰則も重くなっています。
今回は、どのような行為で逮捕・監禁罪が成立するのかを解説していきます。

また、滅多に起きる犯罪ではありませんが、逮捕・監禁罪で逮捕された場合はどのような流れで刑事手続きがされていくのかを解説していきます。


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逮捕・監禁罪とは

逮捕罪の逮捕とは、人の身体を直接に拘束してその自由を奪うことをいいます。

監禁罪の監禁とは、人を一定の区域から脱出不能または困難ならしめてその自由を拘束することをいいます。

両罪とも人の身体的自由を侵害する罪です。

人の身体的自由を侵害したというためには、多少の時間継続を要します。たとえば、人の背後から両手で一瞬だけ抱きすくめ、すぐに両手を離した場合には人の身体的自由を侵害したとはいえないため逮捕罪は成立しません(抱きすくめる行為が暴行に当たり、暴行罪が成立する余地はあります)。

逮捕・監禁罪の刑罰

逮捕・監禁罪の罰則は「3月以上7年以下の懲役」です。

また、逮捕・監禁の罪を犯す機会に人を死傷させた場合には逮捕・監禁致死傷罪に問われますが、逮捕・監禁致傷罪の罰則は「3月以上15年以下の懲役」、逮捕・監禁致死罪の罰則は「3年以上の有期懲役(上限20年)」となります。

逮捕・監禁罪で守られる身体的自由とは

身体的自由とは人が身体を自由に動かすことができる自由のことです。

この自由については、現実的に身体を動かすことができる自由(現実的自由)という考え方と身体を動かそうと思えば動かすことができた自由(可能的自由)という考え方があります。

両者の考え方は、熟睡者や泥酔者を監禁した場合に監禁罪が成立するか、という問題において違いが出てきます。

すなわち、身体的自由を現実的自由と考える立場からは「熟睡者や泥酔者は現実的に身体を動かすことができないから、これらの者を監禁したとしても人の身体的自由を侵害したとはいえず監禁罪は成立しない」と主張されます。他方で、身体的自由を可能的自由と考える立場からは「熟睡者や泥酔者であっても身体を動かそうと思えば動かすことができるわけだから、これらの者を監禁することは人の身体的自由を侵害したといえ監禁罪が成立する」と主張されます。

なお、被害者を自動車に乗せて疾走したものの、被害者が監禁されていることを認識していなかった事案につき、裁判所(広島高裁昭和51年9月21日)は「被監禁者が行動の自由を拘束されていれば足り、自己が監禁されていることを意識する必要はないと解するのが相当(であり、監禁罪が成立する)」と可能的自由の立場に拠った判断を示してしています。

逮捕・監禁罪の成立要件

逮捕罪の成立要件は「不法」に「人」を「逮捕」することで、監禁罪の成立要件は「不法」に「人」を「監禁」することです。なお、生後間もない嬰児は「人」から除外されますが、身体的自由を可能的自由と考える立場からは、身体障害者はもちろん、精神障害者、幼児(生後1年7カ月の幼児に対する監禁罪の成立を認めた裁判例(京都地判昭和45年10月12日)があります)も自力で移動しうる場合は「人」に含まれると解されます。

逮捕に該当する行為とは

逮捕の手段、方法は問われず、人の身体を縄で縛るなどの有形的方法のほか、人に拳銃(のようなもの)を突きつけて人の抵抗を排除する程度に強度の脅迫を用いて心理的に強制して自由を奪うという無形的方法も逮捕にあたります。

監禁に該当する行為とは

監禁も手段、方法は問われません。

個室に閉じ込めて外から施錠するとういう有形的方法が典型ですが、入浴中に脱衣所の下着等を持ち帰って風呂から出られなくする、人を騙して車に乗せ降車できなくするなどというような無形的方法も監禁にあたります。

不法であること

不法とは、正当な理由なく、という意味です。

正当な理由があるかどうかは、法令に規定された権限のほか、行為に至るまでの経緯、行為の動機・方法・態様、被害者の年齢・性別・承諾の有無等を総合的に勘案して判断されます。

逮捕・監禁罪が成立が考えられるケース

それでは、どのような場合に逮捕・監禁罪が考えられるでしょうか。

誘拐

誘拐に関しては「略取・誘拐罪」があり、略取・誘拐の目的によっては無期懲役もある重罪です。誘拐をするにあたって、監禁の手段を取ることが多いと思いますので、監禁罪が成立します。また、女性を強制性交する目的で車に乗せて走る行為も、相手が監禁されていると認識していなかったとしても監禁罪が成立します。
 
ただこの場合、監禁罪については、誘拐を行うために行った行為として観念的競合の関係になり、最も重い刑により処断されます(刑法第54条第1項)。

いじめ・虐待

逮捕・監禁罪が考えられるものとして、いじめや虐待があります。いじめや虐待に対する法律は「児童虐待の防止等に関する法律」がありますが、状況によっては、暴行罪・傷害罪・監禁罪などの犯罪に触れてくることも考えられます。
例えば、虐待の中で相手を部屋などに閉じ込める方法が取られることもあるでしょうが、その場合には監禁罪が成立します。暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役/30万円以下の罰金/拘留/科料」ですので、監禁罪の方が処罰が重いことになります。

私人逮捕

「現行犯逮捕」は一般の方でもすることが可能ですが、場合によっては、逮捕・監禁罪に問われてくるケースも僅かながらあります。目の前で犯罪が起きて、私人逮捕を行い、警察に通報し、警察の到着まで犯人を監禁していれば正当な行為です。
しかし、私人逮捕の後に監禁し、しばらく警察に通報もせずに監禁し続けると、監禁罪が疑われることもありますので、私人逮捕後は早急に警察に通報するようにしなければなりません。

逮捕・監禁罪のニュース

それではそれらを踏まえて逮捕・監禁罪のニュースを例に挙げてみましょう。逮捕・監禁罪での事件はそこまで多くはありませんが、いじめ・虐待による逮捕・監禁は度々ニュースとしても目にします。

知人少年を半月監禁

知人の少年(17歳)を半月あまり監禁して、熱湯を浴びせるなどの暴行を加えたとして、監禁致傷容疑で16~21歳の男女5人が逮捕されました。被害者は肋骨骨折などの全治2か月の怪我を負いました。

参考
知人少年を半年監禁 16~21歳の男女5人を逮捕

姪をトイレに3時間監禁

クリスマスパーティー中に一緒に住む姪(12歳)をトイレに3時間閉じ込めたとして、会社役員の伯母が傷害罪で逮捕、監禁容疑で再逮捕されました。姪は同世代の平均体重42㎏を大きく下回る26㎏の状態で病院に搬送されていました。あごには骨折した形跡もあり、虐待を受けていたと思われます。

参考
Xマスパーティー中、めいをトイレに3時間監禁

逮捕・監禁罪での逮捕後の流れと傾向

このように、不法に逮捕・監禁すると、被疑者は逮捕されます。こちらでは逮捕・監禁罪で逮捕された後の流れと傾向についてご説明します。おおよその流れは「刑事事件の流れ|重要な48時間・72時間・23日以内の対応」でご説明していますので、こちらには簡単な流れと、逮捕・監禁罪での傾向をご説明します。

逮捕後の警察から捜査|48時間以内

逮捕されると警察からの捜査を受けます。これは48時間以内と決められています。この間は被疑者の家族であっても面会することはできません。被疑者の様子を知るためには、逮捕後すぐに当番弁護士制度を利用できますので、当番弁護士を呼んでみましょう。

送致後の検察からの捜査|24時間以内

警察からの捜査が終わると、被疑者の身柄は検察へ移されます。このことを送致(送検)と言い、検察は、送致後24時間以内に勾留請求をするか否かを決めなければなりません。

勾留期間|最大20日間

検察からの捜査が24時間以内に終了しないようであれば、勾留により被疑者の身柄は拘束されたままになります。逮捕・監禁罪は、懲役刑しかない罪で、他の犯罪との関係も考えられるため勾留される可能性は高いです。
勾留期間は原則として10日間ですが、さらに捜査が必要な場合、さらに10日間が追加された合計20日間、勾留期間が設けられることがあります。

逮捕から起訴・不起訴処分|逮捕後23日以内

これらの期間を合わせた合計23日以内に検察は被疑者に対し起訴・不起訴処分の判断を行います。起訴は裁判所に対して刑事裁判の提起をすることで、不起訴は起訴しないことであり、身柄は解放されます。
しかし、逮捕・監禁罪の場合、起訴される可能性は高いと思われます。特に、虐待や誘拐などの他の犯罪も関連しているようでしたらその可能性は高くなるでしょう。また、他の罪名での再逮捕も考えられ、そうなるとさらに拘束期間は長引きます。
例えば、監禁罪で一度逮捕され、後ほど略取・誘拐罪で再逮捕されたり、反対に傷害罪で一度逮捕され、その後監禁致傷罪で再逮捕されるような場合です。

刑事裁判|逮捕後約1~2カ月

起訴されると被疑者は被告人と呼び名が代わり、逮捕・監禁罪ではそのまま身柄拘束され続けることが多いでしょう。起訴から刑事裁判まで1カ月ほどあります。また、虐待や誘拐などによる監禁行為は悪質であるため、初犯であっても実刑判決を受ける可能性は大いにあります。

逮捕・監禁罪で逮捕された後の対処法

逮捕・監禁罪によって逮捕されるとこのような流れで手続きがされていきます。結論を言いますと、逮捕・監禁罪は罪も重く、悪質であるケースも多いと考えられますので、厳しい捜査がされていくでしょう。こちらでは逮捕後の対処法についてご説明をしていきます。

正当性を主張する場合

逮捕・監禁罪は不当な逮捕・監禁で成立する罪です。つまり、逮捕・監禁に正当性があるのであれば、正当性を主張するという弁護方法が考えられます。ただ、これはかなり稀なケースです。
正当性がないにも関わらず、言い訳じみたことをしていると逆に反省していないとして拘束期間や罰則にも悪い影響が出る可能性もあります。きちんとした理由があっての逮捕・監禁であれば弁護士に相談の上、正当性を主張していきましょう。

被害者と示談を行なう

逮捕・監禁罪では逮捕・監禁された被害者がいると思いますが、被害者との示談交渉も対処方法として重要です。ただ、被害者は逮捕・監禁された加害者に対し相当な処罰感情や恐怖心を持っていると考えられるので、加害者本人やその家族からの示談には応じてくれないことが考えられます。
そこで、逮捕・監禁罪で示談交渉をお考えでしたら弁護士に依頼し間に入ってもらうようにして下さい。示談金の支払いや今後被害者と接触をしない、遠くに引っ越すなどの約束をし、和解をしていきます

逮捕されたのであれば弁護士に相談すること

このように、逮捕・監禁罪で逮捕されてしまったら、まずは弁護士に相談するようにして下さい。まずは逮捕されてしまったのであれば「当番弁護士」を一度だけ無料で呼べますので、利用してください。今後のアドバイスや対策を教示してもらえます。
示談交渉や正当性の主張など、具体的な弁護活動をしてもらいたいのであれば、費用が発生してしまいますが、私選弁護人をつけるようにし他方がよいでしょう。以下のリンクからお近くの刑事事件が得意な弁護士を探してください。

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まとめ

逮捕・監禁罪については、虐待や誘拐など悪質な犯罪と関連して成立することが考えられます。

もし逮捕されてしまったのであれば、いち早く対応するようにしましょう。

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弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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