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公開日:2019.6.14  更新日:2020.9.24

横領してしまった人と家族のその後|懲役刑を避けたい場合にすべき対応

当社在籍弁護士
監修記事
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「会社のお金を使ったら横領になる」というのは、会社員として勤めていれば常識でしょう。
しかし、借金の返済期日が迫っていてどうしても首が回らない、すぐに欲しいものがあるなどの状況で会社のお金を預かったら、つい魔が差してしまうこともあるかもしれません。

このようなケースは、横領の罪のなかでもとくに重く処罰される「業務上横領罪」に問われます。

この記事では、業務上横領罪の刑罰や生活への影響、解決への対処法を解説しましょう。

会社に横領がバレた方必読

今後予想されるトラブルとしては…

  • 被害金額の認識が一致せず会社と揉める
  • 法外な金額を請求されることもある
  • 警察沙汰になり、長期間捜査を受けることになる

横領は被害額が大きいため、捜査が複雑化・長期化することがあります。
また、横領をした立場上、会社との交渉では弱い立場に立たざるを得ません。
会社や警察への対応でお困りの方は、お住いの地域から刑事事件が得意な弁護士を検索し、一度ご相談ください。

 

刑法第253条|業務上横領

刑法では「横領の罪」の章に3つの形態が示されています。

  • 第252条 横領
  • 第253条 業務上横領
  • 第254条 遺失物等横領

特に注目ずべき業務上横領の条文を、確認してみましょう。

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

刑法第二百五十三条 業務上横領

「業務上」という強い信任関係を裏切って横領をはたらく行為であるため、ほかの横領よりも重い刑罰を規定されていることが、業務上横領の特徴です。

 

罰金刑はなく有罪なら懲役刑になる

業務上横領の刑罰は「10年以下の懲役」です。

振り込め詐欺などに代表される詐欺罪と同じ刑罰が規定されているので「つい魔が差した」という言い訳では許されないほどの重罪だと考えるべきでしょう。

罰金刑が規定されていないので、刑事裁判で有罪判決を受けた場合は懲役刑が科せられます。

 

刑事裁判になれば99%以上の確率で有罪

わが国の司法制度では、検察官が起訴して刑事裁判になった場合の有罪率は99.9%超です。

懲役刑を避けるためには、無罪を主張するのではなく、検察官が起訴する前に「不起訴処分」の獲得を目指すことが最善の策といえます。

「起訴されると99.9%の確率で有罪になる」という事実は、犯罪の容疑をかけられている方にとって非常に不安を感じるものです。

別の記事で詳しい対処法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

【関連記事】起訴されると99.9%の確率で有罪|不起訴処分となる3つのポイント

 

横領してしまった人のその後とは

会社だけではなく組合やPTAなど、組織が管理するお金を着服してしまったというケースは、業務上横領にあたり得ます。

もし、業務上横領を犯してしまった場合、その後はどうなってしまうのでしょうか?

 

横領がバレない限り繰り返してしまう

業務上横領の特徴的な傾向として挙げられるのが「常習性」です。

最初の1回の横領を穴埋めするために次の横領を、さらにその穴埋めのためにまた次の横領をといった「自転車操業」を繰り返してしまいます。

気がつけば何年も横領しては穴埋めする生活を送ることとなり、常に金策を考えるようになって、まともな精神状態ではいられなくなる可能性もあるでしょう。

最終的には、どうやっても穴埋めできない状態に陥ったり、会社の監査などで指摘されたりして、横領が発覚してしまいます。

 

横領が会社にバレた時に起こり得ること

横領が会社にバレてしまうと、どんな状況に陥ってしまうのでしょうか?

 

警察に通報されて刑事事件として立件

会社が警察に通報してしまうと、刑事事件として立件されてしまい、逮捕や刑事罰を受けるおそれがあります。

 

懲戒解雇などの重い懲戒処分がある

会社の就業規則によって規定があれば、解雇処分のなかでも特に不利益を被ってしまう「懲戒解雇」を受けるおそれがあります。

懲戒解雇になってしまうと、退職金が支払われない、再就職が難しくなるなど、多大なデメリットが生じるでしょう。

 

実名報道されてしまうこともある

刑事事件として立件され、警察に逮捕されてしまうと、新聞やニュースなどで実名報道をされるリスクもあります。

金額によっては初犯でも実刑となる可能性も横領した金額が大きかったり、その補填ができないなどの事情がある場合には、初犯でも実刑判決が下され、懲役に服することになる可能性もあります。

 

横領した人の家族のその後

業務上横領を犯したことによる悪影響は、本人だけでなくその家族にも及んでしまいます。

 

生活費として費消していた場合は返還義務が生じる可能性も

横領によって得たお金を生活費として費消していた場合は、会社から家族に対して、不当利得として返還請求をされる可能性があります。

もっとも、家族も横領したお金だとは知らなかった場合には、返還義務までは認められないケースが多いようです。

家族も「横領したお金だと知っていた」「そんなに収入があるはずがないとわかっていた」などのように、不当利得だという認識があった場合のリスクだと考えておきましょう。

 

身元保証人なら賠償請求をされる可能性もある

会社に入社する際に「身元保証人」を求められていた場合は、身元保証人が賠償責任を負う可能性もあります

横領額が巨額になれば、たとえ生活をともにしていない身元保証人であっても生活が破綻してしまうおそれもあるでしょう。

なお、民法改正によって2020年4月からの入社については身元保証の極度額が設定されていない契約は無効になります。

つまり、今後の身元保証人の責任は「極度額に応じた賠償責任」に限られます。

 

横領発覚・バレそうな時は弁護士相談を検討

会社に横領がバレてしまった、または穴埋めする資力がなく発覚は時間の問題といった状況に陥った場合は、弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼すれば、次のような対処法でリスクを最小限に抑えられる可能性があります。

 

会社に被害届・告訴を出さないように交渉してくれる

弁護士に依頼すれば、被害届や告訴を控えてもらうよう交渉してもらい、刑事事件としての立件を避けられる可能性があります。

刑事事件として立件されなければ、逮捕・刑罰のリスクが回避できます。

ただし、たとえ弁護士のサポートを得たとしても、和解する場合には相応額の損害補填や示談金の支払いが必要になります。

親族などに資金援助を求めるといった行動は欠かせないと思われます。

 

立件後も会社と示談交渉をして不起訴を目指せる

会社が被害届や告訴をしたことによって事件が立件されてしまっても、弁護士が代理人として示談交渉をすすめることで不起訴処分が獲得できる可能性があります。

たとえば、現実的な弁済計画を示して許しを請う、できる限りの弁済をして残額の支払い方法を提案するなどの交渉が成功すれば、被害届・告訴の取り下げも期待できるでしょう。

この交渉では、本人や家族だけで弁済計画を提案しても、信用してもらえない可能性があります。

弁護士を介して約束した弁済計画であることで、信用が上がることが期待できます。示談交渉には弁護士のサポートが必須といえます。

 

相談のタイミングは1日でも早いほうが良い

まだ会社には発覚していない、または会社による事情聴取やヒアリングの段階で警察が事態を把握していないといった段階でも、事件を解決するには1日でも早く弁護士に相談すべきです。

会社に横領の事実を告白するにしても、弁護士とともに事前に具体的な弁済計画を練り、弁護士を帯同したうえで対応すれば、事件化は避けられるかもしれません。

警察が事態を把握してしまったあとでも、素早く行動して示談が成立すれば逮捕・起訴が避けられる可能性もあるでしょう。

迷っている間にも事態は着々と深刻化し、時間が経てば取り返しのつかない状況へと陥ってしまいます。

事件を解決するには、1分1秒でも早く弁護士に相談することを強くおすすめします。

 

裁判所が横領で有罪判決を下した判例

業務上横領について実際に刑事裁判で有罪判決が下された例をみていきましょう。

ここでは3つの判例について挙げますが、同じようなケースでも必ず同程度の刑罰が下されるわけではないという点に留意してください。

 

資産管理担当者が5,900万円を投資に使い込み

会社で資金管理を任されていた業務課長が5,900万円を横領した事件では、懲役3年6か月(未決勾留120日を算入)の判決が下されました。

FXなどの投資に失敗した穴埋めとして会社の小切手を換金していた事件で、約737万円の被害を弁償しましたが全額返還には至りませんでした。

被害額が非常に多額であり、犯行の態様も悪質であるため、重い実刑判決が下された事例です。

事件番号  平成30(わ)307

事件名  業務上横領

裁判年月日  平成31年3月25日

裁判所名・部  高知地方裁判所

 

社団法人の経理担当が730万円を横領

社団法人の経理担当者が、法人の預金口座から3回にわたって約735万円を引き出して横領し、2年6か月(未決勾留90日を算入)の実刑判決が下された事例です。

高級ブランド品をクレジットカード払いで購入し返済日が迫るたびに横領を繰り返していた、横領の期間が長期にわたっていた、被害弁済は一切なされていなかったなどの状況があり、重い刑罰が下されました。

事件番号  平成29(わ)385

事件名  業務上横領被告事件

裁判年月日  平成30年5月8日

裁判所名・部  高知地方裁判所

 

司法書士が遺言執行時に752万円を自分の口座に送金

遺言執行者となった司法書士が、被相続人の預金約752万円を自分の口座に送金した事件では、懲役2年6か月、執行猶予3年の判決が下されました。

生活費の支出に使用していた口座に入金・支出していたため業務上横領に問われましたが、流用が一時的なものであったこと、横領額の全額を遺族に返還していることが評価され、執行猶予が付されました。

事件番号  平成25(わ)953

事件名  業務上横領

裁判年月日  平成26年9月2日

裁判所名・部  神戸地方裁判所  第4刑事部

 

まとめ

横領の罪のなかでも、業務上横領はとくに重い刑罰が規定されています。有罪判決が下されれば確実に懲役に処されるため、早急な対処が必要です。

「つい魔が差してしまった」というケースもあるかもしれませんが、被害弁済を含めた示談交渉が成功すれば逮捕・刑罰を回避できる可能性があります。

横領が会社にバレてしまった、まだ発覚していないが時間の問題だという方は、ひとりで悩むよりもまず弁護士への相談がおすすめです。

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この記事の監修者
当社在籍弁護士
弁護士登録後、地方で一般民事・家事、刑事事件を中心に様々な案件を手掛ける。次第に司法アクセスの改善に課題を感じ、2020年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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