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占有離脱物横領罪とは|罰則や裁判例・逮捕後の傾向について解説
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占有離脱物横領罪とは|罰則や裁判例・逮捕後の傾向について解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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占有離脱物横領罪(せんゆうりだつぶつおうりょうざい)とは、他人の占有を離れたものを、自分のものにすることで問われる罪です。

 

例えば、誰かの忘れ物を拾って自分のものにするなどの行為がこれにあたります。

 

俗に「ネコババ」「置き引き」とも呼ばれており、刑法上では「遺失物横領罪」という罪名が記されています。

 

この記事では、主に以下の5つについて説明します。

 

  • 占有離脱物横領罪とは

  • 占有離脱物横領罪にあたる行為

  • 占有離脱物横領罪の罰則や時効

  • 占有離脱物横領罪の判例

  • 占有離脱物横領罪で逮捕されたら

 

また、占有離脱物等横領罪と混同されやすい「横領罪」や「窃盗罪」との違いについても、わかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

 

置き引きなどで逮捕されたら弁護士に相談を

  1. 警察沙汰になっている
  2. 法外な示談金を請求されている

 

上に当てはまる場合、自力での解決は難しいかもしれません。このまま放置しておくと、家族や学校に知られるリスクが懸念されます。

 

お住いの地域から刑事事件が得意な弁護士を検索し、示談の依頼をしましょう。

 

占有離脱物横領罪とは

占有離脱物横領罪は横領罪の一種で、正式には「遺失物等横領罪」と呼ばれる罪です。呼び方の違いについては、同じ意味で使われると考えてよいでしょう。

 

どちらもあまり耳慣れない罪名かもしれませんが、俗に「ネコババ」とか「置き引き」とも呼ばれており、こちらのほうがイメージしやすいのではないでしょうか。

 

占有離脱物横領罪は刑法254条で定められており、条文は以下の通りです。

 

(遺失物等横領)

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法254

条文には「遺失物横領罪」と記されており、罰則は1年以下の懲役、または10万円以下の罰金もしくは科料です。

 

遺失物、漂流物、占有離脱物とは

条文には「遺失物」「漂流物」「その他占有を離れた他人の物」とあります。

 

それぞれどういう意味なのか、一つずつ確認していきましょう。

 

まず「遺失物」とは、わかりやすく言えば「落し物」のことで、占有者の意思に基づかずに占有を離れ、誰にも占有されていない状態の物をいいます。

 

ちなみに「占有」というのは、簡単に説明すると「自分の支配下に置いている状態」のことです。

 

「漂流物」は、水面や水中にある遺失物を指し、例えば川に沈んでいたり、湖に浮かんでいたりする物のことをいいます。

 

そして「占有を離れた他人の物」とは、上記2種類に当てはまらないものの、占有者の意思に基づかずに「占有」を離脱して(離れて)いて、誰にも占有されていない物のことです。

 

例を挙げると、飼い主の元から脱走するなどして迷い込んだペットや、誤配達された郵便物、レジで誤って多く渡されたおつりなどがこれに当てはまります。

 

占有離脱物横領罪の構成要件

占有離脱物横領罪の構成要件は次の2つです。

 

  1. 「遺失物」「漂流物」「その他占有を離れた他人の物」を
  2. 横領した者

 

順に確認してみましょう。

 

①については、前述「遺失物、漂流物、占有離脱物とは」の通りです。

 

②の「横領」とは、他人のものを自分のものにすることですので、①を対象とした横領罪ということですね。

 

横領罪については、下記の記事でより詳しく解説していますので、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

 

【関連記事】

横領罪とは|構成要件・時効・罰則・判例などについて解説

窃盗罪とは

 

占有離脱物横領罪にあたる行為

それでは、いったいどんな行為が占有離脱物横領罪に当てはまるのでしょうか。

 

落し物を拾って自分のものにした場合

落し物を自分のものにした場合は、「遺失物」を「横領」していますので、占有離脱物横領罪に問われます。

 

例えば、道で拾った財布をそのまま自分のものにした場合などです。

 

ゴミ捨て場にある物を持ち去った場合

「捨ててある物だから落し物ではない」「ゴミなら持ち去っても問題ない」という風に思えるかもしれませんが、これも占有離脱物横領罪と評価される場合があるため注意が必要です。

 

捨ててある物が、例えば盗まれた自転車であった場合は「占有者の意思に基づかずにその占有を離れた物」(遺失物)と判断され、占有離脱物横領罪に問われる可能性があります。

 

また、本当にゴミとして出されたものであっても、ゴミ捨て場の管理者や回収する業者、自治体にゴミの占有が認められる場合は「窃盗罪」になるケースもあり得ます。

 

占有離脱物横領罪と窃盗罪の違いについては、後述していますのでそちらをご覧ください。

 

レジで誤って多く渡されたおつりに気づいていながら持ち去った場合

買い物をした際、レジで店員からおつりを多くもらったことはありませんか?

「店員が勝手に間違えたんだから自分は悪くない」という考え方は危険です。

 

誤っておつりを多く渡されたことに後々気がついて、そのまま自分のものにしてしまった場合、これも占有離脱物横領罪と評価される場合があります。

 

店側が「占有している財産」が「占有者の意思に反して占有を離れた」ために差額分が「占有離脱物」と判断され、これを「横領」することで、占有離脱物横領罪が成立する可能性があるわけです。

 

占有離脱物横領罪の時効

占有離脱物横領罪の時効は、刑事訴訟法で定められており、以下の通り3年です。

 

六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年

引用元:刑事訴訟法第250条2項6号

 

占有離脱物横領罪と他の犯罪との違い

ここからは、占有離脱物横領罪と混同されやすい犯罪について解説します。

 

占有離脱物横領罪は横領罪の一種

横領罪という罪は3種類に分けられています。

その名称は以下の通りです。

 

  1. 単純横領罪

  2. 業務上横領罪

  3. 遺失物等横領罪

 

この3つの罪の総称が「横領罪」と呼ばれているのです。

 

占有離脱物横領罪は、冒頭で紹介したように、3つ目の「遺失物等横領罪」にあたります。

 

【関連記事】横領罪とは|構成要件・時効・罰則・判例などについて解説

 

占有離脱物横領罪と窃盗罪の違い

窃盗罪とは、他人の占有下にあるものを、相手の意思に反して奪うことをいいます。

 

それに対して、占有離脱物横領罪は、その名の通り占有を離脱した(離れた)ものを持ち去る行為ですから、「占有」の有無という点で占有離脱物横領罪とは異なります。

 

【関連記事】窃盗罪とは

 

占有離脱物横領罪の判例

ここからは、占有離脱物横領罪の実際の裁判事例を紹介します。

 

占有離脱物横領罪の再犯、懲役10ヶ月、保護観察付執行猶予4年

何者かが窃盗し放置した自転車を持ち去った事件です。

 

被告人は約1年半の間に計4台もの自転車を持ち去ったとして、懲役10ヶ月、執行猶予4年の判決を言い渡されました。

 

被告人は、この事件以前にも同様に自転車の占有離脱物横領罪で懲役10ヶ月、執行猶予5年の判決を受けており、その期間内に起こした事件であることから、常習性は根深いとされました。

 

しかし下記の点などを考慮した結果、保護観察付としたうえで、再度刑の執行を猶予する判断が下されたとのことです。

 

  • 被害額が比較的低いこと

  • 被告人は70代半ばと高齢で、簡易鑑定において認知判断能力が標準より低いと診断されたこと

  • 支援センターの相談員が釈放後の支援が可能と述べていること

  • 被告人も上記相談員との面接で養護老人ホームへの入所を希望し、職員等の指導に従うと述べていること

 

裁判年月日 平成25年 3月 6日

裁判所名 千葉地裁

裁判区分 判決

事件番号 平24(わ)10598号

事件名 占有離脱物横領被告事件

参考:文献番号 2013WLJPCA03069005

 

執行猶予期間中の占有離脱物横領罪・懲役6ヶ月

スロット店で隣の客が置き忘れた財布を持ち去った事件です。

 

被告人は前科2犯で、窃盗罪により1年6ヶ月の懲役、執行猶予3年と、窃盗・建造物侵入の罪で懲役1年、保護観察付で執行猶予5年に処されていました。

 

反省、更生の機会を度々与えられていたにもかかわらず再び犯行に及んだことから、被害者との示談が成立していたものの、実刑判決はやむを得ないとして、懲役6ヶ月の判決が下されています。

 

裁判年月日 平成30年 6月22日 

裁判所名 大阪地裁岸和田支部 

裁判区分 判決

事件番号 平30(わ)41号

事件名 窃盗被告事件

参考:文献番号 2018WLJPCA06226008

 

占有離脱物横領罪で逮捕されたら

占有離脱物横領罪に問われ逮捕されてしまったら、いったいどうすればよいのでしょうか。

 

いくつかのケースに分けて解説します。

 

微罪処分となるケース

微罪処分とは、比較的軽微な罪を犯した場合、以降の刑事手続に進まずに身柄拘束されない処分をいいます。

 

微罪処分となった場合は、刑事手続が行われないため、前科もつきません。

 

どういった場合が微罪処分になるのかといった明確な基準はなく、目安としては、犯行内容が悪質でなく、被害額が2万円以下のケースでは、微罪処分とされる傾向があるようです。

 

ただし、どのような判断がなされるかは警察の裁量次第ですので、必ずしも微罪処分になるとは限りません。

 

【関連記事】微罪処分は逮捕後の最速の釈放|微罪処分となるための基準

 

裁判になるケース

占有離脱物横領罪は、比較的軽微な罪として扱われがちな罪ですが、犯行内容が悪質であったり、被害額が高額であったりすると、起訴されて刑事処分を受ける可能性があります。

 

刑事裁判で有罪判決が出れば、前科がついてしまいます。

 

示談できるケース

示談金については、一般的には被害品を返却、または被害額を弁償して示談が成立することが多い傾向にありますが、被害者に納得してもらえなければ、被害品の額に慰謝料が上乗せされることもあります。

 

【関連記事】刑事事件の示談を弁護士に依頼するメリット|選び方や費用相場も解説

 

 

弁護士へ依頼するべき状況は?

ここからは、弁護士への依頼が必要なのは、どういった状況なのかについて解説していきます。

 

弁護士に依頼をするには、基本的には弁護士費用が必要です。そのため、被害額、状況が軽微なものであるケースだと、出費がかさみ、結果的に収支がマイナスになってしまうこともあるでしょう。

 

費用については慎重に判断する必要がありますが、例えば次のような場合には、弁護士の力を借りることを検討したほうがよいかもしれません。

 

  • 逮捕され在宅事件となっている場合

  • 示談がまとまらない場合

  • 前科をつけたくない場合

 

一つずつ確認していきます。

 

逮捕され在宅事件となっている場合

警察に逮捕され、在宅事件となっている場合は、弁護士に相談したほうがよいかもしれません。

 

在宅事件になったとしても、検察の判断次第では起訴されてしまい、刑事裁判となってしまう可能性はあるでしょう。

 

裁判で有罪となればたとえ罰金刑であっても前科がついてしまいます。

 

示談がまとまらない場合

ご自分でうまく示談をまとめられない、という状況にある場合は、弁護士の力を借りることをおすすめします。

 

被害者のなかには、加害者によい感情を抱いていなかったり、連絡を直接取りたくなかったりする人もいます。そのようなケースでは、弁護士が間に入ることで、示談を円滑に進めていくことができるかもしれません。

 

前科をつけたくない場合

逮捕後・在宅事件となっている方で、「前科をつけたくない」という場合は、弁護士へ依頼したほうがよいでしょう。

 

起訴されれば、高い確率で前科がついてしまいますし、略式起訴は罰金刑ですが、それでも前科はつきます。弁護士に相談すれば、あなたの状況に合わせて、「どうしたら前科がつかずにすむか」、つまり「不起訴になるか」を検討し、提案してくれるでしょう。

 

【関連記事】前科と前歴の違い|知っておきたいその後の生活の影響度

 

 

弁護士費用が払えないときは?

どうしても弁護士に依頼したいけれど、費用を負担できない…という方もいると思いますが、もしも勾留処分を受けているという場合は「国選弁護人」に依頼をするという手段もあります。

 

国選弁護人は、弁護士を指名できないなどのデメリットはあるものの、国が弁護士費用を負担してくれますので、費用の心配はありません。

 

費用を抑えることを優先するのであれば、下記の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

 

【関連記事】

弁護士費用が払えない時に使える制度と弁護士費用を抑える為に出来る事

国が弁護士費用を負担する国選弁護人にはデメリットも多い

 

まとめ

占有離脱物横領罪は横領罪の一種で、遺失物・漂流物・その他占有を離れた他人のものを横領した場合に問われる罪です。

 

例えば、道に落ちている財布や放置された自転車を持ち去ったり、レジで誤って多く渡されたおつりに後々気がついたがそのまま自分のものにしたりすることがこれに当てはまります。

 

そのほかにもさまざまな状況や事例がありますが、いずれも比較的身近に起こり得る犯罪といえるでしょう。

 

それゆえに、犯罪になるなどと思わず、軽い気持ちで及んでしまう人も少なくありません。

 

占有離脱物横領罪の罰則は1年以下の懲役、または10万円以下の罰金もしくは科料で、時効は3年です。

 

また、比較的軽微な罪とされている占有離脱物横領罪ですが、場合によっては裁判にまで発展してしまうケースもあります。

 

軽微だからといって「大事にはならないだろう」とご自分だけで判断するのは危険です。

 

占有離脱物横領罪で逮捕されたという場合には、この記事を参考に、弁護士へ相談することを検討してみてください。

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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