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「着服」と「横領」は似た言葉であり、ともに「他人の財物を自分のものにする」という行為を指します。異なる点としては、着服の場合はニュースなどで使われたりする一般用語ですが、横領の場合は刑法でも規定されている法律用語です。
例えば、他人のお金をひそかに使い込んだり、不正に会社の売り上げを自分の口座へ振り込んだりした場合には、横領罪が成立して懲役刑が科される恐れがあります。
日本では、以下のように着服・横領事件が年間1,000件以上も発生しています。
また、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の調査による427社へのアンケートによると、2018年と2020年を比較した場合、約6%被害が増えており、新型コロナウイルスによる不況で今後もこのような事件が増える可能性があります(企業の不正リスク調査白書|Deloitte)。
なかには着服額を返済することで事態が終結することもありますが、逮捕されて実刑判決が下される可能性もあります。
着服をするとどのような罰則が科されるのか、不起訴処分や執行猶予などの減刑を獲得するためには何をするべきかなど、着服してしまった場合に知っておくべきポイントを押さえておきましょう。
この記事では、着服と横領の違いや罰則、着服が発覚した場合の流れや、減刑獲得のために取るべき対応などを解説します。
着服を1回でもしてしまった方へ
1回でも、少額でも会社のお金を使い込んでしまったら、「業務上横領」として逮捕される可能性があります。
法律知識や交渉経験のない素人では、会社との交渉で弱い立場に立たざるを得ません。
着服により会社や警察への対応でお困りの方は、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。
- 今後の自分が取るべき対応がわかる
- 逮捕や実刑を回避するための助言をもらえる
- 示談交渉などの減刑獲得に向けた弁護活動をしてもらえる など
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。
※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条
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【1分でわかる】着服と横領の違い
着服も横領も「他人の財物を自分のものにしてしまうこと」を指し、基本的には同義です。ただ、着服が一般用語であるのに対して、横領は法律用語です。
着服の対象となる財物は「お金」に限らず、車や不動産など、あらゆる財物がこれに含まれます。
このような財物について、以下のように処分・売買した場合、着服になる可能性があります。
- 他人のお金を自分のために使う
- 他人のお金を自分の個人口座に入れる
- 他人の不動産を許可なく売り払う
着服は何罪? 状況別でみる問われる可能性のある罰則
着服によって問われ得るのは「横領罪」です。具体的には、以下のとおりです。
個人的に預かったものを着服したら「(単純)横領罪」
単純横領罪とは、刑法252条に定められている一般的な横領罪のことです。
他人が所有している財物や、他人から預かるように言われている財物を勝手に売却・処分することで、単純横領罪が成立します。
単純横領罪の法定刑は5年以下の懲役です。
会社のお金を使い込んだら「業務上横領罪」
仕事の売り上げ金や財物などを使い込んでしまった場合は「業務上横領」に該当します。
たとえば、会社の経理担当が会社のお金を自分の口座に入金したケースや、お金を適正に管理すべき集金担当が集めたお金を自分のものとして使ってしまったケースなどは、業務上横領が成立する可能性が高いでしょう。
なお、レジ担当のアルバイトがお店のレジからお金を取った場合については、横領罪ではなく窃盗罪に問われる可能性が高いと思われます。
業務上横領の法定刑は刑法253条に定められており、10年以下の懲役です。
他人の着服を見た・知らない間に着服を手助けしたら
犯罪に協力して手助けした場合には、「幇助犯」として逮捕される可能性があります。幇助犯とは、共犯の一種です。
たとえば、「他人の着服を目撃したにもかかわらず、黙っていたケース」「着服のお金と知らずにそのお金を使った、着服するためとは知らずパスワードを教えてしまった」などのケースではどうなるのでしょうか?
他人の着服を見てしまったが黙っていた
「自分は直接お金を着服していないが、同僚が会社のお金を着服しているところを見てしまい、気まずくて言い出せなかった」というようなケースです。
幇助が成立するためには、以下のような要件を満たす必要があります。
- 幇助行為
- 正犯の実行行為
- 幇助行為が正犯の実行行為を容易にしたという因果関係
- 幇助の意思
着服を止めるべき立場にある者が見て見ぬふりをしている場合、罪に問われる可能性もありますが(不作為の幇助)、そのようなケースはあまり多くはないと思われます。
見て見ぬ振りが即座に幇助などに該当してしまえば、人が「犯罪を止めること」などの特定の行動を法律・刑罰によって強制的におこなわせているに等しいからです。
「何もしなかった」あるいは「見て見ぬふりをした」だけで罪に問われるケースは、ある程度限られたケースになります。
ただ、いずれにせよケースバイケースになりますので、早い段階で会社のコンプライアンス相談窓口か弁護士へ相談することをおすすめします。
知らないうちに共犯者と疑われてしまった場合
なかには、自分が知らないうちに共犯者と疑われてしまうケースもあります。たとえば、以下のような2つのケースです。
ケース①
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彼氏が会社のお金を着服しており、彼女は何も知らないまま彼氏の着服したお金で食事や旅行をし、その後に着服行為が発覚した。
ケース②
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社内の人間から「パスワードを教えてほしい」と言われ、何の疑問もなく経理や支払いに関するデータのパスワードを教えてしまい、後日その人の着服行為が発覚した。
このようなケースでは、自分が知らないうちに共犯者として疑われる可能性があります。
①では、横領の手助けは一切していないこと、横領の事実を知らなかったこと、②では、着服の意思がないこと、自分は一切お金を受け取っていないことなどを丁寧に説明する必要があります。
いずれにしても、もし疑われた場合はできるだけ早い段階で弁護士へ相談しましょう。
弁護士であれば、このままだと逮捕される恐れがあるのかどうかアドバイスしてくれますし、もし逮捕の可能性がある場合は、事件対応を依頼することで減刑獲得に向けて動いてくれます。
着服(単純横領・業務上横領)の時効
単純横領罪や業務上横領罪には公訴時効があります。
単純横領罪の公訴時効は5年、業務上横領罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法第250条2項4号、5号)。これらの期間を過ぎた場合、刑事裁判は開かれず、刑罰も科せられません。
他方、民事的には、横領行為は不法行為として損害賠償請求の対象となります。
その権利消滅時効は、被害者が横領行為を知ってから3年(2020年4月1日以降に犯行があった場合)または横領行為時から20年です(民法第724条1項、2項)。これらの期間を過ぎて時効が成立した場合、損害賠償請求権は消滅します。
なお、これを不当利得として返還を求めることも可能ですが、この場合の不当利得返還請求権の消滅時効は、着服を知った時から5年または着服があってから10年となります(民法第166条1項1号、2号)。
高額なお金を着服し使い込んだ横領事件(ニュース)
実際に発生した、会社のお金の使い込みや着服による横領事件について紹介します。
経理の立場を利用して1億円以上着服した事件
2020年には、横領額が1億円を超える大きな横領事件が発生しました。
この事件では、横領で逮捕された女性は大学卒業後に船舶用資材販売会社に入社し、経理を担当していました。女性はその立場を利用して、2014年から2019年までの5年間に、ネットバンキングを利用して自らの預金口座へ60回以上も送金していました。
着服が発覚したのは、2020年におこなわれた内部調査がきっかけでした。
当時、女性はひとりで経理を担当しており、着服したお金は架空の取引に対する支払いのように見せかけ、会社から自分の預金口座への送金額は1億5,600万円にものぼります。
女性は、着服したお金をブランド品の購入費や実家の生活費として使っていました。2020年3月の時点で、女性は会社を解雇されています。
顧客のキャッシュカードからの預金を着服した事件
2020年には、JA職員の横領事件も発覚しています。以下はJAつくばの職員による横領ニュースです。
その職員は、定期預金の口座開設や解約を希望していた顧客女性から、預かる必要のないキャッシュカードなどを預かり、2019年から2020年10月までの間にそのキャッシュカードを利用して約700万円を着服していました。
なお、その職員と女性は30年前から知り合いだったとのことです。
着服したお金をすぐに返しても違法になる理由
着服したお金をすぐに返しても、罪に問われます。
横領罪とは「自らが占有している他の人の財物を無断で使ったり、処分したりすること(刑法第252条)」ですから、使用・処分の時点で犯罪は成立しており、後からお金を返しても罪を犯した事実は消えません。
ただし、着服をしたからといって、全てのケースで立件されたり逮捕されたりするわけではありません。
会社の方針により、着服額・着服に至った事情・今までの会社への貢献度などを考慮して、場合によっては着服額の返済だけで終結する可能性があります。
お金の使いこみをされた人や会社が重視するのは「お金が返って来るか」ではないでしょうか。このような観点から、もし「返ってきそうだ」と判断できる場合であれば、着服について告訴しないこともあるでしょう。
着服が発覚した後の流れ
着服をしてしまった場合には、まず会社に正直に謝罪し、示談交渉を行いましょう。できるだけ早い段階で謝罪することで、会社によっては懲戒解雇などの処分を受けることなく、継続して働かせてもらえる可能性もあります。
示談交渉では、着服してしまったお金を完済するとともに、「被害届を提出しない」などの約束も取りつけられると良いでしょう。すでに会社が被害届を出してしまった場合は、取下げをしてもらえないか交渉しましょう。
被害届を出されてしまうと、場合によっては警察による取り調べなどが行われ、逮捕に至る可能性があります。
もし逮捕された場合、以下のような流れで刑事手続きが進められます。
着服で弁護士に依頼するメリット
単純横領罪・業務上横領罪ともに罰金刑はなく、たとえ初犯でも実刑判決が下される可能性があります。減刑獲得に向けて動きたいのであれば、速やかに弁護士に依頼しましょう。
①1人で対応しなくてよくなる
例えば、会社の金品を着服した場合には、自分一人で会社と被害弁償や今後の自分の処分などについて話し合わなければなりません。
しかし、法律知識や交渉経験のない素人が、会社を相手に対応するのは難しいでしょう。
相手に交渉の主導権を握られてしまって、解雇などの厳しい処分が下されたり、被害状況に見合わない額の賠償金を請求されたりすることもあり得ます。
弁護士であれば、交渉対応を代行してくれますので手間が省けますし、これまで培ってきたノウハウを活かして交渉してもらうことで、解雇を回避できたりする可能性も高まります。
②刑事処分について的確なアドバイスを受けられる
会社が被害届を出した場合には、刑事事件として捜査が開始され、逮捕・勾留・起訴される可能性があります。
逮捕後はスピーディに刑事手続きが進行し、起訴・不起訴の判断が下されるまで最大23日間しかありません。
起訴されると99.9%の確率で有罪となり、単純横領罪または業務上横領罪の場合、執行猶予が付かない限りは刑務所に収監されることになります。
弁護士に相談すれば、逮捕や実刑を回避するためにどうすればよいかアドバイスしてくれます。弁護活動を依頼した場合には、証言や証拠の収集・意見書の作成・再犯防止策の策定など、減刑獲得に向けたサポートが受けられます。
着服を弁護士に依頼した場合の解決事例
以下では、当サイト「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」を介して、実際に問題解決できた事例を紹介します。
横領事件による出頭要請に同行し、逮捕を回避して不起訴を獲得できた事例
この事例では、依頼者が会社の売上金を複数回横領し、警察から出頭要請が来て、弁護士への相談を決意しました。会社から請求された金額は弁償済みでしたが、会社の規模が大きく、ただ返済しただけで問題解決できるものではありませんでした。
警察からの第1回目の出頭要請時、弁護士が同行して逮捕回避の意見書を提出した結果、在宅捜査になりました(身柄拘束されず、通常通り出勤などが可能な捜査手続き)。
その後、検察と面談して不起訴の意見書を提出したところ不起訴を獲得し、前科がつかずにすみました。
着服金返済中に逮捕されたものの、実刑を回避できた事例
この事例では、福祉施設の事務長を務めていた依頼者が、数年間の間に2,000万円を超える着服をおこない、被害者に返済している最中に逮捕され、起訴された事件です。
弁護士がおこなったサポートとして、被害者との示談を成立させて示談書を交わしたほか、その示談に強制力を持たせるために、刑事和解の制度を利用して和解調書を作成しました。
さらに、新たな職場の確保と家庭環境の調整を図って、依頼者自身が犯した事実について見つめ直すことができる種々の教育を施し、罪の重大さを認識して再犯防止に努めていく姿勢をアピールした結果、このような多額の被害では異例の執行猶予判決を獲得することに成功しました。
まとめ
着服も横領も基本的には同義であり、「他人の財物を自分のものにする」という犯罪行為です。このような行為を犯してしまうと、単純横領罪や業務上横領罪などに問われる恐れがあります。
単純横領罪・業務上横領罪ともに罰金刑はなく、もし逮捕されて有罪になった場合、執行猶予が付かない限りは刑務所に行くことになります。
示談交渉などが成立していれば処分が軽くなる可能性はありますが、減刑獲得のためには最低限の法律知識や交渉力などが必要です。
弁護士であれば、今後の対応について法的視点からアドバイスが望めるほか、示談交渉などの減刑獲得に向けた弁護活動を代行してくれます。初回相談無料の事務所もありますので、まずは相談してみましょう。
着服を1回でもしてしまった方へ
1回でも、少額でも会社のお金を使い込んでしまったら、「業務上横領」として逮捕される可能性があります。
法律知識や交渉経験のない素人では、会社との交渉で弱い立場に立たざるを得ません。
着服により会社や警察への対応でお困りの方は、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。
- 今後の自分が取るべき対応がわかる
- 逮捕や実刑を回避するための助言をもらえる
- 示談交渉などの減刑獲得に向けた弁護活動をしてもらえる など
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。
※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条
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