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公開日:2018.2.13  更新日:2020.9.17

背任罪・横領罪とは|両者の違いと実刑になった場合の罪の重さ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Drik

背任罪、横領罪、どちらも聞きなれない言葉で、その意味をしっかりと理解できている方は決して多くないことでしょう。

今回は背任罪と横領罪が刑法ではどのように規定されているのか、できるだけ噛み砕いて解説するとともに、両者の違いや罪の重さなどを紹介していきます。
 

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背任罪とは

背任罪は刑法で下記のように規定されています。
 

刑法247条 他

人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。


背任罪は目的犯であり、自己もしくは第三者の利益を図る目的、または本人に損害を加える目的があることが求められ、いくら自分の不手際により、利益を害したとしても、目的を欠く場合は犯罪は不成立になります。
 

背任罪の構成要件

背任罪の構成要件は「他人のために事務を処理する者」が「自己・第三者の図利または相手への加害目的」で「任務違背行為」を行い「財産上の損害」を与えた場合です。

他人のために事務処理をする者

背任罪の主体は、「他人の事務処理者」に限られており、他人固有の事務を本人に代わって行うという関係が認められることが必要になります。

他人固有の事務を本人に代わって行うという関係と聞けば少し難しく思えるかもしれませんが、私たちの身近なところで言えば「雇用」が挙げられます。

例えば、ある企業に勤めている会社員がライバル会社に勤めている企業の極秘情報を漏らしたとします。

このことによって勤めている会社が何らかの損害を受けた場合、背任罪が成立し、雇用以外にも、委任、寄託、請負など、一定の信頼関係であれば、背任罪は成り立ちます

自己・第三者の図利または相手への加害目的

図利とは、「利益を図ること」であり、背任罪の場合、主体が「他人の事務に関わっている者」なので、自分もしくは自分以外の第三者が任務を請け負っている相手に対して、利益目的や損害を与える目的ということになります。

任務違背行為

任務違背行為とは、「任務に背く行為」のことです。

典型的な例としては、 回収の見込みがはっきりしないのに,情実などから特別に担保など回収確保の措置をとらずに貸し付ける「不良貸付」や、会社の決算で実際には儲かっていないが儲かっているかのように帳簿などを操作する「粉飾決算」などが 挙げられます。

財産上の損害

本人の全体財産から見て、財産上の価値が減少することを「財産上の損害」と言います。

実際に持っているお金や物が減ること(積極的損害)だけでなく、 本来ならば得られるべきはずだった利益が、妨害されるなどして得られる機会を失ってしまうこと(消極的損害)なども「財産上の損害」に該当します。

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横領罪とは

横領罪は他人から委託をうけて預かっているものを自己の利益の為に使ってしまう(処分) 行為です。
 

第252条
1. 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2. 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。


背任罪とよく似ている、「横領罪」ですが、この横領罪との決定的な違いは横領罪が特定の物に対するのに対し、財産上の利益ないし全体財産に対する罪であることなどです。

横領罪の構成要件

横領罪の構成要件は「自己の占有する他人の物」を「委託信任関係」に背いて「横領」すること。とされています。

横領罪は基本的に、単純横領罪を指し、本質的な問題は「委託関係」つまり、委託者と受託者との間の信頼関係の侵害です。

自己の占有する他人の物

単純横領罪において、その客体は自己の占有する他人の物に限られます。 例に出すと、人から預金通帳を預かったが、無断でお金を引き出し、使ったりすると、横領罪に当たります。

※物の定義
「自己の占有する他人の物」とされていますが、「物」の定義は窃盗罪でいう「財物」と同じ意味を指し、基本的に有体物(動産・不動産も含む)のことを言います。

委託関係

単純横領罪が成立するには、他人との間に「委託関係」が成立することが条件となり、更に、「契約」を受けて委託されていなければなりません。

委託関係とは、委任、寄託、賃貸借、などの物の保管を内容とする契約などから生じる関係のことであり、口約束でも契約は成立するとみなされます。

これらは刑法上の条文には明記されていませんが、委託関係が成立していなければ、「占有離脱物横領罪」になることから、委託関係は明文上の規定を欠く、書かざれる構成要件となります。

横領罪の分類

横領罪とは、基本的には単純横領罪のことを指しますが、その他に、業務上横領罪、遺失物等横領罪に分類されます。

業務上横領罪

業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する罪を業務上横領罪といいます。
 

刑法第253条 
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。


業務上横領罪は単純横領罪とは違い、「業務上」という更に信頼関係がより重要視される立場を侵害する行為とみなされ、単純横領罪は最高懲役が5年なのに対し、業務上横領罪は10年と更に重く刑が科されます。

関連記事:業務上横領罪とは|罰則や判例・発覚後の対応を解説

遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)

遺失物、漂流物その他占有物を離れた他人の物を横領した場合に成立する罪を遺失物横領罪(占有離脱物横領罪)といいます。
 

第254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。


 この罪は、単純横領罪・業務上横領罪とは違い、占有者との間に委託信任関係がない点で、狭義の横領罪とは異なります。

占有離脱物とは、占有者の意思に基づかずにその占有を離れたもので、意思による離脱物を「廃棄物」(捨てたもの)と言います。

関連記事:占有離脱物横領罪とは|罰則や裁判例・逮捕後の傾向について解説

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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