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公開日:2019.12.10  更新日:2019.12.10

万引は現行犯以外でも逮捕される?|実際に逮捕された事例を確認

東京スタートアップ法律事務所
中川 浩秀 弁護士
監修記事
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万引は窃盗罪に問われ、多くの場合は現行犯逮捕で検挙されます。しかし現行犯以外にも、後日逮捕されることも少なくありません。

 

実際被害額や常習性を鑑みれば、現行犯でなくとも逮捕したほうが良いと判断されることもあるのです。

 

この記事では、万引をした場合の現行犯以外の逮捕の種類と、実際に現行犯以外で逮捕された事例について紹介します。

 

また万引により逮捕されてしまった場合、刑事手続がどのように進むのかについても、確認しておきましょう。

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現行犯を含めた逮捕3種類

万引は現行犯以外でも逮捕されることは前述の通りですが、現行犯以外の逮捕には、「後日逮捕(通常逮捕)」と「緊急逮捕」があります。

 

それぞれの詳細と、万引における実情を紹介します。

 

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、犯罪を行ったその現場や、その直後を目撃した状況で逮捕することを指します。

 

逮捕状を必要とせず、警察官でなくても逮捕できることが特徴です。とはいえ一般人が逮捕するには、以下の要件を満たす必要があります。

私人による現行犯逮捕の条件

  • 犯人が現行犯人・準現行犯人であること
  • 刑罰が30万円以下の罰金、拘留、科料の犯罪である場合、犯人の住所・氏名が不明で、犯人が逃走する恐れがあること

この要件を満たせない場合、善意・正義感で逮捕したにも関わらず逮捕・監禁罪に問われる可能性があります。

 

とはいえ万引の場合は、現行犯であれば警察官以外でも現行犯逮捕が可能であることは、間違いありません。

 

一般的に万引は現行犯逮捕が多い

万引の逮捕事例としては、実際は現行犯逮捕がほとんどでしょう。ほとんどの施設において、勤務中の警察官が常駐しているということはありません。

 

しかし何度も万引きをしていると店などから警察に通報がなされ、犯人が来店するタイミングに合わせて警察官が張っているということがあります。

 

またスーパーやドラッグストアなどの日用品店においては、被害額が大きくないことがほとんどであるため、必ず万全な捜査が行われるとは限りません。

 

それらの日用品店が万引犯を捕まえるためには、現行犯逮捕が合理的と考えられます。

 

店員に拘束された時点で逮捕は成立する

万引きをしたと疑われている人は、逮捕によって身体を拘束されますが、逮捕時点では犯罪者と確定したわけではありません。逮捕は、犯罪者を特定し、十分な取調べを行うための捜査活動の一環です。

 

そのため、店員のような一般人であっても、犯人と疑わしき人の身体拘束をして、捜査のために警察を引き渡すことができます。

 

万引をすると店員や警備員から「話を聞きたい」といった、比較的穏やかな形で声をかけられることがあるでしょう。

 

しかし、事務室に連れて行かれたり、身体の自由を奪われたりした時点で、店員という私人による逮捕が成立する可能性があります。

 

後日逮捕(通常逮捕)

万引において現行犯逮捕以外で考えられるものは、この後日逮捕でしょう。通常逮捕と呼ばれることもあり、現行犯逮捕とは違い警察・検察などの権限のある者にしか行えません。

 

また、後日逮捕には逮捕のための令状(逮捕状)が必要になるため、裁判所の許可がない後日逮捕は許されていないのです。

 

多くの場合は警察が逮捕状を持って自宅に訪れ、そのまま逮捕・連行という流れになります。

 

防犯カメラから万引の後日逮捕にいたる可能性がある

万引で後日逮捕にいたるパターンとして、店舗からの被害届の提出を受けて、警察が防犯カメラから犯人を特定することが考えられるでしょう。

 

また防犯カメラ以外にも、周辺住民からの聞き込みや店員からの証言、ポイントカード・クレジットカードの情報照会などで逮捕にいたる可能性もあります。

 

現行犯逮捕ほど多い事例ではありませんが、実際に万引で後日逮捕にいたる例もあります。

 

オークション・フリマサービスでの転売からの特定・逮捕

近年では、インターネットのオークションサービスやフリーマーケットサービスから、万引の後日逮捕につながる例もあります。

 

盗品の転売と思われる不審な出品があった場合、サービスのユーザーや運営会社からの通報により、万引犯の特定にいたることがあるのです。

 

全国で販売されており、比較的高価で、サイズの小さい物品が多く、実例としては「カミソリの替刃」、「化粧品」、「革小物」などが挙げられます。これらの物は万引きの対象とされやすいのです。

 

被害額と常習性によっては可能性が高まるおそれがある

万引の被害額や常習性によっては、後日逮捕にいたる可能性が高まるでしょう。

 

高額なものはもちろんですが、少額のものであったとしても、何度も繰り返されればお店の被害は大きくなります。

 

また初犯であるため厳重注意で終わった犯人の場合、二度三度と繰り返せば、お店も対処に困り警察に頼る他ありません。

 

緊急逮捕

逮捕の種類として、緊急逮捕というものもあります。こちらも通常逮捕と同様、警察といった権限がある者にしか許されていません。

 

しかし緊急逮捕は犯行を視認したわけでもなく、逮捕令状を持っていなかったとしても逮捕が可能です。

 

たとえば職務質問をした際、持ち物の中に盗品と思われる物があったり、危険物を持っていたりした場合には緊急逮捕が考えられます。

 

万引の場合でいえば、万引の直後に職務質問をされて、持ち物に万引防止の防犯タグが付いたままであったり、不自然に同じ商品が大量にあったりすれば緊急逮捕にいたる可能性があるでしょう。

 

ただし現行犯逮捕・後日逮捕と比較すると、それほど多い事例とはいえないかもしれません。

 

実際に万引が現行犯以外で逮捕された事例

ここでは実際に、現行犯逮捕以外の方法で万引犯が逮捕された事例を確認しておきましょう。

 

あくまでニュースになっているものですので、実際はもっと多くの万引犯が現行犯で捕まっているかもしれません。

 

犯人の車のナンバーを110番通報し防犯カメラから特定

このニュースでは、大阪府警箕面署の警察官がコンビニでダイエット用のサプリを万引したとして、逮捕にいたりました。

 

休暇中である犯人の警察官が、ポケットにサプリを入れた瞬間が防犯カメラに写っており、車のナンバーを覚えていたお店が警察に通報し、後日逮捕となったのです。

参考:地域課長の男性警部逮捕=コンビニで万引き容疑-大阪府警|時事ドットコム

 

万引品をフリマアプリで転売して370万円を稼いだ少年らを逮捕

このニュースでは、300点近くの商品を万引し、フリーマケットアプリで転売していた少年ら2人を逮捕したものです。

 

渋谷区内の洋服店から「店のタグがついたままの商品が、フリマアプリに出品されている」と渋谷署に相談があり、捜査に乗り出したところ、逮捕にいたりました。

 

少年の自宅からは約280点の商品が見つかり、これまでに370万円の不正な利益を得たいたようです。

 

このようにフリマアプリを実際に見て、不審な出品から逮捕にいたることもあります。

参考:万引き容疑で2人逮捕 グループ名「短期大学」で連携|朝日新聞デジタル

 

万引が現行犯以外で逮捕された場合の流れ

もしも万引で逮捕された場合、刑事裁判にかけられるかどうかが決まるまで、最長で23日間の身体拘束を受ける可能性があります。

 

被害額が小さく初犯である場合は、逮捕された直後に微罪処分として釈放される可能性もあるでしょう。

 

また逃亡・証拠隠滅などの可能性がないと判断された場合は、在宅事件として身体拘束を受けずに捜査を受けることになるかもしれません。

 

今回は一般的に逮捕されたときにイメージする、身体拘束を伴う身柄事件であった場合の流れを紹介します。

 

逮捕|最長48時間の拘留期間中に送検するか判断

万引により現行犯、もしくは後日逮捕・緊急逮捕などをされた場合、警察から取調べを受けることになるでしょう。

 

取調べを受けている間も刑事手続は進行し、逮捕から48時間以内に送致(送検)すべきかどうかが判断されます。

 

この段階では弁護士以外の接見(身体拘束されている被疑者と面会をすること)はできず、家族や会社といった周囲の人には弁護士経由でしか連絡できません。

 

外部への連絡や、取調べに対する助言をもらうには、早期段階で弁護士への相談を検討してください。

 

当番弁護士制度を利用すれば、無料で1度だけ弁護士を呼べますが、刑事事件・万引事件の経験・実績が豊富な弁護士とは限りません。

 

なるべく万引事件に関する経験・実績がある弁護士に相談したい場合、自分もしくは家族で弁護士を選ぶことを検討しましょう。

 

送検|最長24時間以内に勾留が必要か判断

警察が検察官へ事件を送る必要があると判断した場合、被疑者は検察官へ身柄を移送されて取調べを受けることになるでしょう。

 

検察官はこのとき、24時間以内に勾留という身体拘束が必要かどうかを判断します。勾留はこれまでよりも、さらに長期の身体拘束になり得るものです。

 

勾留が必要だと判断されれば、検察が裁判所に対して勾留請求を行います。勾留請求が許可されれば、引き続き身体を拘束され、警察官や検察官から取調べを受けることになるでしょう。

 

勾留|最長20日間に起訴するかどうか判断

勾留期間中に検察官は、当該被疑者を起訴(刑事裁判にかけること)すべきかどうかを判断します。

 

この段階にあれば、原則として弁護士以外の接見も可能ですが、弁護士以外は1日あたりの回数や時間に制限があるでしょう。また弁護士以外は、監視付きの接見となるのです。

 

勾留が許可された段階で、国選弁護人を選任できます。とはいえ、国選弁護人はどの弁護士に依頼するかというのを選べないだけでなく、活動のための原資(弁護士費用)が限られており、手厚い弁護活動やサポートを希望する人は、私選弁護人への依頼を検討すべきでしょう。

 

ちなみに勾留は基本的に10日間ですが、検察官がさらなる捜査が必要だと判断すれば、裁判所に対して勾留延長請求を行います。

 

勾留延長請求が許可された場合、さらに最大10日間の勾留が認められてしまいます。

 

起訴されれば刑事裁判を受けることになる

勾留期間中に検察官がその被疑者を起訴するかどうかを判断し、起訴が決定した場合は刑事裁判を受けることになるでしょう。

 

起訴後に保釈請求をして許可されない限り、身体拘束が続きます。原則として、刑事裁判での判決が出るまでは、勾留生活が続くのです。

 

保釈請求は弁護士に頼めば行えます。保釈されるためには保釈保証金を納めなければなりませんが、この保釈保証金は、被告人(起訴後は被疑者から「被告人」へ名称が変わります。)がきちんと刑事裁判に出廷すれば、事件終結時に返還されます。

 

不起訴になれば釈放されて事件が終わる

検察官が起訴不要、もしくは起訴できないと判断した場合、勾留という身体拘束が終了して釈放されます。これを「不起訴処分」と言います。

 

刑事裁判で有罪判決が出る確率は99%以上なので、有罪を望まない場合に目指すものとしては、この不起訴処分の獲得が考えられるでしょう。

 

しかし、被疑者自身が不起訴処分獲得のためにできることは限られています。不起訴処分獲得ためには被害者との示談及び被害届の取下げが重要ですが、本人が被害者と直接連絡を取って示談を成立させることは困難だからです。

 

したがって不起訴処分獲得のためには、弁護士への依頼は必須と考えても良いかもしれません。

 

万引でも刑事裁判で有罪判決をうけるのか

万引は正式には刑法235条の窃盗罪にあたるのですが、被害額の小ささや頻度の多さから、重大な犯罪と思われていないことがあります。

 

しかし、万引が立派な犯罪であることには変わりなく、被害額に関わらず逮捕・起訴されて有罪判決を受ける可能性は十分あるのです。

 

刑法第235条で、窃盗罪は以下の通りの定めとなっています。

“他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。”

刑法第二百三十五条 窃盗

最も重い刑罰では、懲役10年とされていることから、軽微な犯罪ではないことは明らかです。

 

初犯の場合にいきなり実刑で懲役刑が科される可能性はそれほど高くありませんが、仮に罰金や執行猶予付き判決になったとしても、前科はついてしまいます。

 

決して、「万引だから有罪判決を受けることはない」などということはありません。

 

被害者と示談ができているかどうかが重要

万引で現行犯もしくはそれ以外で逮捕された場合、刑罰を受けない(前科が付かない)ために重要なことは、「被害者と示談ができていること」です。

 

窃盗は親告罪(処罰のために被害者の告訴が必要な犯罪)ではありませんが、検察官も起訴・不起訴の判断において被害者の意思を無視することはできません。

 

被害者との間で示談が成立していた場合には、被害者において処罰感情が失われていると判断され、不起訴処分という判断を下すケースが多いのです。

 

勾留によって身柄を拘束されていたとしても、示談が成立した結果被害届が取り下げられ、検察官が不起訴処分という判断を下せば、被疑者は釈放されます。

 

当事者間で和解したとみなされる示談とは

では、示談とはどのようなもので、どのように行われるのでしょうか。

 

示談とは、当事者同士によるに話し合いでの解決(和解)を指し、刑事上も民事上も効力を有するものです。

 

示談が成立した場合、示談書が作成されます。示談書には、以下のような記載がされるでしょう。

 

  • 通常加害者から被害者に対して謝罪の文言
  • 加害者から被害者に対して一定金額の金銭が支払われた旨
  • 宥恕文言(被害者は加害者に対して刑事処罰を求めないという文言)
  • 清算条項(民事上も双方に支払義務が存在しない旨の文言)等

 

示談が成立しているということは、加害者と被害者との間で当該問題については解決済みで、被害者は加害者を許しており、処罰感情もないという判断をされる可能性が高いです。

 

示談交渉には弁護士が必要不可欠

実際に示談交渉をするとなれば、事実上は弁護士への依頼が不可欠になるでしょう。

 

仮に逮捕されて身体拘束を受けていれば、自ら被害者に対して連絡をとる手段はありません。在宅事件(身体拘束されていない事件)の場合において、万が一直接連絡をとれたとしても、被害者心理としては加害者と直接連絡は取りたくないというのが通常でしょう。

 

しかし、弁護士が介入することで、被害者は話を聞いてくれる可能性が高まります。

 

弁護士は、加害者本人が身柄拘束をされていても加害者の代理人として自由に活動できますし、被害者が望まないのに被害者の連絡先を加害者に教えるということはしないからです。

 

ただ示談交渉は、謝罪だけで済むことは限りなく少ないです。現実的には、示談を受け入れてもらうためのお金が必要になることが多いでしょう。

 

示談金は被害総額により決まる

万引の場合の示談金は、被害総額に加えて、迷惑料や慰謝料相当額を支払う必要があります。

 

どの程度の示談金であれば受け入れてもらえるのかは、被害者次第です。何万円積まれたとしても、絶対に処罰してほしいという場合は、示談そのものが難しいかもしれません。

 

万引の常習性

万引をしてしまう人の中には、常習的に繰り返し万引をしているという人もいるでしょう。

 

万引の常習犯は決して珍しい話ではなく、有名アスリートが何度も万引を繰り返してしまうことが話題にもなりました。

 

クレプトマニアという精神障害の可能性がある

万引を常習的に犯してしまうという場合、「クレプトマニア」という精神疾患になってしまっている可能性があります。

 

お金はあるのに、万引の緊張感と解放感が癖になるなど、ストレス発散の一環として万引をしてしまうことがあるのです。

 

だからといって万引が許されるわけではありませんが、この場合は精神疾患のひとつとして精神科・心療内科での治療・カウンセリングを受ける必要があるでしょう。

 

治療ができないと再犯・逮捕の可能性が高まる

万が一クレプトマニアであった場合、再犯をして再び逮捕・起訴されてしまう可能性が高まります。

 

捜査機関もクレプトマニアであることを知れば、治療が進行していない状態での釈放を認めづらくなるでしょう。

 

もしも心当たりがある場合は、精神科・心療内科での受診を検討してみてください。既に逮捕されている場合、受診による治療が有利な情状として判断される可能性があります。

 

また何よりも、再び他人に迷惑をかけずに過ごせるように、本人のためにも受診・治療をすべきです。

 

 

まとめ|万引は現行犯以外でも逮捕される

万引は現行犯以外でも逮捕される犯罪で、刑事手続が進行すれば有罪判決を受けて懲役刑を科される可能性があります。

 

環境として誰でも犯し得る犯罪であるうえに、被害額が高額になることが少ないため、現行犯逮捕を逃れれば良いと考える人もいるかもしれません。

 

しかし万引は、ほんの些細な出来心から犯行に及んでしまい、逮捕・起訴された結果刑事罰を受ける可能性がある重大な犯罪です。

 

もしも万引が癖になっていたり、ダメだとわかっているのに繰り返してしまったりする場合は、クレプトマニアという精神疾患にかかっている可能性があります。この場合は適切な治療を検討すべきです。

 

万が一既に逮捕されてしまっている場合、その身内の方で、刑事事件・万引事件について経験・実績がある弁護士への相談を検討してください。

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この記事の監修者
東京スタートアップ法律事務所
中川 浩秀 弁護士 (東京弁護士会)
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編集部

本記事は刑事事件弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※刑事事件弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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