大麻事件は、家宅捜索により証拠が固められ、逮捕に至るケースが多いです。
家宅捜索の場で現行犯逮捕されることもあり得るでしょう。
逮捕された場合には、すぐに弁護士に接見・依頼を行うことが望ましいです。
早期から弁護士に依頼することで、今後の不起訴処分や執行猶予の獲得を目指す時間を確保できます。
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大麻事件で逮捕された場合、警察が大麻の入手経路や所持目的などを捜査するために、家宅捜索を行う可能性があります。家宅捜索は裁判所が発布する許可状(捜索差押許可状)をもとに行われます。
また、家宅捜索は強制捜査なので拒否できません。家宅捜索の結果、大麻の栽培や、さらなる大麻の所持が判明した場合はその場で現行犯逮捕される可能性があるでしょう。
もし、すでに逮捕されていた場合は再逮捕扱いになります。
この記事では大麻事件で逮捕された人、家宅捜索を行われるかもしれない人に向けて家宅捜索の詳細を解説します。
なお、家宅捜索は家宅捜査と表現される場合もありますが、この記事では便宜上「家宅捜索」と記載しています。
大麻事件は、家宅捜索により証拠が固められ、逮捕に至るケースが多いです。
家宅捜索の場で現行犯逮捕されることもあり得るでしょう。
逮捕された場合には、すぐに弁護士に接見・依頼を行うことが望ましいです。
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家宅捜索とは警察が行う捜査の1つで、被疑者の自宅などを捜索することです。検察官や警察職員が請求して裁判官が令状を発した場合に捜索を強制的に執行できます。
基本的には家宅捜索の事前通知はありませんが、夜間(日の出前・日没後)の捜索については令状に記載がない場合は執行できないと、刑事訴訟法で定められています(第222条第1項・第116条第1項)。
第百十六条 日出前、日没後には、令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。
② 日没前に差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。
第二百二十二条 第九十九条第一項、第百条、第百二条から第百五条まで、第百十条から第百十二条まで、第百十四条、第百十五条及び第百十八条から第百二十四条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十一条の二、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条から第百四十条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第百二十二条から第百二十四条までに規定する処分をすることができない。
② (以下省略)
大麻事件で家宅捜索を行う理由は余罪の捜査や証拠を確保するためです。
たとえば大麻の所持で現行犯逮捕された場合、その大麻をどこから入手したのか、また、大麻を自宅で栽培している疑いがある場合、家宅捜索によって捜査をします。下記の大麻事件はまさにその例です。
岐阜県警多治見署などは7日、大麻取締法違反(営利目的栽培)の疑いで、恵那市明智町、無職の女(32)を再逮捕した。 再逮捕容疑は2月15日までの間に、営利目的で自宅のアパートで大麻草14本を栽培した疑い。 県警は、女の自宅から鉢植えの大麻草や育てるために使用した発光ダイオード(LED)ライト、温度計などを押収した。女の認否を明らかにしていない。
【引用】YouTube|岐阜新聞
この事件では大麻所持で現行犯逮捕された後に大麻栽培を疑われ、自宅を家宅捜索されました。
大麻事件の家宅捜索では、大麻の栽培や所持していた証拠を探すために家の隅々まで見られ、物品の押収など差押(※)が行われるでしょう。
※差押…捜査機関の捜査によって物品を強制的に押収されること
大麻の譲渡・譲受、輸出・輸入の疑いがある場合はスマホやパソコンのメールなど、いわゆる売人とのやり取りがなかったか、調べられるでしょう。
下記は大麻関係ではありませんが、実際に家宅捜索を受けたと思われる方の体験談が記載されています。
これは、私が2018年4月に埼玉県警のサイバー警察に自宅の家宅捜索を受けた時の体験談です。事実を出来るだけ詳細に記載致します。また、大変稚拙で恐れ入りますが私自身の正直な気持ちも一緒に書き留めています。
令状に基づく家宅捜索は、強制処分です。捜査機関が強制的に捜査を行うことが認められているため、家宅捜索の拒否はできません。物の押収に関しても同様ですので、押収されたくない物があったとしても拒否できないのです。
物理的に家宅捜索に抵抗すると公務執行妨害(※)に該当する恐れがあります。
※公務執行妨害…公務員が執行する職務に対して暴力や脅迫などで妨害する行為
大麻事件で逮捕された場合の罰則を解説します。
大麻の所持、譲渡・譲受は大麻取締法24条の2に違反します。下記の条文の通り営利目的だと懲役刑の長期が7年となり、200万円以下の罰金刑が併科される可能性があります。
第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻の栽培、輸入・輸出は大麻取締法24条に違反します。こちらも営利目的の場合は懲役刑の長期が10年になり、300万円以下の罰金が併科される可能性があります。
第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻取締法では、営利目的だとより重い罰が課されることになります。
大麻取締法違反はそれ自体重い罪ですし、営利目的であればさらに、逮捕・起訴される可能性は高まるといえます。
大麻事件で家宅捜索されたケースを3つ紹介します。
同署によると、2月上旬、町民から「(男)が大麻を栽培し、吸っている人もいるようだ」との情報が寄せられた。捜査員が家宅捜索したところ、室内で栽培していた。
【引用】自宅室内で大麻栽培疑い 男「自分で吸うため」 屋久島|Yahoo!ニュース
近所から通報をされて、その場で大麻栽培の容疑で現行犯逮捕されたケースです。大麻の栽培だと道具や現場の様子から犯行事実が明らかであるため、現行犯の可能性が高いでしょう。
神奈川県警は16日に寮を家宅捜索。関係者によると、室内で薬物を使用したとみられる痕跡が見つかった。
【引用】5、6人が薬物使用認める 東海大野球部の大麻疑惑|Yahoo!ニュース
なお、大麻取締法では大麻の使用自体は規制されていません。
使用の疑いを契機に、大麻の所持や譲受の事実が明らかになれば、大麻取締法違反が問われることになります。
自宅で大麻を所持していたとして、埼玉県警は24日までに、大麻取締法違反容疑で、関東信越国税局大宮税務署職員、除村盛太郎容疑者(24)=同県深谷市東大沼=を逮捕した。「自分で使うために持っていた」と容疑を認めている。県警は大宮税務署を家宅捜索、薬物の入手ルートや動機の解明を急ぐ。
【引用】大麻所持容疑、税務署員を逮捕 「自分で使うため」―埼玉県警|JIJI.COM
上記のケースでは税務署職員が大麻を所持していたため、その勤務先である税務署にも家宅捜索が入っています。
このように家宅捜索は容疑者の自宅だけでなく、勤務先でも行われる可能性があります。
大麻事件で逮捕されると下記の流れで刑事事件手続が進められます。家宅捜索は通常逮捕の前の段階で行われますので、ここでは家宅捜索がすでに行われて逮捕された場合を想定して解説します。
家宅捜索で大麻の所持や栽培していた事実が判明した場合は、その場で現行犯逮捕されるでしょう。
逮捕直後にすべきことは当番弁護士制度(※)を利用することです。逮捕されると取り調べが行われ、72時間は弁護士以外の者と接見することはできません。
突然家宅捜索されただけでも衝撃なうえ、現行犯逮捕までされたら本人はもちろん家族も不安でしょう。
当番弁護士制度を利用すれば初回の面談を無料で行え、その弁護士にそのまま弁護を依頼することもできます。
逮捕後のアドバイスも受けられますから、逮捕されたその時に弁護士を呼びましょう。
※当番弁護士制度…逮捕された本人が捜査当局や家族に弁護士の接見を依頼できる制度。初回の接見は無料
逮捕された被疑者の事件と身柄を検察に送ることを事件送致といいます。事件送致は逮捕後48時間以内に行われます。
その際に警察が送致の必要がないと判断すれば微罪処分(※)となり、釈放されるでしょう。
※微罪処分…比較的軽い犯罪の場合に、検察へ送致せず、厳重注意等や書類上の手続のみで対応を終了させること。
しかし、大麻事件で、家宅捜索を受けて逮捕されたようなケースでは、事件送致を行うのが通常であると考えられます。
事件送致された被疑者を検察官がさらに身柄拘束の必要があると判断した場合、裁判所へ勾留請求を行います。
判断する裁判官は逃走や証拠隠滅の恐れなどがないかを考慮した上で、勾留を許可するか否かについて判断します。もしも勾留の決定に納得できなければ、準抗告を行い、勾留決定を破棄するように求めることが考えられます。
家宅捜索が行われ捜査機関側に既に証拠が揃っているとして、そもそも証拠隠滅のおそれがなく勾留の必要はないなどと主張できるかもしれません。
準抗告を認めてもらうためには、勾留は認められないことを、法律に則り、説得的に主張を構成する必要があります。
準抗告等の対応は弁護士に依頼することが適切でしょう。
日本の刑事事件では、起訴されれば99.9%有罪になるとされています。家宅捜索を行った上で逮捕して起訴するということは、捜査機関側は十分な証拠を確保しているといえますから、起訴された場合に無罪を勝ち取ることはかなり困難であると言えるでしょう。
そのために不起訴や、起訴された場合には執行猶予付きの判決を目指すわけですが、ここでも弁護人による弁護が必要になります。
弁護人は、不起訴の獲得を目指して弁護活動を行ってくれることが期待できますが、逮捕から起訴までは最大でも23日であるため時間に余裕がありません。
不起訴を目指すなら、1日でも早く弁護士に弁護を依頼する必要があるでしょう。
大麻事件では、栽培の疑いや仕入れルート等、犯罪の証拠を確保するため、警察官によって家宅捜索が行われる場合が多いでしょう。
令状に基づく家宅捜索は、強制執行のため拒否することはできません。
また、家宅捜索の場で現行犯逮捕されてしまうケースも考えられます。もし現行犯逮捕されてしまった場合でも、すぐに弁護士に弁護依頼を行うことで、勾留や起訴を回避できるかもしれません。逮捕後勾留までの間に面会できるのは弁護士のみですから、早い段階で弁護士に依頼し、接見してもらうことで、不安も解消されて、的確なアドバイスを受けられることが期待できます。
大麻事件は、家宅捜索により証拠が固められ、逮捕に至るケースが多いです。
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