盗撮がバレたら逮捕される?前科をつけずに解決する方法は
スマホ
この記事を読んでいる方のなかにも盗撮をしてしまい、「ほんの出来心だったけれど、盗撮がバレてから事の重大さに気が付いた」「今後逮捕されるのではないかと不安な日々を過ごしている」という方がいるかもしれませんね。
デリヘルでの盗撮トラブルは話し合いによって解決できる場合もあれば、ひとつ対応を間違えると恐喝まがいの方法で高額な金銭を要求される、警察に被害届を出されてしまうなどの大事に発展してしまうケースもあるため、予め法的な知識をつけておくことが重要です。
本記事では、デリヘルでの盗撮がバレて困っている方に向けて、逮捕される可能性の有無やトラブルを解決する際のポイントなどをわかりやすく解説します。疑問や不安がある加害者本人やその家族の方も参考にしてください。
デリヘルで盗撮がバレると何罪が適用される?
法律には「盗撮罪」などの罪名は規定されていません。盗撮がバレた場合にどのような罪が適用されるかは、盗撮の場所や対象、態様によって異なります。
この記事で問題としているデリヘルでの盗撮は、自宅やホテルの部屋などのプライベートな空間で風俗嬢に対して行われるのが多いでしょうが、こうしたケースでは下記のいずれかの罪に該当する可能性があります。
各都道府県の迷惑防止条例違反
まず考えられるのが迷惑防止条例違反です。迷惑防止条例は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって住民生活の平穏を保持すること」を目的に各都道府県で定められています。
都道府県によって処罰対象となる行為や場所に違いがあるため、デリヘルでの盗撮が条例違反にあたるかは各都道府県で異なるのがポイントです。「条例」という響きから、違反しても厳重注意程度で済むイメージがあるかもしれませんが、条例違反が認められた場合には懲役刑や罰金刑などの罰則を科されることもあります。
東京都の迷惑防止条例を例に見てみましょう。
以前は、違反の対象となるのは「公共の場」で行われた盗撮のみで、自宅やホテルで行われる盗撮は対象外でした。しかし、平成30年に行われた改正により規制場所が拡大されたことで、自宅やホテルでの盗撮も迷惑防止条例違反の対象範囲となりました。
さらに注意が必要なのは、実際に盗撮に及んだ場合だけでなく、盗撮目的でカメラを設置した場合にも条例違反となる点です。東京都の迷惑防止条例違反が適用された場合には、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科されます。
なお、地方から東京にやって来て盗撮行為に及んだ場合は、居住地の条例ではなく東京都の条例が適用されます。
軽犯罪法違反
迷惑防止条例違反とならない場合でも、軽犯罪法違反となる可能性があります。軽犯罪法は、比較的軽微な犯罪を取り締まるための法律です。
軽犯罪法1条23号に「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」とあり、デリヘルでの盗撮はこの「窃視の罪」に該当する可能性があるのです。いわゆる「覗き見」です。
軽犯罪法では、盗撮はカメラを通したのぞき見行為であると解釈されます。軽犯罪法に違反した場合の刑罰は、1日以上30日未満の拘留、または1,000円以上1万円未満の科料です。
建造物侵入罪
ホテルやレンタルルームなどで盗撮に及んだ場合は、建造物侵入罪にあたる可能性もあります。
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
引用:刑法|e-Gov法令検索
一般に、建造物の管理者は盗撮目的での利用を認めていないでしょう。したがって、仮に正規の料金を支払って利用していたとしても建造物侵入罪が成立し得ると考えれます。
建造物侵入罪が適用された場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
わいせつ電磁的記録頒布・同目的所持罪
盗撮データをインターネット上にアップロードしたり販売したりした場合は、わいせつ電磁的記録頒布・同目的所持罪に問われる可能性があります。
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
引用:刑法|e-Gov法令検索
なお、わいせつの定義について、判例では、「徒(いたず)らに性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥(しゅうち)心を害し善良な性的道義観念に反する」ことと定義しており、デリヘルでの盗撮の場合、性器や性行為が映っているものはこれに該当すると考えられるでしょう。
わいせつ電磁的記録頒布・同目的所持罪が該当した場合は、2年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられます。
デリヘルで盗撮がバレた場合のリスク
デリヘルで盗撮がバレた場合のリスクを整理しておきましょう。
逮捕されるかもしれない
デリヘルでの盗撮がバレて被害者女性が警察に通報、または被害届を出した場合には逮捕される可能性があります。ただし、風俗での盗撮トラブルは警察が介入する刑事事件の側面もある一方で、損害賠償等当事者間での解決が求められる民事事件の側面もあります。
警察は基本的に「民事不介入」であるため、場合によっては被害届の受理が渋られることがあるかもしれません。
しかし、風俗での盗撮がバレて逮捕に至った事例は存在していますし、ニュースで耳にしたことがある方もいるでしょう。逮捕されるリスクがまったくないわけではない点には注意が必要です。
慰謝料等を支払う必要が生じるかもしれない
盗撮がバレると、店側や風俗嬢から損害賠償を請求される可能性があります。通常の範囲内での賠償で済むこともありますが、場合によっては警察や職場などへの通報をちらつかせて法外な金額を請求される可能性もあるでしょう。
また、一度きりの支払いでは収まらず、追加料金として繰り返し金銭を請求される悪質なケースも考えられます。このような被害に合わないために適切な対処が求められます。
会社や家族に知られてしまうかもしれない
デリヘルでの盗撮がバレると、会社や家族に知られてしまうリスクもあります。
その後釈放されずに勾留されると最大で20日間身柄拘束される可能性もあり、突然の音信不通や長期間の欠勤の事実により、不審に思われることはあるでしょう。
また、盗撮事件として新聞やニュースなどで実名報道されることがあります。特に社会的地位のある方や社会的信用が求められる職業の方ほど、テレビのニュースなどで取り上げられる傾向があります。
もし逮捕されなかったとしても、まとまった慰謝料等を用意するために家族に打ち明けなければいけない場合や、店側の報復として会社や家族にバラされてしまう場合も考えられるでしょう。そうなると会社では従来通りには働きづらくなったり、結婚している場合は配偶者から離婚を切り出されたりすることがあるかもしれません。
逮捕されたくない!盗撮がバレた時にしてはいけないこと
盗撮がバレてしまったとき、すぐに「逮捕されてしまうのでは」とパニックに陥ってしまう方もいるかもしれません。しかし、いくら逮捕されたくないからといって、盗撮がバレた際にしてはいけない行為が3つあります。
カメラ・データの奪い合いをしない
ひとつめはカメラの奪い合いです。証拠品であるカメラやスマホが奪われてしまった、あるいは奪われそうになった場合、反射的に抵抗してしまうことがあるかもしれません。
しかし、カメラやスマホなどのデータの奪い合いの過程で、揉み合っているうちに相手に怪我を負わせてしまうことがあるかもしれません。この場合、相手から示談金を上乗せされたり、傷害罪や過失致罪などの罪を重ねてしまう可能性もあります。
そうなると、素直に応じていたら話し合いで済んだケースでも、逮捕に発展してしまう可能性が高くなるでしょう。カメラを取られてしまった場合でも、無理に取り戻すことはやめておきましょう。
その場から逃げ出さない
ふたつめはその場から逃げ出すことです。逃げ出すことで一瞬は解放された気持ちになるかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。
その後は「警察に通報されていたらどうしよう」「店からコンタクトがあったらどうしよう」と不安な日々を過ごすことになるでしょう。携帯電話の番号が相手に知られている場合は、そこから個人が特定されることもあります。
実際、インターネット上にはその場から逃げ出してしまったために家や職場にまで繰り返し電話がかかってくるなど、その後の日常生活に支障をきたしている人の体験談が掲載されています。
翌日、職場に私宛に電話があり、出ると、「盗撮の件で話がしたいんだけどわかるよね?」と突如言われパニックになりました。 「あとで携帯に電話するから出ろよ」と言われ電話を切られました。
逃げ出すことで警察に通報されるリスク、より悪質な手段で金銭の取り立てにあうリスクが高まる可能性もあります。また、「反省の意思がない」と判断されて、その後の示談交渉が難しくなるケースもあるので注意しましょう。
相手方の要求を簡単にのまない
その場で相手方の要求をすべて受け入れてしまうことも避けるべきことです。
盗撮がバレた直後は、気が動転して冷静な判断ができないかもしれません。また、禁止行為をしてしまった罪悪感から、たとえ相手側の要求が不当なものであったとしても、穏便に解決したい一心で不利な条件をのんでしまうケースがあります。
多くの風俗店が法令を遵守して営業を行っている一方で、反社会的な勢力とつながりのある悪質店も存在します。その場でお金を支払うよう要求されたり、書類を書かされそうになったりした場合は、逃げるのではなくまずは落ち着いて、「後日弁護士からご連絡します」とその場を済ませましょう。
ただし、こうして一時的に開放されたからといって、逃げ切れたわけではありません。誠意をもって相手方との話し合いを進めていく必要があります。
もし、これらのNG行為をすでに行ってしまった場合には、早期解決に向けて動き出すことが大切です。
相手方から脅されている、非常に不利な条件で示談に応じてしまったなどの場合は、こうした事案を多く扱う弁護士への相談を検討しましょう。
盗撮がバレた場合に弁護士に依頼するメリット
示談交渉のタイミングで弁護士に依頼するメリットは大きく3つあります。
店側との交渉を代わりに行ってくれる
弁護士に依頼することで、店側との連絡や交渉を代わりに行ってもらえます。本人が、自分で風俗店側との交渉を適切に行うのは容易ではありません。
また、不当な要求だとわかっていても、弱みを握られている立場にあるため、思うように主張を通せないこともあるでしょう。店側が強気な姿勢でいる場合も、弁護士を通すことで態度が軟化することが期待できます。
適切な額で示談交渉してくれる
「警察には通報しない」「会社・家族にバラさない」などの条件の代わりに、100万円単位の法外な示談金を請求されるケースも考えられます。よほど悪質な行為であった場合を除き、デリヘルでの盗撮トラブルで100万円以上の金銭を要求されることは稀なケースです。
しかし、禁止行為を犯した罪悪感や周りに知られる恐怖からこのような不当請求に応じてしまうこともあるでしょう。弁護士が間に入って交渉を行うことで、相場の範囲まで請求額を大幅に下げられる可能性があがります。
被害届の取下げ等を求められる
弁護士に依頼すれば、すでに被害届を出されている場合、被害届の取下げを盛り込んだ示談の交渉をしてくれるでしょう。また、その後刑事事件化しないことなどの条項を不足なく盛り込んでもらうことも可能でしょう。
盗撮についてよくある質問
盗撮についてよくある質問をまとめました。
会社にバレずに解決することはできるのか?
会社にバレるリスクを下げることは可能と思われます。そのためには、被害者女性に誠意をもって対応し、刑事事件化されないこと、相手との示談を早急に済ませることが重要になります。
示談書を交わす際に、会社や家族にバラさないことを条件として盛り込むといいでしょう。なお、話し合いをせずに相手から逃げ続けていると、会社や自宅へ連絡されて盗撮行為が明るみに出る可能性があるため注意が必要です。
盗撮したデータを削除すればバレないのではないか?
盗撮がバレたとしても、相手方に見られる前に機器に保存されている動画データを消去すれば証拠は残らないと考える方もいるでしょう。
しかし、すでに盗撮の容疑がかけられている場合、盗撮データの消去はおすすめできません。消去して言い逃れしようとしても、クラウド上にデータが残っていたり、データを復元されたりする可能性はあります。
盗撮の時効は何年なのか?
盗撮の時効は刑事と民事で異なります。
まず、刑事事件としてみた場合には迷惑防止条例違反、または軽犯罪法違反が適用されるのが一般的ですが、どちらが適用されるかにより時効が異なるので注意が必要です。
第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
② 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年
迷惑防止条例違反の場合、時効は3年です。これは刑事訴訟法で、「長期5年未満の自由刑または罰金にあたる罪」の時効が3年と定められているためです。
一方で、軽犯罪法の時効は1年です。
なお、刑事事件の場合は犯罪が終わった時から時効が進行します(刑事訴訟法第235条第1項)。
民事事件として考えた場合の時効は、損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年です(民法第724条)。
前科をつけずに不起訴処分にする方法はないか?
不起訴処分にするためには、早急に被害者女性との示談を成立させることが重要です。
一度前科がついてしまうと、その後のさまざまな社会生活に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、前科だけはどうしても避けたいと考えている方もいるでしょう。
誤解されがちな点ですが、逮捕されたからといってその時点で前科がついてしまうわけではありません。前科がつくのは、起訴されて有罪が確定した時点です。
日本では起訴された事件のうち99%が有罪判決を受けていると言われています。つまり、前科をつけないために重要なのは「起訴されない=不起訴処分になる」ことなのです。
もし盗撮が事実であれば、不起訴になるためには決定的な証拠がない「嫌疑不十分」、もしくは罪は犯しているものの深く反省している、再犯の恐れがないなど理由から今回は起訴を見送る「起訴猶予」に該当する必要があります。盗撮では、悪質性が認められると初犯でも起訴されるケースもありますが、被害者女性と示談が成立していれば多くの場合起訴猶予で不起訴処分となります。
通報されて任意同行を求められても断っていいか?
強制力のある逮捕とは異なり、任意同行を求められた場合には拒否することが可能です。ただし、拒否する際に警察官を突き飛ばしてしまうと公務執行妨害で現行犯逮捕される恐れがあります。
また、任意同行を拒否したことで逃亡または証拠隠滅の恐れがあるとされて、逮捕状の発行につながる恐れもあるので慎重に対応する必要があるでしょう。
罰金を支払う必要はあるのか?
基本的にデリヘルでの盗撮は店によって禁止されているため、ルールを破ったことに対して罰金を求められるケースが多いようです。
しかし、そもそも罰金というのは刑事罰であり、店が罰金を請求できるものではありません。また、違約金としての性質を有するとしても、店側が不当に高額な金額を設定しているような場合には、暴利行為として無効である可能性があります。したがって、店側から金銭を要求されている場合でも、直ちに支払わず、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
しかし、すでにトラブル発覚後に逃げ出してしまったり、相手からの連絡を無視してしまったりと自身を不利な状況に追い込んでしまい困っている方もいるかもしれません。そのような場合には弁護士に依頼し、具体的な解決方法をアドバイスしてもらうことをおすすめします。
法律事務所によっては無料相談を受け付けているところもあります。
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