詐欺事件の公訴時効はいつまで?カウント方法など加害者が知るべき3つのポイント
過去に詐欺行為をしてしまった人にとって「詐欺の時効は何年なのか」「自分のケースでは時効が成立するのか」というのは大きな関心事でしょう。
詐欺罪の時効は法律で定められている一方、数え方や停止条件、共犯関係による影響など、正しく理解しておくべきポイントは少なくありません。
さらに、時効が成立しても民事責任を免れるわけではなく、被害者から損害賠償を請求される可能性も残ります。
この記事では、詐欺罪の公訴時効が何年で成立するのか、時効の起算点や停止条件、弁護士に相談すべき理由などをわかりやすく解説します。
逃げ続けることのリスクを知り、今後取るべき行動を考えるきっかけにしてください。
詐欺罪の公訴時効は7年で成立する
詐欺罪は、刑法246条で「10年以下の拘禁刑(懲役刑)」と定められている犯罪です。
このように法定刑の上限が「15年未満」の罪については、刑事訴訟法250条により公訴時効は7年と規定されています。
つまり、詐欺行為が完了してから7年間が経過すれば、原則としてその事件について新たに起訴されることはありません。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺であっても公訴時効は7年
オレオレ詐欺や振り込め詐欺、架空請求詐欺など、いわゆる「特殊詐欺」と呼ばれる犯罪であっても、刑法上の「詐欺罪」に該当することが多いです。
そのため、公訴時効は同じく7年です。
このように、詐欺の種類によって時効期間が変わることはないと覚えておきましょう。
詐欺罪の公訴時効の数え方に関する3つのポイント
詐欺罪の公訴時効は7年と定められていますが、その数え方には注意が必要です。
「7年」といっても、法律上のルールに基づいて起算点や停止条件が決まっています。
ここでは、時効のカウント方法について知っておくべき3つのポイントを解説します。
- 公訴時効は「犯罪行為が終わったとき」から数える
- 一定の場合に公訴時効のカウントがストップする
- 詐欺行為が複数ある場合はひとつずつカウントする
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.公訴時効は「犯罪行為が終わったとき」から数える
刑事訴訟法253条では、公訴時効は「犯罪行為が終わった時」から進行すると規定されています。
そして、詐欺罪においては加害者が欺罔行為によって被害者から財産を受け取った時点が「犯行の完了」とされます。
例えば、現金を振り込ませた事件であれば、最後に被害者が振り込みをおこなった日が基準です。
複数回に分けて送金させた場合には、その最終回が時効の起算点になるため、単純に「最初にだまし始めた日」からではない点に注意が必要です。
2.一定の場合に公訴時効のカウントがストップする
公訴時効は常に自動的に進むわけではなく、例外的にカウントが止まる場面があります。
時効のカウントがストップする代表的なケースは、犯人が国外に逃亡や所在を隠すなどして、起訴状の送達等できない状態が続いている場合です。
このようなケースでは時効が進まず、帰国後や所在が判明してから再びカウントが始まります。
さらに重要なのは「起訴された時点で時効が中断する」というルールです。
検察官が起訴状を裁判所に提出すれば、その事件については時効の進行は停止し、裁判で有罪・無罪の判断が下されるまで進行しません。
つまり、時効との関係では、被害届や逮捕ではなく、正式に起訴されるかどうかが大きな分かれ目になります。
3.詐欺行為が複数ある場合はひとつずつカウントする
一人の加害者が複数の詐欺をおこなっていた場合、事件ごとに独立して時効が進行します。
そのため、ある事件ではすでに7年が経過していても、別の事件についてはまだ時効の途中である可能性があるのです。
したがって、「一度の犯行が時効を迎えたから安心」というわけにはいきません。
また、共犯が関わる詐欺事件では、最後におこなわれた行為が完了した時点から全員に対して時効が進むことになります。
グループで役割を分担していた場合でも、最後の担当者の行為が終わるまで全員の時効はスタートしません。
さらに、共犯者の一部が起訴された場合、その起訴によってほかの共犯者についても時効が一時停止するため、時効完成を狙って逃げ切るのは現実的に難しいといえます。
詐欺行為をした人が時効完成前に弁護士に相談するメリット
詐欺事件を起こした方の中には「公訴時効が成立するまで逃げ続ければ責任を免れる」と考える人もいます。
しかし現実には、警察の捜査や被害者等からの申告によって時効前に事件が発覚するケースが多く、今現状何も起きていないからといって安心できるわけではありません。
そのため、時効成立を待つよりも早めに弁護士へ相談することが重要です。
ここでは、その主なメリットを3つに分けて解説します。
1.今後の見通しなどをアドバイスしてもらえる
詐欺について弁護士に相談することで、まずは自分の事件がどのような状況にあるのかを客観的に把握できます。
逮捕や起訴のリスクが高いのか、それとも低いのか、また残りの時効期間はどの程度あるのかなどを丁寧に分析してもらえるのは大きなメリットです。
さらに、証拠が残っている可能性や、警察がどの段階で捜査を進めるかといった点も含めて状況を整理できるため、漠然とした不安のまま過ごす必要がなくなります。
状況に応じて、示談や自首といった対応策を具体的に提案してくれるので、将来の見通しを立てやすくなるのです。
2.被害者との示談交渉について対応してくれる
詐欺事件においては、被害者に損害を弁償して示談を成立させることが不起訴処分や刑の減軽に大きく影響します。
しかし、加害者本人が被害者に直接連絡を取ろうとすれば、拒絶されるだけでなく、感情的に対立してしまうリスクがあります。
その点、弁護士が代理人として交渉に入れば、被害者の気持ちに配慮しつつ現実的な条件を提示して合意を得やすくなるでしょう。
また、示談が成立すれば、処分が軽くなるだけでなく、被害者にとっても心理的な区切りをつけやすいというメリットがあります。
3.警察へ自首する場合のサポートをしてくれる
刑法42条は、自首をした場合に刑が減軽される可能性を定めています。
ただし、自首すれば必ず有利になるわけではなく、事件の性質やタイミングによっては逆効果となることも少なくありません。
例えば、時効完成が目前で警察にまったく気付かれていない状況であれば、自首はむしろ不利益になることも考えられます。
そこで弁護士に相談すれば、「今すぐ自首すべきか」「示談を先にまとめるべきか」といった判断を冷静に助言してもらえます。
さらに、実際に自首をする際には弁護士が同行して取調べに立ち会うことも可能であり、余計な不利益を避けられるようサポートしてくれるため、精神的にも大きな安心につながるでしょう。
詐欺行為をした場合は損害賠償責任も負うことになる
詐欺罪の時効が成立したとしても、それで全ての責任から解放されるわけではありません。
刑事上の責任と並行して、民事上の損害賠償責任を負う可能性があるからです。
詐欺行為は民法上の「不法行為」にあたり、被害者は加害者に対して損害賠償請求をおこなうことができます。
だまし取った金銭を返還するだけではなく、遅延損害金や利息、精神的苦痛に対する慰謝料を含めて支払いを命じられる場合もあります。
損害額や被害の程度によっては、相当高額の賠償を負うことも想定されるでしょう。
また、損害賠償請求権にも消滅時効があります。
その詐欺行為が不法行為に該当する場合、被害者が加害者と損害を知った時から3年、あるいは行為の時から20年が経過すると請求権は消滅します。
ただし、加害者が「すでに時効が完成している」と主張しなければ、請求がそのまま認められてしまう点には注意が必要です。
刑事の公訴時効が成立して起訴を免れたとしても、民事の請求は別に存在するため、「7年逃げ切れば終わる」という考えは誤りです。
被害者からの請求リスクは最長で20年間残り続けることを理解しておく必要があります。
さいごに|警察から7年間逃げ延びるよりも今すぐ弁護士に相談を
詐欺罪の公訴時効は7年と定められていますが、時効の成立を待ちながら逃げ続けることは現実的な選択肢ではありません。
特殊詐欺をはじめとする詐欺事件は社会的に強い関心を集めており、警察は被害届の提出や告訴告発があれば時間が経過していても積極的に捜査を進めます。
さらに、共犯者の起訴によって時効の進行が止まる場合もあり、単独で「逃げ切る」ことは極めて困難です。
また、刑事責任を免れたとしても、民事上の損害賠償請求を受ける可能性は長期間残り続けます。
被害者からの請求や訴訟に対応しなければならず、経済的な負担はむしろ大きくなるかもしれません。
したがって、逃亡生活を選ぶよりも、弁護士に相談して今後の対応を検討するほうが現実的です。
弁護士は事件の見通しを冷静に示し、示談交渉や自首のサポートを通じて、少しでも有利な解決に導いてくれる存在です。
過去の過ちを引きずったまま時効成立を待つよりも、専門家の助言を受けて新しい一歩を踏み出すことが、将来の不安を断ち切るために最も有効な方法といえるでしょう。
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