恐喝未遂とはどんな犯罪?3つの成立要件と逮捕されたあとの流れなどを詳しく解説
恐喝未遂とは、恐喝行為をしたのに、財物を受け取れなかった場合に成立する犯罪のことです。
たとえば、金銭目的で他人に暴力を振るったけれど、お金を受け取れなかった場合に成立します。
また「金を出さないと殺すぞ」などと脅したのに、お金を受け取れなかった場合にも成立します。
本記事では、このような恐喝未遂について知りたい方に向けて、以下の内容について説明します。
- 恐喝未遂罪に関する基本事項
- 恐喝未遂罪の3つの構成要件
- 恐喝未遂罪で警察に逮捕されたケース
- 恐喝未遂罪で逮捕されたあとの大まかな流れ など
もし恐喝未遂に該当している可能性がある場合は、できる限り早く弁護士に相談・依頼しましょう。
恐喝未遂罪とは?基本事項を確認しよう
そもそも恐喝罪とは、暴行や脅迫によって被害者を畏怖させて、財物を交付させる犯罪です(刑法第249条)。
そして、恐喝罪は財物の交付を得られなかった未遂の場合でも罰する旨が規定されています(刑法第250条)。
このように恐喝行為をしたけれど、財物を受け取れなかった場合に成立する犯罪が「恐喝未遂罪」です。
恐喝未遂罪の法定刑は通常の恐喝罪と同じで「10年以下の拘禁刑」ですが、未遂の場合は刑法第43条の規定により減刑される可能性があります。
(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする
(未遂罪)
第二百五十条 この章の罪の未遂は、罰する。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
恐喝未遂罪の主な構成要件|3つのポイント
恐喝未遂罪の主な構成要件は以下のとおりです。
- 暴行や脅迫をしていること
- 被害者が畏怖していること
- 財物の交付はされていないこと
ここでは、恐喝未遂罪が成立するための要件について説明します。
1.暴行や脅迫をしていること
恐喝の場合は、まず被害者に対して暴行や脅迫を加えて金品を要求する恐喝行為がおこなわれています。
- 暴行:「殴る」「蹴る」「髪の毛を引っ張る」などといった有形力の行使
- 脅迫:「金を払わないなら殺すぞ」などといった生命や身体に対する害悪の告知
なお、金品を要求せずに暴行や脅迫をした場合は、暴行罪や脅迫罪などが成立すると考えられます。
2.被害者が畏怖していること
恐喝罪の場合は、暴行や脅迫によって被害者を畏怖させる(=怖がらせる)ことで成立します。
つまり、暴行や脅迫をしたとしても、被害者が怖がらなかった場合には成立しないといえます。
なお、反抗を抑圧する程度の暴行などをおこなっていた場合は、強盗罪が成立することになるでしょう。
3.財物の交付はされていないこと
恐喝未遂罪の場合、財物の交付はされていません。
財物の典型例は現金(お金)ですが、貴金属、不動産、自動車なども当てはまります。
これらの交付を受けた場合は既遂となりますが、交付を受けていない場合は未遂となります。
【事例】恐喝未遂罪で警察に逮捕されたケース2選
恐喝未遂は犯罪であるため、以下のように逮捕されるケースもあります。
- 因縁を付けて開業祝い金を脅し取ろうとしたケース
- 骨折したことを理由に治療費を脅し取ろうとしたケース
ここでは、実際に恐喝未遂の容疑で警察に逮捕された事例について紹介します。
1.因縁を付けて開業祝い金を脅し取ろうとしたケース
本件は、顔見知りの男性から開業祝い金を奪い取ろうとしたという事件です。
「77万円払えば来週は何事もない」「月曜までに払わないと何か起こる」などと脅したといいます。
被害者の男性は支払いに応じていませんが、警察は恐喝未遂の疑いがあるとして被疑者を逮捕しました。
2.骨折したことを理由に治療費を脅し取ろうとしたケース
本件は、男女2名が嘘の骨折を理由に、マッチングアプリで知り合った男性から現金を脅し取った事件です。
女性は一度、被害者の男性に対して「骨折していました」という嘘の連絡をして2万円を脅し取っています。
さらに女性は別の男性と協力し、「2万円で足りるの?」などと脅して追加で現金を受け取ろうとしています。
警察は女性を恐喝と恐喝未遂の疑いで逮捕し、追加の脅しに協力した男性を恐喝未遂の疑いで逮捕しています。
恐喝未遂罪で逮捕された場合の流れ|5ステップ
恐喝未遂罪で逮捕された場合の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 警察に逮捕される
- 逮捕から48時間以内に検察に送致される
- 送致から24時間以内に勾留の有無が判断される
- 勾留の場合は10日間(最長20日間)身柄を拘束される
- 起訴された場合は刑事裁判がおこなわれて判決が下される
ここでは、恐喝未遂罪で逮捕されたあとの流れについて詳しく説明します。
1.警察に逮捕される
恐喝未遂事件の逮捕率はわかりませんが、恐喝事件の逮捕率は73.3%程度です(検察統計2024年)。
刑事事件全体の逮捕率は36.5%程度ですので、恐喝事件で逮捕される可能性は高いといえるでしょう。
逮捕されると警察で取調べを受けることになり、そのときに話した内容は供述調書としてまとめられます。
2.逮捕から48時間以内に検察に送致される
警察に逮捕されると、48時間以内に検察へと事件が送致されます。
恐喝未遂罪は「10年以下の拘禁刑」が科される重い犯罪であるため、基本的には検察へと送致されます。
事件性がまったくなかった場合や微罪だと判断された場合には、警察限りで事件が終了することになります。
3.送致から24時間以内に勾留の有無が判断される
検察に送致されると、改めて検察官から取調べを受けることになります。
そして、検察は送致から24時間以内に勾留請求をするかどうかの判断をおこないます。
なお、恐喝事件の勾留率は97%程度なので(検察統計2024年)、ほとんどのケースで勾留されるでしょう。
4.勾留の場合は10日間(最長20日間)身柄を拘束される
勾留が認められた場合は、原則10日間にわたって身柄を拘束されます。
また、延長請求をされることがあり、その場合は追加で10日間(合計20日間)身柄を拘束されます。
勾留中は基本的に警察署内にある留置場で過ごし、必要があれば取調べなどを受けることになります。
5.起訴された場合は刑事裁判がおこなわれて判決が下される
検察は、被疑者を起訴するか不起訴にするかの判断をおこないます。
不起訴の場合はすぐに釈放されますが、起訴の場合はその後も身柄を拘束されることが多いです。
そして刑事裁判(正式裁判)がおこなわれて、最終的に裁判官から判決が言い渡されることになります。
なお、刑事裁判には略式裁判という簡易的な手続きもありますが、恐喝未遂は略式裁判の対象になりません。
恐喝未遂をした場合に弁護士に相談・依頼する3つのメリット
恐喝未遂をした場合に弁護士に相談・依頼するメリットは、以下のとおりです。
- 今後の見通しなどをアドバイスしてくれる
- 被害者に謝罪し、示談交渉を進めてくれる
- 捜査機関に対して処分が軽くなるよう働きかけてくれる
ここでは、恐喝未遂をおこなった被疑者が弁護士に相談・依頼するメリットについて説明します。
1.今後の見通しなどをアドバイスしてくれる
恐喝未遂について弁護士に相談した場合、以下のようなアドバイスを受けられます。
- 逮捕されるかどうかを判断してもらえる
- 取調べの受け方について教えてもらえる
- 黙秘権などの権利について教えてもらえる など
すでに警察に逮捕されている場合でも、当番弁護士を呼ぶことでアドバイスを受けられます。
早めに弁護士からアドバイスを受けるようにし、不利な結果を回避できるようにしましょう。
2.被害者に謝罪し、示談交渉を進めてくれる
弁護士に依頼することで、被害者との示談交渉を任せることができます。
被害者に対して十分謝罪し、示談を成立させられれば、被害感情は軽減したものと判断してもらえます。
その結果、不起訴処分になったり、起訴された場合でも執行猶予を得られたりする可能性が高まります。
被疑者自身が示談交渉を進めることは困難なので、弁護士に依頼することをおすすめします。
3.捜査機関に対して処分が軽くなるよう働きかけてくれる
弁護士は、捜査機関や裁判所に対して以下のような働きかけもしてくれます。
- 逮捕や勾留の必要がないことを意見してくれる
- 被疑者にとって有利になる情報を集めてくれる
- より軽い犯罪が成立することを主張してくれる など
弁護士に依頼したことで、身柄拘束や起訴などを回避できるケースは多くあります。
できる限り早い段階で刑事事件が得意な弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
さいごに|ベンナビ刑事事件で恐喝事件の弁護が得意な弁護士を探そう
恐喝未遂罪が成立した場合、10年以下の拘禁刑の刑罰が科される可能性があります。
このような刑罰を回避するには、早めに刑事事件が得意な弁護士に依頼することが重要です。
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