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危険運転致死傷罪は初犯でも実刑になる?実刑回避のためのポイントも解説

危険運転致死傷罪は初犯でも実刑になる?実刑回避のためのポイントも解説

危険運転致死傷罪は、被害者が死亡した場合には1年以上20年以下の有期拘禁刑、負傷させた場合には15年以下の拘禁刑が科される非常に重い犯罪です。

しかし、初犯であればすぐに実刑になるとは限りません。

被害者との示談の成立や弁護士による弁護活動などにより、執行猶予を得て刑の執行を回避できる可能性もあります。

この記事では、危険運転致死傷罪の法定刑や初犯者の実刑リスク、執行猶予が付くケース、実刑回避・減刑のためのポイントを解説します。

あわせて、実際の判例や弁護士に相談すべき理由も紹介し、実刑を避けるための現実的な行動指針を提示します。

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危険運転致死傷罪は初犯者なら実刑を回避できる?執行猶予になる?

危険運転致死傷罪は、自動車運転死傷行為処罰法の中でも最も重い部類に位置づけられる犯罪です。

被害者を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上20年以下の有期拘禁刑が科されるなど、非常に厳しい刑罰が定められています。

そのため「初犯だから執行猶予になるだろう」とは一概にいえません。

ただし、被害者が死亡していない場合や反省・示談が成立している場合には、実刑を回避できる可能性もあります。

ここからは、執行猶予がつく条件や、実際の統計データをもとに初犯者の実刑リスクを具体的に見ていきましょう。

被害者が死亡していなければ実刑を回避できる可能性は十分にある

危険運転致傷事件では、被害者が死亡していない場合に限り、実刑を回避できる可能性があります。

令和6年版犯罪白書によると、危険運転致傷罪の実刑率は10.9%と、死亡事故に比べて大幅に低くなっています。

これは、加害者側の反省の有無や、示談の成立、被害の程度など、裁判所が情状を考慮できる余地が多いことが理由です。

たとえば、被害者が軽傷で済んだ場合や、事故後に誠実な対応を取っている場合、弁護士の弁護活動によって執行猶予が認められることがあります。

被害者が死亡してしまった場合は執行猶予の獲得は非常に困難

被害者が死亡した危険運転致死事件では、初犯であっても執行猶予が認められる可能性は極めて低いのが実情です。

令和6年版犯罪白書によると、危険運転致死事件の実刑率は96.9%に上り、判決を受けた32人のうち22人の刑期が5年を超えています。

つまり、裁判所は、被害者が命を落としたという結果を非常に重く受け止め、加害者に対して厳しい刑を言い渡す傾向があるのです。

さらに、危険運転致死傷罪には罰金刑がありません

起訴されて有罪となった場合には、拘禁刑のみが科されます。

危険運転致死傷罪は、結果の重大さと社会的影響の大きさを重く見て、厳罰化が進んでいる犯罪です。

初犯であっても実刑を免れるのは難しいですが、早期に弁護士へ相談し、刑期短縮のための情状を整える対応を進めることが大切といえるでしょう。

危険運転致死傷罪の判例

危険運転致死傷罪は、運転態様や結果の重大性によって刑の重さが大きく変わります。

ここでは、最近の判決から代表的な3件を紹介し、どのような運転行為が危険運転として認定されたのか、また執行猶予が付いた事例がどのような状況であったのかを見ていきます。

飲酒後のバック走行死傷事故で危険運転が認められた判例

2025年5月、熊本地方裁判所は、酒気を帯びたまま時速70キロ以上でバック走行し、2人を死傷させた被告に対し懲役12年の実刑判決を言い渡しました

被告は事故を起こした直後に逃走を図り、結果として歩行者2人をはねて1人を死亡させ、もう1人にけがを負わせています。

裁判では、バック走行が危険運転に該当するかが争点となりました。

裁判所は、進行方向を制御できない速度での後退も「正常な運転が困難な高速度」にあたると判断し、危険運転の成立を認めています。

また、事故や飲酒運転の発覚を免れようとした行為は強い非難に値するとして、求刑どおり懲役12年の実刑が下されました。

飲酒と逃走という悪質性が高く、他の犯罪と併合する行為が重く評価された事例です。

一家5人を死傷させ懲役23年が確定した危険運転致死傷罪の判例

北海道砂川市で発生した事故では、車2台で競走しながら交差点に進入し、一家5人を死傷させた被告に懲役23年の刑※が確定しました。

最高裁は2023年、上告を棄却し、一・二審判決を支持しています。

この事件では、複数の車両が赤信号を無視し、重大な危険を生じさせる速度で走行していた点が問題となりました。

裁判所は、被告らが互いに危険な走行を黙認し合っていたと認定し、暗黙の共謀による危険運転が成立すると判断しました。

共謀関係を含めた危険運転致死傷罪の適用が認められた、極めて重い事例です。

※単独の罪に関する懲役刑の上限は、前述のとおり20年です。

本件では、危険運転致死傷罪に加え道交法違反など複数の犯罪が問われ、「併合罪」として処理されました。

併合罪による懲役刑(現在は拘禁刑)の上限は30年です。

危険運転致傷などの罪で執行猶予が付いた判例

奈良地裁では2024年9月、赤信号を無視して交差点を右折し、バイクの男性にけがを負わせた被告に対し、懲役1年・執行猶予3年の判決が言い渡されました。

被告は出勤時刻に遅れまいとして無理な右折をおこない、衝突事故を起こしたあと現場を離れています。

裁判所は、行為自体は危険で悪質としながらも、被告が反省していること、被害者に対して謝罪と賠償の意思を示していることなどを考慮し、執行猶予付きの有罪判決としました。

このように、被害者が死亡していないケースで反省や誠意ある対応が認められた場合には、執行猶予が付く可能性もあります。

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危険運転致死傷罪の初犯で実刑回避・減刑を実現するには?

危険運転致死傷罪で初めて刑事責任を問われた場合でも、状況によっては実刑を避けたり、刑を軽くしたりできる可能性があります。

そのためには、反省の姿勢を明確に示し、被害者への誠実な対応をおこなうこと、また法的に適切な弁護方針を早期に立てることが重要です。

ここでは、執行猶予の獲得や減刑の実現につながる主なポイントを解説します。

心から反省し被害者や遺族に対して謝罪をする

まず大切なのは、被害者や遺族に対して真摯に謝罪をおこなうことです。

加害者が深く反省し、被害者の心情を理解しようとする姿勢を見せることで、裁判所の心証は大きく変わります。

特に、被害者との示談が成立すれば、執行猶予の付与や刑の軽減につながる可能性が高まります

謝罪文の提出や面会による誠実な謝罪など、できる限りの対応を早期に取ることが望ましいといえるでしょう。

危険運転致死傷罪の成立可否について争う

次に重要なのは、本当に危険運転致死傷罪が成立するのかを慎重に検討することです。

危険運転致死傷罪が成立するには、正常な運転が困難な状態であったこと、そして運転者自身もその危険性を認識していたことが必要です。

危険な運転行為の例としては、酩酊状態での運転、著しい速度超過、故意の逆走、信号無視などがあります。

そのため、これらに該当しない場合は、より軽い過失運転致死傷罪への切り替えを主張できる余地があるでしょう。

この場合、経験豊富な弁護士に依頼し、証拠や運転記録をもとに徹底した弁護をおこなうことが第一歩です。

再発防止に向けた取り組みを自発的におこなう

初犯であっても、裁判所は「今後同じことを繰り返さないか」という点を重視します。

そのため、再発防止に向けた行動を自ら起こすことが、執行猶予の判断において大きな意味を持ちます。

具体的に挙げられるのは、免許の返納や運転自粛の宣言、アルコール依存の疑いがある場合は専門機関での治療を受けることなどです。

また、交通安全講習の受講や反省文の作成、家族による監督体制の整備も有効です。

こうした取り組みを記録に残し、裁判資料として提出すれば、再犯の可能性が低いと評価される可能性があります。

被害者となるべく早く示談を成立させる

実刑を回避するうえで最も効果が大きいのが、被害者との示談の成立です。

特に、致傷事故では示談が成立しているかどうかが、執行猶予の有無を大きく左右します。

示談に向けては、謝罪文の提出、治療費や慰謝料の支払い、今後の誠意ある対応などが必要です。

被害者が加害者の反省を受け入れた場合、裁判官や検察官の判断にも良い影響を与えることがあります。

ただし、示談交渉を加害者本人がおこなうと感情的な対立や誤解を生むおそれがあるため、弁護士に依頼し、法的に適切かつ丁寧な手続きで進めてもらうことが重要です。

早い段階で弁護士に相談・依頼する

日本では罪を犯して起訴された場合、ほぼ確実に有罪となります

そのため、起訴される前の段階から弁護士に相談し、弁護活動を早期に開始することが欠かせません。

弁護士が介入すれば、被害者との示談交渉や証拠収集を迅速に進めることができます。

また、危険運転致死傷罪の成立を争う場合や、過失運転致死傷罪への切り替えを目指す場合も、専門的な判断が求められます。

早い段階で相談することで、取り返しのつかない状況を防ぎ、より良い結果につなげることができるでしょう。

初犯であっても、弁護士の支援を受けて適切に対応することが、実刑回避への最短の道です。

危険運転致死傷罪の示談金相場はどのくらい?

危険運転致死傷罪で支払う示談金に、相場はありません。

というのも、事故の内容や被害者の負傷程度、通院期間、後遺障害の有無などによって損害額が大きく変わるためです。

たとえば、同じ人身事故でも、軽傷か重傷か、あるいは後遺障害が残るかどうかで賠償額は何倍にもなります

そのため、示談金の目安はあくまで参考程度にとどめ、個別の事情に応じて弁護士に相談することが大切です。

以下は、交通事故全般における一般的な示談金の相場を整理したものです。

事故の区分 示談金の目安金額
後遺障害のない人身事故 数十万円~100万円程度
後遺障害が残る人身事故 数百万円~数千万円程度
死亡事故 数千万円~1億円程度

たとえば、後遺障害の等級が高い場合や死亡事故の場合は、数千万円から1億円を超えることもある一方で、軽傷や物損のみの場合は数万円程度にとどまることもあります。

ただし、示談金の金額は被害者の生活への影響や精神的苦痛、加害者側の誠意、弁護士の交渉力などによっても変わるものです。

特に、弁護士を介さずに交渉を進めると、相場より高い金額で示談が成立してしまうおそれがあります

事故を起こしてしまった場合は、できるだけ早く弁護士に相談し、適正な賠償額や示談方針を確認することが重要です。

さいごに|危険運転致死傷罪の実刑を避けるにはなるべく早く弁護士に相談を!

危険運転致死傷罪は、初犯であっても実刑になる可能性が高い重い犯罪です。

特に被害者が死亡した場合は執行猶予が認められにくく、慎重な対応が求められます。

しかし、全てのケースで実刑が避けられないわけではありません。

被害者や遺族への誠実な謝罪、早期の示談、再発防止に向けた行動、そして適切な弁護活動によって、刑の軽減や執行猶予の可能性を高めることができます。

一方で、時間が経つほど状況は不利になります。

捜査段階での供述内容や、初動対応の誤りが後の結果に影響することも少なくありません。

そのため、危険運転致死傷罪で捜査を受けた、あるいは起訴の可能性がある場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。

弁護士は、法的な手続きのサポートに加え、被害者対応や示談交渉、再発防止策の提案など、実刑を避けるための戦略を総合的に立てることができます。

一人で抱え込まず、専門家の助けを得ながら最善の解決策を探ることが、将来を守る第一歩となるでしょう。

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この記事の監修者
菅井 勇人 (滋賀弁護士会)
当事務所ではこれまでに多くのご相談・ご依頼をお受けしてきた経験から得られた知識やノウハウを駆使して、ご依頼者様の権利を守るための弁護活動をお約束いたします。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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