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▶2chの書き込みで逮捕される?逮捕後のリスクと対処法を解説
爆破予告とは|罰則・事例や逮捕された後の流れを解説


爆破予告(ばくはよこく)とは、「これから○○を爆破する」とあらかじめ告知することを指し、たとえば、「A大学を爆破する」とメッセージを送ったり、爆発物を送りつけたりして、爆破する意思を示すことです。電話・FAX・SNSなどさまざまな手段を使って行われ、いたずら半分でネット掲示板に爆破予告の書き込みをした場合でも、威力業務妨害罪や脅迫罪などに該当する可能性があります。
この記事では、爆破予告をした際の罰則や事例、逮捕後の流れなどを解説します。
爆破予告の手口と警察の対応
まずは、爆破予告の手口や警察の対応について解説します。
爆破予告の手口
電話やFAXなどを使った手口が代表的ですが、最近では、SNSや掲示板などで爆破予告するケースも登場しています。
<事例①> 2018年6月、埼玉県で開催されていたイベントについて、SNS上で爆破を予告する書き込みや、動画や画像を投稿したとして、男子高校生が威力業務妨害容疑で逮捕された事件です。容疑者は「爆破予告と思われても仕方がない」と容疑を認めているとのことです。 参考:「ラブライブ!」イベント爆破予告? 容疑の高校生逮捕|朝日新聞デジタル |
<事例②> 2018年4月、大阪府の高校に「爆発物を仕掛けた」とFAXを送って爆破予告をしたとして、男子高校生が威力業務妨害容疑で逮捕された事件です。容疑者は黙秘しているとのことです。 |
爆破予告への対応
爆破予告に対して、警察庁では『緊急性が高い場合は110番、その他の場合は警察署・サイバー犯罪相談窓口へ相談するように』と注意喚起しています。
しかし、全国的に統一されたマニュアルなどはないため、各県ごとで対応マニュアルやチェックリストが作成されています。
爆破予告をした際に問われる罪
爆破予告は、さまざまな犯罪に該当する可能性があります。
威力業務妨害罪
「これからA小学校を爆破する」などと爆破予告して相手を威圧し、業務を妨害した場合は威力業務妨害罪が成立します。成立した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(刑法第234条)。
威力業務妨害罪が成立するさまざまなケースについては、以下の記事をご覧ください。
関連記事:威力業務妨害とは|クレームで営業妨害すると逮捕や刑罰を受ける?
脅迫罪
基本的に脅迫罪は、法人ではなく、個人に対して脅迫行為があった場合に成立します。たとえば、「A会社のB社長を爆死させる」というような、爆破予告の対象が特定の人物などであれば、脅迫罪が成立する可能性があります。
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法 第222条
脅迫罪の成立要件や、逮捕後の弁護方法などについては、以下の記事をご覧ください。
関連記事:脅迫罪とは|成立要件・該当する言葉・刑罰・裁判例を紹介
強要罪
たとえば、サッカーチームに所属するA選手に対して「次の試合を休場しないと会場を爆破する」などと、義務のないことを無理やりさせるような場合は、強要罪が成立する可能性もあります。
(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
引用元:刑法 第223条
強要罪の成立要件や逮捕後の傾向、弁護活動などについては以下の記事をご覧ください。
爆破予告の事例
この項目では、爆破予告の事例についてご紹介します。
2017年11月高松地裁の判決
2017年3月に、被告人が香川県の競艇場へ電話をかけ、「場内に爆弾を仕掛けた」と爆破予告し、「A選手を出場させるな」と休場を強要しようとしたとして、威力業務妨害および強要未遂などの容疑で逮捕された事件です。裁判所は「初犯ながら、果たすべき刑事責任は重い」として、被告人に対して懲役1年6ヶ月の判決を下しました。
裁判年月日 平成29年11月2日 裁判所名 高松地裁 裁判区分 判決 事件番号 平29(わ)141号 ・ 平29(わ)166号 ・ 平29(わ)230号 事件名 強要未遂、威力業務妨害被告事件 参考:文献番号 2017WLJPCA11026003 |
2016年5月和歌山地裁の判決
2016年2月に、被告人が和歌山県の役場にFAXを送り、「A中学校を爆破する」などと予告したとして、威力業務妨害容疑で逮捕された事件です。裁判所は「自首が成立しているが、動機が身勝手かつ再犯のおそれもある」として、被告人に対して懲役1年6ヶ月の判決を下しました。
裁判年月日 平成28年5月12日 裁判所名 和歌山地裁田辺支部 裁判区分 判決 事件番号 平28(わ)17号 事件名 威力業務妨害被告事件 裁判結果 有罪 参考:文献番号 2016WLJPCA05126003 |
2016年10月東京地裁の判決
2016年2月に、被告人がPCを使って千葉県HPの問い合わせフォームより、「千葉市役所内に爆発物を仕掛けた」と爆破予告したとして、威力業務妨害、脅迫などの容疑で逮捕された事件です。裁判所は「被告人には年齢不相応な未熟さがあり、規範意識が欠如しているため、保護観察を付けて社会内での更生を図る必要がある」として、懲役2年6ヶ月と保護観察付き執行猶予4年の判決を下しました。
裁判年月日 平成28年10月21日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平28(刑わ)1359号 ・ 平28(刑わ)1637号 ・ 平28(刑わ)1767号 事件名 脅迫、窃盗、威力業務妨害、器物損壊被告事件 参考:文献番号 2016WLJPCA10216004 |
爆破予告して逮捕された場合
最後に、爆破予告して逮捕された場合について解説します。知人・家族が爆破予告して逮捕された場合や、ご自身が逮捕された場合のために知っておくとよいでしょう。
刑事事件の流れ
爆破予告して逮捕された場合は、上図のような流れを踏んで刑罰が確定します。事案が極めて軽微であり被害者とも示談が成立しているような場合であれば、不起訴となるケースもありますが、もし起訴された場合、有罪率は統計上99.9%であるため、高い確率で有罪となると考えられます。
情状酌量となる可能性
被害者と示談が成立していたり、警察による捜査が開始する前に自首したりすることで、情状酌量が認められるケースもあります。また、被告人の今後の生活を指導・監督する身元引受人がいる場合は、刑事裁判で情状証人として、今後の指導・監督に関する計画などを証言してもらうことで、量刑判断に影響を与える可能性もあります。
情状酌量の定義や事例などについては、以下の記事をご覧ください。
関連記事:情状酌量とは|酌量の判断基準と認められたケースを紹介
弁護士に相談する
早期に弁護士へ相談し、的確な弁護活動を実施してもらうことで、被告人にかかる不利益を緩和できる可能性があります。弁護士には、私選弁護士、当番弁護士、国選弁護士がおり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
弁護士の費用相場などについては、以下の記事をご覧ください。
関連記事:刑事事件の私選弁護士費用相場|良い弁護士に出会う3つの方法
まとめ
いたずら半分で爆破予告した場合でも、逮捕される可能性があります。もし爆破予告してしまい後悔している場合は、早期に弁護士と相談しましょう。



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