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痴漢は初犯でも逮捕される?実刑になる?初犯の量刑や減刑獲得のポイントを解説

痴漢は初犯でも逮捕される?実刑になる?初犯の量刑や減刑獲得のポイントを解説

「痴漢をしたら初犯でも逮捕される?」「痴漢の初犯でも量刑は重くなる?」「痴漢の初犯で実刑になることはある?」など、初めて痴漢をしてしまった場合は今後どうなるのか不安に感じているでしょう。

なかには「初犯なら軽い処罰で済むだろう」と考えている方もいるかもしれませんが、犯行態様によっては初犯でも逮捕されて実刑判決が下されたりすることもあります

痴漢をしてしまった場合は、早い段階で弁護士に相談してアドバイスを受け、早期釈放や減刑獲得に向けて示談交渉などの対応を進めることが大切です。

本記事では、痴漢の初犯で科される刑罰や量刑、逮捕された場合の流れや逮捕後にやるべきこと、逮捕されやすいケース・実刑判決が下されやすいケースなどを解説します。

痴漢の初犯で前科が付くことを回避する方法

痴漢事件では、初犯でも実刑が言い渡された事例もあります

実刑や前科を回避するためには被害者との示談が重要ですが、そのためには以下のような対応が必要です。

  1. 弁護士が被害者の連絡先を入手する
  2. 被害者とやり取りして示談金額や条件を交渉する
  3. 検察が起訴・不起訴を判断する前に示談を成立させる

捜査機関は、被疑者に対して被害者の連絡先を教えることはありません。

また、逮捕や勾留されている場合には被疑者本人が対応をすることは不可能です。

そのため、示談を進める場合は弁護士が対応する必要があります。

刑事手続きはスピーディに進行してしまうため、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。

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初犯でも痴漢事件で逮捕・実刑となることはある

痴漢事件を起こした場合、たとえ初犯でも逮捕・実刑となることもあります

その場合、以下のようなさまざまな影響が生じる可能性があります。

  • 長期の身柄拘束による解雇・退学
  • マスコミによる実名報道・インターネット上に名前が残る
  • 捜査の対象となった場合は前歴、さらに有罪判決を受けた場合は前科がつく
  • 「犯罪者のいる家族」として周囲から嫌がらせを受ける・家庭の崩壊 など

たった1度の痴漢行為でも、これだけの不利益が生じるおそれがあります。

犯行に及んだことを心から反省したとしても、報道などで多くの人に知られてしまって生活や仕事がうまくいかなくなり、その後の人生が大きく変わる可能性があるのです。

痴漢の初犯でも逮捕されやすいケース

痴漢の初犯でも逮捕されやすいケース

痴漢の初犯で逮捕されやすいケースとしては、主に以下があります。

  • 犯行現場から逃走した
  • 「痴漢はしていない」と否認している
  • 痴漢行為の悪質性が高い(衣服の中に手を入れて触った・被害者にけがを負わせた)など

逮捕には、現行犯逮捕・後日逮捕(通常逮捕)・後日逮捕(緊急逮捕)の3種類があります。

痴漢事件の場合、犯行現場で被害者本人や目撃者などによって取り押さえられ、現行犯逮捕となるケースが多くあります。

痴漢の初犯でも実刑判決が下されやすいケース

痴漢の初犯だからといって、必ずしも軽い処罰で済むとはかぎりません

特に以下のようなケースでは、初犯でも実刑判決が下される可能性があります。

  • これまで常習的に痴漢をしていた
  • 痴漢行為を長時間おこなっていた
  • 特定の人物に何度も痴漢をしていた
  • 犯行の際に被害者にけがを負わせた
  • 衣服の中に手を入れて直接身体を触った など

後日逮捕される可能性はある?

痴漢事件は現行犯逮捕されるケースが多いものの、なかには後日逮捕されることもあります

たとえば、以下のようなケースでは後日逮捕される可能性があります。

  • 犯行現場から逃走したものの、防犯カメラの映像から身元が特定された
  • 電車の中などで痴漢をして、交通系ICカードの記録から身元が特定された
  • 後日、被害者が警察に被害届を提出した など

痴漢の初犯で逮捕された場合にやるべきこと

ここでは、痴漢の初犯で逮捕された場合の対応について解説します。

被害者と示談する

示談とは、加害者と被害者で話し合って、当事者間での争いを解決することを指します。

示談交渉がまとまった場合、加害者は被害者に対して示談金を支払い、被害者側は以下のような対応を取るのが一般的です。

  • 告訴・被害届の取り下げ
  • 減刑を求める嘆願書の署名・捺印
  • 「刑事処分を求めない」という旨の書面作成 など

「示談の成立」は加害者側に有利な事情として考慮されるため、早期釈放や減刑を獲得できる可能性が高まります。

弁護士に依頼する

痴漢の初犯で逮捕されたら、できるだけ早い段階で弁護士に依頼しましょう

弁護士に依頼することで、主に以下のようなサポートが受けられます

  • 逮捕直後から接見できる(勾留前は弁護士以外は面会できない)
  • 取り調べの受け方や刑事手続きの流れなどをアドバイスしてくれる
  • 代理人として被害者との示談交渉を進めてくれる
  • 捜査機関に対して早期釈放や減刑を求めてくれる
  • 報道機関に対して実名報道の回避を求めてくれる

痴漢事件の場合、被害者と加害者が直接連絡や交渉をすることはありません。

そのような場合でも、弁護士が間に入ることで交渉が可能となり、弁護士なら被害者側の感情にも寄り添いながら交渉を進めてくれて、示談成立できる可能性があります。

痴漢事件を対応する弁護士は3種類

刑事事件を担当する弁護士は、当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の3種類います。

それぞれ選任のタイミングや対応内容などが異なり、主に以下のような違いがあります。

  当番弁護士 国選弁護人 私選弁護人
呼べるタイミング 逮捕後 勾留後・起訴後 いつでも可
弁護士費用 無料 原則無料
※費用負担を求められる場合もある
有料
依頼できる人 被疑者本人・家族・友人など 被疑者本人・被告人本人 被疑者本人・家族・友人など
弁護活動 1度の接見のみ 弁護活動全般(ただし、刑事事件の手続きのみで民事損害賠償請求などは対応不可) 弁護活動全般(民事事件等、刑事事件以外の手続きも対応可能)
メリット 無料で利用できる 原則無料で利用できる・費用負担が発生しても低額で済む 自分で弁護士を選択できる・逮捕や勾留されていなくても依頼できる
デメリット 自分で弁護士を選べない 自分で弁護士を選べない・選任のタイミングが比較的遅い 弁護士費用が高額になりやすい

以下では、それぞれどのような場合に呼ぶのがよいか解説します。

当番弁護士がおすすめのケース
・逮捕されたばかりで、とりあえず状況を整理したい ・どの弁護士を選べばよいかまだわからない…

上記のようなケースでは当番弁護士がおすすめです。

当番弁護士とは、逮捕後に1度のみ無料で呼べる弁護士のことです。

まずは当番弁護士を呼んで、取り調べの受け方や刑事手続きの流れなどをアドバイスしてもらい、これからどうするか決めるのもよいでしょう。

ただし、自分で弁護士を選ぶことはできないため、なかには相性の合わない弁護士が派遣されてしまうこともあります。

当番弁護士の呼び方や連絡先など、詳しくは以下の関連記事をご確認ください。

国選弁護人がおすすめのケース
・弁護士費用が支払えない…

上記のようなケースでは国選弁護人がおすすめです。

国選弁護人とは、経済的事情で弁護士に依頼できない場合、国が選任してくれる弁護士のことです。

弁護士費用は原則無料で、当番弁護士とは違って継続的に弁護してくれます

ただし、ほかの弁護士に比べて呼べるタイミングが遅いうえ、自分で弁護士を選べないというデメリットもあります。

国選弁護人を呼べる条件や呼び方など、詳しくは以下の関連記事をご確認ください。

私選弁護人がおすすめのケース
・事件を早く解決したい ・被害者と示談をしたい ・早く釈放してほしい ・不起訴や執行猶予を獲得したい

上記のようなケースでは私選弁護人がおすすめです。

私選弁護人とは、本人や家族などが弁護士費用を支払って直接依頼する弁護士のことです。

当番弁護士や国選弁護人とは違って弁護士費用がかかるものの、自分が信頼できる弁護士を選んで依頼でき、的確な弁護活動が望めます。

当サイト「ベンナビ刑事事件」では、痴漢事件に強い全国の法律事務所を掲載しています。

お住まいの地域を選ぶだけで対応可能な法律事務所を一括検索できるので、弁護士を探す際はおすすめです。

再犯防止策を考える

痴漢をしてしまったことを反省し、「なぜ痴漢をしてしまったのか」「二度と同じ過ちを繰り返さないためにはどうすればよいのか」を考えることも大切です。

取り調べでは素直に事実を認めて反省していることを伝えて、専門医によるカウンセリングや性犯罪治療の更生プログラムなどを受けたり、家族に監督してもらったりすることも検討しましょう。

なお、弁護士なら再犯防止に向けたサポートも依頼でき、専門の相談機関や医療機関を紹介してくれたり、家族側が取るべき対応などをアドバイスしてくれたりします。

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痴漢の初犯で科される刑罰・量刑

痴漢をした場合、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪などで処罰される可能性があります。

ここでは、痴漢に関する刑罰や量刑、初犯の場合の扱いなどについて解説します。

初犯の場合は量刑が軽くなる可能性がある

初犯であることは、加害者側にとって有利な事情として考慮されます

痴漢の初犯で逮捕された場合、実刑ではなく執行猶予が付いたり罰金刑になったりすることもありますが、刑事事件では以下のようなさまざまな事情を考慮したうえで量刑が判断されます

  • 犯行の動機
  • 犯罪の結果
  • 犯行方法・犯行態様の悪質性
  • 社会的制裁・社会的影響
  • 加害者の性格・環境
  • 加害者の前科前歴
  • 加害者側の反省の意思
  • 被害者側の処罰感情(示談成立の有無、被害弁償の有無)など

たとえ初犯でも、悪質性が高いケースや被害者側の処罰感情が強いケースなどでは、重い刑罰が科されることもあります。

迷惑防止条例違反|6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金

迷惑防止条例は各都道府県が定めているものであり、それぞれ罰則や処罰対象が異なります

一例として、東京都の迷惑防止条例違反の罰則は以下のとおりです。

たとえば「衣服の上から被害者の身体を触った」というようなケースでは、迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。

不同意わいせつ罪|6ヵ月以上10年以下の拘禁刑

不同意わいせつ罪は、2023年の刑法改正によって新設された罪名です。

これまであった「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」を統合する形で、「不同意わいせつ罪」が新設されました。

不同意わいせつ罪の罰則は、6ヵ月以上10年以下の拘禁刑です(刑法第176条)。

たとえば「衣服の中に手を入れて直接身体を触った」というようなケースでは、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。

痴漢の初犯で逮捕された場合の流れ

痴漢の初犯で逮捕された場合の流れ

痴漢をして逮捕された場合、基本的に以下のような流れで刑事手続きが進行します。

  • 警察の取調べ~検察への送致|逮捕後48時間以内
  • 検察の取調べ~勾留請求|送致後24時間以内
  • 勾留・取調べ|原則10日間、最大20日間

逮捕されてしまうと、勾留までの逮捕後最長72時間は弁護士以外とは面会できません

逮捕・勾留・勾留延長となった場合には、最大23日間も身柄拘束されることになります。

日本の刑事裁判に関しては「有罪率が99%以上」と言われており、起訴された場合は高い確率で有罪となって前科も付いてしまいます。

前科を回避するためには、検察官によって起訴・不起訴が決定される前に示談交渉などの対応を進めることが大切です。

逮捕されずに在宅事件となるケースもある

逮捕されずに在宅事件となるケースもある

痴漢事件の場合、身柄を拘束されずに刑事手続きが進行する「在宅事件」となることもあります。

在宅事件の流れは上図のとおりで、通常の生活を送りながら、捜査機関から呼び出しがかかった際は警察署や検察庁に行って取り調べを受けたりすることになります。

在宅事件では身柄事件のような時間制限がなく、起訴・不起訴が決まるまでの期間はケースによって異なります。

在宅事件の場合も実刑判決が下される可能性はあるため、身柄事件と同様になるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

初犯の痴漢事件の裁判事例

ここでは、初犯の痴漢事件の裁判事例を紹介します。

電車内で痴漢をして、懲役1年・執行猶予3年の判決が下されたケース

電車内で男性が未成年者に対して痴漢行為をはたらき、懲役1年・執行猶予3年の判決が下されたという事例です。

男性は満員電車の中で被害者の臀部を触り、下着の中に手を入れようとした段階で被害者が抵抗し、その後に逮捕されて強制わいせつの未遂罪で起訴されました。

裁判では、犯行内容は悪質で被害者側の苦痛や処罰感情も大きく軽視できないとしながらも、強制わいせつ行為は未遂に終わっており、前科前歴がないことや妻子がいることなども考慮されて執行猶予付きの判決となりました。

参考元
裁判年月日:平成14年7月24日 
裁判所名:名古屋高裁
事件番号:平13(う)443号
事件名:強制わいせつ未遂被告控訴事件
裁判結果:破棄自判 文献番号:2002WLJPCA07249001(Westlaw Japan)

数ヵ月間で20回以上の痴漢行為をして、懲役1年6ヵ月の実刑判決が下されたケース

男性が被害者に執拗につきまとって数ヵ月にわたり計20回以上の痴漢行為をはたらき、懲役1年6ヵ月の実刑判決が下されたという事例です。

裁判では、被告人側に前科前歴はないものの常習性が顕著であり、被害者が過呼吸やパニック障害などの被害を受けていることから悪質性が高いと判断され、執行猶予無しの判決となりました。

参考元
裁判年月日:平成18年9月14日
裁判所名:札幌高裁
事件番号:平18(う)74号
事件名:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、強制わいせつ
被告事件
裁判結果:破棄自判 文献番号:2006WLJPCA09146002(Westlaw Japan)

まとめ

痴漢をした場合、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪などで処罰される可能性があります。

初犯であることは加害者側に有利な事情として考慮されますが、必ずしも軽い処罰で済むとはかぎりません。

痴漢の初犯でも実刑判決が下されたケースもあり、早期釈放や減刑獲得のためには早い段階で弁護士に相談することが大切です。

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この記事の監修者
磯田 直也 (兵庫県弁護士会)
当事務所では、少年事件や無罪を争う事件など、非常に難易度の高い事件にも対応した実績がございます。豊富な経験を基に、タイミングごとに事態を見極めて最善の弁護活動をいたしますので、お早めにご相談ください。
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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