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国選弁護人とは?|利用条件や私選弁護人との違いを解説

国選弁護人とは?|利用条件や私選弁護人との違いを解説

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国選弁護制度とは、刑事事件の被疑者や被告人が貧困などを理由に弁護人を選任できない場合に、国に対して弁護人を付けるよう請求できる制度のことです。

以前は起訴後の被告人だけが制度の対象でしたが、2006年10月以降から一部の刑事事件の被疑者も対象になりました。

現在段階的に利用できる対象者が広がっており、2022年2月時点では被疑者が勾留されているすべての事件が対象となっています。

しかし、刑事事件の被疑者や被告人にならないと利用しない制度のため、国選弁護制度について具体的に知らない方も多いでしょう。

そこで、この記事では国選弁護制度とは何か、私選弁護人や当番弁護士との違いは何か、どのように利用したらいいかなどを解説します。

万が一の場合に備えて国選弁護制度の基本を覚えておきましょう。

「国選弁護人のサポートでは不安」という方へ

国選弁護人は勾留後にしかつけられず、勾留前の取り調べのアドバイスは受けることはできないのです。

また、刑事事件の経験が豊富な弁護士がつくともかぎりません。

次に当てはまる方は、私選弁護人に依頼するのがおすすめです。

 

  • 逮捕直後から弁護活動をしてもらいたい
  • 勾留を防いでほしい
  • 刑事事件が得意な弁護士に依頼したい
  • 国選弁護人との相性が悪い

 

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この記事に記載の情報は2023年11月21日時点のものです

国選弁護制度とは?種類と概要

国選弁護制度について、最初に知っておきたいポイントを以下にまとめておきます。

対象者 貧困などを理由に弁護士を付けられない勾留されている被疑者とすべての被告人
対象事件 刑事事件
依頼方法 勾留質問などで裁判官に国選弁護制度を利用したい旨を伝える
タイミング 勾留状が出されてから
費用 原則として費用はかからない(費用負担が発生する場合もある)

国選弁護制度には大きく、被疑者国選弁護制度と被告人国選弁護制度の2つがあります。

いずれも刑事事件において国に弁護士を選任するよう請求できる権利ですが、これらは対象者や成立までの背景などが異なります。

そこで、被疑者国選弁護制度と被告人国選弁護制度の、それぞれの概要や特徴などを確認しておきましょう。

被疑者国選弁護制度とは?

被疑者国選弁護制度とは、検察に勾留されてから起訴されるまでの間で、国に対して弁護士を選任するように請求できる制度のことです。

2006年に導入され、2009年と2018年に制度が見直しされた結果、資力要件などはありますが、現在は被疑者が勾留されている全事件で被疑者国選弁護制度を利用できるようになりました。

第三十七条の二 被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。

引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索

被告人国選弁護制度とは?

被告人国選弁護人制度とは、検察に起訴されてから、国に対して弁護士を選任するよう請求できる制度のことです。

刑事事件で弁護士の支援を受けられることは日本国憲法で保障された権利であり、被疑者国選弁護制度が導入される以前から存在していました。

なお、こちらの制度でも資力要件などを満たす必要があります。

第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
②刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
③刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

引用元:日本国憲法 | e-Gov法令検索

第三十六条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。

引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索

国選弁護制度の利用条件・利用方法

国選弁護制度は、貧困などが理由で弁護士を付けられない被疑者・被告人のための制度です。

そのため、制度を利用するにあたり、資力要件を満たす必要があります。

また、資力要件のほかにも、いくつか利用条件があります。

ここでは、そんな国選弁護制度の利用条件や利用方法について詳しく確認しましょう。

国選弁護制度の利用条件

国選弁護制度の利用条件は前述した刑事訴訟法第37条の2などに定められており、資力要件、勾留の有無、弁護士の有無などがあります。

具体的には、以下のすべてを満たしている場合に国選弁護制度を利用できます。

被疑者の場合

  • その被疑者が資力要件を満たしていること
  • その被疑者に勾留状が出されていること
  • その被疑者が現在も勾留中であること
  • その被疑者に弁護士が付いていないこと

被告人の場合

  • その被告人が起訴されていること
  • その被告人が資力要件を満たしていること
  • その被告人が資力要件を満たしていない場合、私選弁護士を選出できない状況であること

資力要件の具体的な金額とは?

国選弁護制度の基準額は「刑事訴訟法第三十六条の二の資産及び同法第三十六条の三第一項の基準額を定める政令」によって定められており、これによると50万円が基準額となっています。

なお、この50万円というのは被疑者・被告人の資産のことであり、今すぐ50万円を支払うことができるかという基準ではありません。

(法第三十六条の三第一項の基準額)
第二条 法第三十六条の三第一項に規定する政令で定める額は、五十万円とする。

引用元:刑事訴訟法第三十六条の二の資産及び同法第三十六条の三第一項の基準額を定める政令 | e-Gov法令検索

申告は、「資力申告書」という本人が所有する現金や預貯金残高リストを裁判所あてに提出し、自己申告でおこないます。

なお、明らかに50万円以上の資産があるにも関わらず虚偽の申告をした場合には、10万円以下の過料を科される可能性があるので注意しましょう。

第三十八条の四 裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、十万円以下の過料に処する。

引用元:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索

国選弁護制度の利用方法

被疑者が国選弁護制度を利用したい場合は、裁判官による勾留質問で「国選弁護制度を利用したい」旨を伝えてください。

その後、現在の資産状況を申告するための「資力申告書」などの必要書類を作成・提出すると、裁判所や法テラスなどを通じて国選弁護人が選任されます。

一方被告人の場合は、本人の意思に関係なく国選弁護人が選出されることがあります。

裁判で死刑、または3年以上の懲役刑や禁錮刑の判決が言い渡される事件は「必要的弁護事件」といい、この場合は弁護人がいなければ裁判を開くことができないため、国選弁護人が選出されます。

必要的弁護事件ではない事件のときは、「弁護人選任に関する回答書」を記入し、「資力申告書」などの書類とともに裁判所に提出すれば、国選弁護制度を利用できます。

「弁護人選任に関する回答書」は、起訴状とともに自宅に郵送されます。

国選弁護人・私選弁護人・当番弁護士の違いは?

刑事事件で被疑者や被告人の支援をしてくれる弁護士には、国選弁護人、私選弁護人、当番弁護士の3種類があります。

これらの弁護士は、役割や依頼方法などが異なるため、以下にポイントをまとめておきます。

種類 役割 依頼方法
国選弁護人 勾留以降の弁護活動を担当する 【被疑者】勾留質問の際に裁判官へ依頼する
【被告人】裁判所に「弁護人選任に関する回答書」を提出する
私選弁護人 勾留以前から弁護活動してくれる 被疑者・被告人やその家族が直接依頼する
当番弁護士 当番として待機している弁護士が、逮捕期間中に1回だけ面会してくれる 警察官、検察官、裁判官に面会を依頼する
被疑者やその家族・知人が刑事弁護センターに電話して依頼する

国選弁護人と私選弁護人の主な役割は、身柄釈放に向けた活動や裁判に向けた準備といった弁護活動です。

一方で当番弁護士の役割は、逮捕直後の被疑者と面会して取り調べなどに関するアドバイスをすることです。

当番弁護士制度は1990年に始まり、現在でも各地の弁護士会が運営主体となり支援活動をおこなっています。

国選弁護人と私選弁護人のメリット・デメリット

国選弁護人と私選弁護人は、いずれも刑事事件において被疑者や被告人のための弁護活動をしてくれます。

しかし、弁護活動の開始時期や弁護士費用の有無などが異なり、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。

以下の表を参考に、国選弁護人と私選弁護人のどちらを利用するか決めるとよいでしょう。

種類 メリット デメリット
国選弁護人 ・原則として弁護士費用がかからない
・私選弁護人と同等の支援を受けられる
・依頼人が弁護士を探す必要はない
・依頼できるのは勾留決定後になる(※勾留されない場合は起訴決定後)
・担当弁護士を選ぶことができない
・刑事事件が得意でない場合がある
・弁護士費用を請求される場合がある
・原則として解任・交代はできない
私選弁護人 ・勾留決定前から支援を受けられる
・任意の弁護士に依頼することができる
・刑事事件が得意な弁護士に依頼できる
・被疑者や被告人の家族が依頼できる
・場合によっては弁護士を変更できる
・弁護士費用を負担する必要がある(一般的な金額として、着手金と報奨金の合計60万~100万円前後)
・依頼人が弁護士を探す必要がある
・相性が合うかは弁護士次第になる

刑事事件が得意な私選弁護人を探す方法

早い段階から弁護士の支援を受けたい、刑事事件を得意としている弁護士に依頼したいという場合は、国選弁護人ではなく私選弁護人に依頼することをおすすめします。

私選弁護人を探す方法はいくつかありますが、おすすめは刑事事件を得意としている弁護士のみが掲載されている「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」を利用することです。

「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」では、地域と事件(相談内容)を選択するだけで、お近くの弁護士事務所を探すことが可能です。

中には19時以降の相談を受け付けていたり、土日祝日も対応していたりする弁護士事務所もあります。

スピーディな解決が必要になる刑事事件だからこそ、「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」が役に立つでしょう。

国選弁護制度のここが気になる!よくある質問

最後に国選弁護制度に関してのよくある質問や疑問に回答します。

Q1.国選弁護人から私選弁護人に切り替えられますか?

国選弁護人から私選弁護人への切り替えは可能です。

切り替えや引き継ぎの手続きなどは、依頼した私選弁護人がおこなってくれるため、依頼主がおこなう手続きは特にありません。

もし現在担当している国選弁護人に不満がある場合には、刑事事件を得意としている私選弁護人を探してみるのもひとつの方法です。

Q2.民事事件でも国選弁護人制度を利用できますか?

国選弁護制度の対象事件は刑事事件だけであるため、離婚や相続、労働問題、交通事故といった民事事件では利用できません。

また、民事事件にかかる弁護士費用は依頼者が負担するのが基本です。

もし民事事件の弁護士費用が心配であれば、法テラスの「民事法律扶助」を検討してみましょう。

参考:民事法律扶助|法テラス

Q3.国選弁護制度で費用を請求されることはありますか?

国選弁護制度では、国が弁護士費用を負担するのが基本です。

しかし、被疑者や被告人の経済状況によっては、裁判所が費用負担するよう被疑者に命じるケースもあります。

通常、国選弁護制度を使う方は資力がないため費用負担を命じられる可能性は低いですが、あくまでも裁判所の判断によることは覚えておきましょう。

最後に

2018年6月以降、罪の重さに関係なく、貧困などが理由で弁護士を付けられないすべての被疑者を対象に、検察に勾留されている場合には「国選弁護制度」を利用できるようになりました。

弁護士費用が原則不要で、国が選任した国選弁護人に弁護活動を依頼できるため、万が一、刑事事件で勾留された場合には本制度を思い出して利用するとよいでしょう。

しかし、国選弁護人を付けられるのは勾留決定後となっています。

もし早期釈放を目指したいなら、弁護士費用の負担は必要ですが、私選弁護人を利用するのがおすすめです。

私選弁護人に依頼したいなら「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」を利用して、刑事事件を得意としている弁護士を探してみてはいかがでしょうか。

「国選弁護人のサポートでは不安」という方へ

国選弁護人は勾留後にしかつけられず、勾留前の取り調べのアドバイスは受けることはできないのです。

また、刑事事件の経験が豊富な弁護士がつくともかぎりません。

次に当てはまる方は、私選弁護人に依頼するのがおすすめです。

 

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  • 刑事事件が得意な弁護士に依頼したい
  • 国選弁護人との相性が悪い

 

当サイト「ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)」は、刑事事件が得意な弁護士を多数掲載しております。

刑事事件は早い段階での弁護活動が重要です。

初回相談が無料や弁護士費用を分割で支払える弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。

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※弁護士には守秘義務があるので、相談内容が第3者に開示されることはありません。安心してご相談いただけます。詳細:弁護士職務基本規程第23条

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この記事の監修者
浅野 英之 弁護士 (第一東京弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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