旦那が盗撮で逮捕されたら？妻が知るべき法的ポイントと対処法を解説

• 「旦那が盗撮で逮捕されたら、どのような罪に問われるの？」
• 「不利益を避けるために、妻としてどのような対応ができる？」

夫が盗撮で逮捕された、あるいは盗撮の疑いをかけられた場合、強い不安や混乱に襲われるのは当然のことです。

盗撮事件は、弁護士に早急に相談することで早期解決の可能性が高まります。

突然の事態に直面すると冷静な判断が難しくなりますが、適切かつ迅速な対応こそが今後を左右します。

本記事では、盗撮行為により問われる可能性のある罪名や刑罰、そして妻として今すぐ取るべき具体的な行動について、わかりやすく解説します。

夫が盗撮で逮捕された場合に問われる罪と罰則

夫の盗撮行為は、複数の法律に違反するおそれのある重大な犯罪です。

具体的には、以下のような罪に問われる可能性があります。

• 撮影罪(性的姿態等撮影罪)｜3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
• 都道府県の迷惑防止条例違反｜1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
• 軽犯罪法違反｜30日未満の拘留または科料
• 児童ポルノ法違反｜3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

妻として今後の対応を考えるうえで、まずはどのような罪に問われる可能性があるのかを正確に理解することが重要です。

それぞれの罪について詳しく見ていきましょう。

撮影罪(性的姿態等撮影罪)｜3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

夫による盗撮行為は、2023年7月に施行された「性的姿態撮影等処罰法（撮影罪）」に該当する可能性があります。

撮影罪は、同意なく人の性的部位や下着などを撮影する行為を罰するものです。

従来の迷惑防止条例よりも厳しい罰則が設けられています。

たとえば、駅のエスカレーターでスカート内を撮影した場合、撮影罪が適用され、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が科される可能性があります。

新法の施行により、盗撮は軽微な迷惑行為ではなく、社会的信用や今後の生活にも深刻な影響を及ぼす重大な犯罪として扱われるようになりました。

撮影罪についてさらに詳しく知りたい方は「【弁護士監修】撮影罪（盗撮罪）とは？刑罰や構成要件をわかりやすく解説」をあわせてお読みください。

都道府県の迷惑防止条例違反｜1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

2023年7月以前の盗撮事件や撮影罪の要件に該当しない場合は、各都道府県の迷惑防止条例違反が適用されます。

迷惑防止条例は、痴漢や盗撮といった公衆に迷惑をかける行為を取り締まるための条例で、その内容は各都道府県によって異なります。

たとえば、東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、盗撮行為に対して「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。

常習性が認められる場合は、さらに重い「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」となる可能性もあります。

迷惑防止条例について、さらに詳しく知りたい方は「迷惑防止条例違反の初犯の量刑と罰則｜事件を早期解決する方法」をあわせてお読みください。

軽犯罪法違反｜30日未満の拘留または科料

夫の行為が、他人の住居・浴場・更衣室など、人が通常衣服を身につけていない場所をひそかに覗き見る行為にあたる場合、「軽犯罪法違反」に問われる可能性があります。

軽犯罪法違反の罰則は「拘留または科料」です。

• 拘留：1日以上30日未満、刑事施設に拘束される刑罰
• 科料：1,000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑罰

軽犯罪法違反は、迷惑防止条例が適用されない場所での覗き見行為などに適用され、撮影がなくても覗き行為だけで処罰されることがあります。

処罰は比較的軽いものの、前科が付く点は他の罪と変わりません。

軽犯罪法について、さらに詳しく知りたい方は「軽犯罪法とは？知らないと逮捕されるかもしれない罰則と時効」をあわせてお読みください。

児童ポルノ法違反｜3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

盗撮の被害者が18歳未満の児童であった場合、児童ポルノ規制法に該当し、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という重い刑罰が科される可能性があります。

児童ポルノ法は児童を性的搾取から保護することを目的とした法律で、成人を対象とした盗撮よりもはるかに重く処罰されます。

被害者が未成年者の場合、社会的な関心も高く、実名報道される可能性も高まります。

また、性犯罪者として扱われるため、社会復帰が極めて困難になることも覚悟しなければなりません。

家族への影響も深刻で、特に子どもがいる家庭では大きな問題となります。

児童ポルノ禁止法について、さらに詳しく知りたい方は「児童ポルノ事件は弁護士に相談・依頼するメリットを解説！」をあわせてお読みください。

旦那が盗撮したときに妻が取るべき行動

夫が盗撮したという知らせを受け、ショックで何をどうすればいいのか分からないかもしれません。

しかし、このような危機的状況だからこそ、冷静さを失わず、家族として冷静に対処することが重要です。

家族が取るべき主な行動は、次の2点です。

1. すぐに弁護士へ相談する
2. 示談金を用意しておく

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

すぐに弁護士へ相談する

盗撮事件の解決には、刑事事件に精通した弁護士のサポートが不可欠です。

逮捕の連絡を受けたら、まずは弁護士を探し、本人との面会を依頼してください。

逮捕直後の72時間は、家族であっても本人と面会できるのは弁護士だけです。

弁護士は、精神的に動揺している本人に取り調べへの適切な対応をアドバイスし、不利な供述調書（事情聴取の内容を記録した文書）が作成されるのを防ぎます。

多くの人は、警察の厳しい取り調べにパニックになり、言われるがままに供述調書に署名してしまいがちです。

しかし、一度署名した供述調書の内容を裁判で取り消すのは極めて困難です。

弁護士がいれば、黙秘権の適切な行使などをアドバイスし、後の裁判で不利になる事態を回避できます。

示談金を用意しておく

盗撮事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが、その後の処分を大きく左右します。

逮捕された夫の代わりに妻などの家族が示談金を準備しておきましょう。

示談が成立し、被害者から「宥恕（ゆうじょ・許し）」を得ることで、検察官が「起訴の必要なし」と判断し、不起訴処分となる可能性が格段に高まります。

不起訴になれば前科はつきません。

示談金額は盗撮の内容や事情などケースバイケースなので、具体的に「いくら」とは決まっていません。

相場は10〜100万円ほどで、事案によって大きく変動します。

弁護士に相談する際には、準備が必要な示談金の額についても確認しておきましょう。

盗撮事件に強い弁護士を探すなら「ベンナビ刑事事件」

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• 刑事事件の解決実績や具体的な解決事例
• 弁護士の費用や経験年数

初回相談が無料で、分割払いに対応している弁護士も多く、費用面での負担を軽減できるのもおすすめポイント。

夜間や休日に相談できる事務所も多数掲載されているため、緊急で相談したい場合でも安心です。

刑事事件では、初期対応が非常に重要です。

早期の弁護活動により、不起訴処分や軽い処分を得られる可能性が大幅に向上します。

一人で悩まず、まずは専門家に相談することから始めましょう。

ベンナビ刑事事件なら、経験豊富な弁護士があなたの不安を解消し、最適な解決策を提案します。

旦那による盗撮行為が家庭にもたらす影響

夫が引き起こした盗撮事件は、法的な問題だけに留まりません。

それは、あなたや子どもを含めた家族全員の生活に、深刻かつ長期的な影響を及ぼす可能性があります。

具体的にどのような影響が考えられるのか解説します。

早期に対応するためにも、しっかりと理解しましょう。

家族全体の社会的信用が傷つく

夫の事件が実名で報道されたり、インターネットやSNSで情報が拡散されたりすると、あなたや子どもの名前や顔までが世間に晒されてしまう可能性があります。

そうなれば、家族も「加害者の家族」として、周囲から好奇や非難の目で見られることになり、精神的に深く傷つき、追い詰められてしまうでしょう。

また、子どもの学校でのいじめや、あなた自身の仕事にも悪影響が及ぶ可能性があります。

このように、家族全体の社会的な信用が傷つけられることは、非常に大きな苦痛となります。

特に教師や公務員など社会的地位の高い職業に就いている場合、その影響はより深刻になります。

家族のプライバシーを守るためにも、早期の示談成立が重要です。

経済的に不安定になる

夫が逮捕・起訴され、有罪判決を受ければ、会社から懲戒解雇されるなどして、一家の収入が絶たれてしまう可能性があります。

それに加えて、被害者への示談金や賠償金の支払いという、高額な費用負担が重くのしかかります。

これまで通りの生活水準を維持することは困難になり、住み慣れた家を手放さなければならない状況に追い込まれるかもしれません。

夫のたった一度の過ちが、家族全体を深刻な経済的困窮に陥れてしまうリスクがあるのです。

旦那が盗撮したときの夫婦関係の3つの選択肢

夫の盗撮が発覚した場合、妻には大きく分けて3つの選択肢があります。

• 旦那の更生を支え、再犯防止に取り組む
• 離婚と慰謝料請求を進める
• 今は結論を出さず、別居しながら様子を見る

どの選択をするにしても、感情的に判断するのではなく、法的な権利や現実的な問題を理解したうえで、自分と子供の将来にとって最善の道を選ぶことが重要です。

①旦那の更生を支え、再犯防止に取り組む

1つ目の選択肢は、関係修復を目指すことです。

関係修復を目指すなら、旦那の更生を支えながら再犯防止に取り組むことが欠かせません。

盗撮は性依存症の一種であるケースも多く、本人の意思だけで再犯を防ぐのは難しいのが現実です。

専門医による治療と、家族の継続的なサポートが必要となります。

ここでは、再犯防止に役立つ3つの具体的な方法をご紹介します。

ただし、これらは長期的な継続が必要であり、妻自身にも大きな心理的負担がかかることを覚悟しておく必要があります。

性依存症専門の治療やカウンセリングを受けさせる

まずは、性依存症を専門とするクリニックやカウンセリング機関に相談し、専門医の診断を受けさせましょう。

夫自身に、自分の行為が病気によるものであると自覚させることが、治療の第一歩です。

定期的な通院や、同じ問題を抱える人たちが集うグループセラピーへの参加を促すことも有効です。

グループセラピーでは同じ問題を抱える人たちとの交流を通じて、自分の行為を客観視できるようになります。

治療には時間がかかるため、医師やカウンセラーとの連携を密にし、治療方針について十分に話し合うことが大切です。

盗撮のトリガーを特定して回避させる

夫がどのような場面や心理状態で盗撮衝動に駆られるのかを、落ち着いて一緒に振り返りましょう。

引き金（トリガー）を明確にしたうえで、それを避けられるよう生活環境や行動習慣を見直すことが重要です。

具体的には、特定の場所へ行かない、ストレスを感じた時の対処法を事前に決めておくなど、ルールを設定することが効果的です。

さらに、スマートフォンの使用時間を制限したり、フィルタリングや監視アプリを活用したりすることで、再犯防止につなげられます。

環境を変える

盗撮の背景に、仕事の過度なストレスや複雑な人間関係が影響している場合も少なくありません。

可能であれば、そうしたストレス要因から物理的に距離を置くために、転職や部署異動などを検討することもひとつの方法です。

また、何よりも大切なのは、家庭が夫にとって安らげる場所であることです。

孤独や抑圧を感じさせないよう、家族との対話の時間を増やし、夫が心を開ける環境を整える努力が求められます。

②離婚と慰謝料請求を進める

夫の盗撮は、婚姻関係を継続しがたい重大な事由として、離婚や慰謝料請求が認められる可能性が高いです。

盗撮という犯罪行為は、夫婦間の信頼関係を根底から破壊する「不貞行為」に準ずるものと見なされるため、法的な離婚原因となります。

慰謝料の相場は、婚姻期間や盗撮の態様・回数などにもよりますが、50万円から3200万円程度が目安です。

財産分与や子供の親権についても、弁護士を交えて有利な条件で交渉を進めることができます。

離婚により経済的に自立する必要が生じるため、就職活動や住居の確保など、具体的な生活設計も同時に進める必要があります。

③今は結論を出さず、別居しながら様子を見る

すぐに離婚か関係修復かを決断できない場合は、一度別居して物理的・精神的に距離を置き、冷静に考える時間を作ることも有効な選択肢です。

心が深く傷つき、混乱している中で重大な決断を下すと、後になって後悔する可能性があります。

まずはあなた自身の心のケアを最優先し、これからの生活や子どものことをじっくりと考える時間を持つことが大切です。

別居中であっても、夫婦である限り、夫にはあなたの生活費（婚姻費用）を分担する義務があります。

弁護士に相談すれば、法的に婚姻費用を確保したうえで、安心して別居期間を設けられるでしょう。

旦那の盗撮に関するよくある質問

最後に、旦那の盗撮に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

気になる質問があれば、ぜひ回答をチェックしてみてください。

Q. 旦那の会社にバレますか？解雇されてしまいますか？

夫が逮捕されたからといって、警察から自動的に会社へ連絡がいくわけではありません。

しかし、事件が報道されたり、身柄拘束が長引いて無断欠勤の状態になったりすれば、会社に知られる可能性は高まります。

会社に知られた場合、就業規則によっては懲戒解雇となる可能性も否定できません。

解雇のリスクを避けるためには、弁護士に依頼し、被害者との早期の示談成立と不起訴処分の獲得を目指すことが最も重要です。

不起訴になれば、前科がつくこともなく、会社に知られずに事件を解決できる可能性が高まります。

Q. 妻である私にも何か責任が問われますか？

夫の犯罪行為に対して、妻であるあなたに法的な責任が問われることは一切ありません。

あなたは何も悪いことをしていないのですから、罪悪感を抱く必要はありません。

しかし、現実問題として、「加害者の家族」というレッテルを貼られ、周囲からの偏見や心ない言葉に苦しむなど、事実上の社会的・精神的な負担を強いられる可能性はあります。

辛い時には、一人で抱え込まずに専門家や信頼できる人に相談してください。

Q. 旦那を許すべきか分かりません。誰に相談すればいいですか？

法的な課題（今後の刑事手続、離婚、慰謝料請求など）については、弁護士への相談が最適です。

弁護士は法律の専門家として、取り得る選択肢とそれぞれのメリット・デメリット、想定リスクや見通しを具体的に示してくれます。

一方で、夫への感情の整理がつかない、ショックで眠れないといった心のケアは、専門のカウンセラーや自治体の相談窓口の利用をおすすめします。

心の回復には時間がかかります。

焦らず、段階的に「法的対応」と「心のケア」を並行して進めていくことが大切です。

まとめ

夫の盗撮は、撮影罪や迷惑防止条例違反など重大な犯罪として処罰される可能性があります。

逮捕や捜査といった事態は大きな衝撃ですが、感情的にならず冷静に行動することが重要です。

まずは刑事事件に精通した弁護士に相談し、今後の法的見通しや対応方針を明確にしましょう。

弁護士は取り得る選択肢やメリット・デメリットを示し、取り調べや裁判への備えを整えてくれます。