息子が万引きしたら|罰則・親ができること・弁護士を呼ぶべきケースとは
息子さんが万引きをしたので警察でお預かりしています」などと連絡があったら、どのような親でも気が動転してしまうものです。
親としては「どうして万引きなどしてしまったのか」「親としてどのように対応すべきか」「どのような罰則が科されてしまうのか」など、さまざまな疑問や不安があるでしょうし、できるだけ問題を早期解決するためにも正しい知識をつけておくべきです。
この記事では、息子が万引きをする理由や罰則の内容、親としてとるべき適切な対処法などを解説します。
息子が万引きをする原因とは
ここでは、全国万引犯罪防止機構が小中高生に実施した以下の意識調査の結果をもとに、子どもが万引きをする理由について解説していきます。
やらないと仲間外れにされるから
全体的に最も多いのは「やらないと仲間外れにされるから」というものです。特に小学生が最も多く、年齢が上がるごとに数は減っています。
ドキドキして楽しいから
商品欲しさなどではなく「万引きをする際のスリルを味わいたいから」という理由も多くあがりました。特に中学生や高校生に多く、小学生は比較的少ない傾向にあります。
みんながやっているから
自分が主体となって行うのではなく「周りがやっているから」という理由も一定数あります。この理由も、年齢が上がるごとに数が増えています。
その他
全国万引犯罪防止機構による調査では、上記3つが特に多いという結果になりましたが、ほかにも「商品が欲しいから」「お金がないから」などの単純な理由から万引きをするケースも一定数あるでしょう。
親としては、日頃から「周りに流されて万引きをしてはいけない」「欲しいものがあっても万引きをしてはいけない」などの基本的なことをしっかり教えておくことが大切です。
万引きで問われる罪とその罰則
息子が万引きで逮捕されたら、どのような犯罪が成立するのでしょうか?
この場合「窃盗罪」となります。窃盗罪は「他人の占有下にあるものを相手の意に反して自分のものにした」という場合に成立する犯罪です。
万引きは「お店の管理する商品を同意なく自分の支配下に置く行為」であるため、窃盗罪の要件を満たします。罰則は10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑です(刑法235条)。
ただし20歳未満の未成年の場合には、少年事件として処理されます。
少年事件の場合、処遇は家庭裁判所に委ねられ、保護観察処分や少年院送致などの刑事処分とは異なる処分となるケースが一般的です。
このような処分は刑罰ではないため前科にはならないものの、当然記録として残ります。
他方、息子が成人している場合(20歳以上の場合)には、通常の刑事事件として処理されます。起訴されて有罪となれば前科がつくことになります。
息子が万引きをしてしまった…親がやるべきこととは
息子が万引きをして親に連絡が来たとき、親としては以下のような対処をとるべきでしょう。
お店に謝罪と支払いを行う
まずは被害者であるお店に謝罪をし、商品を返還させるか弁償金を支払いましょう。ブランド品などであれば返還して済むこともありますが、生鮮食品などは商品代金を支払う必要があるでしょう。
初犯の場合には、このように誠実に対応すれば事件化されないで済むかもしれません。
しかし、お店の方針で必ず被害届を出すというケースもありますので、その場合には事件化もやむを得ないでしょう。
なぜ万引きをしたのか話を聞く
お店との話がついたら、息子と向き合ったうえで動機などを聞きましょう。
息子が口を閉ざしてしまっていても、ゆっくりと時間をかけて話を聞いてあげれば徐々に話してくれるものです。
この場合の注意点としては、感情的な対応よりも冷静な対応を心がけることです。感情的に叱るばかりでは余計に口を閉ざしてしまって、問題の根本が解決しない可能性もあるからです。
万引きはいけないことだと教育する
今回の万引きについてはきっちり話をして解決できたとしても、その後また万引きを繰り返すようではいけません。
子供に対して「万引きをしてはいけない」ということを十分に理解させる必要があります。子どもの年齢や性格に応じ、適切に対応しましょう。
病的に万引きを繰り返す場合の対処法
ときにはストレスなどによって病的に万引きを繰り返してしまい、自分でも止められなくなるケースもあります。
何度言っても万引きをやめなかったり、反省しているのに万引きを繰り返してしまったりするような場合、子ども自身でも止められず悩んでいる可能性があります。
このような窃盗癖は、心の病気である可能性もあります。一度、専門の病院やカウンセラーに相談してみましょう。
万引きなどの刑事事件を得意とする弁護士であれば良い病院を知っていることもあるので、一度相談してみても良いかもしれません。
息子の万引きで弁護士を呼んだほうがよい場合とは
万引きは誠実に対応すればお店の厚意で事件化されない場合もありますが、必ずしも穏便に処理できるとは限りません。
場合によっては、早期に弁護士への相談を検討した方が良いこともあります。
逮捕されている場合
息子が万引きですでに逮捕されてしまっているのであれば、早急に弁護士に相談すべきです。
逮捕されたのが未成年であっても、逮捕後の勾留までは親でも面会が認められません。
子どもは警察の留置場に入れられたまま、たった一人で過ごすことになります。精神的な不安から取調べにうまく対応できないこともあるでしょう。
弁護士であれば逮捕直後から本人と面会ができます。弁護士が子どもの様子を親に伝えたり、差し入れてほしいものを連絡したりすることも可能です。
逮捕の連絡を受けたら、とにかく早く弁護士に接見に行ってもらいましょう。
示談交渉がまとまらない場合
なかには、被害者との示談がなかなかまとまらないケースもあります。
大手小売店では「万引きについて示談はしない」という方針をとっているところもあるようです。
このような場合でも、弁護士であれば交渉によって示談を成立させることができるかもしれません(ただし一般的には、相手が会社として示談しないという方針の場合、示談の成立は困難です)。
何度も万引きを繰り返している場合
息子が何度も万引きを繰り返している場合には、特に注意が必要です。
初犯であれば、さほど刑罰は重くならないのが一般的です。少年犯罪のケースでも、初犯であり反省しているのであれば少年院送致になる可能性は低いでしょう。
しかし何度も繰り返していると「反省がない」として当然刑罰も重くなります。また、未成年の場合は「家庭では更生が期待できない」として、鑑別書や少年院に送られることもあり得ます。
このようなケースでは、弁護士に依頼して的確な刑事弁護を受けるべきでしょう。
被害額が大きい場合
万引きには、被害額が大きい事件と小さい事件があります。
たとえば、100円のお菓子を万引きするケースと数十万円するブランド品を万引きするケースでは、被害の程度も大きく異なるでしょう。
被害額が大きい場合にはそれだけ悪質性が高いということになり、被害者も示談に応じにくくなる可能性もあります。
そのような場合には、刑事事件に注力する弁護士に依頼して被害者対応をしてもらうのが得策です。
まとめ
息子が万引きしたとき、「たかが万引き」と軽く考えてはいけません。万引きは犯罪ですし、心の病気による依存性なども指摘されています。
また、万引きを入り口として悪い仲間と付き合うようになり、ひったくりや強盗などのより重大な犯罪に走ってしまうこともあるかもしれません。
親としては、まずは万引きの問題を解決することはもちろん、今後のための再発防止策なども含めて慎重に対応する必要があります。
困ったときには自分たちだけで抱え込まず、弁護士に相談してみましょう。
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